■米国のデンバー小児病院は、生後4日前後の新生児3人に、鎮静剤を投与して生命維持装置を停止した。心停止の継続は、1人は3分間、2人は75秒間の観察後に、心臓の摘出を開始した(The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE、359巻7号p709〜p714、2008年)。心停止3分間では蘇生する可能性があり、生体解剖とほぼ同じ行為になる。臓器摘出目的の、恣意的な心臓死の死亡宣告と見込まれる。
■京都大学呼吸器外科の陳豊史氏と伊達洋至氏は「心臓死ドナーはいわゆる脳死状態ではないため、人工呼吸停止を行っても心停止に至らない場合がある。それは、多くの場合は、いくばくかの自発呼吸が保たれていることがあるためである。(中略)筆者らのいたトロント大学の経験では、約半数の心臓死ドナー候補が、人工呼吸停止後に心停止に至らなかった」と報告した(『移植』44巻5号p415〜p420、2009年)。 グラフ(http://www.hyperhidrosis-surgery.org/eng/b/15.pdfのp755に掲載)は、そのトロント大学における心停止肺ドナー候補者の人工呼吸停止後の血圧の推移だ。心停止に至らず肺を摘出できなかった9人だけでなく、肺ドナーとされた10人の患者の血圧にも大きな変動がみられる。 陳豊史氏らは心停止肺ドナーにガス麻酔をかける動物実験も行った(温虚血中Isoflurane吸入の肺保護効果、The Japanese Journal of THORACIC AND CARDIOVASCULAR SURGERY53巻Suppl.II、p629、2005年)。尊厳死と称するものの、実際には薬物を使った積極的安楽死を実行される懸念がある。
■米国ウェストバージニア州のCharleston area medical centerで心停止ドナー候補者とされたVelma Thomasさん(59歳女性)は、人工呼吸器を外されてから10分後に意識を回復した。Kevin Eggleston医師によると、ヴェルマ・トーマスさんは心停止3回、脳波も17時間にわたり測定不能、神経学的機能停止だった(2008年5月24日のABCニュース“Doctor Calls Near-Death Experience a 'Miracle' Hospital Took Velma Thomas off Life Support -- Then She Woke Up”)。心停止後に臓器を摘出する目的で麻酔・鎮静剤が投与されていたら、このような「終末期」患者の意識回復例は発生しない。