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開催終了4/28木pm7時半 第十回文芸部勉強会 「『時制』について 」 司会:無味無臭改めエディーさん

詳細

2016年04月05日 10:35 更新

第十回文芸部 『時制 』について

みなさまのおかげで、祝十回記念になりましたということで、いつにもまして地味にやりたいと思います。

今回のテーマは『時制』です。

小説の中で見つけて、気になる『時制』の扱われた方を、サンプルにして話し合いましょう。

時間が操作されることで、小説の語りに有効な影響を与えているもの、

あるいは、よくわからないと思ったものも語る材料として魅力的です。

小説に『時制』ができている要因。
1. 我々が生きる時間と物語の時間の違い。
2. 本当の時間と嘘の時間の違い。
3. ストーリーとプロットの違い。
です。

時間というものを想像したとたんに、我々はつねに時間軸の中のどこかにいることにされてしまいます。それは時間があるという前提での話なのですが、本当に時間は存在するのでしょうか?

大きく時間をカテゴライズすると嘘の時間と本当の時間に分けられますが、本当の時間なんてものはあるのでしょうか?

物語は嘘の時間を扱います。もしも我々が生きている時間が幻であり、嘘の時間なのであれば、物語の時間と我々の時間にたいした違いはないのかもしれません。

次回は『空間(移動)』をテーマに計画しています。もし提示したいサンプルがありましたら、先取りして、このイベントにサンプルを書き込んでください。

時間:19:30〜(21:00終了予定)定刻にお出で願います。恐れ入りますが、開始10分前以前のご到着はご遠慮ください。

司会:無味無臭改めエディーさん

「隠れたテーマとしては、優れた小説には何かの共通点があるかということです。探してみましょう」

今回は課題本や決まった課題はありません。

A. 以前の勉強会でやった内容をぶり返したり、ムリヤリ関連付けるのは大歓迎です。B. その際に過去の回の参加者は時を経て得られました着想を発表できます。

それではご参加のみなさま、当日よろしくお願いいたします。今回もまた驚くお話を楽しみにしています。

日時 4月28日(木)pm7:30開始 pm9:00 終了予定

※ 開催場所、形式は「半蔵門でゆるい読書会」と同じで 下記の通りです 。
参加費
 1000円(紅茶またはワイン1杯付き)
 お食事をご希望の方はコメント欄でお申し込みください(別途500円。内容はお任せ願います)。
 また、確認の意味で、お食事不要の方は、お手数ですが、「食事不要」とご記入ください。
お土産について:読書会中に皆でつまめる菓子、果物などのお土産は歓迎です。なお飲み物のお土産はご遠慮ください。(CafeBarKIYONOは飲食店です。お食事の持ち込みはできません。飲物の持込は1000mlまで/ごと500円の持込料を申し受けます)

定員:8名 ( JONYさん、司会を合わせて8名とさせていただきます)

会場: 千代田区平河町2-2-5カフェバーKIYONO 電話5212-4146
地図:googleマップで「カフェバーきよの」で検索
http://bit.ly/p15SIR

参加申込 : 下記のコメント欄にお食事の要否を記載して、このイベントの参加クリックボタンを押してください。

コメント(20)

  • [1] mixiユーザー

    2016年04月10日 02:54



    謎のサンプル 1 (時制)

      熱い緑茶を飲んでいると、奥歯にしみた。歯ではなく、歯茎かもしれない。試しにもう一口含んでみたが、なんともない。
     ところが歯を磨いている時に、今度ははっきりと痛んだ。間違いなく左下の奥歯だ。
     予約を入れるために会社の近くの歯医者へ電話すると、今日の予約は無理だが明日なら、という返事だった。会社に行くのは今日までなので、近所の歯医者にしようかと迷ったが、せっかく電話したのだからと思い、明日の三時で予約を取った。
     そのあといつもの時間のバスに乗り、いつも通り会社に着いた。荷物の整理はきのうまでにすませておいたので、机の上の大きな紙袋を持って帰ればいいだけだ。上司と同僚に形だけ頭を下げて、終りだった。
     一応は正社員として採用され、一年ほど働いたが、成績を伸ばすことが出来ず、ここ三カ月ほどはまともな業務も回してもらえない状態だった。まだ三十代だし本気で探せば仕事はいくらでも見つかるだろう、と上司に言われた時には生れて初めて本気で人を殴りたくなったが、はい、がんばります、お世話になりました、と答えてしまった。もともと向いていない職場だった。それでも同僚は小さな送別会を開いてくれた。つき合っている女からは、あたしはあんたを助けてあげられない、あたしが負担になるなら別れてあげてもいい、と言われてしまった。ハローワークに行ったり伝を頼ってみたりもしたが、次の仕事は決っていない。
     紙袋を持って、どこにも寄らずに帰宅した。午(ひる)過ぎの明るい時間に帰ってきた情けない気分に浸り、漸く、本当に仕事をなくしてしまったのだと実感した。歯は痛まなかった。


  • [3] mixiユーザー

    2016年04月13日 08:49

    参加します。食事ありで。
  • [4] mixiユーザー

    2016年04月13日 19:07

    >> やぐうさん ナギさん

    ご参加表明ありがとうございます!

    今回は「時制」とともに「空間移動」もテーマにしたいと思いますのでよろしくお願いします。
  • [5] mixiユーザー

    2016年04月13日 23:34

    食事ありでお願いします。
  • [6] mixiユーザー

    2016年04月13日 23:35



    謎のサンプル 2 (空間移動)

     とろとろと、眠りかけて、ふと眼をあけると、雨戸のすきまから、朝の光線がさし込んでいるのに気附いて、起きて身支度をして坊やを脊負い、外に出ました。もうとても黙って家の中におられない気持でした。
    どこへ行こうというあてもなく、駅のほうに歩いて行って、駅の前の露店で飴を買い、坊やにしゃぶらせて、それから、ふと思いついて吉祥寺までの切符を買って電車に乗り、吊皮にぶらさがって何気なく電車の天井にぶらさがっているポスターを見ますと、夫の名が出ていました。それは雑誌の広告で、夫はその雑誌に「フランソワ・ヴィヨン」という題の長い論文を発表している様子でした。私はそのフランソワ・ヴィヨンという題と夫の名前を見つめているうちに、なぜだかわかりませぬけれども、とてもつらい涙がわいて出て、ポスターが霞んで見えなくなりました。
     吉祥寺で降りて、本当にもう何年振りかで井の頭公園に歩いて行って見ました。池のはたの杉の木が、すっかり伐り払われて、何かこれから工事でもはじめられる土地みたいに、へんにむき出しの寒々した感じで、昔とすっかり変っていました。
     坊やを背中からおろして、池のはたのこわれかかったベンチに二人ならんで腰をかけ、家から持って来たおいもを坊やに食べさせました。
    「坊や。綺麗なお池でしょ? 昔はね、このお池に鯉トトや金トトが、たくさんたくさんいたのだけれども、いまはなんにも、いないわねえ。つまんないねえ」
     坊やは、何と思ったのか、おいもを口の中に一ぱい頬張ったまま、けけ、と妙に笑いました。わが子ながら、ほとんど阿呆の感じでした。
     その池のはたのベンチにいつまでいたって、何のらちのあく事では無し、私はまた坊やを背負って、ぶらぶら吉祥寺の駅のほうへ引返し、にぎやかな露店街を見て廻って、それから、駅で中野行きの切符を買い、何の思慮も計画も無く、謂わばおそろしい魔の淵にするすると吸い寄せられるように、電車に乗って中野で降りて、きのう教えられたとおりの道筋を歩いて行って、あの人たちの小料理屋の前にたどりつきました。

  • [8] mixiユーザー

    2016年04月13日 23:39



    謎のサンプル 2 空間移動の系譜

      家(家の中におられない) 
    → 歩いて、駅のほう(どこへ行こうというあてもなく)
    → 駅の前の露店(坊やにしゃぶらせる飴を買う)
    → 電車で、吉祥寺(ふと思いついて)
    → 歩いて、井の頭公園 
    → 二人ならんで腰かける、池のベンチ 
    → (らちがあかないので)ぶらぶら引返し、吉祥寺の駅 
    → にぎやかな露店街(見て廻る)
    → 駅で中野行きの切符(何の思慮も計画も無く)
    → 電車に乗って、中野で降りる 
    → あの人たちの小料理屋の前(教えられたとおりの道筋を歩いて行って)

  • [9] mixiユーザー

    2016年04月14日 00:37



    謎のサンプル 3 (空間移動)

     銀座のカフェ××××で、同僚の杉田と一緒に昼食を済した雄吉は、そこを出ると用事があって、上野方面へ行かねばならぬ杉田と別れて、自分一人勤めている△町の雑誌社の方へ帰りかけた。
     それは六月にはいって間もない一日であった。銀座の鋪道の行路樹には、軽い微風がそよいでいたが、塵をたてるほど強いものではなく、行き交(こ)うている会社員たちの洋服はたいてい白っぽい合着に替えられて、夏には適(ふさ)わしい派手な色のネクタイが、その胸に手際よく結ばれていた。また擦れ違う外国の婦人たちの初夏の服装の薄桃色や水色の上着の色が、快い新鮮(フレッシュネス)を与えてくれた。
     雄吉は食事を済した後ののんびりとした心持に浸っていた。その上、彼はこの頃ようやく自分を見舞いかけている幸運を意識し、享楽していた。長い間認められなかった彼の創作が、ようやく文壇の一角から採り入れられて、今まではあまり見込みの立たなかった彼の前途が、明るい一筋の光明によって照され始めていた。彼の心にはある一種の得意と、希望とが混じりながら存在していた。ことに、彼は自分の暗かった青年時代を回想すると、謙遜な心で今の幸運を享受することができた。
     彼は、ともかくも晴れやかな浮揚的(ボイアント)な心持で、歩き馴れた鋪道の上を歩いていた。彼の心には、今のところなんの不安もなければ憂慮も存在していなかった。まったく安易な、のうのうとした心安さであった。他人が見たら、彼は少し肩をそびやかしていたかも知れぬほどの得意ささえ、彼の心のうちに混じっていた。彼が、銀座で有名な△△時計店の前まで来た時であった。彼は、ふと自分の方へ動いてくる群衆の流れのうちに、ある一つの顔を見出した。見覚えのある顔だと、彼は思った。それはほんの一瞬時だった。青木だ! と気がつくと、彼の脚はぴったりと鋪道の上に釘付けにされたように止まってしまった。が、釘付けにされたものは、彼の脚ばかりではなかった。彼のすべての感情が、その瞬間動作を止めて心のうちで化石してしまったように思えた。彼のその時まで、のんびりとしていた心持が、膠(にかわ)のように、急に硬着してしまった。彼の心全体が、その扉をことごとく閉じて、武装してしまったという方が、いちばんこの時の心持を、いい現しているかも知れなかった。雄吉は、身体にも心にも、すっかり戦闘準備を整えて、青木の近よるのを待った。
     初めて青木を発見したのは、ほんの二、三間前であったのだから、青木が雄吉に近よるのは、二、三秒もかからなかった。雄吉の心持にも劣らないほどの大きな激動が、青木の心のうちにも、存在しないはずはなかった。その上、青木は雄吉のほとんど仇敵に対するような、すさまじい目の光を見ると、心持瞳を伏せたまま近よった。

  • [11] mixiユーザー

    2016年04月27日 23:53

    >>[10]

    ご参加表明ありがとうございます!

    よろしくお願いします。
  • [12] mixiユーザー

    2016年04月27日 23:56




     謎のサンプル 4 (時制)

     まだ僕が小さかった頃、行為の途中、よく失敗をした。
     混んでいる店内や、他人の家で、密かに手につかんだものをよく落とした。他人のものは、僕の手の中で、馴染むことのない異物としてあった。本来ふれるべきでない接点が僕を拒否するように、異物は微かに震え、独立を主張し、気がつくと下へ落ちた。遠くには、いつも塔があった。霧におおわれ、輪郭だけが浮かび上がる、古い白昼夢のような塔。だが、今の僕は、そのような失敗をすることはない。当然のことながら、塔も見えない。

     目の先で、黒いコートを着、シルバーのスーツケースを右手につかんだ初老の男が、ホームへ歩いている……
  • [14] mixiユーザー

    2016年04月28日 00:08



     謎のサンプル 5 (時制)

     待ち伏せは四日目に入った。オーケストラ団員である彼女はもうすぐ、この場所に現れるはずだった。練習を終えた彼女はまっすぐ家に帰るため五時にここを通る計算になる。
     待ち伏せは精神衛生上よくない。もう四日目になると失踪した妻を探す夫の姿に似てくる。千鳥姫彦は今朝、鏡を見てそう思った。
     かつて、千鳥は彼女と五秒間、視線を結び合った。彼女は向いのベンチに坐って空気を見ていた。彼は本のページに固定していた目をたまたま彼女の方へ向けた。遊んでいた彼女の目も照準を彼に向けた。この五秒間は夫婦生活に匹敵するほどの意味を持っていた。六秒目には離婚してしまったのだが。
     千鳥は夫婦生活の憶い出にひたるようになった。再び夫婦になりたいと思った。
     夜、一人で自室のベッドに腰かけ、鍵のかかったアルミサッシの窓を見ていると彼女の顔が思い浮かんできた。記憶の中の彼女の像は少しぼやけていたが目と唇は強調されていた。
  • [17] mixiユーザー

    2016年04月28日 00:41


     謎のサンプル 6 (時制)

     安田辰朗は、一月三日の夜、赤坂の割烹料亭「小雪」に一人の客を招待した。客の正体は、某省のある部長である。
     安田辰郎は、機械工具商安田商会を経営している。この会社はここ数年に伸びてきた。官庁方面の納入が多く、それで伸びてきたといわれている。だから、こういう身分の客を、たびたび「小雪」に招待した。
     安田は、よくこの店を使う。この界隈では一流とはいえないが、それだけ肩が張らなくて落ちつくという。しかし座敷に出る女中は、さすがに粒が揃っていた。
     安田はここではいい客で通っていた。むろん、金の使い方はあらい。それは彼の「資本」であると自分でも言っていた。客はそういう計算に載る人びとばかりであった。もっとも、彼はどんなに女中たちと親しくなっても。あまり時運の招待した客の身分をもらしたことはなかった。
     現に、去年の秋から某省を中心として不正事件が進行していた。それには多数の出入り商人がからんでいるといわれている。現在は省内の下部の方だが、春になればもっと上層へ波及するだろうと新聞は観測していた。
     そういう際でもあった。安田はさらに客について用心深くなった。客によっては、七度も八度も同じ顔があった。女中たちはコーさんとか、ウーさんとか言っているが、素性は全然知らされなかった。が、安田の連れてくる客のほとんどが、役人であるらしいことは、女中たちは知っていた。
    しかし、招待客はどうでもよい。金を使うのは安田であった。「小雪」は、彼を大事にしておけばよかった。
     安田辰郎は、三十五六で、広い額と通った鼻筋を持っていた。色は少し黒いが、やさしい目と、描いたような濃い眉毛があった。人がらも商人らしく練れて、あっさりしている。女中たちには人気があった。しかし安田はそれに乗って、誰に野心があるというでもなさそうだった。彼は誰にたいしても、同じように愛想がよかった。
  • [18] mixiユーザー

    2016年04月28日 01:09



     謎のサンプル 7 (時制)

     私の家の厠はの窓は谷中の斎場の厠と向かい合っている。
     二つの厠の間の空地は斎場の芥捨場である。葬式の供花や花輪が捨てられる。
     墓地や斎場に秋の虫の声がしげくなったとはいえ、まだ九月の半ばであった。面白いことがあるという風に、私は妻とその妹との肩に手をかけて、少し冷たい廊下を連れて行った。夜であった。廊下の突きあたり、厠の扉を開くと同時に、強い菊の薫りが鼻を衝いた。まあと驚いて、彼女等は手洗場の窓に顔を寄せた。窓一ぱいに白菊の花が咲いている。二十ばかりの白菊の花環が、そこに立ち並んでいるのであった。今日の葬式の名残であった。妻は手を伸ばして菊の花を折り取りそうにしながら、こんなにたくさんの菊の花をいちどに見るのは、何年振りであろうと言った。私は電燈をつけた。花環に巻いた銀紙がさんらんと照らし出された。仕事をする時は度々厠へ立つ私は、その夜幾度となく菊の匂いを嗅いで、徹夜の疲れがその薫りのなかに消えてゆくように感じた。やがて朝の光に、白菊はいよいよ白く、銀紙は輝きはじめた。そして用を足しながら私は、白菊の花に一羽のカナリヤがじっととまっているのを見つけたのであった。昨日の放鳥が疲れて鳥屋への帰りを忘れたのであろう。
     これなぞはまあ美しいとも言えようが、しかしまた私は、それらの葬いの花々が腐ってゆく日々も、厠の窓から見なければならない。ちょうどこの文章を書いている三月の初めは、一つの花環に咲いた紅薔薇と桔梗とが、萎れるにつれてどんな風に色変わりしてゆくかを五六日の間つぶさに見たのであった。
  • [19] mixiユーザー

    2016年04月28日 01:37



     謎のサンプル 8 (空間移動)
     
     付属病院の前の広い舗道を時計台へ向かって歩いて行くと急に視界の展ける十字路で、若い街路樹のしなやかな梢の連りの向こうに建築中の建物の鉄骨がぎしぎし空に突きたっているあたりから、数知れない犬の吠え声が聞こえて来た。風の向きが変るたびに犬の声はひどく激しく盛り上がり、空へひしきめながらのぼっていくようだったり、遠くで執拗に反響しつづけているようだったりした。
     僕は大学への行き帰りにその舗道を前屈みに歩きながら、十字路へ来るたびに耳を澄ました。僕は心の隅で犬の声を期待していたが、まったく聞こえない時もあった。どちらにしても僕はそれらの声をあげる犬の群れに深い関心をもっていたわけではなかった。


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