mixiユーザー(id:3701419)

2009年02月27日15:09

24 view

『水の中のナイフ』

映画『水の中のナイフ』を観た。

(1962年 ポーランド 監督:ロマン・ポランスキー
出演:レオン・ニェムチック ヨランタ・ウメッカ ズィグムント・マラノウィッチ)

ポランスキー監督の長編処女作。
以前BSで『反撥』『袋小路』と3本セットで(笑)録画したものだ。

【アンドジェイ(オン・ニェムチック)は、妻クリスティーナ(ヨランタ・ウメッカ)を乗せて週末を楽しむためにヨット・ハーバーへ向かっていた。そこへ、一人の青年(ズィグムント・マラノウィッチ)がヒッチハイクで同乗することに。アンドジェイは、なぜか青年をヨットに乗せることにするのだが…。】

初めて撮った長編監督作が、これ、かぁ。
ポランスキーって、若いころから才能に溢れた人だったのねえ。

ヨット上の限られた空間に男2人女1人の3人だけっていうシュチュエーションは、どうしても『太陽がいっぱい』を思い出してしまう。そして、何が起こるのか期待たっぷりになっちゃうのだ。

特に予備知識もないままに観た私。
先に鑑賞済みの『反撥』や『袋小路』のイメージからして、サスペンスなんだとばっかり
思っていた。特に、ヨットに乗り込んでからは、何かが起こるのではないかと常にドキドキしながら観ていた。

…が、意に反して大した事件は何も起こらない。どう見ても、この夫婦の関係は微妙だ。
表面的にはブルジョワ夫婦の優雅な休日に見えるが、お互いの深層心理はおだやかではなかったらしい。二人の前に謎の青年が現れたことで、仮面がはがれてゆく。

青年vs大人(夫)。 青年=ナイフ。
青年が大事そうに持っているナイフが、夫の心をもとがらせてゆく。
たぶん…、夫は表面的には大人であり、それを妻に誇示したいがために青年を利用したのだと思うが、結局は彼こそが子どもだったのではないか?

なんてことを思いながら、まるでこちらが人間観察でもするかのごとく、画面にくぎ付けになってしまった(笑)映像の構図も遠近感があってとても綺麗で、思わず見とれてしまう。そうかと思えば、3人の微妙な心理戦が常に緊張感をもたらせ、次に何が起こるのかと目が離せない。

やられちゃったなあ。
登場人物が3人のみの映画は同じポランスキー監督の『死と処女』が傑作だと思ってたけど、30年以上も前に、自らがこんなに面白い作品を撮ってたのねー。

クリスティーナ役のヨランタ・ウメッカも魅力的で、ポランスキーは女優さんをより美しく、官能的に見せる才能もあったのかも。『反撥』と『袋小路』のドヌーヴ姉妹もよかったしねぇ。

モノクロの美しい映像に、効果的に流れるジャズの音色。「スタイリッシュ」と評されるわけですな…。

緊張感漂う心理劇って感じ、かな。



0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する