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開催終了第27回

詳細

2015年11月13日 04:32 更新

【今回予告】

「バルディオウス、って名乗ったらしいのよ」

 シトラは君達にそう言った。

 見えない事態。
 しかし、少しずつ動き出す局面。



 心の月が雲間に隠れて明かりが奪われる。

 目を凝らして先へ進もうとするユートラをあざ笑うかのように。
 夜の帳は視線を遮り、光ばかりか足元の道筋さえも闇の中に隠してしまう。
 眠る度に感じる。この心細い感じ…
 多くの場合、それはユートラにとって凶兆だった。

 ずっと消えない胸騒ぎ。
 誰かの視線を感じたような気がして、ふと振り返る。
 でも、そこに怪しいものはなく――
 不安が少しずつ心を覆っていく。


「いいか? 戦場では生き延びることだけ考えろ。他はどうでもいい」

「何を考えても、死んだら全部パァだ。だから、とにかく生き延びろ。考えるのは生き残った後だ」
 それはずっと昔の訓練で教わったこと。
 偉い司祭様が言う「神のため人のため、恐れず戦え」とは全然違ったけど。
 正しい正しくないはともかく、皆と違う言葉だったから、それはロッソの中で印象に残ってて。

 それを言った彼がいなくなった後も…


「……ハァ…」

 多いため息。
 彼に物憂げな表情が多いのは今にはじまった事ではないが。
 ここ最近、特にそれが酷い。
 どこか思いつめたようなオーラ。
 そしてラズリィは気づく。
 彼の視線の、その先に――


 幾重にもかぶせられていたベールが、一枚ずつめくられていく。
 開演のベルと共に開くカーテンの様に。

 

 アリアンロッド・リヴルス 第二十七回

『Mysterious Buyer 7 〜開幕〜』


 そしてベールがまた一枚…

コメント(13)

  • [1] mixiユーザー

    2015年11月13日 12:20

    よろしくお願いいたします!
  • [2] mixiユーザー

    2015年11月13日 17:03

    カレー作って待ってます(*・∀・*)
  • [3] mixiユーザー

    2015年11月13日 21:53

    すみません!明日お伺いします!安定のてんやわんやで申し訳ないですが、何卒よろしくお願いします!
  • [4] mixiユーザー

    2015年11月13日 22:54

    ベールがめくられると、そこはベールだった。

    いまさっき帰宅したのでこれから色々また準備しますが、がんばりましょう。
  • [5] mixiユーザー

    2015年11月13日 23:29

    >>[4]

     ドキッ(ぇ

     大体合ってるのが嫌過ぎる(コラ)
  • [6] mixiユーザー

    2015年11月14日 08:05

    到着が正直12時近くになりそうです、すみません。
  • [7] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:12

     第27回結果

     【導入】

     シトラによるリフの素性に関する尋問。

    シトラ「バルディオウスについて聞き取りの必要があったから、確認に行かせたけど。…マリウなんて集落は、その場所に存在しなかったのよ」

     動揺するリフ。シトラの尋問に疑問を呈するラズリィ。
     虚脱状態のリフを置き去りに平行線の会話が続く中、我に返ったリフが言い放つ。

    リフ「僕を重要参考人として拘束しろ。僕は今、この時をもってギルドを抜ける」

     仲間を巻き込まない為のリフの決断。
     宥める周囲とシトラとの折衝の結果、リヴルスは自分たちの目でマリウを確認しに行くことになる。
     マリウはラインとカナンの間、カナンの森の外れにあるはずの場所だった。
     一番近くのバロートからも、しっかりした道が整備されているとは言えず。
     藪と森の中に分け入って、けもの道の先にたどり着く、隠れ里然とした小さな集落。
     それがリフの記憶中のマリウの場所だった。
     バルドの墓参りに行ったときの記憶と照らし合わせつつ、故郷を探すリフ。
     結果、シトラが言う通りマリウはそこになかった。

     困惑を深める一行は、取り急ぎカナンに宿を求める。

     【カナンにて】

     錬金術師の街、カナン。
     町中に環状線が走っている、世界でも唯一の街だ。
     バルディオウス?のイメージに迫ろうと情報を集めるリヴルス。
     集められた情報を統合すると大体のイメージは以下のようになった。
     種族と性別はヒューリン男性。
     印象的なモノクルをかけており、エリンディル地方の様々な方言やアクセントをちゃんぽんにした、
     癖のある話し方をするらしい。
     暫く滞在していた一行の前で、新型列車がゴーレムに変形し大暴れを始める。
     これを鎮圧した一行は、ユートラの発案で「バルディオウス」を名乗ってみせる。

    ユートラ「いいバルディオウスについて、拡散するのもいいと思うんです」

     リフの知るバルディオウスの名誉を守ること。
     バルディオウスを名乗るものがいることで、偽バルドや本物のバルド、或いはその関係者が接触してくるかもしれない。
     心算をもって動くリヴルスだが、列車ゴーレムの仕込みはゴーレム本体ではなく乗り込んだ人間の制服であったことや 、その仕込みが一カ月前に終えられていたことに頭を抱える。

    ユートラ「一カ月も前では、既に近隣にはいない可能性の方が…」

     手繰り寄せると途切れる手掛かりに苛立つ一行。
     そんな一行の元に齎されたのは、エアらしき女性がこの辺りでバルディオウスの情報を集めた後、 マジェスタへ跳んだという話。
     リヴルスはマジェスタに向かう。

     【マジェスタ】

     見護る町、マジェスタ。
     魔都ベルヴェを対岸に見るこの街は、冒険者が多い。
     一行は到着早々、エアを探そうとする。
     しかし、その情報は半ば向こうから歩いてやってきた。

     リヴルスがエアと再会したのは、病院の処置室。
     確かにエアはそこにいた。
     紫色の水晶に包まれた、物言わぬ姿で。

    病院関係者「大怪我をして倒れていたところを運び込まれたのですが。
    何か特殊な毒か呪いでも受けているのか、通常の治療手段をあまり受け付けてくれず。
    一応の処置を終えて、一晩明けてみたら、こんな状態になっていて…」

     またも途切れかける手掛かり。
     だが、エアはこの街に来てから海岸で海を眺め、鯨を探していたらしいと耳にする。
     鯨。それはマジェスタに古くから伝わる都市伝説。
     ただし、海とは言っても大腐海。瘴気渦巻くこの水面に、普通の鯨などいるはずもない。
     しかし、霧深き海の向こうにゆっくりと回遊する影をみた、という目撃情報は以前からあったらしい。
     エアは一体、何を探していたのか…?


     【再会】

     事態が混迷を深める中、ロッソは昔なじみの顔を見かける。
     彼の名はゴンゾ。
     ロッソにとっては同じ神殿の出の兄弟子だ。
    「とにかく生きろ」と教えてくれた数少ない存在。
     豪放磊落を絵に描いたような男だった。

     だが、彼は姿を消した。
     戦場でロッソを庇って右腕と左足を失った、その後に―

     彼に声をかけたロッソは、仲間たちと一緒に食事でもと誘う。
  • [8] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:17

     【ヘリアンサスの義肢】

     ゴンゾと食卓を囲むリヴルス。
     彼は仕事でこの街にいるのだという。
     無邪気に笑顔のロッソを見て、ゴンゾは眩しそうに眼を細める。
    ゴンゾ「お前は変わらないな…」
     彼は反故になってしまった奥義の伝授について寂しそうに口にした。
     ロッソはゴンゾにエルーランに帰ることを薦めるが、ゴンゾは義肢を理由に首を横に振る。
     見るからに精巧かつ、高級そうな義肢を前にリフが問う。
    リフ「それほどの義手を作れる錬金術師が数多くいるとは思えない。バルディオウス、という名に覚えはないだろうか」
    ゴンゾ「…残念ながら違う。この義手を作った錬金術師の名はヘリアンサスという」
     否定するゴンゾ。
     だが、ユートラは見逃さなかった。バルディオウスという名に、彼が僅かに表情を変えたのを。
    ゴンゾ「ロッソ、お前は俺のようになるなよ」
     食事を終えて立ち上がるゴンゾ。
    ロッソ「また、後で一緒にご飯食べよう」
    ゴンゾ「…そうだな。また、逢えたら、その時はお前の驕りでな」


     【シリウスの憂鬱】

     ゴンゾを尾行しようとするユートラ。
     慌てて同行を申し出るシリウス。
     訝しむ一同。
     ギルドで随一の偵察能力を持つユートラ。軽装・俊敏・物静かと三拍子揃っている。
     対するシリウス。慎重さはともかく、重装・派手とおよそ隠密任務には向いていない。
     隠密性を最重要とする密偵任務に同行したところで…

    シリウス「到着したばかりの街でエアトベーレがあんなことになってて。何がいるかもわからないのに
         単独行動は危険すぎる」

     字面だけなら正論。
     だが、それは強弁に過ぎない。
     誰がどう考えても、この任務はユートラ単独こそが成功率も安全性も一番高い。

    ユートラ「その言葉に嘘はないのですか?」
    シリウス「………」

     シリウスから感じる気配。
     焦燥。不安。ユートラの身を案じているのは恐らく嘘ではない。
     だが。
     実はマジェスタに来る前、ユートラは自分を尾行していたシリウスを見ている。
     それは彼女だけが知っていること。
     でも何のための尾行だったのかは、ユートラも知らない。
     今回のことと関係があるのだろうか。

    ラズリィ「懸念があるなら、ちゃんとお言いよ」
    シリウス「………」

     らしくない―

     いつものシリウスであれば。
     もっとロジックに基づいた物言いを重ねて、周囲を説き伏せようとする。
     追及に対し沈黙で応えるというのは、実に“らしくない”のだ。

    シリウス「…約束してくれ、ユートラ。30分毎に、その時の現在地を報告して欲しい」
    ユートラ「まぁ、それくらいなら」

     
     ユートラが発見した時、ゴンゾは切り立った崖の上にいた。
     下は海。それも大腐海だ。
     エアといい、ゴンゾといい、普通は寄り付くのを倦厭するような場所に出向いて何をしようというのか。
     鯨? 見つけてどうなるのだろう?

     …そうして暫く霧深き海を見つめた後。
     彼は懐から取り出した飛翔符を使い、崖の先へと身を躍らせた。


     【大腐海の巨大な影】

     ゴンゾの消えた海に、まずリフが飛び出した。
     だが、大腐海の撒き散らす瘴気に、呼吸を続けるのも困難な消耗を強いられる。
     次にラズリィとユートラが、リフの探索を引き継ぐ格好で瘴気の霧に突入する。
     しかし、この二人。普通に目を凝らし耳を澄ませて何かを探すのではなく、驚くべき方法で探索を始めた。

     ユートラが舞い、ラズリィが歌う。

     道理で考えれば、ラズリィの歌は研ぎ澄ますべき聴覚を鈍らせ、舞い踊るユートラは気配をかき乱す。
     およそ探索のやり方としては最悪のはずだ。

     …あり得ない方法とありえない結果。
     そうして、彼らは霧の向こうに見える巨影を発見した。
  • [9] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:21

     【鯨の正体】

     視界に捉えた巨影の近くに瞬く閃光。続く爆発の轟音が空気を揺らす。

    ユートラ「戦闘、でしょうか?」

     影との距離を詰めるリヴルス。
     しかし、その間に何度か影を見失う。
     消えては現れ、現れてはまた消え。
     見失うはずもないサイズの影だというのに、それは一行の前で幻の様に消失と出現を繰り返す。
     影の至近までたどり着いた一行は、遂にその正体を目撃する。
     …それは鯨にしても、あまりに大きすぎる“何か”だった。
     巨大すぎて、至近ではその全貌を把握できない。
     硬質な表面の手応えは、それが金属であることを伝える。
     そしてその巨体は、驚くべきことにこの至近距離でさえ消失してみせる。
     ただし、消えた状態でも触れられることが、鯨の存在を示していた。

     ズ… ン!

     爆発音と共に、鯨の頭と思しき方向で何かが光る。
     一同はそれで気づく。
     周辺の海に沢山浮かぶ奇妙な物体“機雷”に。
     見れば鋼鉄の大鯨は、そこかしこにダメージを負っていた。
     透明化するカモフラージュもできるようだが、ダメージを負った箇所にはその機能が働かないらしい。
     全身を消して見せていたように感じた透明化も、近づいてみればそこかしこに穴がある。
     リヴルスはとりあえず周囲の機雷を除去して、鯨を守る。
     やがて噴気孔に気づいた一行は、鯨の内部への進入を試みる。
     そうして飛び込み進んだ先。
     彼らの視界に広がった光景は―



     【鯨の中のマリウ】

     そこには小さな集落があった。
     リフはその光景に見覚えがあった。故郷マリウだ。
     あり得ない場所にありえないもの。
     だが、目の前のそれは間違いなく…

    ??「誰だ、お前達! どこから入ってきた!?」

     リフは懐かしい顔と遭遇する。
     それは故郷にいるはずの親友、アッガイだった。

    アッガイ「バルドに言われて来たわけではないのか… であるならば、我々が話せることは多くない」

     マリウの住人は語る。
     ここは間違いなくリフの育ったマリウ。
     では、リフのマリウでの記憶はどこまでが本物だったのか?
     殆どは本物だが、一部に関しては本物とも幻ともいえる部分がある。
     例えば村の外へ出た記憶などは、前日にベッドで寝た後に翌日一日は外で活動した夢を見せ、
     丸一日眠らせることで翌々日には普通にいつもの朝の起床を迎える、という仕組みがあった。
     偶発的に村の外に出るような事態が発生した場合は、村を出た時点で自動的に催眠が発動し、意識を奪う仕組みになっていた。あとはベッドに寝かせていつも通り。
     ただし、実際に村の外へ出たことがないわけでもない。
     馬車にベッドと同様の機能があり、実際に村の外に出る場合には
     馬車の中で睡眠 → 鯨の外へ馬車ごと移動、というプロセスをとっていた。
     本当の外出はそれほど多いものではないが、バルドはリフをこの鯨に完全に縛り付けるのを、好んではいなかったという。

    アッガイ「…バルドからお前には言うなと言われていたのだけれど。このマリウはリフの為の集落だったんだ」

     しかし、バルドの導きでたどり着いたのでないのなら、今はこれ以上話せることはない。
     これ以上を知りたいのなら、バルドを探せ。アッガイはリフにそう告げる。

     話の最中、再び鯨を揺らす振動。
     ただし先程までの散発的なものでなく、間断ない揺れ。
     やがて、激しい爆発音と共にマリウの空に黒い大穴が開いた。

    ??「サバ。マリウの皆さん」

     挨拶と共に煙の中から影が進み出る。
     それは特徴的なモノクルを掛けた若い男だった。
  • [10] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:23

     【錬金術師の来訪】

    アッガイ「誰だ、お前は!?」
    ??「私? 私は通りすがりの錬金術師、バルディオウスと申します」
     反射的にとびかかったリフの拳をいなしつつ、男は余裕たっぷりに微笑む。
    ユートラ「ヘリアンサス、と名乗った方がいいのではないですか?」
    ゾック「!? アイツが…?」
     ユートラのそれはカマかけに過ぎなかった。何の根拠もない、ただのカン。
     ただ、『精巧すぎる義手』『それを作った錬金術師ヘリアンサス』という急浮上キーワードと
     『悪意ある暴走をする機械?をばら撒く錬金術師』がどうしても無関係とは思えなかった。
     錬金術師は一瞬口をつぐむ。

     空気が固まった。そんな気がした。

     それは死線を潜り抜けてきた冒険者だけが感じ取れる緊張感。
     彼はユートラに目をやる。値踏み、いや睥睨と言った方が相応しいそれ。だが、
    ヘリアンサス「…オーララ。まさか、それを御存じの方がいるとは」
     彼は直ぐにおどけたジェスチャーで固まった空気を流し去る。

    ヘリアンサス「さて、マリウの皆さん。シルヴェスレイと黒き宝玉を渡してください」
    アッガイ「!? そんなものはここにはない!」
    ヘリアンサス「それは困りました。忘れたと言うなら思い出していただかないと」
     錬金術師は自らが入ってきた風穴を指し示す。
    ヘリアンサス「取引です。素直に思い出していただけるならよし。さもなくば…」

     ヴヴヴヴヴヴヴヴ…
     偽りの空に開いた穴から、いくつもの影が入ってくる
     10、15… それは視界を埋め尽くさんばかりの蜂の群れだった。
     ただし、そのどれもが金属の光沢を放ち、サイズも普通の蜂より大きかったが。

    ヘリアンサス「デトーリア! 破壊します、貴方がたも! この鯨も!」

     マリウの村民に襲い掛かる蜂達。
     しかし、このタイミングでユートラに齎される女神の啓示。

    ユートラ「いけません、皆さん! これは陽動です! こうしている今、別の場所でゴンゾさんが宝玉を狙っています!」

     一行はマリウの住民を退避させつつ、船尾にあるという封印庫に向かう。


     【封印庫】

     たどり着いた封印庫でゴンゾと遭遇する一行。

    ゴンゾ「ロッソか。何故、ここにいる?」
    ロッソ「これが、仕事?」
    ゴンゾ「…そうだ」
     ヘリアンサスめ、しくじったのか−  ゴンゾが毒づく。
    ゴンゾ「こいつ(ロッソ)に危ない橋を渡らせないでくれ、とお願いしたつもりだったのだが」
     ロッソから視線を外し、他の四人に目をやるゴンゾ。
    ユートラ「ここで貴方が退いてくれれば、この橋は危なくならずに済むのですが」
    ロッソ「泥棒がいけないことだって、教わったよ!?」
    ゴンゾ「だから言っただろ? 俺みたいになるな、って」
     にらみ合う一行。
    ゴンゾ「…まぁ、退いてもいいけどな」
     そこに投げ込まれる声。
    ヘリアンサス「追いかけっこはもう終わりにしましょう」
     そのまま撤退するゴンゾ。

    ゴンゾ「おい、ロッソ。カッコつけなくていい。…死ぬなよ?」
     と言い残して。


     【ダンス ウィズ ホーネット】

    ヘリアンサス「Passionnant!(魅力的、エキサイティング) しかし、貴方たちは安易なヒロイズムに流されて無理をしていませんか? 逃げるなら命まではとらなかったものを」
    リフ「僕がやるべきことは、目の前の仲間を護る事だけだ」
    ヘリアンサス「…御随意に」
     襲い掛かる蜂メカと迎え撃つリヴルス。
     蜂メカは決して弱くはない。小さな街の一つや二つなら簡単に壊滅できる戦闘力だろう。
     しかし、ユートラの号令で先手をとった一行は、いかんなくその実力を発揮。相手に何かさせる前に敵の頭数を減らして対処する。
     ただの正攻法だが、理屈を知っているのと実践できるかどうかは別の話。
     それが出来る彼らが歴戦の英雄と称えられるのは、もはや伊達ではなかった。
     リヴルスは危なげなく敵を退けることに成功する。
  • [11] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:28

    【ユニットF】

     シリウスの光刃が敵を貫き、ボス級と思われる人型フォルム蜂メカが動きを止める。
    ヘリアンサス「…オーララ。まさか、負けてしまうとは」
     戦いを静観していたヘリアンサスが呟く。
    ヘリアンサス「普通の冒険者程度なら束で相手にしても大丈夫なつもりだったのですが。貴方がた、お名前は?」
    リフ「お前に名乗る名はない!」
    ヘリアンサス「そうですか。さぞかし御高名な冒険者だろうと思ったのですが。名乗っていただけないのでは仕方ない」
     ヘリアンサスはそのままダッシュ。一行の方に駆け込んでくる。
    (ヤツがほしいのは宝玉だ)
     多くの者がそう思っていたし、それは間違いではなかった。
     だが、それを嘲笑うかのように、ヘリアンサスは倒れたホーネットが持っていた“槍”を引っつかんで、そのまま逃走を図る。
     ゴンゾが進入時にあけた風穴にたどり着く錬金術師。
    ヘリアンサス「貴方がたの名前は後で調べることにしますよ。それでは皆さん、オルヴォワール」
    リフ「待て!」
     静止を無視して空に身を躍らせるヘリアンサス。

     パァァァァン!!!

     同時に響いた一発の銃声。
     ヘリアンサスがもっていた槍が吹き飛び、リヴルスのもとに転がってくる。

    ヘリアンサス「ズィット!? っ!? ああああぁぁぁぁぁぁ――――」

     事態を理解し悪態をつくも、全ては一瞬遅く。ヘリアンサスはそのまま腐海に消えた。


     【砕けた槍】

     その槍は、中央部に張り出した握りのようなものがついており、更にその握りには箱のようなものが装着されていた。
     尚、ついたタイミングは不明だが箱には大きな亀裂が入っている。
     槍はその中央部分に強い衝撃を受けたのか、真っ二つに折れてしまっていた。

     べシャッ。

     砕けたボックスから何かが吐き出された。

    ??「ム、むぅ…?」

     それはサイズこそだいぶ違っていたものの、よく知った姿。
     手乗りサイズの小さなショッキングピンクの塊。
     竜王の分霊、“ぶに”だった。

     深々とため息を吐き出すシリウス。

    リフ「お前の懸念事項はこれか?」
    シリウス「…僕から説明したほうがいいのかな。それとも自分で説明できる? まさか、こんな所で会えるとは思っていなかったけれど」

     彼はロッソにふん捕まえられている“それ”に問う。
     そして結局、銃声の主がその場に現れることはなかった。


     【竜王の事情と少年の理由】

    アナウンス「マリウはこれより潜航モードに入ります」
     応急処置を済ませ、強引に潜行モードに入るマリウ。

    シリウス「ユートラ、さ。最近変わったことなかった?」
    ユートラ「そういえば、少し寝覚めが悪くて」
    シリウス「…やっぱり隠し通せたりしないんだよ」
     もう一度ため息をつくシリウス。
    シリウス「“ぶに”はさ。自分が厄介ごとに巻き込まれたことで、ユートラが危険な目に遭うかもしれないから、“それとなく”目を離すなって言ってきたんだ」
    “ぶに”にとってユートラは情を割いた相手だ。それは一面で弱みにもなり得る。
     何より“ぶに”は自分の事情にユートラを巻き込みたくなかった。
    シリウス「自分のことは自分でなんとかするって言うし、ユートラも危ないって言われちゃうと、僕も動くに動けなくて」
     シリウスは申し訳なさそうにユートラを見る。

     そして“ぶに”から語られる真実。
     どうやら“ぶに”は先程の錬金術師とその仲間達によって、いくつもの欠片にバラされてしまったらしい。
     因みにいくつにばらされたのかは“ぶに”にも解らないという。
     推測ではあるが、敵の目的は“ぶに”を介してファーヴニル本体に悪さをしようとしているのではないかと。
     また、ファーヴニルには三体の分霊がおり、それぞれ“ファー”“ヴニ(ぶに)”“イル”と言うが、イルも既に捕まっているとのこと。

    ユートラ「古代竜の分霊をばらばらにするような相手に、私達で立ち向かえるのですか?」
    ぶに「私の口からお前達に“立ち向かってくれ”などと言えた立場ではないのだが。ただ、自力でなんとかすると言ってもこの有様では説得力はなかろうな」

     正直なところ、リヴルスにも余裕はない。バルディオウスの件だけでも手一杯だ。

    ユートラ「とりあえず敵は被ってるみたいですから、おいかけていけば勝手に行き当たるのではないでしょうか?」
    ぶに「ああ、その“敵”なのだがな。有益と言えるかは解らんが、私をこうしてくれたのは、お前達も一度出会っている相手だぞ」
    ラズリィ「? どこでだい?」
    ぶに「パイセンとかいう、あのせむし男だ」
  • [12] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:35

    【鯨の腹の中で】

    リフの疑問にアッガイが答え、情報を共有していく。

    アッガイ「バルドの居場所は俺も知らない。エアについても定期連絡が途絶えたから、どうしようかと相談をしていたところだ」
    アッガイ「まぁ、仮にバルドの居場所をしっていても言うことはできないがな」
    アッガイ「今、お前たちがここにいるのは偶然にすぎない。これがもしバルドの導きであるなら、俺が語らなくてもバルドが自分で語るはずだ」

    リフ「…お前たちは僕をどうする気だ?」
    アッガイ「どうする気もない」
    リフ「…これから僕がここに帰ってくるのは許されないのか?」
    アッガイ「許されない理由はない。だが、簡単ではないだろうな」
    リフ「どういうことだ?」
    アッガイ「どうやってくるつもりだ? この船は本来、カモフラージュを効かせて海の底にいるべき存在だからな。ああ、それに関して先に言うべきことがあった」
    居住まいを正すアッガイ。

    アッガイ「諸君。君たちのお陰で、宝玉を護る事が出来た。ありがとう」
    ユートラ「あの宝玉はどういうものなのですか?」
    アッガイ「あれは人の負の感情、マイナスのエネルギーを集めたものだ」
    ズゴック「アレはそこにあるだけで瘴気をばら撒く。だからこそ、この大腐海は宝玉を隠すにはうってつけだったのだがね」
    アッガイ「しかし、今回のようなことがあると、それも考えざるを得ないかもしれないな。…どこへいけるのかと問われれば、それも難しい問題だが」
    ユートラ「神殿などに預けるのではダメなのですか?」
    アッガイ「本来であれば表に出すのは避けたかったのだが。ここが安全と言えなくなった以上、それも考えなくてはならないだろう。何が最善かはこれから考える」

     その後、マジェスタから少し離れた近海に浮上する鯨。
     一行はマリウを下船し、その姿が海の彼方に消えるのを見送った――  


                               To be Continued “Mysterious Buyer 8”
  • [13] mixiユーザー

    2016年03月02日 10:40

    《備忘的な話》

    ○エアを閉じ込めている(?)クリスタルは、中の時間を限りなく停滞させるものである。
     掛けられた呪いを解く手段が無い場合などに使われることが多い(特殊技術の産物であり、そう沢山の使用例があるわけではない。全く同じではないが、同じような主旨の技術は存在する)

    ○エアは現在、詳細な調査の為、マリウに運び込まれている。

    ○マリウの通信機:リフが持ってる。通じるかどうかは潜っている深度や腐海の瘴気の状況に左右される(主にGMの都合)
mixiユーザー
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