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開催終了春の軽井沢 室内楽と心理学ワークショップ

詳細

2006年12月20日 06:38 更新

さっそくですが、ご案内をさせてください。

「室内楽と心理学」ワークショップは、自己啓発としての芸術、を「室内楽の実践」と「ユング心理学的なアプローチ」の両面から、見つめてみよう、というものです。

「答えはあなたの中にある」というのが両分野の共通のキーワードです。

参加の対象者として、これらの専門家、学生、指導者を目指す人々、のみならず、広く一般の室内楽に興味のある音楽愛好家、また心理学に興味を持つ人々、自己啓発の手法を探す人々、などを想定しています。

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日程:室内楽3月22日〜25日、心理学3月23日〜25日

場所:軽井沢教会・幼稚園(旧軽井沢)

最終日コンサート:軽井沢大賀ホール(3月25日11時)

宿泊:ホテル鹿島の森


講師:河村典子、白土文雄(室内楽)、
入野美香(心理学、医学博士、ユング派分析家)

定員:室内楽 20名、心理学8名

詳細/お問い合わせはこちらまで。
オフィスN 
http://www.chambermusic.jp
nrcnt441@yahoo.co.jp

掲示板
http://diary.jp.aol.com/bbs/1041047810.htm


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両分野個別のカリキュラム −室内楽においてはパート練習や個人指導を含むアンサンブルの練習、演奏解釈の実践、心理学においては、絵やユング心理学などに関するセミナーと描画の実践など− のほかに、参加者の自由意志による室内楽の練習と心理学セミナーへの相互見学・聴講、パネルディスカッション、あるいは自由討議の時間を設け、意見の交換を行います。

参加者は、自分野の実践とこれらの見学・聴講やディスカッションを通して、全く違うようでありながら、実は人間の営みの深い共通項を持つ二つの分野が、お互いの内を照らし出す鏡のような効果を持つことを感じ取られることでしょう。

いわゆる専門の知識習得やスキルアップとは趣を異にするこのワークショップでは、このプログラム自体が、まさに創発的な試みであり、そのアプローチもまた、個々人の創造的な過程となりえることと思います。

非公開で行われる心理学部門の描画の実践も含め、これらのグループ・ダイナミクスが、両分野の参加者双方にもたらすものは、実に得がたいものであると確信いたします。

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長くなりますが、以下、心理学の部講師入野美香さんの略歴です。

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入野美香 医学博士、ユング派分析家

1982年京都大学大学院医学研究科博士課程修了、京大医学博士。

関西医科大学助手、ノースキャロライナ大学客員研究員、京都大学胸部疾患研究所非常勤講師、松阪大学(現三重中京大学)女子短期大学部教授を歴任。神経系の発達障害、脳の老化に関する多数の研究論文がある。

大学在職中、学生達から寄せられる心の問題に向き合い始め、心理学分野に踏み込む。自ら体験した「箱庭(療法)」を通じて、ユング心理学に出会う。2000年からチューリッヒのユング研究所、国際分析心理学研究所(ISAP)に留学。ユング心理学を研修実践する中で、特に芸術療法に強い関心を持ち、描画療法の研鑽を積む。2006年ユング派分析家資格取得。国際ユング心理学会(IAAP, AGAP)および日本ユング心理学会(AJAJ)正会員。

入野分析プラクシス代表、長澤教育臨床研究所副所長。

コメント(7)

  • [1] mixiユーザー

    2006年12月20日 09:47

    はじめまして
    心理学ですが最近興味をもち初めてばかりのものでも大丈夫でしょうか。
  • [2] mixiユーザー

    2006年12月24日 18:55

    まゆまゆ/繭彌 さん

    はじめまして!ごめんなさい、お返事遅くなりました。

    >心理学ですが最近興味をもち初めてばかりのものでも大丈夫でしょうか。

    もちろん大丈夫です。

    以下、入野先生のメッセージです。

    > 私は、物を創ることや芸術的なことに興味があって、心や精神のことに感心のある方達に、辿り着きたいと思っています。勿論、一方では、心理学の分野で仕事をするあるいはしようとしている若い人たち(年齢あるいは心が)とも、一緒にやりたいのです。

    入野先生(は、ミクシィに入っていらっしゃいませんが)に、
    ワークショップ参加・不参加べつにしても、ご質問なさりたいことがあれば、DMでアドレスお知らせいたしますので、どうぞいつでもご連絡ください。
  • [3] mixiユーザー

    2006年12月28日 04:28

    仕掛け人ののりこです。

    心理学の入野先生が、描画に関するメッセージ(第一便、続便があるはずです)を寄せられました。ここに補足として掲載させていただきます。

    また、ワークショップ室内楽の部参加者による、ゴールデンウィークに、国際フォーラムを中心に開催されるラフォルジュルネ(熱狂の日)音楽フェスティヴァル出演枠を確保しました。詳細が決まりましたら、またお知らせさせていただきます。

    ************************

    「描画」って何、と思っておられる方も多いようです。そこで、私自身の経験を少しお話しすることにします。勿論、それは、私自身のことで、誰でもそうだということではありません。それでも、なんとなくイメージしていただけるのではないかと思います。

    初めての描画

    私は、スイスでユング心理学を勉強し始めて、最初に描いた「絵」のことを、今もよく思い出します。

    ユング心理学を学ぶ学生は、教育分析といって、経験を積んだユング派分析家による分析を、長期間、受けなくてはいけません。そして、また、これが分析家になる訓練の中でも、最も重視されていることです。

    そんな、教育分析を受け初めてしばらくたった頃、私は、言葉にならない思いを、小さなスケッチブックに「絵」で現したくなりました。やっとの思いで仕上げた「絵」は、ほとんど真っ白のままで、遠慮がちな一隅のみが黒く彩られたものでした。

    他人事みたいですが、ただ私の気持ちを現したくて描いたら、そんな「絵」になったのです。

    黒いクレヨンの上に他の色を重ねても、その色は見えません。また、いろんな色を重ねれば重ねるほど、黒に近づきます。それでも、まるで、黒い色に隠すように、いろんな色をそこに重ねずにはいられなかったことを、今もはっきり思い出します。言葉にはならないものを、そこに込めて「描いた」のです。

    そして、漆黒の一隅を持つ「絵」になったのです。

    よく見ると、その黒い三日月形の窪みからは、少し靄が前方に広がっています。また、両先端から細く伸びた部分には、わずかに、黒から滲み出たような色彩が認められます。

    あとは真っ白のまま。

    たったこれだけを、時間をかけて納得いくまで描いた私は、この「絵」をかけがえのないものだと感じていました。私の分析家も、とても大切に取り扱ってくれました。私の原点になった経験です。

    そうして、私の描き始めた「絵」は、その後、私の心の過程(ユング心理学では個性化の過程といいます)と伴に展開しました。まさに、その片隅からほとばしるように多彩な色が、紙の上に現れたのです。まるで、その一隅の黒が、本当に全てのものを含んでいたかのようでした。

    それは、明るい光の下から、急に影に入ると最初は何も見えなくて、やがて、だんだんあたりが見えてくるのに似ているように思えます。

    そして、それが人生の転換機にあった、私の心の景色だったのだと思うのです。
  • [4] mixiユーザー

    2007年01月07日 08:29

    こんにちは。

    上記、「室内楽と心理学ワークショップ」の室内楽の部講師、入野美香さんの、描画に関するメッセージその2をくださいました。

    以下に引用させていただきます。

    ***********************

    描画のこと2−「私」の木− 
    お正月休み、車で少し遠出をしました。国道沿いに、緑の松と落葉樹の美しい森が続いていました。松の緑は生き生きとしていて松枯れとは無縁の健康そうな森でした。すっかり葉を落とした落葉樹は、その樹枝を見せていました。実にいろいろな姿、枝振りです。そんな木々に見とれながら、描画のことを考えていました。

    描画には、大別して2つの種類があります。「始めての描画」で述べたようなものを自由画といいます。そしてもう一つは、提示された課題に沿って描くものです。その一つで、よく知られているものが、Der Baumtest (by Karl Koch, 1949)です。Koch は、Emil Juckerという人が考えた樹木画を発展させて、この方法を確立しました。両者ともスイス人です。

    Kochはこの序文で、JuckerはKochに「自分(Juncker)が樹木テストを発見したのは偶然ではなく、文化史ことに神話の歴史を十分に考察し、長期にわたって研究した結果あみ出したものである。・・・」と語ったと言っています。そして、Junkerは、描かれた絵から、その人のひととなりが予知できそうだと考えたのです。日本語に訳された本の題は、「バウム・テスト―樹木画による人格診断法―」ですが、Kochの原著のタイトルは[Der Baumtest: Der Baumzeichenversuch als psychodiagnosistisches Hilfsmittel]、―精神診断学的補助手段としての樹木テスト―です。

    私は、このような、課題のある描画にも興味を持っていて、スイスに行く前は、このバウム・テストを始め、いろいろな課題の絵に取り組んでいました。しかし、ここでは、それらの意味やその是非についてではなく、無数の“「私」の木”に、深い感動を覚えることをお伝えしようとしています。

    A4サイズの画用紙と鉛筆を用意して、「木を描いてください。」と言うと、そこには、人それぞれの「木」が現れます。樹木の種類、大きさ、形、枝振りは様々で、葉があったり無かったり、また、たわわに実がなっている木もあります。それは、それは、多彩です。皆、こころに「私」の木を持っているように見えます。そして、その時によって、「私」の木は姿を変えるようです。

    Juckerは、神話の歴史を考察したそうですが、今、アニメの中では、木はまるで人のように話し始めたりします。実際、枝を広げて立っている姿は、誰かに似ていると思うこともあります。小さな木が成長し、また古木が枯れていく姿は人の一生を見るようです。更には、春に芽吹き、繁った濃い緑の葉は、夏の厳しい太陽の日を遮って涼しい木陰を作ります。それも、秋になると瑞々しい緑の色は失われて赤や黄色へと変わり、かさかさと音を立てる落ち葉となって大地に戻っていきます。冬、寒風の中に、幹や枝を曝して立っています。そして、廻って春・・・。これもまた、人生模様を見るような気がします。毎日、どこかで視野に入る木に、私達は知らず自分自身を映しているのかもしれません。

    C.G.ユング研究所の資料室には、C.G.ユングのクライアントが描いた絵が、大切に保存されています。そこで、とても印象深い一人の女性の絵のシリーズ(1920年前後のものと思われる)に出会いました。それは、ある期間の間、その人が見た夢や浮かんできたイメージを、水彩絵の具で描き続けたものです。絵は全部で、15枚あり、その中に、一本の木を描いた絵が2枚含まれています。樹姿から、2枚ともスイスの牧草地でよく見られるりんごの木のようです。絵に添えられていた本人の自筆のメモと合わせて絵を見ていくと、その女性が、因習に縛られた生き方に決別し、心の旅をする過程が描かれていると考えられます。1枚目の木は、鉛色の冬空を背景に、雪の野原に雪に覆われて、まるで枯れ木のように立っています。わずかに、幹に枝に赤茶色で彩られたところがあり、この木はまだ生きていることを感じさせます。そして、シリーズの最後の絵でもあるもう一本の木は、青空を映す雪解けの水溜りの向こうに、満開の花をつけて立っているのです。

    スイスの雪に覆われた森に入ると、針葉樹と共にいろんな種類の落葉樹が見られます。そして、よく見ると、葉の無いそれらの枝々には、小さな堅い、木の芽がたくさんついているのがわかります。ダイヤモンドダストが舞う、凍りつくような日が続いても、かすかな春の兆しと共に芽ぐみます。いっせいに萌え出した時などは、森の中が弾け出た命の香りで噎せ返るようにすら感じられます。冬の森は、木々が大きな生命のエネルギーを、その内に秘め、やがて来る芽吹きの準備をしている所なのです。前述の女性の厳しかったと思われる心の過程は、正に、雪の中の木で表現するのがぴったりだったのだろうと思います。

    (入野美香)
  • [6] mixiユーザー

    2007年01月13日 10:28

    こんにちは。

    おにょ♡さん、過去のトピックも少しずつ読ませていただいてます。大変興味深いです。

    楽器を手に持ち音楽に携わるというのは、否が応でも、自分に問いかけ答えを見つける、というプロセスを踏まずにはすませられず、また、そこに、演奏テクニックという現実が立ちはだかって、なかなか葛藤の多い生業です。(命の危険はありませんけど・・。)

    また、作品という大前提、自分と事柄の境界線への認識があってこその感情移入、そして聴衆がいてはじめて完結される現場です。

    今回、この「室内楽と心理学」ワークショップを開くにあたって、きっかけは何かといえば、「出会いと直感」というほかないのですが、たくさんの言葉とこのコミュニティで出会える気がしています。

    今後ともよろしくお願いいたします。

    以下、すみません、「室内楽と心理学」のコミュニティ
    http://mixi.jp/view_community.pl?id=1683290 への案内と重なりますが、入野先生の描画に関するメッセージ第3回、です。

    メッセージ第4回まであるのですが、長くなるので、次回に続けます。

    以下、引用です。

    **********************


    描画のこと3−表現する・意識する−

    今回は、想いを描き表わすということと、その描いたものを意識することについて述べてみようと思います。

    公の場で絵について語るのに、描いた本人の許可なくして、それを他人に見せることはできません。クライアントのものについては、守秘義務があってなおさらのことです。また、自分が描いたものは、なかなか自分ではよくわかりません。そこで、よく知られた画家の描いたものを見て、いろいろ論じ合うことがあります。私は、ある論文(未発表)に、上村松園の絵を引用したことがあります。

    論文に引用した絵の中の一つは、「蛍」という題です。島田を結い、浴衣姿の若妻が、蚊帳を吊る手をふと止め、一匹の飛ぶ蛍を、わずかに体を反って眺めています。美しい絵です。しかし、美しさだけではない何かがそこにはあります。それが何なのかは、この絵のための、三態の女性の顔が描かれた下絵を見ると、よりわかるように思います。同じモデルをスケッチしたそれらは、少しずつ、顔の角度と視線が違い、それによって表情が全く違うものになっています。この下絵を見ると、いかに松園が、表現したいものを、厳しく追及していたかが想像できます。そして、仕上げられた絵からは、蛍を見る女性の姿を通して、命の儚さや輝きまでもが、見るものに伝わってくるのです。

    松園は、恵まれた才能をもった画家です。その上、鍛え磨き抜いた感性と技術を備えていたことは、疑う余地もありません。

    では、現したいことを表現するということは、彼女のような画家だけに与えられた特権でしょうか。やってごらんになるとわかると思います。静かに自分に聴いてみます。今の気持ちを表す線を引いてみようと。ぴったりくる、線が見つかったでしょうか?

    ある知人は、浮かんできたイメージを現すのに、納得のいく色が見つけられなくて、画用紙の上に水彩絵の具を重ね、画用紙が破れやしないかと思う頃に、やっと「その色」に近いものに辿りつけたと言いました。見せてもらった「絵」は、描いた人の想いがずしんと響いてくるものでした。

    私は、ある時大きな画用紙に、クレヨンと水彩絵の具で心に浮かんできた情景を描きました。いろんな色を使いました。しかし、どうしてもある部分に、色を塗る気にはなれませんでした。水墨画の文化を持つ日本人は、欧米人にありがちな、空白を埋め尽くさなくてはという、強迫的な感覚はあまりないと思います。私も、白や空間を表現するのに、満足して画用紙の白をそのまま使うことがありました。しかし、その時は、とにかくその部分だけ、それ以上何もできなかったのです。それが、私の心の現したいことだったようです。

    私の分析家は、それを見て、「ここは、“スケッチ”のようですね。」と感慨深げに言いました。スケッチという言葉を聴いて、はっきりと、塗り残したような部分のことを意識しました。「まったく!そうだ」という驚き、と同時に、その部分が突然、見たくもないものに思えました。というのも、”スケッチ”の部分のポジションや、描いたものから、「絵」の理論的な意味を、すぐ、わかった気になったからです。それに、それは自分の「問題」として、すでに自覚し意識化していると思っていたものでした。

    「自覚している」つもりでいるのと、実際目の前に現れたものに「意識的に」向き合うことになるのとでは、全く違います。雲泥の差があります。それによって、一気に霧が晴れることもあれば、前述の場合のように、重苦しくて、できれば目を背けたい気分になることもあるでしょう。私は、この時、知らん振りをしようとしました。私達の誤解にさえしようとしました。

    それから約1年後に、私の分析家の言葉を借りるなら “New”という「絵」が現れました。描いたことのなかったテーマ、表現で、人に言われるまでもなく、自分でもNewだとわかります。「知らん振りしよう」と意識し続けている間に、それは熟成したようです。

    表現すること、そして結果は急がずに、表現したものを意識し続けることの大切さを、しみじみ思います。

    そして、実際の私の心の旅の過程は、まだ結論を出すには至っていません。
    (入野美香)
  • [7] mixiユーザー

    2007年02月11日 10:46

    こんにちは。

    「心理学の部への一泊2日の参加は可能でしょうか」、というお問い合わせを頂いております、有難うございます。

    以下のように受け付けさせていただきます。

    ***********************

    一泊二日可能、および講義のみの聴講可

    1)ただし内容の都合上、一泊二日参加は、23日2時から24日2時まで。
    2)2つの講義を、聴講可とする。時間は、今のところ、
    23日4:30−6:00と24日10:00-12:00の予定です。

    参加費は1泊2日25000円、各講義聴講5000円
    (室内楽の部参加の方は無料)

    聴講の方も、事前のお申し込みをお願いいたします。

    オフィスN
    http://www.chambermusic.jp

    *******************

    入野さんの、描画に関するメッセージ第4回 以下に引用いたします。

    *******************

    描画のこと4−湖畔のアトリエ− 

    私のスイスの住まいは、チューリッヒ湖畔、C.G.ユングの家の近くにありました。私の部屋の窓からは、今はユングのお孫さん達が住むその家の屋根が見えました。ユングの家を挟んで反対側には、村公営の水浴場があり、シーズンオフは、湖畔の公園として開放されていました。私は、時折、そこの湖に突き出た桟橋に座って湖を眺めました。瀬戸内海の島で生まれ育った私には、潮の香りこそありませんが、チューリッヒ湖の景色には懐かしさを覚えるのです。

    春のある日、思い立って画用紙と鉛筆を持って、その桟橋に行きました。湖畔沿いには、大きな屋敷が並んでいます。それらの広い庭には、屋敷の屋根を越す大きな木々が茂っています。そして、新芽の出たそれらの木々は、まるで、色とりどりの霞に覆われているようでした。私は、そんな木々に心を奪われました。ちょうど、苦しかった試験に一区切り付いた頃でした。春とはいえ、時折、湖畔に吹く風は冷たく、画用紙を飛ばされないようテープで画板に留めて描いていました。

    浜辺で、男の子と女の子が遊んでいて、お母さんらしい人が離れたところで彼らを見ていました。二人は、少しずつ、桟橋の先にいる私に近づいてきました。そして、側に立ち、じっと私の描くのを見ていました。やがて、小学校3-4年生くらいのお姉さん格の方が、自分を描いてくれというのです。あまりに真剣なので、新しい画用紙にその女の子を描きました。始めは、ほんの子供とのお遊びのつもりだったのですが、東欧系の顔立ちのその子の目に、表情に、惹きつけられました。描き終わると、その女の子は、とても恥ずかしがり屋に見える男の子を指差し、彼の絵も描いてくれというのです。小学校に入ったばかりくらいに見えました。

    男の子は、大きな大きな澄んだ黒い目で、瞬きもせず、彼を描いている私を見つめていました。息さえ止めているのではないかと思えるほどでした。その表情は、まだ、この世の人の重さを感じさせません。はかないような美しさと、きらきらした可能性が同居していて実に魅力的でした。食い入るような私の目が、彼を怖がらせはしないかと、ちらりと考えながらも、彼の魅力に抗い難く描き続けました。そして、おそらく東欧からの移民家族であろう彼が、きらきらの可能性を発揮して幸せになってほしいなあと思いました。

    それぞれに、その絵を渡すと、次に彼らは、白紙の画用紙と鉛筆を使いたいと言いました。そして、私の側、コンクリートの桟橋の上で、絵を描き始めました。私も、自分の絵に戻りました。3人で、黙って絵を描いたのです。描き終わって、3人でそれぞれの絵を見ました。女の子は、湖畔の景色を描いていました。男の子もたくさんの水鳥がいる湖畔の景色を描いていました。そして、その絵の真ん中には、そこに存在しない、大きな花が描かれていました。胸を張って、誇らしそうに咲いたその花に、私は心を打たれました。

    男の子は、私にその花のところに私の名前を書いてくれと言いました。Mikaと書くと、本当にうれしそうな笑顔を見せました。私は、まるでジェントルマンが花束をプレゼントしてくれるように感じました。彼は、その花を私だと言いたかったのかもしれません。私は、その花は、自然発生の湖畔のアトリエで、彼の心に咲いた、彼の花に違いないと感じていました。言葉を超えた次元の繋がりを感じ、深い感動を覚えました。

    長く京都で心理療法の仕事に携わっている私の友人は、彼女の貴重な経験を素敵な言葉で表して、ああそうなんだと腑に落ちるのを助けてくれます。この湖畔での出来事を思い出す時、その彼女の表現の一つ「動かされ、動いて、そして繋がる」という言葉がぴったりの気がします。

    軽井沢のワークショップが、あなた自身が何かと繋がったと思える、そんな経験ができる場になればと思います。

    ここで、ひとまず筆を置きます。続きは、ワークショップにて。

    お目にかかれるのを楽しみにしています。

    (入野美香)
mixiユーザー
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  • 2007年03月22日 (木) 〜25日 心理学の部23日〜25日
  • 長野県 軽井沢町
  • 2007年03月22日 (木) 締切
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