エレン・フルマンは、LSIの発明者であると同時に演奏者である。LSIとは、全長18メートル、その音源に縦方向の弦の振動を使用し、音調を備えながらなおかつ奥行き深い力を持った、まさに音の彫刻を作り出す楽器といえよう。1981年より、彼女は音響技術者や楽器職人と協力しながら、ワイヤーや共鳴器、及び調律システムを用いて実験を重ね、そのLSIを音楽、その音の彫刻及びダンスに用いることのできる完全融合品として現在のレベルにまで高めている。エレン・フルマンが思うには、音楽家の道に傾倒し志すことになったのも彼女が1歳の頃、エルビス・プレスリーから手にキスを受け、「Hi, ya, baby!」と言われたときに遡るという。以来フルマンはその「LSI」と共にヨーロッパ、北米、オーストラリア等世界各地に招かれ、研究活動や演奏に従事し、たとえばアーノルド・ドライブラット、フィル・ニブロック、またポーリン・オリヴェロスといった数多くのアーティスト達と共演してきた。またザ・クロノス・カルテットなど有名な楽団からも作曲依頼を受けている。「Musicworks」誌は2003年5月号で彼女の特集を組み、また「The Wire」は彼女がKonrad Springerと共にリリースしたCD「ORT」を2004年のトップ50CDのひとつに挙げている。