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開催終了(小説企画)『ある日目が覚めると、そこは……』

詳細

2012年03月20日 20:52 更新

はい、短期イベントです。
今回はテーマ企画ではなく、縛り企画となります。

何か、と申しますと、非常に簡単な話で。

『ある日目が覚めると、そこは』

という文章から、物語を始めてください。
それ以外は完全フリーダムです。

あ、でも、締め切りを4月1日としましたので、
長編よりも短編のほうが良いかと思います。

さて、どんなお話が展開されていくのでしょうか。

コメント(29)

  • [2] mixiユーザー

    2012年03月20日 23:41

    ある日目が覚めると、そこは水の中だった。
    不思議と苦しくなく、息も普通にできる。陸上かとも思ったけど見上げた景色は水中からのものだし泳げる。
    上からの光で水面はきらきらと輝いていて、思わず手を伸ばした。
    ──届かない。
    ……何に?
    わからない。
    ……上から?
    上ってどっち? 私は上を向いてるの? 本当は──
    痛みがはしった。
    どこがかはわからない。特定できない。
    でも痛い。痛くて痛くて、私は、わたし、は、──



    焼かれるような痛み。
    眩しい。痛い。苦しい。
    息が喉を震わせて音になって、悟った。

    私は今生まれたんだ、と。





    穏やかな子宮から狭い産道を通り雑多なこの世へ。
    陣痛前から誕生直後までってこんな感じかな、と。
  • [3] mixiユーザー

    2012年03月20日 23:50

    早速の投稿、ありがとやんしたMIDOLIさん♪

    ってか駄目だ、ラスト手前から笑いしか出ない(笑)
    しかもなんて言うんだこれ、高笑いとか馬鹿笑いとかじゃなくて、
    「くっくっくっく」とかそんな感じの、こみ上げてくる系の笑い。

    テンポを殺すこと無く、しかし文章によどみのない、独特の『文学』。
    いやはや、これだからこの企画は面白いんだよなぁ。

    よし、私も負けへんで。
  • [4] mixiユーザー

    2012年03月21日 00:27

    > 文流さん
    おお、こちらもお早い投稿、ありがとやんした文流さん♪
    叙述トリックを軽く絡めたミステリタッチの展開に、ファンタジー狙いかと思っていた私はちょっとびっくりしました(笑)

    そう言えば、出産の時の記憶を今だに持っている方がいらっしゃるそうで。
    私なんざ3歳までの記憶がすっぽり無いので、そういう話を聞くとすっごい羨ましい気がします。

    ちなみに産むお母さんの立場になると、
    きっとこの短編の最初から最後までずっと『痛い』とか『苦しい』とかそういう感情が渦巻いてるんでしょうね。
    ほんと、母は偉大だなあと思います。
  • [9] mixiユーザー

    2012年03月21日 21:06

    > たかーきさん
    おお、たかーきさんらしい物語だ。
    徹底した不条理っぷり、容赦のない責め苦、そして神と死。
    さすがに読む人は選ぶでしょうが、これはこれで全然良いと思いますよウッシッシ

    ただ、惜しい。
    この企画のルールその1を満たしてません(笑)

    『ある日目が覚めると、そこは』
    で始まる文章を、とお願いしておりました。
    いやあ、『そこは』で始まってなかったのがとても惜しいなあ。

    というわけで、これはこれでOKとして、
    もう一作品書くことを希望しまっすウッシッシ
  • [10] mixiユーザー

    2012年03月21日 22:28


        嫌な予感

     ある日目が覚めると、そこはかとなくいやーな予感がした。
     目覚めが悪いわけではない。むしろ、いつもよりすっきりさわやかに目が覚めたぐらいだ。空気が美味い、というのが最初の印象だった。冷えた空気は凛として透明度を増しているようでもあり、そんな清らかな源流のような空気を胸に吸い込んだせいで目覚めが良かったのかと思った。
     朝のどことなく騒がしい感じもなく、静寂に包まれた幻想世界に目を覚ましたような印象も受ける。窓の外が妙に明るいような気がするのだ。
     この感覚は。その正体に、俺はふと思い当たった。窓を開けると、思った通り。夜の間に雪が降って、外の一面を銀世界に塗り替えていた。雪は音を吸い込み、光を反射する。それで外は静かになり、いつもより明るくなるのだ。ぱっとみ、一晩の積雪量は50センチぐらいか。やられた。玄関やガレージ前の雪かきもしなければ。除雪も始まるだろう。通勤路の交通も渋滞気味になることが予想される。天気予報を少しでも気にしていれば、朝はもう少し早く起きなければマズかったのだ。
     しかし、いやーな予感の正体は他にも何かあるような気がして。どうしても嫌な予感がぬぐえなくて。それで、おそるおそる、時計に目をやった。
    「げ……」
     目覚まし時計が、寝坊していた。

  • [11] mixiユーザー

    2012年03月21日 23:17

    > 黒猫さん

    ……え?すげえ予想外(笑)
    まさかの『そこはかとなく』に、ちょっとびっくりしました(笑)
    それと、黒猫さんには珍しい気がする、スナップショットのような超短編というのも、ちょっとびっくり。
    ラストの一行は、オチとしても言い回しとしても秀逸でしたウッシッシ
  • [12] mixiユーザー

    2012年03月21日 23:23

    >かーるさん

    ありがとーございますー。
    脚色やらコラージュやらやってますけど、実は実話がもとになっているという……(ぇ
    かーるさんはこういうのを量産する技量とパワーを持ってるのがかっこいいなと思って、チャレンジしてみました。
  • [13] mixiユーザー

    2012年03月21日 23:36

    > 黒猫さん
    技量とパワー、だなんてあせあせ
    私のなんて、妥協と企画倒れの産物ばかりですよ(笑)
    下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、的な(笑)

    そっか、やっぱり実話がベースでしたかぁ。みんな似たような経験してるんだなぁ(笑)
  • [14] mixiユーザー

    2012年03月21日 23:55

    >MIDOLIさん

    パワフルです(笑)。これ、すごいなぁ。
    無茶やってるようでいて、なんとなく風桶っぽくつながって納得しちゃう展開が豪快で良いです。
    水曜日って(笑)

    >文流さん

    お見事。
    たぶんあらゆる人間にとって人生で最初の目覚めなのでしょうね。これって。
    私の場合は朝じゃなくて夜中だったらしいですけど(笑)

    >たかーきさん

    うわー……意味わかんないっす(^^;。印象派というのか。
    神様、容赦ないし(笑)。
    でも神様のファッションセンスはグッドです。
  • [15] mixiユーザー

    2012年03月25日 18:56

    ようやっと書けましたあせあせ(飛び散る汗)
    あ、感想いただけるなら、日記でもこちらでも、どちらでも構いませんからねわーい(嬉しい顔)

    『二日酔いの朝に』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1832701455&owner_id=33130006

    前半

    ある日目が覚めると、そこは寝室らしき部屋だった。
    私が今まで眠っていたベッドとシンプルな黒いテーブル、こじんまりしたクローゼットが有るくらいのシンプルな部屋。
    今まで一度も来たことのない、少なくとも記憶にはない部屋だった。
    (え?何?どこ?)
    慌てて起き上がると、こめかみにずきり、と刺すような痛みが走る。
    (うわ、二日酔い?なんで?)
    私はこめかみを指で揉みながらベッドの縁まで身体をずらし、ベッドに腰掛けるように座ると、改めて自分の身体を確認する。
    (って、このパジャマ男物じゃない。誰の?ってか私やっちゃったの?)
    私は湧き上がる恥ずかしさと情けなさでいっぱいになり、思わず手で顔をおおう。
    (やっちゃったんだなぁ、また)
    飲み過ぎた。
    で、記憶をなくした。
    いくら可愛がっていた後輩の送別会だったからといって、無礼講にも程があるだろう。
    (羽山くんに言われたのになぁ。気をつけて、って)
    『楽しんでくるのは良いんですけど、ハメはずさないでくださいね。あと、浮気もダメです』
    昨日の夕方、ウキウキしていた私に彼が苦笑い混じりに言っていた言葉が脳裏をよぎる。
    (ごめん、羽山くん。そんなつもりじゃなかったんだけど、やっちゃったみたい)
    少なくとも、今私のいる部屋は彼の部屋ではない。
    ましてや、私の部屋でもない。
    ということは、見知らぬ男性の部屋だということになる。
    (キッチンがない……ってことは、ある程度大きな部屋よね。あそこに居たメンバーはみんな若い独身のコばかりで、そんなに大きな部屋を借りているような感じじゃなかったし)
    私はズキズキと痛む頭を押さえつつ、なんとか昨夜のことを思い出そうとする。
    (確か7時に始まって、飲み始めたら楽しくなってきて、……だめだ、誰かに携帯で電話をかけたことくらいしか記憶がない)
    「……あ、携帯!」
    私が慌てて自分の携帯がないかと部屋を見回すと、先ほどのテーブルの上にハンドバックと共に並べて置かれているのを見つけた。
    「あった、良かったぁ」
    私は倒れこむようにテーブルに近づくと、慌てて折りたたまれた携帯を開き、発信履歴を確認した。
    「あれ?羽山くんだ、最後」
    私は画面に表示された21時13分の発信履歴に『羽山 翼』と表示されているのを見つめる。
    彼の名前がこれほどまでに安心感を与えてくれるとは思っていなかった。
    「そっか、羽山くんに電話してたんだ、私」
    私はほっと息を吐くと、携帯をたたもう……として、ふと違和感に気づいた。
    (あれ?じゃあここはどこ?)
    羽山くんに連絡して迎えに来てもらったのなら、今いるところは私の部屋か、少なくとも彼の部屋でなきゃいけないはず。
    (もしかして私、電話するだけして一人で飲みに行ったとか?)
    再び感じた嫌な予感に、私の頭からさあっと血が下がっていくのを感じる。
    (ちょ、と、とにかく、羽山くんに電話)
    私は慌てて携帯を持ち替え、彼の番号が選択されているのを確認して、通話ボタンを……。

    その時、部屋のドアがノックされたのだ。

    「うひゃっ」
    私は飛び上がらんばかりに身体をびくつかせ、妙な悲鳴を上げた。

    どんな男性が顔を出すのか。
    知ってる人だったら、絶対やだ。
    ごめん、羽山くん。

    私は恐る恐るドアに目を向け、どうぞ、と声をかける。
    私の声が聞こえたのか、ドアがかちゃり、と音を立てて少しだけ開き、
    そこから、50代くらいの女性が顔を出した。
    「あら、ずいぶんと元気そうだけど、二日酔い大丈夫?」
    女性はそう言ってコロコロと笑うと、すっと部屋の中に入ってくる。
    愛嬌があるのに隙がないその女性の動きに、私は思わず感嘆の声を上げそうになった。
    「あ、はい、ありがとうございます」
    私は慌てて正座しお礼の言葉を告げる。
    いや、別に正座は必要なかったのかも知れないけれど。
    「あら、良いのよ。あなたのおかげであの二人も和解したみたいだし」
    「あの……二人?」
    私がオウム返しに尋ねると、女性は覚えてないわよねぇ、あれだけ酔っ払ってたら、と再びコロコロと笑う。
    「ほんと、翼があなたを連れてきたのにも驚いたけど、そのあなたがいきなり二人に説教を始めるんだもの」
    びっくりしたけど、スッキリしたわ、と笑いながら言う女性を見て、私はようやく昨夜のことを思い出した。
  • [16] mixiユーザー

    2012年03月25日 18:57

    『二日酔いの朝に』
    http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1832701455&owner_id=33130006

    後半

    『良いわよねぇ、寿退社ぁ』
    送別会の帰り。
    タクシーで迎えに来た羽山くんに、酔っ払った私は盛大に絡んでいた。
    『結婚よ?けっこん。血の跡じゃないんだからねぇ?』
    『はいはい、先輩。あんまりテンション上げてると寝ちゃいますよ』
    ニコニコと笑ってはいるが、盛り上がっている私に併せるつもりはないらしい。
    よし、じゃあ言ってやる。言ってやるんだ今日こそ。
    シラフじゃとても言えないもの。
    『あーあ、良いなぁ、結婚』
    私は酔った勢いに任せ、前を向きながらわざと口を尖らせて言ってみる。
    っていうか、むしろこれを言いたいがために電話して迎えに来てもらったといっても良いくらいだ。
    『……結婚、ですか』
    羽山くんはしかし、ふう、とため息をつくと、口を尖らせている私の頭をぽん、と軽く叩く。
    『僕も先輩となら、って思うんですけどね』
    『……なあにい?ですけどね?』
    カチンと来た私が彼を見ると、しかし彼は暗い表情で窓の外を見ている。
    『父親と冷戦状態なんです』
    彼の話が突然変わった。
    いつもなら理路整然としているはずの彼が突然脈絡もなく話を変えることなんて珍しかったので、私はとりあえず話を促す。
    『昔から父親は仕事人間で、家のこと一切を母親にさせてたんです。母親だって仕事してたのに、ですよ』
    彼の口調にどことなく怒り、というか不満のようなものがこめられている。
    普段あまり感情を表に出さない彼がここまで言うということは、よっぽど酷かったのか、お父さん。
    『で、まあ、親を見てて、結婚なんて良いもんじゃないのかな、って』
    先輩とずっと一緒にいたいとは思ってるんですけどね、と苦笑いする彼を見て、私の胸の奥でくすぶっていた何かが一気に迫り上がってきた。

    なんじゃ、そりゃ。
    ふざけんな。

    『……羽山くん』
    私の声に、彼が何故かびくり、と身体を震わせる。
    『はい、何ですか先輩』
    『羽山くんの実家、遠いんだっけ?』
    『え?いえ、都内ですけど』
    私の突然の問いに、彼は狼狽えながらも答える。
    『そう。じゃあ連れてって』
    『え?え、でももう10時』
    驚く彼の声を遮るように畳みかける私。
    『良いから!連れて行きなさい!』
    ここで仕事口調を使うのは卑怯かもしれない、などとは全く思わなかった。
    『は、はい!……運転手さん、すみません……』
    彼が了承して運転手さんにルート変更を指示しているうちに、私の意識が薄らいでいった。

    正直に言うと、その後のことは断片的にしか思い出せない。
    彼の家に着いて、ご両親が玄関に出てきて、彼が私を紹介して。
    私が彼のお父さんと彼を客間に連れていき、何かを一生懸命にお説教した、ってくらい。

    多分お説教の内容も、覚えてないけど予想はつく。
    許せなかったのだ。
    高校時代に両親を無くし、天涯孤独になった私からすれば、
    生きている家族がすれ違っていることが、許せなかったのだ。

    そう、私は、
    やらかしてしまったのだ。
    結婚したいと思っている彼のご両親に、あろうことか酔っ払った状態で怒鳴りこんで、説教までしてしまったわけだ。

    穴があったら入りたい。
    むしろ、このまま溶けてしまいたい。

    「改めまして。翼の母親をしています、多江と申します」
    先ほどの寝室。
    呆然としている私の前で三つ指をついて頭を下げているのは、先ほどの女性である。
    小柄で丸顔、目がクリンとしていて笑顔が可愛い女性だ。
    「あ、あの、すみません、江城里香と申します。はや……いえ、つ、翼さんの、その、」
    しどろもどろで答える私に、顔を上げた多江さんがにっこりと笑う。
    「翼から聞いてますよ。いつも翼がお世話になってます」
    「え、いえ、こちらこそいつもお世話されてる方で」
    「おまけに、昨夜は翼とうちの旦那の関係まで修復してくれたでしょ。感謝してもし足りないくらいよ」
    にっこりと笑ったまま話し続ける多江さん。
    「い、いえ、すみません。なんだかお酒の勢いで余計なことをしてしまったようで」
    私の返答に多江さんがコロコロと笑い、ゆっくりと立ち上がった。
    「とりあえず朝食の用意は出来てますから、一緒にいただきません?」
    正直二日酔いのげんなりした胃袋で食欲もほとんどなかったのだが、ここで断ったら女がすたる。
    私はしっかりとうなずくと、ゆっくりと立ち上がった。
    (了)
  • [17] mixiユーザー

    2012年03月25日 20:04

    2作目です。
    前回同様急拵えのためぐだぐだですがたらーっ(汗)





    ある日目が覚めると、そこは町外れの野原だった。
    自分の家のベッドで寝たはずなんだけどなあ。そばにあった買った覚えのない林檎を齧りながら空を眺める。
    どうしてボクはここにいるんだろう。知らないだけで夢遊病なのかな。
    「そんなわけないでしょ」
    いつの間にか隣に立っていた白いワンピースの女の子が呆れたように言った。
    「ちゃんと起きて、自分の足で私をここに連れて来たじゃない」
    「あー……うん」
    そうだったかなあ。
    芯だけになった林檎を捨てようとしたら隣から伸びた手に取り上げられた。
    「ちゃんとゴミ箱に捨てないと」
    「めんど」
    頭を叩かれた。結構痛い。
    「なんだよ」
    「ゴミはゴミ箱に、よ」
    「ちぇっ」
    ずり落ちたお気に入りの帽子を被り直す。
    「ところでさ」
    「うん?」
    「キミは、誰?」
    女の子はきょとんとして、すぐに微笑んで小さく首を傾げた。
    「それは、キミが一番よく知ってると思うんだけど? ねえ、──」
    ざあ、と風が吹いて女の子の言葉はかき消された。
    目を閉じる直前に見えた笑顔が、何かを思い出させた。



    「…………あれ?」
    また目を開けるとベッドの中だった。
    夢、だったのかな。
    ぼんやりした頭のまま時計を見る。
    一瞬、時が止まった。
    「うわ、もうこんな時間?!」
    慌てて飛び出して洗面所に駆け込む。
    顔を洗って、歯をみがいて、寝癖を直し──ふと気付いて思わず笑ってしまった。
    なんだ。あの女の子は、ボク──いや、私だったんだ。
  • [18] mixiユーザー

    2012年03月25日 20:12

    > 文流さん
    おお、少女の持つ二面性(で、良いのかな)が上手く表現できていますやんか。
    お見事です♪

    そういえば昔塾に勤めていた頃、性同一性障害を自称している女の子と付き合ってる女の子が教え子にいたなあ、と、読んでいてふと思い出しました。
  • [19] mixiユーザー

    2012年03月26日 00:27

    >17 文流さん

    こ、これは、怖い(汗)。
    ドッペルゲンガーですね。
    夢の中のようですけど、痛いのだから実は夢じゃないかもしれなくて。本当はどうなのか、夢と現実がぐるぐる回ります。
    ひいいい。
  • [20] mixiユーザー

    2012年03月26日 00:31

    >15 かーるさん

    この恋物語は、ぜんぜん甘酸っぱくない(笑)
    ひたすら酒くさいラブストーリーって、斬新すぎですー。
    なんか目に浮かびます、肝っ玉かーちゃんになっていくのが(笑)
  • [22] mixiユーザー

    2012年03月27日 00:23


        脳次元の彼方へ

     01

     ある日目が覚めると、そこは女学生の中だった。
     脳内空間の広がりが三次元方向だけではなく、少なくとも五次元の広がりを持つことはすでに知られている。今のところ確認されている範囲では、という話で。論理的には七次元説だとか十六次元説だとかもあるのだが、人の手でどうにかなっているのは五次元までということなのだ。
     人工的に作られた脳の構造は、どうがんばっても今の技術では四次元までしか再現できていない。有機組織を使った物理脳でも、量子コンピュータのようなもので原理だけで仮想再現した論理脳でも、四次元以上の広がりを持たせることができないのだ。だから、宇宙船の超光速航行用エンジンの心臓部には、生きた人間の脳をそのまま使う。エンジンの中心に人間がおさまっているわけだ。
     私は、その宇宙船の航海士だった。つまり、エンジンの中心におさまって船を転送する仕事をやっていたのだ。自分の、脳で。ところが私は、コントロールのミスを犯して、船は重大な事故に遭った。おそらく私の肉体はその事故の瞬間にいるまま、見て感じるものだけがいつの時代だかもわからない女学生の脳に投射されているのだろう。時間の流れる感覚さえ、リアルタイムではない。私の脳が蒸発するまでの一瞬が、極端に引き延ばされているのだ。
     女学生は、そんな私の存在など気づかず、背伸びなどしている。朝は苦手の様子だ。ベッドから下りて、階段をぱたぱたと下りていく。うるさいなぁ、お母さん。もう起きたってば。ごく中流の家庭のようだ。彼女の記憶を、それとなく見回してみる。あれ、なんでだろ。小学校の入学式のことを、急に思い出しちゃった。やだ、遊園地に行ったこととか、おねしょしたこととか。なんであたし、こんなこと考えてるんだろ。やだ、遅刻しちゃう。どうやら彼女は、洗顔に向かうらしい。自動洗浄といった道具はないのだな、この時代には。
     洗面台の鏡に、彼女の姿が映った。なんと、これは、驚いた。色白の肌、つやのある黒髪。可愛いじゃないか。いかん、一目惚れしてしまった。いや、なに。どうしてあたし、自分の顔を見て、赤くなっちゃってるの。やだ、どきどきしてきたぁ。
     私は間もなく死ぬのだろう。数瞬後か、数十年後か、わからないが。こういう最後なら、悪くないかも。え、なに、あたし死ぬの。うっそー。いや、死なないから、君は。混乱に慣れてきたら、いつか話そう。我々二人の人生は、今朝、始まったばかりだ。悪くないじゃないか。



     はあ? だから、意味わからないって。あたしの中の私。

  • [23] mixiユーザー

    2012年03月27日 00:56


        脳次元の彼方へ

     02

     ある日目が覚めると、そこは冷たい手術台の上だった。
     天井は真っ白な照明。6人の医療スタッフの、大きなマスクに白衣というそろいのコスチューム姿が、ぐるりと取り囲んでいる。サポートスタッフを含めた、この室内だけで10人以上がたずさわる、大規模なオペになる。
     私は次元脳外科医だ。脳の四次元構造や五次元構造が解明されるにつれ、それまで原因不明の難病とされていた疾病や障害の治療法がいくつも発見されてきた。なにしろその原因というのが、たとえば比較的簡単なものでも、前世にあったとか。遺伝的に発症したとかそういうレベルの話ではなくて、文字通り、生まれ変わる前の誰かが脳に外的障害を負ったのがきっかけで、時間と空間を超えて今の患者に発症していたりしたのだ。
     そういった高次元脳障害の手術は、もちろん脳次元制御技術が必要になる。宇宙船の航海士にも似た高度な専門技術が必要となる。医学知識が必要なのは当然なのだが、いわゆる脳外科医としての従来の知識はさほど役に立たない。そういうのは、脳に電極やセンサーや次元同調系の機器を接続するスタッフのほうに要求されるのだ。
     私は、意識を高次元に飛ばして、患者の脳の過去や未来や、そういう言葉では表現できない方向へさぐりを入れて、障害の原因をつきとめることだ。こうして患者の意識の中で目を覚ましたということは、同調はうまくいっているということだ。でも、何かが違う。これほど鮮明に患者と連携できたのは私の経験でも初めてのことだ。これほどうまくいっているのに、何かひっかかるものがある。
     いや。違う。目が覚めたことが、異常なのだ。脳次元手術とはいえ、頭蓋を外して脳を露出させる手順がともなう。なのに、なぜ目が覚めているんだ。これは、いけない。これは、麻酔が……麻酔が、切れてる! 麻酔医のやつ、間違えやがった。だめだ、これ以上同調が進むと……。

     うぎゃああああああ!
     いてえええええええ!
  • [24] mixiユーザー

    2012年03月28日 00:01


        脳次元の彼方へ

     03

     ある日目が覚めると、そこは暖かい布団の中だった。
     ふわふわやわらかいおふとんの中で、俺は目を覚ました。頭まですっぽり布団の中におさまって、体を丸めているのだ。横になったまま手足をうーんと伸ばして、背伸びをしてみる。それでも布団の中なのだ。ずいぶんでっかい布団だ。
     うっすら目を開けて、あたりを見回そうとして、そして、仰天した。俺の目の前には、半裸の女がいたのだ。同じ布団の中である。それにこの女、やけにでかい。いいにおいは、この女から匂って来るようだ。
     おかあさん。
     この脳の持ち主が、女をそう認識していることがわかった。目を覚ましたこいつが、女を見るなり、そう考えたのだ。なるほど、わかってきたぞ。次元ドラッグの暴走でどこか別の脳と同調しているのはわかっていたが、どうやら赤ん坊かなにかと混ざったのだ。こいつは言語で「おかあさん」を認知しているのではなくて、なかば本能的に保護者概念としての母親を意識したのだ。おかあさん、という印象がどこかぼやっとしているのも、そのせいだろう。
     女がなにかうめきながら寝返りをうった。俺はあやうくつぶされそうになったが、この脳の主はとっさによけるとかそういうことはまったく考えてない感じで、半分つぶされかけてから「ぎゃっ」とか言ってようやく移動した。大丈夫なのか、この親?
     ようやく女は目を覚ましたようで、もぞもぞと布団から這い出した。俺の宿主は、まだ布団の中にいる。そんな俺の頭を、女は軽く撫でてから、ベッドから降りていく。宿主はというと、また寝返りをうって二度寝を決め込んだようなのだ。
     そのまま、どれぐらい時間が過ぎたのか。ほんの数分だったのか、何時間も過ぎたのか。この宿主の時間感覚がどうにもズレてるようでよくわからないのだが。不意に目を覚まして、布団の端から顔を出した。
    「はい、お待たせ。ごはんですよー」
     なんだ、あれは! 床に置いた皿に、茶褐色のスナック的な何かが山盛りになっている。それを目にした瞬間、宿主はすとんとベッドから飛び降りて、まっしぐらに皿へ駆けていった。
     巨大な女が持っているものを見て、ようやく俺は気づいた。女が持つ箱には、猫の顔が描かれていた。
     宿主は、その茶褐色の物体にがっついた。いままで味わったこともない、とてつもなく生臭くて泥団子っぽいそれをがつがつほおばることを、俺は阻止することができなかった。食べ物を目の前にしたこいつの意思は、とてつもなく強かった。
     俺は思い知った。違法次元ドラッグは、危険な遊びだ。
  • [25] mixiユーザー

    2012年03月28日 01:02


        脳次元の彼方へ

     04

     ある日目が覚めると、そこは小高い丘の上だった。
     周りには少し背の低い木々がまばらに生えていて、私は少し遠くのほうを見下ろしてみた。赤い屋根の大きな屋敷が見える。そうだ、あれは、私の家だ。実験は、成功したのか。私は自分の姿を見るため、首を巡らせようとした。だが、それはできなかった。私は、私の体を、自由にできなかったのだ。首を巡らせるどころか、指一本動かすことはできない。
     いや、それどころか。自分の家を見下ろしているのにしても、自分の目で見て見えているという実感が得られない。不思議なものだ。周囲がどんな様子か、気配でわかるというか、今までに体感したことのないまったく別物の感覚器で感じ取っているようなのだ。
     あの家で、私の体は死に瀕している。あるいは、もう命は尽きているかもしれない。遅かれ早かれ、それは明らかになるだろう。今日は良い天気だった。もう間もなく日が暮れる。ついさっき目を覚ましたばかりだというのに。
     そしてまた、やがて翌朝を迎える。あっさりと一日一日が過ぎていく。一応、夜になると眠るというのに近い状態になり、翌朝には目覚めているのだが、その状態さえそれまで知っている眠る起きるというのとは仕組みがまるで違うのがわかる。ある程度は覚悟を決めていたとはいえ、こうも違うものなのか。樹木の自我、というものは。
     私は、死にたくはなかった。死ぬのが怖かった。だから、脳内次元を樹木と同調させ、そこに意識を移して生きながらえることにした。もともと脳内次元構造の分野では最先端技術にたずさわっていたので、法律や倫理の問題さえ無視できればいろいろできる。ターゲットにしたのは、我が家からいつも見ていた丘の上の一本の木だった。なんの木だかは知らないが、強い高次元自我のあることがわかっていた。私は、その木になることに成功したのだ。おそらく。
     私が何をやったのかは、家に記録を残しておいた。そのせいだろうか、数日もすると知り合いが何人も私の前に姿を現した。なにか言っているようだったが、早回しのような早口で聞き取れなかった。泣き崩れる者もいた。家に人が集まり、葬式が行われ、霊柩車が走り去るのも、早回しで見送った。体感の時間経過速度は、どんどん早まっていった。
     またたくまに数年が過ぎた。体感速度は、年々加速を続けていった。四季がめまぐるしく巡った。なんだ、これは。街が見る間に姿を変えていった。巨大なタワーが建造されたり、災害で街全体が半壊したり、また復興したりを繰り返した。こんなはずではなかった。私は何百年という長い時間をゆっくり生き続けて、大地に溶けるようにその一生を終えるつもりだった。だが、これでは、まるで大地に激突するような勢いで老化の一途をたどっているではないか。知り合いもどんどん死んでいく。よりによって、この木の近くに墓地を作ってそこに埋葬された奴もいる。この私に死を自覚しろというのか。なんて奴らだ。墓標にも似た不思議なモニュメントも作られた。
     目の前の風景は、もう私の知る私の暮らした街のそれではない。山々さえも姿を変えた。感慨もなにもない。ここは、まったく未知の世界だ。
     嫌だ。死にたくない。私は、まだ死にたくない!
     数百年という時が恐ろしい勢いで過ぎていく。
     私は、もうすぐ死ぬのだと、わかった。
     だが私は、もう涙を流すこともできない。
  • [26] mixiユーザー

    2012年03月29日 01:10


        脳次元の彼方へ

     05

     ある日目が覚めると、そこは宇宙の彼方だった。
     何万光年も彼方にある地球が見える。見えるのだ。タイムラグなしに見えている、という自覚がある。いや、何億光年か。距離感と時間感覚が喪失しているのだけど、地球が見える、という自覚だけがそこにある。
     だから、ここはどこなんだ。宇宙のどこかだ、ということはわかる気がする。まわりじゅう、暗闇に浮かぶ星ばかりが無数に見えているからだ。だがそういった星々はすべて、すぐ手の届くところにあるようにも、宇宙の果てに張り付いているようにも思える。そもそも時間と空間の感覚が失われているのだから、どこ、とか、いつ、といった自問そのものが解を持つわけがないのだ。
     そうだ。脳内空間は高次元の広がりを持つ。縦、横、奥行き。この三つの先にあるのは、たとえば時間であったり、さらにそれ以上の重ね合わせであったり。時間や空間といった感覚がないというのは、紙に一本の線を引いてあって、その紙を折り曲げて線上の二点地点をくっつけているような感じ。その線上の、どこ、という制限が消滅しているということは、その線上のどこにでも同時に存在しているようなものなのである。
     そうなのだ。この意識はいま、宇宙全体を己が内側に包み込んでいるのだ。
     その時、初めて気がついた。周囲には、様々な気配が充満している。隣どうしくっついている、というレベルの話ではない。無数の透明なセロファンに描いた絵が、でたらめに重なり合いちりばめられているような、そんな状態だ。そのひとつひとつが、人の意識だということがわかった。苦悩や混乱、開放感、快感、悲しみ、憎しみ、放心、様々なイメージが渦巻いている。そんな中の一つとして、いま混じり合おうとしている。すでに混じり合っているような気もする。これが、いままで人類が知り得なかった、本当の世界の姿なのか。
     私とは何なのか。私はいま何者なのか。私は以前は何者だったのか。私は私なのか。私は私ではないのか。私の中には私ではない私があるというのか。私こそが私でありそれまで私だと思っていた私は私ではないのか。今この瞬間の私は一瞬前の私と同一なのか。次の瞬間の私は、私であるのか。一瞬過去と一瞬未来が同一である今、無限に生成される私は今という瞬間に重なり合い、私が私であることを失っているのではないのか。私の周囲にあるこの意識たちのいくつか、あるいはすべては、私自身なのではないのか。
     たちまち、周囲の意識たちからも、同じ混乱や疑念が吹き出しているのがわかった。ここの集まった高次元意識たちは、私が私であろうと努力し、必死に私自身を探し、私を見失うまいとしていた。混沌となった。
     しかし、混乱を起こさない意識たちもあった。むしろ、そういう意識のほうがよほど多かったのだ。あらゆる意識でぎっしり埋め尽くされたこの状態の、その隙間にはさまるように人間の意識がまぎれていて、押しつぶされまいと悲鳴を上げているのだ。
     木々の意識は静かだった。虫や魚、草花、犬や猫、さらに原始的な生き物、生き物とは言いがたい物質など、様々な意識がそこには満ちあふれていた。
     私は、気づいた。私が私であろうと苦しみ、もがき、しがみつこうとしているのは、あらゆる生き物の中で、人間の意識だけであることを。

     おわり
  • [27] mixiユーザー

    2012年04月01日 00:08

    さて。
    4月1日となりました。

    あらためまして、イベントの締め切りを宣言したいと思います。

    そして同時に、今回の参加作品の作品集を、『桜』同様に電子書籍化いたしましたので、
    こちらにリンクを貼っておきます。

    http://p.booklog.jp/book/47541

    なお、書籍化を行う際、いくつかの修正(改行の削除や追加など)を行った作品がございます。
    また、著者紹介はこちらで……まあその、他者紹介的に書いてみましたので、
    参加された皆様は、内容をご確認いただき、
    変更点等有りましたら、こちらに書きこんでいただくか、私のところまでメッセ下さいますようお願いいたしますですわーい(嬉しい顔)
  • [29] mixiユーザー

    2012年04月03日 23:43

    > MIDOLIさん
    いえいえ、こちらこそ勝手にやっちゃったことですからあせあせ
    ちなみにその『ある日〜』ですが、現在ダウンロード数は6、閲覧数は222となってます。
    3日間で222って、結構びっくりですよね〜。
    やっぱり個人の作品よりも、こうやって何人かが書き募ったアンソロジーの方が、閲覧数は多いみたいですねぇ。

    というわけで、『見あげれば〜』もご参加お待ちしております♪
mixiユーザー
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