<作品の紹介> ■Sing Sing Sing■ ベニーグッドマンの「Sing Sing SIng」と言う曲がある。タイトルをご存知なくてもこの曲を耳にすればきっとどなたも思い出す昔ながらのジャズの名曲です。黒沢美香&ダンサーズが 90年にこの音楽で振りとルールを決めて初演したものを17年経った今でも飽きる事なく面白がって必ず上演演目に含めて踊り続けているオハコです。稽古方法としては<振り付け>半分、<即興>半分という油断ならない構造で常に刺激的です。じわじわ時間をかけて場にダンスを立ち上げるのではなく、ダンスを一瞬にして立ち上げる気合、ソロダンスの花を大輪にまで咲かせる覚悟、そしてそれらを尊重するコーラス隊、と短期間の中で役目が入れ代わり構図が絡まっては複雑なコブが降起します。たった8分間の曲ですが、この作品が旅になるかならないかが重要です。急流に飛び込む潔さの清らかな不様を祝福します。
■ロマンチックナイト in 福岡■ [ロマンチックナイト]と名づけたものを1991年から始めました。その当時私は30才前半でしたでダンスに対して疑問と憤りの多い過激な時代でした。その結果大仰とも純粋とも言えるのですが既存の<ダンステクニック>への改革を訴える必要を感じ<動かないダンス>というものに傾向し異なる角度からダンスへの試みを重ねていました。しかしこの[ロマンチックナイト]の初演となった場所から当時まだディスコとよばれていた頃の新宿のディスコであった事も手伝って一種の“偽装踊り”をして自分の疑問に自分で実験してみる継起となりました。今でもこの[ロマンチックナイト]を披露する時の私は珍しく踊りのように踊ります。踊りのように踊る事には抵抗を持ち続けているので、私の中で照れも摩擦も生じます。しかしこの抵抗の身体が結果[ロマンチックナイト] を成り立たせていると信じています。私にとっての踊りとはなにか。その踊りを偽装するとどうなるか。音楽と踊りの距離と歴史。私の踊る中で一見一番派手で楽しそうに見える[ロマンチックナイト]ですが後側にそのような秘密を常に隠し持っています。