所得のパレート分布や都市のジップ法則に代表されるように、べき乗則(power laws)は経済に縁の深い実証的法則でありながら、その含意は理論的にも方法論的にも未だ汲み尽くされていない。このセミナーでは、べき乗則にあまりなじみのない経済学者を念頭に、べき乗則を簡単に解説し、それに動機づけられた経済理論モデルを紹介する。 まず、資産・所得のパレート分布を題材に、家計や企業のサイズの異質性にかかわるべき乗則を紹介し、その説明を試みる(1)。次に、べき乗則一般を生成するいくつかのモデルをサーベイする(2)。最後に発展的題材として、内生的振動にかかわるべき乗則について議論する(3)。 参照文献: (1) M. Nirei, "Pareto distributions in economic growth models", IIR Working Paper 09-05 (2) M.E.J. Newman, "Power laws, Pareto distributions and Zipf's law", Contemporary Physics, 2005. (3) M. Nirei, "Aggregate fluctuations of discrete investments", IIR Working Paper 08-08