不安はどれも杞憂に終わった。

人里離れた湖畔にオープンしたダンスフロア「紅魔館」には連日今夜も人妖がやってくる。
そう、人妖問わず。
閃光が走り抜ける常闇のフロアにて心身ともに解放する、その快楽に誰もが熱狂した。
狭い狭い幻想郷のすべてに享楽の予感が駆け巡り、一度行ってみようと来る粋人が翌日には誘える限りの友人を誘うのだ。
ほんの一押しで生まれたパンデミック。その発生源は闇でうごめく無数のクラウドを見下ろしながら言う。
「夢は誘蛾灯。こうなることは最初からわかっていたわ。そういう運命だもの」
紅い悪魔の笑みは、連鎖する快楽に自らもまた魅力されていることを隠しもしなかった。
不夜の宴はいつまでも続く。

……

「……というのはどうでしょう？」
「どうもこうも」
「どうもこうも？」
パチュリー様は読んでいた本から顔を上げ、眠そうな顔で私を一瞥した。
それきり黙ってしまう。
「紅魔館の力があればすぐにでも実現しますよ！　だからお嬢様を焚きつけるのに是非パチュリー様のお力添えを！」
私が進言したところで、レミリア様の耳から耳へと抜けていくだけだろう。私には夢に誰かを誘う力がない。
「……レミィはミラーボールが嫌いだと思うわ」
「ああ、そういえば」
でもそれは本質じゃない。なくてはならないものは、もっと他にある。
「でも、せっかくこれだけのものが揃ってるんですよ！」
私は机に並べた品々を指し示す。
たくさんのレコード盤と、それを再生するための機材の数々。
使い方はわからないけれど、誰か知っている者を探してくればいい。
「美鈴は影響されすぎだし夢を見すぎだわ」
パチュリー様は黒い音の円盤を手元に引き寄せて、それらをしげしげと眺めた。
「駄目ですか？」
そんな気は薄々としていたけれど。この魔女が騒がしいことを好むとは思えない。
「駄目じゃないけど」
レコード盤の表面を撫でるように見つめている……何か見えるんだろうか？
「本当に人々を熱狂させるだけの価値がある音盤は、まだ幻想郷にはやってきていないわ」
それは陰気な魔女らしくない笑みだった。
———

【DJs】
JiNG*da*LaW / MUZIK SERVANT / 天音 / 白月らび /和泉幸奇 / haLRu

【infomation】
11/17(Wed)2010
open 18：00 & start 18:30 – close 23：00
場所：渋谷 club axxcis
http://www.axxcis.net/
入場費：2drink / 1500yen

【NOTICE】
＊コスプレ大歓迎です！（東方キャラのみとさせていただきます）
女性は３Fのパウダールーム、男性は開催フロアの更衣スペースをお使いください。

＊貴重品について
大きいお荷物、大事なお荷物はお手元で管理してください。
心配な方はコインロッカーもございます。ご利用ください。
最近、小荷物（メガネ、カギ等）の、紛失＆忘れ物が多いので、特にご注意ください。