一年間毎月一回のペースで西田哲学を学ぶ講座です。大阪経済大学で「ビジネスマンのための西田哲学入門」という講義を担当して好評でしたので、この度毎日文化センターで暮らしに活かせる西田哲学の講義を試みることになりました。

西田哲学というと晦渋な上、およそ実用性のない非実践的で観照的な達観の哲学とみなされがちですが、西田ほど活きた世界と一体化して働きかけようとする能動的な姿勢の哲学者はいなかったと言えるかもしれません。「働くものから見るものへ」という場合も、あくまでも絶対無の自覚にたって、世界をわがものにする行為的直観につながっていました。

ただし、西田の晦渋な著作を一つ一つ読み解こうとすると、却って前に進めなくなってしまうという問題があります。あくまでも我々が直面している暮らしの活きた課題と格闘するなかで、西田哲学のキーワードを理解し直そうとすることによって、西田哲学は21世紀の人類の行手を照らす光明となるのです。

従って、西田哲学を理解しようとすることは、我々が暮らしの中で悪戦苦闘している課題に、一からまっさらになってクリエイティブ(創造的)に取り組むことにほかなりません。そうすることでいつのまにか西田哲学を純粋経験している自分に気付くのです。