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開催終了アンドレイ・タルコフスキー

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2010年05月26日 16:17 更新

芸術は何のために存在するか

その概念、とりわけ芸術観を組み立てる前に、別の問題に、はるかに重要で一般的
な問題に答えなければなりません。それは、人はなぜ生きるのか?人間の存在の意味
はどこにあるのか?という問題です。我々はこの地上での滞在を、精神的に向上する
ために利用しなければならないと思います。とすれば、芸術はその手助けをしなけれ
ばならないと思います。私は人間の存在の意味をこのように考えているために、芸術
は人間がこうした面で成長する手助けをしなければならないと思っています。つまり
芸術は人間が精神的に変化する、成長するのを手助けすることで、人間に奉仕するの
です。
しかし、別の考え方もあります。その考えによれば、芸術は認識であり、我々の惑星
おける他の領域の人間の活動と同じように、認識を提供する価値を持つというのです。
私は概して、認識の力をあまり信じていません。この意味で、私は不可知論者です。
世界について多く知れば知るほど、我々は世界について無知になる。なぜなら、ひと
つの領域に深く入っていくことで、我々が人生とか世界と呼んでいるものを、幅広い
視野から見る可能性を失うからです。

芸術は、人間が精神的に舞い上がるために、自らよりも高いところに行くために、我々
が精神的意志と呼んでいるものを、利用するためにあるのです。
これに関連して、さらにもうひとつ重要な問題が起こってきます。私が自分の仕事の中
で体験しているあの抑圧は、別に例外的なものではありません。芸術家は常に外部から
抑圧を受けます。芸術家には理想的な作業条件というのは存在しません。理想的な無菌
状態が芸術家のために作り出されたとしたら、彼の作業は成立しなくなるでしょう。
人間は、無重力状態で働くことはできない、何らかの圧力を体験しなければならない。
それがなんであるのか、私には分りません。しかし、芸術家は世界の居心地が悪い限り
において、存在しうるのです。もし、世界がすばらしいもの、調和のとれたものであっ
たら、芸術はおそらく必要とされないでしょう。人間はおそらく、こうした作業の中で
調和を探し求めたりせずに、調和のなかで暮らしていたに違いないのです。それで十分
なのですから。
私によれば芸術は、世界がまずく作られているからこそ、存在するのです。「アンドレ
イ・ルブリョフ」の中で語られていることはまさにそのことです。調和の探求、人生の
意味の探求、それが人間と人間との芸術と人生との、現実と過去との、調和のとれた関
係のなかでいかに表現されうるか、実際このことに私の映画は捧げられています。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC

タルコフスキーが、日本のことに触れていましたので以下追記しました。


〜水〜この地上でもっとも美しいもの

たしかにわたしの映画のなかには、沢山の水が出てきます。水や河や小川が、私に非常
に多くのことを語りかけてくるのです。私はこういう水がたいへん好きです。海はどう
かですって?海は私の内的世界とはどこか異質のところがあります。一様な空間が広が
りすぎているからでしょうか。私の(個)としての観点からいうと<マクロ・コスモス
>よりも<ミクロ・コスモス>のほうが、はるかに多くのことを語りかけてきます。
巨大な空間よりも、小さな制限された空間のほうが、多くを語るのです。

日本人の自然観、彼らの自然に対する態度が好ましく思われるのは、このためです。
日本人の空間は非常に小さい。彼らはその小さな空間に集中していき、そのなかで無限
の反映とでもいうべきものを見出すのです。このように、閉じられた空間のほうが、私
にはいっそう身近に思われます。
ロシアでは、イタリアよりもはるかに多く、大量の水を見ることができます。私は水が
物として好きなのです。なによりも水は、謎めいた物質です。ご存知のように、水は
H2Oという単純な分子ひとつで構成されています。しかしこのことでさえたいして重要
ではありません。問題は水がとてもダイナミックだということです。水は動きを、深さを
変化や色彩を、反映を伝えます。これは地上でもっとも美しいもののひとつです。水より
も美しいものは存在しません。水の中にその姿を映し出すことのなかった現象は自然の中
にはひとつとして存在しません。おそらく、水を示すためにひとつの側面だけを取り出す
ことは正しくないでしょう。私には水のない映画など、考えることができません。

私は、不勉強で彼の作品を1本しかまだ見ていない。その映画の自然がとても美しかった。
人の感情の機微がひしひし伝わってくる。紫外線の量で色の発色が国によって違うとも聞
いたことがある。ロシアの広大な土地と空気感は日本にはない。
彼の映画を今年中には全部観たいとい思っている。彼の映画の真髄はとても深い。それは
自身の飽くなき探求と使命を持って生きた生き様が彼の映画なのだと思う。

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