(1) Rene Bauser, Champagne AOC Rose Brut NV ⇒ヴェット・エ・ソルベと同じく、シャンパーニュ地方の南端、リセの家族経営のメゾン。100%リュット・レゾネでピノ・ノワール100%で非常にコクのあるシャンパーニュを造っています。
(2) Scev Dauby, Champagne AOC Premier Cru Rose Brut NV ⇒『ワイナート』誌の39号でも注目されていたドビ。生粋の貴族であるマダム・フランシーヌ・ドビによって運営されてきたこのメゾンは、長年にわたって生産量のほとんどをフランスのシャンパン愛好家たちに買い占められてきた知られざる存在でした。状況が変わったのは、アヴィーズの醸造学校で自然環境についての教鞭もとっている娘のフロール・ドビさんが、家業を継ぎ女性醸造家の道を歩むことを決心してから。 もともと、「ロゼ好きの方に飲んでほしい抜群のうまさ!かわいくて贈り物にもオススメのシャンパン!!」のキャッチコピーに惹かれてクリスマス用に手元に置いておりました。去年のクリスマスに飲み損ねてしまいましたので、今回満を持しての登場です。 エチケット、メッチャらぶりーデス。
(3) Louis Philippe, Champagne AOC "Cuvee des Etoiles" Rose Brut NV ⇒キュヴェ・エトワールは、マロラクティック発酵を行う伝統的な白ワイン醸造法を用いて造られています。しかも、使用するキュヴェは一番絞り果汁の「テート・ド・キュヴェ」のみ! 様々な畑から収穫されたピノ・ムニエ、ピノ・ノワール、シャルドネをベースに、ブジー村やコート・ド・バールのピノ・ノワールをブレンドした赤ワインを加え、それを瓶詰めし、二次発酵を行います。発酵が終わると、すぐに地下深くのカーヴで30ヶ月間の熟成に入ります。これは法定熟成期間15ヶ月の2倍の長さで、法定の倍の熟成期間を経てからリリースされるだけあり、泡立ちは比較的キメが細かく、ゆるい蛇行をしながらユックリと泡が昇っていきます。
(4) Cattier, Champagne AOC Premier Cru "Chigny Les Roses" Brut NV ⇒全席ファーストクラスのコンコルドで提供されていたのがカティエ。超高級シャンパーニュのアルマンド・ブリニャックのリリースで勢いづいているメゾンですが、その美味しさに裏切られることのない、とても安定して実力派です。去年の年末の“そばシャン会”では、カティエのブラン・ド・ブランが一番美味しく、印象的でした。
(5) Maillart, Champagne AOC Grand Cru Rose Brut NV ⇒以前から旨みのエキス分の塊のような美味いシャンパーニュを造っていたミシェル・マイヤール。1720年からの長い歴史をもつ家族経営のメゾンで、シャルドネ2ha、ピノ・ノワール6ha、合計わずかですが8.5haの自社畑(プジのグラン・クリュに1ha、プルミエ・クリュのエキュイユ村に3ha、ヴィレール・アルラン村に4.5haという恵まれた条件)の葡萄を使っています。 モンターニュ・ド・ランス地区ですが、シャルドネの割合を多く用いることによってエレガントさとフィネスをもたらし、ピノ・ノワールの重厚感がありながらも、洗練された独特のスタイルに仕上げています。リュット・レゾネやビオロジックといった呼び方には拘らず、それぞれの区画に応じた最良の方法を実践しています。 醗酵はテロワールごとに小さなタンクに細かく分けられ、各テロワールの可能性 を最大限に引き出し、最終的にブレンドされます。デゴルジュマンは、消費者に届くまで最高の品質を守るため、出荷される3〜6ヶ月前に行われます。全てのキュヴェは、実際テイスティングの上で、どのキュヴェが出荷されるかを見極めます。オールドヴィンテージも出荷直前にデコルジュマンされます。 2003年収穫期から、新しい破砕機とステンレスタンク、そして温度制御装置が設置され、樽醗酵および樽熟成を始めました。また、近年100%ビオに切り替えたこともあいまって、評価を急激に上げているところです。
(6) Bertrand Gautherot (Vouette et Sorbee), Champagne AOC "Saignee de Sorbee" Extra Brut NV ⇒ヴェット・エ・ソルベのベルトラン・ゴトロは、シャンパーニュ地方最南端に位置するオーブ県のビュシエール・シュル・アルス村の農家に生まれました。代々農業とブドウ栽培を家業とする家系で、あのリシャール・シュルランは母方の従兄弟にあたります。 兄が農業を受け継ぎ、ベルトランはブドウ畑を受け継ぎました。父の代まで化学肥料を使用していたため、収穫量が大変多く、ブドウを協同組合に売っていました。 1992年にベルトランが畑を継いですぐさま有機栽培に転換し、1993年から除草剤の散布をやめましたが、長年にわたる化学肥料の影響で樹勢が強く、なかなか収量を抑えることができず、理想のブドウを得るまで時間がかかりました。 ようやく2001年ヴィンテージを最初のリリースとすることができました。その間、土壌分析の世界的権威であるクロード・ブルギニョンに栽培の教えを乞い、1998年からはビオディナミを実践し、1999年からジャック・セロスの当主アンセルム・セロスのかたわらでシャンパーニュ造りを学びました。 ベルトランは、アンセルムの考え方と問題解決法から多大なヒントと影響をうけた醸造方法によって、2001年最初のキュヴェ・フィデルを4000本(ピノ・ノワール100%)造りだしました。2002年と2003年は5000本、2004年は10000本の生産量で、今後これ以上生産量を増やす予定はありません。 発酵・熟成の多くは225リットルの樽でおこなわれますが、樽はアルノー・アントなど、ブルゴーニュの造り手から譲り受けています。 シャルドネは2002年に買った400リットルの樽で発酵・熟成されます。 シャブリでただ一人高質なヴァン・ナチュールを造るアリス・エ・オリヴィエ・ド・ムールのオリヴィエは、「ベルトランのシャンパーニュを味わったら、ほとんど他のシャンパーニュはもう飲めない」と断言します。 今ではすでに、パリの有名ビストロでひっぱりだこで、たとえばバラタンの黒板では、シャンパーニュはジャック・セロス、ジェローム・プレヴォー、ヴエット・エ・ソルベの3種類だけがオンリストされています。偉大なシャンパーニュの造り手にまた一人、新星が仲間入りしました。 畑と品種: Vouetteヴエット:1ha シャルドネ、2haピノ・ノワール Sorbeeソルベ:1ha ピノ・ノワール どちらの畑もともに標高340mの斜面にあり、ヴエットは家のすぐ裏にある畑で、 ソルベは果樹園と森に囲まれた斜面にあり、隣人もないので、ビオディナミの環境がよく維持されています。もっとも古い畑は樹齢が35年ですが、1985年と1986年の大凍結のために植え替えたので、大半の平均樹齢は20年です。この地域の平均収量は75〜80hl/haですが、タイエを長くすれば200hl/haとすることも可能なので、途方もなく収量が多いのが現実のようですが、ゴトロの収量は枝一本あたり1房のみに仕立てるので、わずか20〜25hl/haです。2003年は、ロゼを2樽造りました。シャルドネはこれまで自家消費用のみでしたが、2004年は100%シャルドネのキュヴェも作られました。(ラシーヌ資料より)