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開催終了文学全集の作り方 池澤夏樹×大江健三郎

詳細

2014年10月29日 12:22 更新

詳細はこちらで。
http://www.kinokuniya.co.jp/c/label/20141024100000.html

大江さんとどんなお話が展開されるのでしょうか。

コメント(14)

  • [1] mixiユーザー

    2014年10月31日 17:58

    ゆきたけどお江戸は遠し。
    すてきな組み合わせですね!
  • [3] mixiユーザー

    2014年10月31日 18:26

    かなり楽しみです。
  • [4] mixiユーザー

    2014年11月02日 14:08

    ごんふく様、イベント情報ありがとうございます!
    早速、予約しました。29日が待ち遠しいです。
  • [5] mixiユーザー

    2014年11月02日 15:07

    空前絶後の組み合わせ?かも。でもこの二人、対談になるのかがイマイチ心配。大江さんは空気を読まずにしゃべりまくるところがあるので(^^;
  • [6] mixiユーザー

    2014年11月30日 00:45

    >>[5]のサイン入り『古事記』もゲットできました。
    丸谷才一氏のエピソード、おもしろかったですね。
  • [8] mixiユーザー

    2014年11月30日 15:13

    はるばる大阪から参加してきました。
    当日の対談の様子を書き起こしてみました。録音不可なのため、例によってわたしのメモをもとに再現していますので、不備な点、聴きもらし等あるかと思いますが、よかったらご一読ください。

    「文学全集の作り方 池澤夏樹×大江健三郎 2014年11月29日 紀伊國屋サザンシアター
    〜河出書房新社から発刊される池澤夏樹氏個人編集「日本文学全集全30巻」刊行記念の対談です〜」 

    <池澤> 講演は演壇に立ったら孤立無援で緊張するのですが、きょうは大江さんがいるので気がラクです(笑)。宜しくお願いします。
     
     読書人として、書評家としてたくさんの本を読んで来たので、「世界文学全集」を作りました。
    かつては各家庭に「文学全集」が置いてありましたが、教養主義が消え、娯楽のための読書となって、出版文化が消えていった。
     それで昔のような文学全集ではなく、古典は外して、第2次大戦が終わり、植民地が解放されたこの世界のあり方を文学がどう書いてきたか、で30巻編集した。
     無事刊行がおわったのが2011年3月10日・・
     3・11以降は東北のことで頭がいっぱいだった。僕も被災地に行きました。
     そんな折り、河出書房新社から「この次は日本文学全集をやろうよ」と声がかかって、最初は、なんと安直な、と思った。いったんお断りしたんですが、東北に行って走りまわっているうちに、日本はなんと自然災害の多い国土だろう、その一方で作物もよく実り、島国という幸運でほとんど外国の軍隊が来ていない、戦後一時期を除けば、異民族支配のない非常に珍しい国だ、こういった国のありようを知るのはやはり文学だ、と思い、日本文学全集をやってみる気になった。文学を通じて日本を知ろうと思いました。
     「世界文学全集」を編集した時と違い、今度は「始まりから現在までの文学」を主要な作品でたどることになります。1300年と言うこんなに長い文学史を持つ国は、ほかに中国ぐらいしかない。配列と作品の選択を考え、今年の前半にそのリストを大江さんに送りました。

    <大江>(今回発刊された「古事記」は)脚注などもとても読みやすい編集になっていて、読んでとても面白かった。

    <池澤>古典も現代語訳することにしました。その中でお前も何かやれ、と言われ、え? 僕もやるの? と。それで勉強しながら古事記訳をやることになった。
     古事記は、神話・伝承と、歌謡、そして名前がズラリ並ぶところ、その3つがまじりあうような、あわないような不思議なテキストなんです。これは今回初めて知りました。読みにくさの緩和のため、注釈を付けたが、スピーディーさを失わないため、本居宣長のものも参考に組み立てました。

    <大江>本を読むことはこんなに面白いものかと熱中して読みました。細かい配慮を感じさせず、まっすぐ入って来る感じです。
     全集をつくることによって、日本人とは何か、を親身になって考えていると思います。
     池澤さんが冒頭で太安万侶に話しかける文章によって、太安万侶の人物像が浮かび上がります。
     古事記を私が読んだのは40代後半から50代初め、アメリカ・バークレーで日本古典の講師をやったことがあり、そのときです。当時刊行された「日本思想大系」の第1巻が「古事記」でした。
     池澤訳は古代歌謡の美しさが無理なく生き生きと現代文で表現されていますので、抵抗なく伝わります。

    <池澤>あまりに褒めていただいて居場所がないような(笑)。
     若い人たち、若くないけど若い気持ちでいる人たちに、古典の敷居を低くして読んでもらおう、と。
     古典を現代語訳するのは、古典への冒涜である、という人もいます。僕は古典を女神として崇めるのではなく、連れてきて一緒に暮らし、ヒラヒラしたものでなくセーターとジーンズになってほしいと思う。これを入り口にしてほしい。
     現代語訳は作家たちにとっても大事な経験になりますよ、と大江さんから言われました。その通り、担当の作家たちは変わると思う。太安万侶は作家であると同時に、優れた編集者だった。編集とは、集めて編む、ですから、それを史上初めてやったのが彼です。
     角田光代さんが源氏物語の全訳を引き受けてくださいました。それを終わった角田さんは、それまでの角田さんと違うと思います。それを背負ってくれた。小説やエッセイや紀行文を書くのとは違う体験をすると思う。
     僕の場合も、これでイケザワナツキはバージョンアップした、と思ってくれたら(笑)。

    <大江>池澤さんは、太安万侶が古事記を書きあげたと同じ高揚感を味わったと思います。作家にとっても実のある文学運動で、読む人に感動を与え、訳をした人も変わるだろうという期待を抱いています。(続く)
  • [9] mixiユーザー

    2014年11月30日 15:55

    (続き)
    <池澤>文学作品には、声を伴うものと、そうでないものがありますが、本来は声に出して読むもの。
    つい先日、スイスに行ってきました。僕の本がドイツ語に翻訳され、君もこちらにきて朗読をしろ、というものです。
     ドイツ語圏の人たちは、本当に朗読会が好きなんです。ラジオの朗読専門局があるほど。プルーストの「失われた時を求めて」の全30巻の朗読CDが発売されていたりします。メルヴィルの「白鯨」の朗読を30時間かけてやったりとかしても、お客が来るんです。
     日本語はわからなくても、原語の響きが知りたい、と言われました。
     声に出せば、ひとつの詩、ひとつの歌が自分のものになる、特に詩の場合、声にするのが大事です。

    <大江>私もドイツで朗読会をしたことがあります。
     私の原語の日本語で読んで、その部分の翻訳をドイツ人の役者さんが読む。日本人がフシギな言葉で読んだのが、いましゃべったドイツ語なんだ、と思うことによって、総合的な理解になっていたと思います。
     そのときの朗読会で私の翻訳をした訳者が、「奇怪だったあなたのテキストが、声に出してみるとひとつづきの文章なんだとわかった」と(笑)。
     どんな文章を書く人もその声が頭の中に響いていて、結局は「声に出して書く」ということ。
     私の文学の音の響きは美しくないですが(笑)。

    <池澤>(今回発刊の日本文学全集には)近・現代には必ずこれまで入っていた大作家の名前がありません。 芥川龍之介、三島由紀夫、川端康成がない。排除したのではなく、最終の一冊に短編を収めてあります。丸々1巻を充てるにはあたらない、というのが僕の判断であって、異論のあるかたは、ご自分で文学全集を作ってください(笑)。
     僕は丸谷才一の文学観を信用していましたが、丸谷さんのポリシーを以って統一感を待たせる、それは“モダニズム”です。伝統を重視しながら、斬新である。彼はユリシーズを翻訳していますね。
     自然主義私小説で脇道にのめりこんでしまった。若者の煩悶でなく、オトナが主人公の策略に満ちた小説がモダニズムの小説。
     だから田山花袋は(全集に)入りませんね。「文学史上」ではなく、今読んで血肉になる小説です。
     丸谷さんに反論したとしたら、都市にに向かうベクトルでなく、地方へ。僕は地方が好きなんです。宮沢賢治の岩手、中上健次の紀州、石牟礼道子の熊本、そして大江さんの四国。
     丸谷さんはひたすら中心に向かいました。山形から東京へ、そして東京は日本の中心ではない、と京都へ向かって源氏物語へたどりつく。ついには「輝く日の宮」では、藤原道長と紫式部の閨房まで入りこむ。
     僕はそんな「中心主義」には反発します。世界の辺境を回ってきた人間ですから。

    <大江>私は来年、80歳になります。20代はじめから長い文学生活で一番手ごわい敵は丸谷才一でした。自分に対しては全面的に否定的ですから(笑)。それが不愉快じゃないですよ。それがあるから自分は生きていくんだ、という存在でした。
     丸谷さんは英文学の研究を重ねたかたであり、日本の古典についても独特の見識を持っていたし、すぐれた作家でもあります。
     亡くなられる3年ぐらい前から「アレ(大江さんのこと)も捨てたもんじゃない」と言ってたようです(笑)。
     日本文学の原型は1930年ぐらいであり、プロレタリア文学、ヨーロッパ文学を受けとめようとしたモダニストの文学、私小説の3つ。
     丸谷さんは、プロレタリア文学を受け継いでいるのは、井上ひさしだ、と言ってました。
     でも丸谷さんは言わずに隠してましたけど、近代主義を標榜していたのは丸谷才一その人です。
     私小説の悪い伝統の生き残りは大江健三郎である、それでいて私小説を超えた所がある、と評されました。
     私はこの社会で生きている、ということを忘れたくないために、原爆について、原発について書いています。そして丸谷さん的なもの、つまりヨーロッパ文学の影響下で改めて日本文学を押し出すこと、を正面から受け止めて生きていければ、と思っていました。
     そのモダニズムを受け継ぐのが池澤さんです。そして、今、古典の現代語訳をしている作家たちによって、新しい日本文学ができると思っています。
     私はいま、イエーツ、オーデン、エリオットの詩を読み返してますが、それらの本だなの隅に池澤さんの「古事記」を加えます。

    <池澤>なんだかきょうは、「大日本文学党決起大会」みたいな感じになりましたね(笑)。というところで、終わりです。

    対談はいったんここで終わり、会場からの質疑応答がおこなわれました(続く)
  • [10] mixiユーザー

    2014年11月30日 16:17

    (続き)
    <質問>もし千年後、現代の日本文学が残っているとして、千年後の言語に翻訳されるとしたら、ご自分の著作ではどれがいいですか? わたしは大江さんの「治療塔」がいいですが。

    <大江>千年どころか、50年後のことさえ考えていない。私は自分が死んでしまったあとの評価はどうでもいいと思ってるので(笑)。それより、自分が何を読みたいかの方なんです。さっきのイエーツ、オーデン、エリオットの原典と西脇順三郎の翻訳を並べ、その間に心に響いてくるものを読んでいます。

    <池澤>太安万侶も1300年後、現代語訳されるとは思わなかったでしょう。だから大江さんの「治療塔」も、千年後はどうなってるかわからない。だから僕は(全集に)「治療塔」を入れました(笑)。

    <質問>今回の文学全集の案内を見ると「今昔物語」や「万葉集」は、新たな訳者を使っていませんね。それはどうしてですか?

    <池澤>まず、「古事記」は福永武彦、まあ、僕の父ですが―が、訳をしていて、それをちょちょっといじれば僕のになるかな、と思ったけど、そうはいかない。どうしても冗長になる。僕は気が短い。古事記は早い文体でコトがポンポン決まっていく。方向が福永訳と正反対なんです。
     「今昔物語」も福永が訳していてコレは好いんです。たぶん男性的な文体が古事記より合っていたんでしょう。折口信夫の万葉集は今読んでも好いし、今でも読める訳です。

    <質問>この文学全集のラインナップを見ると、周縁から中心を見るというコンセプトがあると思います。その個人的な思い入れがあれば教えてください。

    <池澤>戦後日本史は、すべて東京に向かってしまい、東京はアメリカに向かってしまうという精神性がある。しかし戦後日本文学史の最大の作家は石牟礼道子です。ご存じのように僕の編集した「世界文学全集」でも石牟礼道子を収録していて、「日本文学全集」にも入れています。それだけの価値のある作家なのか、と訊かれれば、そうだ、と僕は答える。個人編集だからワガママが言えます(笑)。

    <質問>大江先生、光さんのコンサートがまた聴きたいです。ぜひコンサートを開いてください。

    <大江>(かなり感極まった様子で)どうもありがとう。

    当日会場はほぼ満席、皆熱心に耳を傾けていました。開演前、わたしの後ろに座っていた若い男性の、「あ、作家の島本理生さんがいる!」という声がしましたが、目の悪いわたしはよくわからなかった。そういえば、島本さんも「春色梅児誉美」の現代語訳をしていますね。
  • [11] mixiユーザー

    2014年11月30日 20:52

    >>[10] 大変でしたでしょうに書き起こしありがとうございます。
    私も少しだけですがメモをとりながら拝聴していました。

    一千年後、どの作品が翻訳されてほしいと思いますか? という質問に
    大江さんが「自分が死んだあとの自分のことには興味がない。
    自分は読まれることより、自分が何を読むかに興味がある」 という答えに胸を突かれました。

    私は丸谷才一さんも好きなので、池澤さんが「丸谷才一の文学観を信頼している」ので「彼の文学観をこの全集の選」に反映というような言葉と想いが嬉しかったです。
    購入した池澤さんのサイン入り「古事記」の本にはさまれた月報がこれまた内田樹さんの文章で、池澤・大江・丸谷・内田さんと、好きな作家の縁に大満足な1日でした。

    ごんふくさんの情報、本当に有難かったです。電話で予約したので当日まで席はわからなかったのですが、7列目通路寄りでとても観やすかったです。
  • [12] mixiユーザー

    2014年11月30日 21:57

    >>[11] 充実したお話が聞けましたね。わたしは池澤さんが「世界文学全集」に石牟礼道子さんを入れてくださったことが契機になり、「苦海浄土」を読みました。たしかに石牟礼さんはもっともっと評価されていい作家だし、彼女に光を当ててくださったことに感謝したいです。
  • [13] mixiユーザー

    2014年11月30日 23:00

    前回の菅原さんとの対談に続き、今回も詳しい報告、ありがとうございます。
    
    池澤さんの訳した「古事記」、もう発刊されていたのですね。
    お父様の福永武彦氏も訳していたのですか。
    ずいぶん前ですが、中山千夏さんが古事記に登場する女性たちについて書かれた「姫たちの伝説ー古事記にひらいた女心」も面白かった記憶があります。

    池澤さんがスイスで朗読されたのはどの作品でしょうね。
    たしか「マシアス・ギリの失脚」はドイツ語訳されていたはずですが。

    大江さんが来年80になるとのことですが、池澤さんよりちょうど10歳年上ということになりますね。大江光さん、エッセーによく出てきていました。「治療塔」も読まなくては。

    それにしても今回も奇跡のような組み合わせ、よくぞこんな対談を企画してくれたものと思います。
  • [14] mixiユーザー

    2014年11月30日 23:26

    >>[13] 会場で池澤さんのサイン入り「古事記」が販売されていたので買ってきました。

    福永武彦氏も古事記や今昔物語の訳をされていたことを、わたしも今回初めて知りました。
    池澤さんの独語訳、どれだったんでしょうね。あ、質問すればよかった・・
    大江さんも福永氏も東大仏文出身ですし、たしか池澤さん、大江さんは短期間ですが同時期に芥川賞の選考委員をやっていたんじゃないでしょうか。そんな縁がおふたりにありますね。
    日本を代表する作家ながら、ありそうでない取り合わせで対談を実現いただいた河出書房新社に感謝です。

    質問者が光さんのことに言及して、大江さんが万感をこめたように「ありがとう」と言うのを聞いたときは少しうるっとしました。
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