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開催終了リレー小説『彼女と彼の物語』

詳細

2006年05月27日 00:29 更新

さて、イベントであげてみました。
ひょんなことから生まれたアイデアです。
ひょんというか、ひじりんというか・・・。

簡単に言えば、
交換日記みたいな形で小説をリレーしていこうと言う企画です。
最低限の制約だけ設けて、
後は、自由に書いてほしいです。
みんなの記念の日に、
小説が完成すると言う感じで、
結構な中篇くらいになったり・・・
なんて思っています。

では、ルールについて。

1)テーマは設けませんが、タイトルはつけましたので、そこから逸脱しないのが望ましい。
ただ、脱線するのも間違いなく楽しいので、後に続く人が積極的にフォローしてあげましょう。

2)書き込む順番は自由です。
割り込み、チョロ書き、なんでも有りです。

3)主役は、“彼”と“彼女”です。
男の人は、自分が“彼”のつもりで、
女の人は、自分が“彼女”のつもりで、
書いてみてはいかがでしょうか?
ただし、これは制約ではありません。

4)一人称を使わない。
最終的に通して読むおもしろさもほしいので、
一人称を排除しましょう。
例えば、僕が“彼”の心情を書くときも、
客観的な描写で、書くことにします。
ただし、「 」を使った会話やセリフなどは、
例外です。

5)小説の解説。
これは別にトピックを立てますので、
そちらで思う存分、思いのたけを語って下さい。
初めてのお遊びなので、
ルールが不足しているかもしれません。
それについても、
別のトピックでいろいろ相談しましょう。

最低限、こんなところでしょうか。

では、とにかく、
はじめてみましょう。

ちなみに写真は・・・小説とは関係ありません。

コメント(27)

  • [1] mixiユーザー

    2006年05月27日 00:35

    1972年6月13日、
    彼は生まれた。

    東北の田舎の村。
    舗装道路は村に1つしかなく、
    隣の家は目と鼻の先にあるが、
    その隣の家は100mは離れている。

    ほとんどの家が同じ名字で、
    それぞれが名前で呼び合う、
    そんな日本の田舎にある、
    小さな農家の家に生まれた。

    父は農家の跡取りで、
    母は小学校の先生。
    待望の男の子が生まれ、
    隣近所あげての、
    幸せな祝福をうけた。

    1972年。
    浅間山荘でインテリ崩れの過激派が立て籠もり、
    大きな代償と共に沖縄が返還され、
    時の首相が、なんだかわからない理由で、
    ノーベル平和賞を貰った。

    この物語は、
    その1972年から始まる。
  • [2] mixiユーザー

    2006年05月27日 10:13

    彼女は、自分の生い立ちを知らない。

    物心ついた頃から、
    優しい母と二人きりで暮らしていた。

    「私は、どこで、どんなふうに生まれたの?」
    と、何度か聞いたことがあるが
    母は、決まって寂しい顔をして、
    強く、彼女を抱きしめた。

    そして
    「あなたが生まれてきくれて、
    とっても、とっても嬉しかった。」
    と言ったが、それ以上は、語られなかった。

    「あなたが大人になったら、話してあげるわね」
    という約束は、
    母がいなくなった今、
    結局、果たされないままだ。
  • [5] mixiユーザー

    2006年05月30日 15:48

    数日ぶんの着替えと身の回りの小物を
    小さなかばんにまとめ、
    彼女は、駅に向かった。

    どこに行こうとは決めていなかった。

    ただ「ここではない場所」に行き
    いままで会ったことのない人と話をしたかった。

    切符を買い、
    海に向かう電車に乗り込んだ。
  • [6] mixiユーザー

    2006年05月30日 20:58

    各停の電車。

    海が近づく。

    彼女はふっ と懐かしい感覚に襲われる。

    あれっどこかで感じた事がある波の響き、潮の匂い・・・

    海に引き寄せられるかのように小さな駅に降り立った。
  • [7] mixiユーザー

    2006年05月31日 14:44

    彼女が降り立ったのはほんとに小さな無人駅だった。
    駅から歩いて数百メートルのところに海岸線が広がっていた

    6月の初旬。日によってはまだ肌寒く、雨の多い季節だが
    この日は晴天で少し汗ばむくらいの陽気だった。
    海風が気持ちよく彼女は海へと足を進めていった。

    白い砂浜に腰を下ろし海を眺めていると電車に乗っていたときに感じた懐かしい感覚がどんどん強くなっていった

    彼女は目を閉じ 太陽の光 波の音 さわやかな風 潮のにおい
    いろんなものを全身で感じていた。
  • [8] mixiユーザー

    2006年05月31日 15:22

    彼は迷っていた。
    この村を出るかどうかを。

    あたたかく育てたられた彼にとって、
    この村はすべてだった。
    この村にある川や、
    森や、田んぼや、
    畑や、もちろん村に住む人々。
    それらすべてが彼に愛を与え、
    生を育んできた。
    彼自身はそれをうまく表現できないではいたが、
    身体の中に染み込んでいた。

    そして、
    この家を継ぐことが、
    まるでそれこそが大人になることの理由であるかのように、
    彼は大人になろうとしていた。

    しかし、
    ただ一つだけ、
    彼がこの村にとどまることを躊躇することがあった。

    彼は海を見たことがなかった。
    彼は海を見たかった。
    幼い頃から、
    一度として見たことがなかった。

    なぜだかわからないが、見たことがなかった。

    だから彼は、
    自分が大人になるために、
    海を見たいと思っていた。
  • [9] mixiユーザー

    2006年05月31日 15:44

    彼は迷った挙句、父に相談することにした。
    先日最愛の母が他界し、すっかり落ち込んでいる父に相談するのは
    気が引けたが、彼には相談できる人は父しかいなかった。
    子供の頃あんなに大きく感じた父の背中は今では自分と同じくらいになってしまった
    母がいなくなり落ち込んでしまった今では自分より小さく見えてしまう。

    彼は父親に
    村から出たいと思っている事
    家を継ぐことを悩んでいる事
    海が見たいと思っている事 全てを父に話し
    どうすれば良いと思うか問いかけた

    黙って息子の話を聞いていた父親は小さくうなずくと
    ついてきなさいと 今ではほとんど使ってない古い納屋に
    息子をつれていった。

    そこには古いがきちんと手入れされている1台のバイクがあった
    彼は自分の父親がバイクを持ってることはしらなかったし
    バイクの免許を持っていることもしらなかった
    彼は学生時代にバイクの免許はとっていたが少ない小遣いでは
    バイクは買えなかったし、たまに友達のバイクを借りて乗るのがせいぜいだった。

    驚く彼に父親は
    村から出るか 家を継ぐか その結論はすぐに出なくて良い
    とりあえず 一度村から出て外の世界を見てきなさい
    海も見てくれば良い と父は言い

    このバイクに乗っていろいろ見て戻ってきなさい
    結論はその後で出せば良いお前の人生だ そう言った。

  • [11] mixiユーザー

    2006年06月02日 13:05

    そんな旅の途中、
    一人の老人と出会った。
  • [12] mixiユーザー

    2006年06月02日 15:19

    老人は、白い長いあごひげを生やしていた。
    まるで、サンタクロースのような。

    でも、サンタクロースと違うのは
    その老人がとても痩せていたこと。

    そして、一匹のおおきな犬を連れていたこと。

    深い茶色の優しい目を持った犬だった。

    犬については良く知らないけれど
    どこかで見たことがあるような気がした。

    なんという種類の犬なのか老人に尋ねると、こう答えた。
  • [13] mixiユーザー

    2006年06月02日 16:32

    「こりゃ驚いた あんたこやつが見えるのかね
    あんた面白い目をしとるのう」
  • [15] mixiユーザー

    2006年06月03日 11:27

    「この犬はな 前世で悪行を重ねすぎたせいで転生させてもらえない魂なんじゃ」
    老人は白く長いひげを右手でなでながら続けた
    「おっとお嬢さんには難しかったかな
    お嬢さんの生きている世界で死んだ人間はなあんたたちの世界で言う死後の世界へ行った後別の生き物に生まれ変わるんじゃよ 次も人間になるものもおれば動物や虫になるものもおる」
    「でもなそっちの世界で生きている間にあんまり悪いことをしすぎるとな生まれかわれなくなるんじゃよ この犬はなそんな
    生まれ変われなくなった魂の仮の姿なんじゃ 普通の人には見えん。この姿で善行をつめばいずれ又生まれ変われる。そういうことじゃ」
    ???
    彼女はいきなり突拍子も無い事を言われ混乱していた
    この老人はおかしいんじゃないか?それとも自分がからかわれてるだけなのか?そんな事がぐるぐると頭をめぐりわけがわからなくなり
    なんか腹が立ってきて「おじいさん!」と怒鳴ったのだが
    そこには今までいたおじいさんの姿も犬の姿も無かった
    今の出来事はなんだったんだろう あれ?そういえば私海を見ていたはずじゃ?
    なんでこんなところにいるんだろうあれ?あれ?なんか
    眠い ね・・ちゃ・だめ・・・・

  • [16] mixiユーザー

    2006年06月04日 09:55

    再び老人が現れた。

    今度は手に犬ではなく、懐中時計を持って。

    「おじいさん犬はどこへ行ったの?」

    「そう犬の姿も化身だったがこの時計もまた化身・・・」
    「持つべき人に託そう」

    爽やかな風が頬を撫で、彼女は目を覚ました。

    手には懐中時計がしっかりと握られていた。
  • [17] mixiユーザー

    2006年06月04日 10:43

    彼は走っていた。
    海へ向かう道を。
    といっても、
    あてのない旅とも言えた。
    道が途切れたら、その向こうに海が見える。
    その海へ行こうと決めていた。

    潮の香りがした。
    彼は、その途中でバイクを止めた。
    なれないタバコをくわえ、一服。
    海を見る前に、
    心を落ち着かせるかのように・・・。

    そこに、
    一人の老人が現れた。
  • [18] mixiユーザー

    2006年06月05日 13:55

    老人は長く白い髭をたくわえたとてもやせたおじいさんだった。
    あれ?このお爺さんいつからここにいたんだ?
    彼はなんとなくそう思った
    近づいてくるのを見た覚えも無いし近づく気配も無く
    突然目の前にあらわれた気がする。
    「ほっほっほここにお客が来るだけでもめずらしいのに
    今日は二人も来るとはなんとも不思議な日じゃのう」
    突然しゃべりだしたおじいさんの言葉に
    この人は何を言ってるんだろうと思いながら耳を傾けるのだった
  • [19] mixiユーザー

    2006年06月08日 13:00

    かたわらのヤギは、
    うまそうに草のにおいをかいでいた。
    こんなところでヤギを連れて散歩とは、
    珍しいなと思い、そのことを聞いてみた。

    「こりゃ驚いた あんたこやつが見えるのかね?
    あんた面白い目をしとるのう。いやしかも、一度に二人も。」
    「こいつはな、
    前世で悪行を重ねすぎたせいで転生させてもらえない魂なんじゃ」
    老人は白く長いひげを右手でなでながら続けた。
    「おっと坊ちゃんには難しかったかな
    坊ちゃんの生きている世界で死んだ人間はなあんたたちの世界で言う死後の世界へ行った後別の生き物に生まれ変わるんじゃよ。
    次も人間になるものもおれば動物や虫になるものもおる」
    「でもなそっちの世界で生きている間にあんまり悪いことをしすぎるとな生まれかわれなくなるんじゃよ。
    この子はなそんな生まれ変われなくなった魂の仮の姿なんじゃ。
    普通の人には見えん。この姿で善行をつめばいずれ又生まれ変われる。そういうことじゃ」
    彼は戸惑っていた。
    これまで生きてきて、
    自分を“坊ちゃん”と呼ぶ人に初めて出会った。
    それが気恥ずかしく、
    なんと返事をしていいか戸惑っていた。

    この老人は金持ちなのか?
    金持ちだからヤギ連れてるのか?
    それとも自分がからかわれてるだけなのか?
    そんな事がぐるぐると頭をめぐりわけがわからなくなり 、
    つい「おじいさん!」と叫んでしまった。
    しかし、そこには今までいたおじいさんの姿も、
    ヤギの姿も無かった。

    今の出来事はなんだったんだろう。
    あれ? そういえばタバコをすっていたはずだが、
    あれ? あれ? なんか、
    眠い ね・・ちゃ・だめ・・・・。

    再び老人が現れた。
    老人は、懐から海中時計を差し出した。
    「これをやろう。
    これは不思議な時計じゃ。
    特別な時間を刻んでおる。
    この時計が見えるものを探しなさい。
    それがお前の、運命だろう」

    彼はその時計を受け取った。
    老人は去っていった。
    ヤギの代わりに、
    なぜか片手にヴィルーダカえもんを抱えていた。
    それは当時、同年代の人たちに大変話題になり、
    33歳の人の45%が欲しいと一瞬思ったが、
    実際売れた数は784個と言われていたものだ。

    彼は受け取った時計をポケットに入れ、
    海に向かった。
    はじめてみる海は、
    強く、優しい気がした。
    彼はこれからの自分のことと、
    死んだ母親のこと、
    そして時計を見える人のことを考えた。

    1991年6月13日、
    彼と、彼女が、19歳のことだった。
  • [20] mixiユーザー

    2006年06月08日 13:51

    2006年6月4日(日) 33歳になった彼と彼女

    彼は父親のバイクであちこちを見てまわった後
    結局村に戻ってきて家を継いだ
    彼はまだ独身だった。
    今は彼が頑張って父親を食べさせていた。

    19の誕生日に海で出会った不思議なおじいさん
    自分と同じような体験をしたという不思議な女の子
    夢の中でおじいさんに渡された不思議な時計

    全て遠い昔の話のような気がしてた。
    夢だったんじゃないかと思う事もある。
    でもあの日おじいさんに渡された時計は今も彼の家にあり、時を刻んでいた。
    その時計がかちりとひときわ大きな音をたて突然動かなくなった。
    彼はそんなに物に執着する方ではなかったがこの時計だけはなぜか直さなきゃいけない気がした

    彼は父親に 大事な時計が壊れたので町まで修理に行ってくると告げ
    ひさしぶりにあの日乗った父のバイクにまたがり出発した。

    同じ頃彼女はあの日の海に向かっていた。
    あの日の海に何度も行こうとしたが、あの駅がなんて名前だったのか
    あの海岸がどこにあるのかちっともわからなかかったし一度もたどり着けなかった
    それでも彼女はもう一度あの海岸にいかなければいけないような気がしていた。
  • [21] mixiユーザー

    2006年06月08日 15:27

    彼女は駅の切符売り場に立ち
    路線図をじっとみつめた。

    すると。
    あのとき降りた駅の名前が、目に飛び込んできた。

    「ここだ!」
    彼女は迷わず、切符を買った。

    なぜ、今までずっと思い出せなかったのだろう。
    何度も何度も、夢に見た、あの海岸。

    なぜ、今日に限って、思い出せたんだろう。

    ああ、そうだ。
    もうすぐ、あの場所にいけるんだ。

    確信を持って、彼女は電車に乗り込んだ。

    あのとき手に入れた懐中時計が
    ポケットに入っているのを確認し
    これから向かう海岸に、思いを馳せた。
  • [22] mixiユーザー

    2006年06月09日 16:12

    彼は壊れた懐中時計を持って町の時計屋にいったが
    「こんな時計は見たことが無いし うちでは修理は無理だと言われた」その後何軒か大きな時計屋をまわったがどこにいっても時計屋の反応は同じだった。
    彼は途方にくれどうしようかと悩みながらバイクで走っていた。次に行くアテも無く走っていた自然と足があの日の海に向かっていた
  • [23] mixiユーザー

    2006年06月12日 03:35

    それもそのはず。
    その時計は、普通の人には見えないのだ。

    時計屋の主人にも、
    そう、
    時計には見えなかったのだ。
  • [24] mixiユーザー

    2006年06月14日 15:09

    彼女はあの日の海にたどり着いた。

    約15年ぶりなのに。
    確実に時は経っているのに
    あの日と何も変わってないように感じる。

    空はうす曇り。
    海はとても穏やかだ。

    吹く風が心地よく
    彼女の頬を撫でている。

    砂浜に立って海を見つめていると
    遠くから、波の音に混じって
    かすかにエンジンの音が聞こえてきた。
  • [25] mixiユーザー

    2006年06月14日 15:31

    バイクのエンジン音がだんだん大きくなり傍で止まった。
    彼と彼女は再び出会った。19の誕生日に不思議な出会いをしたあの海岸で
    彼も彼女もそれなりに年をとりすっかり風貌は変わっていたけど
    彼にはあの日の彼女だと一目でわかったし
    彼女もあの日の彼だと一目でわかった
    不思議な事に彼女の時計も時を刻むのをやめていた。
  • [26] mixiユーザー

    2006年06月14日 18:47

    あの日、不意に眠気に誘われ、その場で眠ってしまった二人は同時に目を覚ました。

    彼の前には彼女がいて、彼女の前には彼がいた。

    そして、どちらが言い出すでもなく、二人はそれぞれの掌の中にある懐中時計を交換し、

    『じゃ、15年後にここで。』

    二人が交わした言葉はそれだけ。

    そして、それぞれの家路についたのだった。



    先に口を開いたのは彼だった。

    『あの日、ここで夢を見たんだ。』

    彼女が応えた

    『ええ、そして目が覚めるとあなたがいた。』

    彼は確信したように頷き、微笑んだ。

    彼女も安心したように微笑んでから、言葉を続けた。

    『あの日、私たちは同じ夢を見ていたんだと思うの。』

    そう言ってから彼女はあの日見た夢のことを、穏やかな海の鏡のような水面を見つめながら、ゆっくりと話し始めた。
  • [27] mixiユーザー

    2006年06月18日 21:34

    あの日彼女が受け取った時計には、
    日付が刻まれていた。

    『1972年6月13日』

    母が死んだいま、
    彼女は自分の生い立ちを知らないまま育った。
    さいわい、それなりに理解があり、
    それなりに経済力のある親戚に引き取られ、
    それなりの日々を過ごしていた。
    ただ、あの日の、
    なぜか衝動的に思い立って旅したあの日の思い出だけは、
    色あせることなく、
    むしろ、月日を重ねるほど、
    色濃く心に刻まれていた。

    そして、
    あの時みた夢。
    それはある少女の生まれのことだった。
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