「serendipity」という言葉は、イギリスの政治家にして小説家であるホレス・ウォルポール(ゴシック小説『オトラント城奇譚』の作者として知られる人物)が1754年に生み出した造語であり、彼が子供のときに読んだ『セレンディップの3人の王子(The Three Princes of Serendip)』という童話にちなんだものである(セレンディップとは現在のスリランカのことであるから、すなわち、題名は「スリランカの3人の王子」という意味である)。ウォルポールがこの言葉を初めて用いたのは、友人に宛てた書簡において、自分がしたちょっとした発見について説明しているくだりにおいてであり、その書簡の原文も知られている。
自然科学におけるセレンディピティ セレンディピティは、失敗してもそこから見落としせずに学び取ることができれば成功に結びつくという、一種のサクセスストーリーとして、また科学的な大発見をより身近なものとして説明するためのエピソードの一つとして語られることが多い。酒井邦嘉はペニシリン発見や田中耕一の例をあげ、フランスのルイ・パスツールの言葉(1854年のリール大学学長就任演説より)を紹介して、「構えのある心」(the prepared mind)がセレンディピティのポイントだという。 「観察の領域において、偶然は構えのある心にしか恵まれない」(Dans les champs de l'observation le hasard ne favorise que les esprits préparés.)