こんな遠回りばかりで、僕の手は君に届くの？

スガさんのアルバムの一曲目、コーヒーの歌詞だけど、遠回りでも近付ける希望があるのは幸せだよなぁと思って「冷めたコーヒーみたいに苦みだけ残った」という部分ばっかりが頭の中でリピートしてしまう。
　それを早く振り払う為に私は、発売は十日なのに、八日の昼休みにイケメンからもらったあんパンで腹ごしらえをしてから、近くのデパート内の店に向かった。
　炎天下の中たった数十秒、汗だくになって逃げ込んだ店内。本や雑貨のコーナーは夏休みでかなりの人が居るのに、そのCD屋には私と一人の店員だけだった。ニューアルバムのコーナーに、それは置いてなくて、店員にいつ入荷するかを訊ねると、忙しそうに色々調べて「発売日は十日ですね」という答えを返してくれた。そして作業に戻った彼女に、更に質問を重ねられず、ぎこちない笑顔で礼を言って店を出た。

九日帰り道、歩いて帰るついでに買うつもりだったのだけれど、イケメンファンマダムに車に連れ込まれ、色々話をしている内にすっかり忘れていた。

十日は休み。いつも通りの炎天下。
　九日に寄ろうと思っていた店は、家から歩いて三十分。開店時間は十時で日が高くなるのを待たなければいけなかったけれど、熱中症にはならないだろうと高をくくって家を出た。汗は順調に、魚がプリントされたTシャツを濡らして、肌にへばりつかせたけれど、流石に舗装されて歩き慣れた路の三十分程度では意識への影響は何もなく、冷房の効きすぎた店内には「逃げ込む」という程の危機感もなくたどり着いた。
　汗が冷えて、治りきっていない風邪がまた一層こじれるんじゃないかと少し不安になりながら、大して広くもない店内で自分の汗の匂いを嗅ぎながら、ニューアルバムのコーナーに向かう。それを手に取りレジへ向かう途中、ミスチルの中古盤もついでに持って、珍しく持参したポイントカードをレジに提出した。
　すると、カードが新しくなるから作り直すかどうか訊かれて、面倒なので「よくわからないのでいいです」と白痴の様な返事をして会計を済ませた。


今週のイケメン。
「まぁそういうのはテイクアウトの関係だからさ」
　ギブアンドテイクって言いたかったらしい。天然属性まで持ってるとか、チートなスペックしてやがる…。

あと、自分は行かないけど女子大生と合コンしない？ってメールが来た。行きたくない訳ではないが、一人で行ってこいはちょっといきなりハードル高過ぎだ。

その後もイケメンからとんでもないメールをもらう。
　先週はイケメンの誕生日だったのだけど、気を使われたくないので、他の人には言わないで欲しい、というメールが来た。それは良い。イケメンらしい、ある種の面倒回避スキームの発露だからいつも通りだ。
　問題なのは、その文面である。「黙ってて」とかじゃなく「しぃーしといてね」だってさ！萌え殺す気か！！
　ちなみにプレゼントは、イケメンファンのマダムと共同出資で体脂肪計。というのも彼は毎日縄跳び何千回してるらしいし、見るからにすらっとしてるのに筋肉質で食事も気を使ってるので。話のついでで、体脂肪計持ってないことを聞き出した私エライ。
　ん？渡したときの反応を書け？それを知るのはプレゼント渡した者の特権だろう。
　そんなイケメンとも、木曜で暫しのお別れ。帰りはまた車で送ってもらってしまったのだけど、その車の中ではいきものがかりが流れていた。ありがとうと伝えたいのはこちらである。


親戚の幼女。
　ほぼ初対面で私はあの髪型だもので、絶対に恐がられると思ったら全然そんなことはなく、髪型を見て「伸ばせば良いのにっ」との貴重なご意見と、お気に入りの茶ストライプポロシャツに可愛いという評価を下さった。と言うか大人への対応が慣れてるもんで、大人にも子供にもイマイチな対応しか出来ない私は、年下に筆下ろししてもらった様な気分になった。
　取り敢えず、こんがりと焼けた脚の膝裏を、舐め回したくなる衝動を抑えながらも、存分に堪能させて頂きました。
　あ、「おまわりさんこいつです」的なコメントや通報は禁止だからねと言うわけで、普通に笑えるネタも書いておく。
　妙な効果音を口にしながらオリジナリティ溢れるアヴァンギャルドな踊りを披露して下さったので、習い事の成果であせられるかと思い、何が習ってらっしゃるのか訊ねましたところ、元気に「ピアノ！」と返ってきた。左様で。