mixiで趣味の話をしよう

mixiコミュニティには270万を超える趣味コミュニティがあるよ
ログインもしくは登録をして同じ趣味の人と出会おう♪

開催終了I will forget / 岡本正史

詳細

2006年02月17日 14:56 更新

岡本正史の新作”I will forget”は、カラフルな表紙の絵本のような装丁の写真集で構成されるインスタレーションです。それぞれの写真集は、作家自身が滞在した世界各地のスナップによって構成され、滞在地ごとにまとめられています。何気ない旅先でのスナップ。それらは、その地での作者の経験を、気負うことなく淡々とつぶやきます。丁寧な装丁を施されたそうしたイメージ群は、旅を慈しむセンチメンタルな感情や、その地での経験を懐かしむ一種のノスタルジーを感じさせます。けれども、そうであるにはまりにもカラフルで、子供向けの絵本のように過度に純粋を装ったデザインは、静かに疑念を浮上させます。岡本は、そうしたセンチメンタリズムやノスタルジーを、子供じみたものとして突き放そうとしているのかもしれません。幼子をあやすような岡本の手つきは、やがて見るものに微かな苛立ちさえ覚えさせることになります。

私は忘れるでしょう。岡本の新作を読む鍵は、タイトルに与えられているのかもしれません。いろいろな理由をつけて足しげく世界各地に旅立っていく旅行者たち。彼らはその地で心動かされ、そのエッセンスがこもった光景に向かって思わずシャッターを切ります。彼らはその地を知ったような気持ちになり、その地を訪れたことのないものたちに、その地についてあれこれと語り始めます。けれども、おそらく彼らは、いや少なくとも岡本は、そうしたことを忘れ去ってしまうはずなのです。岡本にとってその地は、好奇心にまかせて手にとられ、飽きたらすぐに放り出されてしまう幼子の玩具のようなものにすぎないのです。一見すると平穏なインスタレーションのかげに、自身に対する辛辣な分析が潜んでいるようです。

もちろんそれは、岡本だけの問題ではないはずです。旅行者の滞在は、子供たちの好奇心と残酷な忘却と似たような、消費のサイクルに違いないはずです。そこにいかばかりかの仕事上の目的や、個人的な事情、あるいはときには作品を撮影するためといった理由が付け加えられたからといって、そうした事情はたやすく変わることはないでしょう。本来、縁のないはずの紛争地や災害地に出かけて撮影された作品を通してある種の啓蒙を促すことと、そうした行為がどれだけ無残な消費を加速させているのかを自虐的に呟くことと、どちらか安穏とした地に住むもののやるべきことなのか。岡本が構成する保育施設にも似たインスタレーションの中で、わたしたちは冷たいものに触れることになります。

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!
  • 2006年02月18日 (土) 〜3月4日
  • 東京都
  • 2006年02月18日 (土) 締切
  • イベントに参加する
  • 気になる!
参加者
1人