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2012年08月16日19:35

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映画【ダークナイト・ライジング】 〜老兵は死なず、消え去るのみ(ただし、美女同伴に限る。)〜

何の因果か、前売り券を2枚買っていたのです。

先行上映は、初日に川崎チネチッタの夕方の回を攻略しており、既に、内容は把握済み。
そろそろ、空いてきた頃合を見計らって、久しぶりにIMAX版を鑑賞して、このシリーズを締めました。



てか、相変わらず、【ビギンズ】は、観てないんですけどね。



率直な感想としては、ノーラン版バットマンシリーズを完結させる事に腐心した事が伺えつつも、前作の神憑り的な完成度には及ばず、普通の大作に収まってしまったような気がします。

それでも、マイケル・米(べい)作品のような、オキラクゴクラクご都合主義の垂れ流しよりも数段高いクオリティを維持しているのは、流石というところ。


ただ、そのクオリティの行き先が、【ヒロインのディティールに対する過度なフェチシズム】に傾倒しているのが傍目にも判るというのは如何なものかと…

明らかにバランスの悪かろう極細ピンヒールで、大立ち回りを演じさせたり、バットポットで疾走する、その姿が【猫だけどワンワンスタイル】という、サービス過剰ぶりとか。
(持ち主の上背の大きさに合わせてるので小柄な女性がまたがると自然にそうなる、という理論武装を匂わせてるところが、実にアザトイDEATH ww)
さらには、ピッチピチのラバースーツの表面に異様に細かい無数のディンプル模様を施しているのに至っては、どうにもこうにも、IMAXクオリティの垂れ流しw
(通常スクリーンでは、この辺りの再現度がほとんど判別不能でした…トホホ)

兎に角、『れきだいさいこうのきゃっとうーまんにしてやんよ(ひゃっはー)』というノーラン監督のみっくみくの意気込みだけは、存分に感じられる作り込みですので、そこだけを目的に観に行ってもいいと思います(ただし、IMAXに限る)。

彼女が、満身創痍のブルースにムゲにも足払いをお見舞いしてしまうプロットなんか、【秋某原のその筋の喫茶店】でサービスに取り入れていただいたら、かな〜り新鮮じゃないでしょうか?
『毎週木曜日はMの日!土曜日はドMの日!!普段は従順なメイド達がご主人様を全力で罵ります』みたいな感じで。

唯一の不安は、ルックスとスタイルが本家に遠く及ばないところでしょうけど…


お話的には、上手にシリーズモノのオチをつけたと感じる一方で、やはり、前作の異様な完成度の高さと世界観のツキヌケぶりが露になってしまった印象です。

本筋の部分では、ヒーローの内面を描く事に傾注したシリーズらしい展開がそこかしこに見られ、内省的なシリーズが輪をかけて内向きのベクトルで構成されており、観る人によっては『陰気』な印象だったのではないでしょうか。
しかして、【ヒーローを降りて普通の人生を歩む】という他の作品群ならばヘタレの烙印間違いなしの展開がこうも清清しく感じられるのは、徹頭徹尾、作品の全体テイストを内向きベクトルで統一していたからこそ、ということを忘れてはならないと思います。

それ故、ラストで、ちゃっかりバットサーチライトを修繕したり、遺品からネックレスだけ失敬していたり(多分、プレゼント用w)、アルフレッドとヴェニスで黙礼を交わしたり云々、最後の最後にプチハッピーというのが、金満セレブにしては、実に小粋で憎めないじゃないですか。

本当は、誰もがヒーローになれるはずなどなく、選ばれた存在であるバットマンでさえも、自身の肉体と精神を極限まで苛め抜いてヒーローの地位を維持していたことを考えれば、『マスクさえあればヒーローになれる』というのは、およそ達人の域にある人物だからこその謙虚さが滲む言い回しであることが判るはずです。
そして、バットマン亡き後の展開は、これまでの添え物然としての『相棒』ではなく、彼の遺志を継ぐ新たなヒーローの誕生を予感させており、ヒーローモノへの無限の賛辞を贈っているように思えました。


また、シリーズの完結が見事である一方で、どうしても超えられない大きな壁の存在も見えてしまいました。

本来なら、本編のスケアクロウの位置にいるべき人物は、前作の彼だと思うのですよ。
本作が、前作の続編である事は、デントの扱いからも明白です。しかし、本作の脚本からは、もうひとりの存在が影も形もなく掻き消されています。

普通に考えれば、劇中でベインが開放した施設には、当然、彼もいたはずです。
本作の脚本上の対応は、『中途半端に触れることで役柄のクオリティの差が浮き彫りになるくらいなら、いっそ、いなかった事にしたほうがマシ』という苦渋の選択だったのではないでしょうか。

ベイン自体が、ヴィランとして格下だったとは思いませんし、トム・ハーディの熱演は見事でした。
しかし、個人的には、やはり、彼を交えた三すくみ四すくみの『バットマン泥沼の大ピンチ』を観てみたかったというのが、素直なところです。
これは完全な無いものねだりなんですけど、本作への不在を通して、彼の偉大さが証明されてしまったというのが、本当に残念でなりません。


あと、細かい部分で、仔細の詰めが大雑把な印象がどうしても気になります。
三ヶ月間軟禁状態の警官隊が、もの凄く、清潔然としてるとか、いくらなんでも、最終兵器の扱いが超イイカゲンとか、ねぇ…。

(慎重に扱えとか言ってる割に、ガンガン地面や壁にぶつけてるし、
 そもそも、半径10Kmが吹き飛ぶはずじゃなかったっけ?
 たった1分そこらで安全圏まで到達するって、あれは、時速何Km出てたの?
 あと、ブルース、絶対被曝してるよね…)

って、フィクションに突っ込みいれるのは野暮というものですが、ノーラン監督らしからぬ荒業炸裂ぶりに、『実は、ラストだけは、米(まい)ケル・ベイがIMAXの練習がてら撮ってたんじゃねーか?』と嫌味のひとつも言いたくなったのはここだけのハナシ。


前売り2枚 + IMAX差額700円 = 3300円をつぎ込んでしまいましたが、『ピンヒールとワンワンスタイルと華奢なウエストにまとわり付くディンプル模様』で、存分にもとは取れたと思います。

ブルーレイが、どのあたりまで再現できているのか異様に気になるところですが、半年後に、何方かレビューしてくれないかしらん。
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