田中君との始めの数年間は一度として同じ顔合わせのライブをセッティングせず大変な思いをさせてしまいましたが、その成果は本格的に始めたこのデュオシリーズによって想像を越えるものを生み出し続けることになりました。ピアノと歌のデュオという形態が喚起する世間的なイメージを一蹴するかのように、実際に奏でられる音楽とその世界は編成から想起されるものを快く裏切ってくれるものばかりでした。このデュオでしかやらないレパートリーがあるのはもちろんのことですが、この二人だけでしか現出しない世界があるからこそ差別化されたライブシリーズとしてあるわけです。そして、酒井と田中君との間には、酒井と栄ちゃんとに拮抗するくらいの感性の一致としか言えないような何かがはっきりとあります。 今回のそんな二人の記念すべきCD発売記念ライブでは、まず初日に酒井・田中の“Night at the Circus”の舞台となっている入谷なってるハウスで新作CDの中身を反映したステージを行い、クラシックスの1日目では普段なってるハウスで繰り広げられている選曲/構成でのステージを行います。そして最終日のクラシックスではその時点での頂点を捉えたライブ録音の再現ではなく、さらにその先へと歩んでいる現在の姿をお見せします。単にやり方やディレクションが異なるだけのステージではなく、歌が音楽とともに生起する瞬間の喜びをお伝えします。(酒井)