第一部
60年代後半 サイケ〜アートロックの発祥
FORD THEATRE/Theme For The Masses〜101 Harrison Street
TOUCH/We Feel Fine
AGE OF REASON/This Wheel's On Fire
WHALEFEATHERS/Declare Prelude
BLOOMSBURY PEOPLE/Have You Seen Them Cry
DRAGONFLY/Blue Monday
PROBE/Direction
AUM/Resurrection
第二部
70年代初頭 アメリカンプログレの目覚め
BIG BROTHER EARNIE JOSEPH/Heart Full Of Rain
MORLY GRAY/Peace Officer
LOST NATION/Rome
ATTILA/Wonder Woman
BRIMSTONE/Dead Sleep At Night
MICAH/I'm Only One Man
KOPPERFIELD/Moonride
URSA MAJOR/Sinner
PLUM NELLY/Deception
OSMOSIS/Of War And Peace〜Beezlebub
JAKE JONES/A Suite From The Court Jester
第三部
70年代中期 アメリカンプログレの発祥
GREER/All I Need
JASPER WRATH/Roland Of montevere
SIGMUND SNOPEK III/Elizabeth
VIOLA CRAYOLA/The Last One Of Earth
ME/Call The Surgeon
Joe PRICHARD & GIBRALTAR/Blind Man
LEVIATHAN/Seagull〜Angel Of Death
MUTHA GOOSE/You Said Goodbye
ATLANTIS PHILHARMONIC/Atlantis
第四部
70年代後半 アメリカンプログレの時代
ALBATROSS/Four Horseman Of The Apocalypse
EASTER ISLAND/Face To Face
BOOTH,DAVIS,& LOWE/Titicaca Rendezvous
MIRTHRANDIR/Light Of The Candle
ROUNDHOUSE/Handle With Care
SUNBLIND LION/Ride The Wind
BROTHER BAIT/Heaven's Beauty
YEZDA URFA/Boris
ZOLDAR & CLARK/Touch The Sky
PAVLOV'S DOG/It's Not Too Late
第五部
80年代 遅れてきた天才たち
IXT ADUX/Out Of Time
NETHERWORLD/Isle Of Man
TOM ANGELO (A WORK OF AADVARK)/Caught In Deb's Web
WATCHTOWER/Cimmerian Shadows
まずはオープニング
STYX/Witch Wolf
3rdアルバム「Surpent Is Rising」のTOPに入っているDEEP PURPLEを髣髴させるハードドライヴィンナンバー。この曲のかっこよさは皆さん納得していただけたでしょう。後にメジャーになりポップなロックを代表する存在となってしまいましたが、この頃は紛れも無いハード&プログレッシブなバンドでした。
FORD THEATRE/Theme For The Masses〜101 Harrison Street
製作が67年という時期にこれだけの曲を作り上げた才能に感嘆します。彼らは2枚アルバムがありますが、1st「Trilogy For The Masses」のアルバムトップから2曲目までの流れを聴きました。この時期にクラシカルなハモンドオルガンの調べからハードでスピーディな曲に移行するというパターンは後のヘビーメタルバンドの常套手段として使用されていますが、こちらのほうが絶妙なタイミングだと思います。ちなみにアルバムはトータルアルバムで曲調はDOORSのハートに火をつけてやBYRDSの霧の8マイルをベースにしていますが、ハモンドの使用により圧倒的なプログレ感?を引き出すことに成功している傑曲でした。
TOUCH/We Feel Fine
これも68年ということを感じさせないヘビーでカラフルな曲です。同じ名前のサイケバンドも存在しますが宇宙に浮かぶTOUCHの文字を観音開きにしたジャケットの方のTOUCHです。本当は11分の曲をかけたかったのですが、先の曲が12分越えなので短めの曲にしました・・・SADIENさんの追加解説で前身がKINGSMENという情報をいただきました。このバンドの後身はSTEP SONということは知っていたのですがこの情報は知りませんでした。ためになりました。
AGE OF REASON/This Wheel's On Fire
バニラファッジの影響を受けながらもよりスマートにキャッチーに表現されたザバンドがヒットさせたボブディランの曲を聴いてもらいました。私は第一期DEEP PURPLEを感じたのですが、皆さんはいかがだったでしょうか?これは69年作です。
BLOOMSBURY PEOPLE/Have You Seen Them Cry
グリーンスリーブスに始まりグリーンスリーブスに終わるいかにもリッチーブラックモアがやりそうなパターンを70年にやっていたバンドです。リーダーのSigmund Snopek ?はこの後ソロとバンドを両立させていきますが、ソロはプログレ路線バンドはポップ路線といった使い分け?がされています。曲はハードな部分とメロディアスな部分が交差したプログレッシブな傑曲です。
第二部
70年代初頭 アメリカンプログレの目覚め
BIG BROTHER EARNIE JOSEPH/Heart Full Of Rain
ギターもベースも、BLUE CHEER並みのファズサウンドなんですが、楽曲の骨格は70年代型ハードロックという過渡期の逸品です。今回はアルバムトップのインパクト抜群のハードロックを聴きましたが、アルバムには組曲構成の長尺の曲もあります。
BRIMSTONE/Dead Sleep At Night
オルガンもギターもクラシカルに響きます。アルバムの裏に写っているメンバー写真もどこかロックバンドのイメージとは違う神聖な雰囲気が漂っていて、アルバム全体の雰囲気を表しているようです。ヨーロッパ的な音楽なんですが、ヨーロッパには無い乾いた雰囲気もあります。
MICAH/I'm Only One Man
東海岸のスタジオミュージシャン達が結成したロックバンド。ハードな音なんですがテクニカルな演奏が他のハードロックバンドとは一線を引いています。なにせマイナーバンドゆえ詳細は分かりませんが、ジャズ畑のミュージシャンたちかもしれません。当時はジャズとロックの境界線が曖昧になっていてジャズからロックへ転向するミュージシャンやロック的なアルバムを発表するジャズミュージシャンも沢山存在していました。
OSMOSIS/Of War And Peace〜Beezlebub
ジャズからの出稼ぎミュージシャンを含むヘビーなサウンドのバンドですが、かなり混沌としたサウンドは所謂ジャズロックとは系統の異なるサウンドです。
ジャズの要素というのもプログレには大きな要素ですが、こういうバンドが存在するのもジャズ発祥の地アメリカといったところでしょうか。
JAKE JONES/A Suite From The Court Jester
第二部の中では曲構成においてもっともプログレッシブなサウンドをしています。コミカルな曲調で始まり次第に重圧にドラマチックに変化していくサウンドは後のYEZDA URFAの出現を予見させます。
ちなみにこのバンドにJAKE JONESさんはいません。
第三部に続く
写真 第二部1
左:BIG BROTHER Earnie Joseph/Confusion
中:LOST NATION/Paradice Lost
右:ATTILA/Same Title
写真 第二部2
左:BRIMSTONE/Paper Winged Dreams
中:KOPPERFIELD/Tales Untold
右:URSA MAJOR/Same Title
VIOLA CRAYOLA/The Last One Of Earth
ジャズとハードロックのクロスオーバーの草分け的存在のMahavishnu OrchestraとRED期のKING CRIMSONをあわせたような壮絶な演奏を聞かせてくれるバンドです。70年代後半のフュージョンとは違いあくまでもハードロック的なサウンドアプローチです。しかし、このようなサウンドはこれ以後あまり聞かれなくなってしまいます。個人的には大好きな音だけに残念です。
写真左:GREER/Between Two World
写真中:JASPER WRATH/Same Title
写真右:VIOLA CRAYOLA/Breathing of Statues
ME/Call The Surgeon
このアルバムを知っている人はまだほとんどいないと思われるこのMEというアーティスト(バンド名?)ですが、実質はTom Maroldaという人がゲストミュージシャン達と作り上げた実質個人製作の自主制作です。アルバムジャケットはまるでSSWのアルバムのようですが、この曲に針を落とした瞬間聞こえてくるYESを髣髴させるギターサウンドと徐々にハードに盛り上がる曲調に驚くこと必至だと思います。実際皆さんの顔色が変わったように感じましたが、いかがでしたか?
Joe PRICHARD & GIBRALTAR/Blind Man
あまりにも酷いジャケットに収められているアルバムですが、実際はブルージーなハードロック・・・いわゆるZEPPELINタイプ・・・の名盤なのです・・・が・・・アルバムトップのこの曲はキーボードメインのメロディアスでハードな傑曲で日本人が最も好む叙情性を含みドラマチックに迫ってきます。曲構成は比較的シンプルなんですがその分メインのメロディが頭に残ります。
LEVIATHAN/Seagull〜Angel Of Death
こちらもZEPじきじきのハードロックに重圧なキーボードを絡めた音をしています。アルバムにはCRIMSONの叙情部分をアメリカ的解釈で表現したようなバラードも含まれているのですが、このB面トップからの流れはコンパクトな楽曲を組曲的につなげていく手法を用いてドラマチックに表現されています。
MUTHA GOOSE/You Said Goodbye
これまたマイナーなバンドなんですが、アルバム全体を聞くと非常に散漫な印象を受けるのですが、アルバムトップにピアノで始まるシンフォニックタイプの曲を持ってくる辺りが一風変わっていておもしろいと思いますね。
ALBATROSS/Four Horseman Of The Apocalypse
シンフォニックなキーボードの洪水が軽快なテンポに乗っかった今までの曲調と明らかに違うまさしく絵に描いたようなプログレッシブロックが飛び出してきました。録音技術や機材の進歩がマイナーレーベルでも一級品の作品を提供できるような時代になってきたということでしょうか。
EASTER ISLAND/Face To Face
これもYESやGGをお手本にしたようなハードなプログレです。ALBATROSSのようなキャッチーさは薄く本格的なプログレバンドとしては高水準なんですが、実はキャッチーであるということがアメリカで売れるための必須条件だったのでは?それが、このレベルのバンドがメジャー契約できなかった理由のような気がします。
IXT ADUX/Out Of Time
ギターの音はかなりメタリックになってきていますが、サウンドはKING CRIMSON直系のプログレサウンドです。後で聞いてもらったWATCHTOWERと共通点も多いのですが、こちらのほうが70年代から続くプログレの血を色濃く感じますね。
NETHERWORLD/Isle Of Man
かなりハードな展開を擦る部分も有るのですが、発掘当時みんなが大好きだったB面の一曲目を聞きました。当時は気が付きませんでしたが、改めて聞いてみると意外とデビットボウイを感じました。後半に出てくるエレクトリックギターの音色はロバートフリップを髣髴させます。
TOM ANGELO (A WORK OF AADVARK)/Caught In Deb's Web
このアルバムも知っている人はほとんどいないと思われますが、TOM ANGELOという人が一人でピアノとドラムを演奏しています。一歩間違えるとジョージウインストン辺りのイージーリスニングになってしまうところをパワフルなドラミングが、ぎりぎりロックのフィールドで語ることが出来るアルバムにしているといえるでしょう。
本当のラスト。エンディングの曲はこの曲で締めました。
Mike QUATRO/Court Of The Crimson King
SUZY QUATROのお兄さんで、キーボードプレイヤーです。プログレッシブなアルバムとしては3rdの出来が素晴らしく、本来ならそちらを紹介すべきなのですが、1stに収められているこのプログレの名曲で締めることにより、改めてプログレッシブロックがアメリカでも愛されていたという証明として選びました。
5時間半の長丁場参加していただいた皆さんありがとうございました。
写真左:NETHERWORLD/Same Title
写真中:WATCHTOWER/Energetic Disassembly
写真右:Mike QUATRO/Mike Quatro Jam Band