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開催終了デジタル言語学とは何か: デジタル言語を理解し、検討するための学習会

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2010年04月03日 07:34 更新

デジタル言語学とは、音節・内言がデジタル音響符号であり、それらをもとにしてつくられたコトバを交換しているということに着目し、それを情報理論の符号化理論で解釈するものです。

人間が、他の動物と比べてどれほど知能を高める可能性をもっているのか、人間はどのようにして進化を遂げたのかということが、理解できるようになります。

デジタル言語学について理解を深めるための学習会・検討会を4月26日、東京都港区青山で開催します。

参加ご希望の方は、氏名・所属・言語学への興味・電子メールアドレス(事前配布資料を送ります)をご連絡ください。追って、時間と場所をご連絡いたします。なお、会場の都合で定員があります。参加者数も限定されますので、ご興味のある方は、なるべくお早めにお申し込みください。

なお、お問い合わせはShinRaiまで、お気軽にどうぞ

以下ご参考 : デジタル言語学概観
 現生人類は,音声通信のデジタル化に成功したことによって,高次の精神活動ができるようになり,地球の覇者となった.ヒトが音声デジタル通信に用いているデジタル回路とデジタル符号,ならびに符号化メカニズムを概観する.

1 ベースバンド信号のデジタル性
 一般にアナログ通信とデジタル通信の違いは,伝送するベースバンド信号がアナログかデジタルかにあり,両者とも搬送波はアナログである.
 この基本的な点を理解するとき,これまで話し言葉はアナログで,書き言葉はデジタルであると漠然と思われてきたことが実は逆であったことがわかる.すなわち,話し言葉こそ,声帯によって有声化した肺気流を,舌の位置・唇の開閉・声道の形状を変化させることによって,離散的な(音素弁別性をもつ)母音や子音によってデジタル変調を加えているのだ.
 一方書き言葉は,大気の振動としてすぐに消えてしまう話し言葉を長期保存できる形で書きとどめるためのものであり,それは脳内で点と線からなるアナログ図形情報から音声デジタル情報に復元されないことには意味をもたない.長らく書き言葉がデジタルと誤解されてきたのは,文字列は保存性にすぐれるからbit列に変換しやすかったことと,アルファベットという比較的少数の文字セットで表記する言語だけを念頭においてきたからであろう.斉藤か斎藤か齋藤か齊藤かの違いにこだわる漢字文化圏では,書き言葉がアナログであることは自明である.
 話し言葉は,100以上ある音節の数(日本語では112個あるとされる)だけ元をもつ多元デジタルシステムであり,元を瞬時に離散的に聞き分ける聴覚器官(およそ2万個ある内耳有毛細胞と聴神経)によって音声は無音の内言に復調される.発声器官に構音をうながす運動制御の神経刺激が,脳内を行き来するデジタル信号=内言へと進化して,我々の思考に用いられている.音声と内言に共通する多元音響デジタル成分は,二元デジタルシステムbitとは別の信号体系であり,このベースバンド信号をphonit (phonetic digit)と名づける.

2 デジタル通信に必須の3つの符号化
 さて,通信のデジタル化とは,回路上で信号の符号化・復号化処理が行なわれているということであり,具体的には3種類の符号化が行なわれている.
2.1 伝送路符号化・復号化
 伝送路(搬送波)符号化とは,発声器官によるデジタル変調であり,脳内回路上のベースバンド信号である内言を,有音の音声にして大気中に瞬間的に構築される回線に送出することである.聴覚器官によるデジタル復調は,回線から届く音声からデジタル成分を抽出して,脳のCNS(中枢神経システム)に送ることである.伝送路符号化・復号化によって,回路と回線はシームレスにネットワーク接続する.
 寝食をともにする家族や地域共同体の成員間では,発音やアクセントや訛は共有されているので音素誤りはおきない.近代国民国家が行なった国語教育のおかげで,同じ国に属する人間の間でも,誤りはほぼおきない.一方,音素セットの違う言語共同体に属す者の間では,各言語の離散性不適合による音素誤り(phonemic error)が起きやすい.
 旧約聖書・士師記には,あるコトバの発音ができないものを大量殺戮したとある.音素発音能力はごまかしがたい敵味方識別装置として機能してきた.

2.2 通信路符号化・復号化
 通信路符号化とは,デジタル符号語を構築するにあたって,回線雑音に耐える強い符号語をつくることである.01の二元デジタル信号によって構築されるbit列の場合は,データbit列の演算によって作り出される冗長bit列を加えて,送出する符号語列の秩序を高める(= エントロピーを低減する).
 言語の場合は,オノマトペのように自然の音表象をとりこんだ符号語を用いること,新しく符号語をつくるときに意味がわかりやすいよう配慮すること,ひとつの分野内では似た音の単語を用いないことなどにより秩序を高める.これは語源論の領域である.
 通信路復号化は,回線を経由したデータに信号誤り・符号誤りがないことを,受け手が自分で判断できることである.bit列の場合は,冗長bit列の演算手法がわかっているので,受信データを逆計算して回線上で誤りがあったかどうか確かめられる.言語の場合は,論理性や文脈との斉合性などで判断する.
 通信路符号化・復号化によって,送信データ列が誤りなく受信されるようになったとき,開始符号語と終止符号語の間に挟みこんで,長く複雑なデータを順序だてて送るシリアル通信が可能となる.

2.3 情報源符号化・復号化
 情報源符号化とは,アナログな現実をデジタルな符号語に置き換えることであり,概念的符号化と文法的符号化がある.通信路符号化によって長く複雑・精巧なメッセージを送ることができるようになり,概念を接続・修飾する演算子(機能語, function words)である文法が生まれた.
 概念は,コトバという聴覚刺激と五官の知覚記憶が大脳皮質上で神経結合することによって形成される.いったん概念が形成されると,類似概念と差別化・分化しどんどん精緻化がすすむ.また経験を積み重ねることによって記憶の量も増えていくほか,複数の感覚器官からの知覚記憶が相互に結びつく.そしてコトバが記憶を,記憶が記憶を,コトバがコトバを,次々と想起させて連鎖的・ネットワーク状に意味が広がっていく.
 記憶のネットワーク形成は個体の脳内でおきる現象であるため,同じコトバであっても意味はヒトによって変わりうる.しかし,意味のメカニズムを知らないばかりに誤解や失敗や笑い話が生まれる.コトバの意味にまつわる民話や寓話はどの民族ももつ.
 たとえば「3人の盲人と象」の寓話は,それぞれ象の足・耳・鼻を触った盲人が,象とは柱である,じゅうたんである,蛇であると互いに譲らず喧嘩になる話である.一休さんの「このはし渡るべからず」は語の多義性に乗じて機転をきかせる話,「ふるやのもり」はコトバはあるのに記憶がないときに生まれる恐怖感を教える.
 語順の誤り(syntax error)は誤り扱いされて認識の対象とならないことが多いが,たまにすんなりまったく別の意味で受け入れられる.一例をあげると,パリのタクシー運転手にアメリカ人が「エッフェル・トゥール(Eiffel Tour)」といったとき,運転手は「Et fais le tour(回って)」と聞き取りその場で旋回した.フランス語ではLe Tour Eiffelの語順が正しい.

3  概念体系構築と概念操作・抽象概念
 ヒトは無意識のうちに,コトバが結びつく記憶内容を総合的に吟味して,デジタルなコトバを見出し語とする均衡のとれたひとつの概念体系を個人の脳内に構築する.生存本能にもとづく論理装置が脳内に存在し,コトバの重みを吟味し判断する.
 この論理装置は,新しいコトバの評価を行なうのみでなく,新たな経験を既存の概念体系に照らして判断評価する.たとえば,ラーメン一杯食べても,うまい,普通,まずい,超うまい(まずい)と無意識に価値評価する.また,過去の記憶を甦らせて,味の似ている別の店と比較する.
 こうして概念体系が構築され,脳内の論理装置がはたらくようになると,五官の知覚を伴わない抽象概念についても,自分がすでに有している概念の演算・方程式として推論できるようになる.もちろん,「百聞は一見に如かず」,「論より証拠」ということわざのとおり,推論には限界があるが,世の中には,「地球環境問題」や「ゴンドワナランド分裂」のように我々の五官で感知できない現象があまたある.
 それらは論理の積み上げや概念の方程式を用いないかぎり理解できず,さもなければ盲目的に信じるか信じないかしかない.正しい理解に到達するためには,個々の記憶,知覚とコトバの神経接続,コトバの演算を行なう論理装置の全てが正しく機能しなければならない.

4 身体的・環境的要求
4.1 脳の拡大と手間暇かかる育児
 デジタル言語から抽象概念におよぶ高次の精神活動がヒトにのみ可能であるのは,ヒトの脳重量が他の大型類人猿よりも脳重量対体重比で4倍あることによる.大型類人猿は,ヒトの4分の1の脳容量で,代謝,運動,思考など動物としては高位の精神活動のすべてをまかなう.ヒトだけが余分にもつ約1000ccの脳はデジタル言語処理と大容量記憶のために使っている.ヒトは類人猿平均の4倍大きな脳を生かしきるため,生涯かけて「学ぶサル」だ.
 ヒトの脳容量が拡大したのは,生後一年間ほぼ寝たきりで過ごす二次的晩成化のためだ.二次的晩成性は,ヒトが巣をもつから起こりえた.ヒトの進化にとって安全な家をもつことが決定的に重要なことは,最古の現生人類遺跡,南アフリカ・クラシーズ河口洞窟第3号がインド洋沿いの海岸段丘に穿たれた快適で安全な洞窟であることとも一致する.
 ヒトは安全で快適な洞窟で生活を続けることによって,子どもを無力な状態で産み,長期間の子育てを行なうようになった.子育ての責任を自覚させるためメスの陣痛は重くなり,閉経後のメス(祖母)が育児と教育を手伝うようになり,成人になるまで15年から20年もかけるようになった.

4.2 喉頭の降下
 ヒトの喉頭以上の声道が,舌の付け根で直角に交わり,水平部分と垂直部分の長さが同じであるのは,母音の共鳴にとって重要である.これを可能にする喉頭降下が一歳になったころ始まるのは,母音発声が比較的最近の進化の産物だからだろう.母音の誕生により子音と母音の二元マトリクスによって音節が生まれ,100種類以上のデジタル基本単位を30前後の音素で作り出せるようになった.また肺気流の力によりメッセージが遠くまで届くようになった.喉頭降下は誤飲や窒息を誘発する不利な身体構造であるので,言語発声のためだけに生まれた進化であり,子音だけの言語が生まれた後で母音が生まれたと考えられる.人類最古の言語とされる南部アフリカのコイサン語には子音が100以上あり,母音誕生前の言語の姿を今に伝える.

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  • 2010年04月26日 (月) 午後7時ー9時
  • 東京都 港区青山、東京メトロ表参道駅近く
  • 2010年04月26日 (月) 締切
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