映画化されること数回、あまりにも有名なこの作品。

じっくり読んでみると、どんな感想を抱くでしょう。

ノーベル賞文学者にしてガス自殺をした川端康成の名作中の名作です。

初秋にふさわしい一冊です。この機会に日本人の美しさにどっぷり浸ってみるのもいいですね。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＊


「いい人ね」
「それはそう、いい人らしい」
「ほんとうにいい人ね。いい人はいいね」
　この物言いは単純で明けっ放しは響きをもっていた。感情の傾きをぽいと幼く投げ出して見せた声だった。私自身にも自分をいい人だと素直に感じることができた。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〜踊子が学生について姉に呟くセリフ〜