かねてから『モンテ・クリスト伯』のような復讐譚を考えていたベスターが、『ナショナルジオグラフィック』誌でフィリピン人の船員の記事を読み、その記事を下敷きと導入部として用いた。それは第二次世界大戦中に漂流していたいかだが、ドイツ軍の囮である可能性があることから何隻もの船が船員を救助せず通り過ぎていったというものであった。そして、1956年にイギリスで "Tiger! Tiger!" のタイトルで書き下ろし単行本として出版された。次いで同年にアメリカのSF雑誌『ギャラクシー・サイエンス・フィクション』誌の10月号から "The Stars My Destination" のタイトルで4回連載された。一部では絶賛されたものの、発表当初は一般的人気は得られず、1960年代になってニュー・ウェーブのSF作家に影響を与えたことで再評価が進み、ベスターの最高傑作、アメリカのベストSFとの評価が与えられるようになる[2]。