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開催終了12月のお題【クリスマス】の投稿

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2006年12月06日 16:20 更新


このコミュが始まって初のお題はやっぱり・・・クリスマスでしょう!!
なんたってもう12月です。この季節といったらやっぱりこれですよね〜。
恋愛でもそうじゃなくてもなんでもありです。とにかくクリスマスにまつわる話であれば全く問題ないです。

一応の基準として文字数は5000文字以上にならないようにしてください。多少はオーバーしても問題ないです。

ついでに、クリスマスイブでも、もちおkです。

みなさんのクリスマスにまつわる話をお待ちしておりますー、

コメント(7)

  • [3] mixiユーザー

    2006年12月08日 15:29

    タイトル:【1年後のイヴに】



    外からの肌を刺すような冷たさが修路を目覚めさせた。

    「っつ、めんどくせぇな・・・。」

    修路は開けっ放しにしてしまっていた窓を閉めるために身体を起こし、窓に向かう。
    修路の部屋にある唯一の窓はベッドから3、4歩ほど離れたところにあり、布団に入ったままではさすがに窓を閉めることは出来ない。

    (マジで面倒だなこの家具の配置。この際だから模様替えするか、もうあれこれ言われることも無くなったしな・・・。)

    空いていた窓を閉め、いつものようにカレンダーをめくると12月24日の日付が修路の目に入った。
    それは夕美がこの部屋を出てちょうど1ヶ月がたってしまったことを示していた。



    1ヶ月前のあの日、修路はこんな風になるとは全く持って考えていなかった。

    これまで、喧嘩をして夕美が部屋を出たことは数回あったが、そのどれもが数日でどちらかが折れ、なんだかんだで上手くやってきていたからだ。

    だから修路は今回もしばらく時間を置けば解決するだろうと思い、涙を浮かべながら夕美が部屋を出ていくのを止めなかったのだ。


    ところが、夕美はいっこうに戻ってこようとはしなかった。それどころか修路からの電話やメールにさえ無反応・・・。
    その状態が3週間続いてやっと”振られた”ことを修路は悟った。



    そんな”始まりの日”からちょうど1ヶ月。
    恋人と二人だけの夜を直前で逃した修路はとてもイヴなんて気分じゃない。正直一人でいたかった。

    しかしながら、今日修路は外出しなければいけない。修路の通ってる大学の友達である白木の合コンに人数あわせで行かなければいけないからだ。
    いつもなら夕美を理由に断るのだが、親友である白木には事情を知られていて断る理由が無く”どうしても仲良くなりたい娘がいる”という白木の言葉に仕方なく協力することにした。

    どうにも気が乗らず合コンをキャンセルしようと考えていた修路だが、待ち合わせの時間が近づきそれも諦め、身支度をして早めに部屋を出ることにした。

    「あー、他の娘のところに行く気でしょ〜?」

    ドアを閉める際、修路が部屋を出るとき夕美が言う身勝手な冗談が修路の頭をかすめた。


    待ち合わせ場所は、通ってる大学の近くの駅。
    近くにはアーケードがあり大きな百貨店もあるためこの駅周辺はかなり賑わっている。
    まして今日はクリスマス・イヴ。
    街中は美しいツリーやイルミネーションに彩られ、手をつないで歩く恋人であふれている。
    修路はどうしてもその姿に自分と夕美を重ねていいたたまれなくなってしまい、柱の影に隠れて”周り”が見えないように白木たちが来るのを待つことにした。


    「お前なぁ何コソコソしてんだよ。他のヤツらから見たらどうみても変質者だぞ。」

    聞きなれた辛口の冗談、白木が待ち合わせ場所に来た。



    それから程なくして、全員揃い白木がセレクトした店に入る。
    修路は白木の”お目当ての娘”と席が隣になるようになってからは、とにかく食って飲むことにした。


    「修路クンさぁ、さっきから料理とお酒ばっかりだね。」

    料理に手を伸ばした修路に笑いながらそういったのは、向かいの座っている目がパッチリとした”お姉系”感漂う娘だった。

    「ひょっとして好きな子に振られたとか・・・。」

    その言葉を耳にした瞬間、修路の料理に向かう箸は止まっていた。

    「・・・キミエスパーかなんか?まさしくその通りだよ。」


    その会話をきっかけに2人はお互いの恋愛話で盛り上がっていた。話を聞くと最近失恋したばっかりで、同じように”穴埋め”として呼ばれたらしい。
    そんなお互いの似た境遇とアルコールが2人の壁をなくしていった。



    「私もさ、どうしてあんなやつと付き合ったんだろうって今じゃ後悔してるよ。あんな自分勝手なヤツとさぁ・・・。」

    そう言い、どこか遠くを見るような目をする彼女はものすごく寂しげに見える。

    「なんでそんなヤツと付き合ったんだよ?」

    しばらくして修路は思わず聞いてしまった。こんな寂しそうな目をさせる男に興味があった。

    「プロポーズ・・・かな。」

    彼女は顔を少し緩ませながら付け加えた。修路にはその顔がどこかうれしそうに見えた。

    「プロポーズの仕方がすごくよくって、言われた瞬間・・・完全に落ちちゃった。今思うとバカだよねぇ。」

    そう言ってまた、あの遠くを見る彼女の表情は2人の間に少しばかりの沈黙を流させた。



    「オレもプロポーズしたんだよ。」

    沈黙を破る修路の言葉。
    修路は彼女の方を見て少し笑みを浮かべながら、また前を向く。

    「でも、君と違って振られちゃったな・・・。」
    「結構がんばったんだけどなぁ。告白するときなんてさ、友達とかに頼んでセッティングまでして、公園の時計台の下に2人きりになるようにまでして・・・。」

    そこまで言って修路の口が止まる。その日もイヴだった。

    「どうしたの?」

    「あ、いやなんかそのときのこと思い出しちゃって・・・。」


    ガタッ

    急に修路が立ち上がる。

    「・・・ごめん、オレ帰るわ。金、ここにおいておくな。」

    彼女を含めた全員がきょとんとした目で修路を見ていたが、修辞の足はそんなこと意にも介さず出口に向かっていた。


    (そう言えば、あいつが急に帰るって言い出したのも、ご機嫌取ろうと思って今年のイブの話してからだったな・・・。)



    ちょうど一年前のこの日、修辞は夕美に告白した。あの公園の時計台の下で。


    ― ねぇ、一年後またここに来ようよ。そして、また私に告白して欲しい ―


    夕美が修路に言った言葉。修路ももちろん約束した。だが、恋人になって月日が経てば薄れるものだってある。
    まして、恋人ならもっと豪華な過ごし方なんていくらでもある。だから修路もそういったすごし方をしようと考えていた。


    一年前の約束。もう恋人でなくなってしまった二人。
    修路だって夕美が時計台の下にいるとは思っていない。
    でも二人が始まった場所で、約束の場所。
    もし、約束が果たせなくてもそこに行けば、修路の行くあてのない胸の奥にも踏ん切りがつくかもしれない。


    修路は夕美との一年間を振り返りながら、イヴの夜を彩るアーケードを駆け抜ける。
    付き合ってからは、肝心なところでやさしくできなかった自分、夕美が出て行くのを止めなかった自分、様々な後悔に襲われながらも修路は時計台の近くまで来ていた。


    今引き返せば、”振られた”現実に気づかなくてすむかも知れない。
    修路の頭に一瞬そうよぎった。
    1ヶ月も連絡が取れなくなっているのに、夕美に対する想いをどうしても捨てきれない。
    このまま現実を見ないでいたほうが傷つかずにすむだろう。

    しかし、修路にとっては行くあてのない胸の奥をどうにかしたい思いのほうが強かった。


    恐怖とほんの少しばかりの期待を込めながら時計台に近づく修路。
    修路が時計台の針に目をやると11時30分を過ぎていた。

    約束を果たせるのも残り20分と少し。
    それを見た修路は余計に不安が強くなったが、時計台の下に目をやると女性の人影が見えた。


    胸の奥が詰まって、目頭が熱くなる修路。夕美に”ありがとう”と”ごめん”の言葉を真っ先に言いたかった。


    時計台の真下まで来ると彼女は修路に背を向けていた。

    「夕美っ、あのな・・・。」

    彼女は少しもこちらを向こうとはしない。修路にとってはものすごくとがった背中に見える。

    「怒ってるよな・・・俺のこと。でもさっ、」

    無視されても修路には伝えたいことがある。修路は想いを伝えたくて、彼女の表情を確認したくて彼女に近づく。

    精一杯の勇気を振り絞って彼女の顔が見える位置に足を前に向ける
    身体の内側を何かにつかまれたような感触になりながらも修路は彼女が見える位置まで足を踏み入れた・・・。


    そこには知らない女性の顔があった。
    彼女は夕美ではなかったのだ。


    彼女は修路をみると一目散に走り去っていく。
    その走り去る音とともに修路の想いも崩れていった。修路はそのまま時計台の下で膝を突き文字通り”崩れて”いった。

    もとから期待していたわけではない。夕美がいるはずがないことも分かっていた。
    それでも、修路には重すぎる現実。

    瞳からはとめどなく涙が流れ、顔は歪み、心は行き場を失くす。
    流れ出る涙は先ほどまでのうれしさを堪えていたものではなくなっていた。
    修路にはただただ力なく泣くことしか出来なかった。

    修路の視界は涙であふれて何もかもがぼやけて見える。心もぼやけて世界中の何もかもがフィルターがかかって自分とは関係の無いように見えた。


    そのぼやけた修路の視界に、すっとハンカチを持った手が入って来た。
    修路はその突然に固まり、上を見上げる。



    その手の先には夕美が立っていた。


    「・・・来ないと思ってた。」

    突然の出来事に修路の頭は真っ白になる。会ったら一目散に言いたかった言葉も頭の中から消えてしまっていた。

    「夕美、どうしてここに・・・。」

    先ほどまでの涙と疲労で修路の顔はボロボロになっている。

    「ごめん、意地悪しちゃったね・・・あの時の―」

    夕美は修路に抱きつかれ言葉を失くす。

    「来てくれるなんて思わなかったよ・・・。ダメだと思ってた。」

    夕美の肌は冷え切っていた。
    その肌の冷たさが夕美の修路への想いの強さを感じさせ、修路に夕美を抱く力を強くさせた。

    「ごめん・・・連絡してくれてるの知ってたのに・・・私、怖くて。」

    声の弱さが修路に夕美の涙を伝える。

    「さっきから謝ってばっかり・・・ごめんな、もう離さないから。」

    夕美は修路の背中に手を回し身体を寄り添わせた。

    「ありがとう・・・私ももう出て行くなんて言わないから。」

    二人が力強く抱き合うとまるで、祝福するかのように時計台の鐘が鳴った。
    時計台の針は12を指していた。


    ― End ―
  • [4] mixiユーザー

    2006年12月09日 11:13

    朝ごはんやら何やらしてるうちにこんな時間に…。
    短いものなのでお気楽にどうぞ。
    ではノシ




    私は樅の木
    いや、正確には駅前のツリーだ
    毎年この時期、クリスマスシーズンになると飾られるんだよ
    重たいってのはあるけど、それで皆が楽しめるなら私はそれでいい
    ここにいると様々な人にも出会えるしね
    今から話すのは一組の家族のお話
    では聞いてもらおうか

    最初に彼らに出会ったのは、私がここに来て間もない頃
    その頃の私は少しふてくされていた
    だって森の中からいきなり連れてこられたんだよ?
    そりゃふてくされもするさ
    そんなある日のクリスマス
    彼は初めてのクリスマスデートだったのか、約束の時間よりもかなり早く来ていたようだった
    2時間くらい待っていただろうか
    彼女も早く来たようだが、彼がすでに来ているのを見てすまなそうにしていた
    ほら、お決まりの台詞というやつも聞けたさ
    「ごめん、待った?」
    「ううん、全然待ってないよ!」
    でも彼の赤い耳
    つないだその手の冷たさに彼女は気付いた
    そして烈火のごとく怒り出したんだ
    「ちょっと!いつから待ってたのよ!こんなに冷たくなるまで!」
    多分彼女といっても友達の延長だったんだろうね
    相手の事が心配で、でもそれが上手く言葉にならなくて
    もどかしさのあまり怒ってしまう
    若いなぁ
    でもその時彼はなんていったと思う
    「俺にとってお前を待つ時間は待ったうちに入らねーんだよ!」
    赤面したね
    私が
    木なのに
    何そのクサイ台詞
    そして何彼女もとろんとなってんの!
    その時確信したね
    こいつら大丈夫って
    それから毎年来てたしね

    それから何年経っただろう
    あのカップルも結婚したようで、ある年から一人の女の子を連れてくるようになった
    家も同じだろうにね
    なぜか毎年男の方が先に来るんだ
    そして彼女を待っている
    彼女(とその娘)が来たらお決まりの台詞
    「ごめん、待った?」
    「ううん、全然待ってないよ!」
    その頃には私も慣れていて、そんな彼らの姿を見るのが大好きになっていたよ
    ツリーの下で待ち合わせっていうのは古今東西、定番ってもんだし
    でもある年、少し変わっていたんだ
    彼が娘を連れてきた
    そして娘にカイロを渡しながら「ちょっと待っててね。」なんて言っている
    それから30分
    彼はその場から動かなかった
    いきなり振り返って一言
    「ううん、全然待ってないよ!」
    そういうと彼は、娘を呼び寄せ抱きしめながら泣いていた
    彼女死んじゃったんだろうね
    私も悲しくて電飾落としそうになったよ
    ずっと見てたから
    彼らの軌跡を

    そして彼は次の年からも、娘を連れて毎年私のところにやってきている
    多分娘が成人するまで続ける気じゃないかな
    母の思い出を残すために
    自分の思いを消さないために
    そんなところで私の話は終わり
    今日はこれまで
    おやすみ


    −終わり−

  • [5] mixiユーザー

    2006年12月10日 09:30

    タイトル:【負けたい人たち】

     
    「なあ、サンタクロースが居ないってわかったのいくつのときだった?」
     祐樹の唐突な質問に驚いて顔を上げると、祐樹は思いのほか真剣に私を見ていた。だから、よくある質問だって言うのになぜか私はどぎまぎして、言葉にならないうめき声を上げていたんだ。
    「えぁ?」って。
     別に、中学のときからの結構長い友人であるところの祐樹にそんな醜態をさらしたところで何の恥ずかしさもないんだけど、我ながら情けない声を出したなあって、少し反省した。
    そんな私の反省なんてお構いなしに、祐樹は続けた。
    「俺は小3の時でさ……親父がファミコン持って枕元にたってるの見ちまったんだよな」
    「あー、私のときも似たようなもんだったなあ」
     祐樹が何を言いたいのかちっともつかめないまま、何とはなしに相槌を打つ。
    「いつからなんだろうなあ、サンタクロースなんて居ないのが普通ってなっちまったのって」
    「別に、最初からじゃない? きっと無理やり居ることにしたんだよ、そのほうが盛り上がるから」
    「なんだかなあ……さびしくねえ? そういうのって」
     サンタクロースが居ないのがさびしいなんて、小学生じゃあるまいし、っていうかいまどきの小学生ですらきっとサンタクロースなんて信じていないのに。
     中学を卒業してから六年、別々の高校だった三年間を抜いたとしても、私と祐樹は長い時間を友人として過ごしてきた。変わらないなあ、と思う。祐樹は普段は必要以上にしっかりしているくせに、どこか幼い。私なんかよりずっと身長もあるし、大学に入ってから武道をはじめて、ガタイだってずいぶんよくなったというのに。中学生だったあのころと、中身はぜんぜん変わっていない、というか、未だにメルヘンで素っ頓狂な事を言い出しては、祐樹の後輩や私を困らせる。
     とは言うものの、私だってそういう祐樹の扱いに慣れているから、不意をつかれなければそれなりの対応ができるわけだけど。
    「じゃあさ、賭けようよ? サンタクロースが居るか居ないか……じゃ面白くないから、サンタクロースが祐樹ん家に来るか来ないか」
     私がそう提案すると祐樹は困ったように笑った。
    「おまえって、たまに変なことを言うよなあ。来ないに決まってるじゃんか、賭けになんねーよ」
    「でもさ、賭けるとなんか来そうな気がしない? 宝くじとか、当たらないに決まってるのに買ったら急に当たるような気がする。あれと同じだよ」
    「それは違うと思うけど……じゃ、俺は来ないほうに賭ける」
    「あ、私も」
    「……やっぱ賭けにならないじゃねーか」
     ……そりゃね。


     その時は、それだけ。
     でも、思うにこんな馬鹿な話をしなければ、こんなことにはならなかったのにと、クリスマスイブの今となっては思う。
     取り返しのつかないことをしたなあ、と。
     でも、いまさらなかったことにはできないから。
     結局、祐樹と私は責任を持って自分たちのしでかしたことの後始末をしなくちゃいけない。
     ほんの数時間前、ケーキとワインを持って祐樹の家を訪ねた時は、まさかこんなことになるなんて考えもしてなかったのに。

     
     アパートの古びたチャイムを押すと、ピン、と音がした。十秒ほどその余韻を存分に楽しんでから、押し込んでいた指を離す。すると、ポーンと間抜けな音がしてに祐樹の声が聞こえた。
    「お前それいい加減やめろよな。まあいいや、入れよ」
     インターホンの押し方で来訪者が誰かわかったのか、特に確認せずに祐樹は言った。
     お言葉に甘えて、アパートのドアを開ける。
    安アパートにありがちな六畳一間の部屋の真ん中でコタツに入った祐樹が私を見て「よう!」と声をかけたまま固まってしまった。
     それは端から見たらとても間抜けな光景だったと思うけど、私もクリスマス特有の赤いもさもさした服を着た祐樹を指差して絶句してしまっていたのだから、きっとおあいこなんだと思う。
    「……ねえ、祐樹。その鍋、ずいぶん具が多いけど私以外に誰か来る予定でもあるのか?」
     本当に聞きたかったのはそんなことじゃないのだけれど、それをいきなりたずねることは私にはできなかった。私はそんな猛者じゃない。
    「ん、ああ。いや、誰も呼んでない」
    「多すぎるでしょ!それ五人分くらいあるよ!」
     仮に余分にサンタがきたってそんな食べきれないよ!
    「ちょっとクリスマスだからって調子に乗りすぎただけだよ」
    「独り身なのになんでそんな勢い出しちゃってるの!」
    「そうは言うけどさ、お前のその手に持ってるの何?」
     わかっているくせに、祐樹が言う。
    「別に、ケーキだよ」
    「……なんでホールなんだよ! お前どんだけケーキ食うんだよ!」
     悪かったね。つい変な勢いに乗っちゃったんだよ。
    「「……はぁ」」
     期せずして二人同時にため息をつく。
    「ま、食おうぜ」
     もう指摘するのも疲れると言わんばかりに、祐樹は言った。
     実際、口にしないでこのまま何事もなかったように過ごすって言うのもありだった。
     でも、私はどうしても祐樹に尋ねずに居られないことがあった。
     本当は祐樹もそうだったのだと思う。
    「ねえ、祐樹。その格好はなに?」
     気まずげに、どこかほっとしたように祐樹が言う。
    「……見りゃわかるだろ、サンタだよ」
     口に出してしまったら、今度は祐樹の番だった。
    「で、祥子のその格好は何?」
    「……見りゃわかるでしょ、サンタ」
    「なんで?」
     それは私が祐樹に聞きたかった事だ。だってこの場合聞かれたほうが負けるに決まってる。
    「……サンタクロースが居ないならさ、サンタクロースになれば良いじゃないって」
    「うわ……馬鹿だなあ……」
     心底嫌そうに祐樹は言うけれど、それ、あなたには言う資格がないから。
    「もう良いから、ワイン飲みましょ。お酒でも入れないとやってられない」
     言って、持ってきたワインを祐樹に差し出すと、祐樹は何故か渋い顔をしてコタツの中に手を突っ込んだ。何をするのかと思って私が見ていると祐樹はコタツの中からはワインを取り出した。……渋い顔のまま。
    「どうしてコタツの中からワインが出てくるのよ!!」
    「ホットワインだよ!」
    「前々から思ってたけど! 祐樹馬鹿でしょ!!」
     いっそ泣きたい気持ちで怒鳴る。
     六畳一間の安アパートに、五人前の鍋がひとつ、ホールのケーキがひとつ、コタツに入っていたワインがひとつと私が持ってきたワインがひとつ。それに、二人のサンタクロースが頭を抱えて暗い顔でその惨状を眺めていた。
     どうすんの……これ。
     祐樹を見ると、何かいいたそうにこちらを眺めてるから、私は先に言ってやる事にした。
     ……ほんっっっとに
    「馬鹿じゃないの!」「馬鹿じゃねーの!」

     そんなわけで、私と祐樹はまだ友達のまま。
     来年の、延長戦にもつれこんだ。
  • [6] mixiユーザー

    2006年12月17日 12:23

    タイトル:【その夜に】


    ボクはもう子供じゃない。

    人をカンタンに信じちゃいけないって知ってる。

    だいたい、勝手に家に入るなんて、ヘンだ。
    前にお父さんに聞くと、

    「魔法を使えるんだよ」

    って言ってた。
    魔法が使えるような人が、家に入るなんてブッソウだ。フホウなんとかだ。

    ボクはもう子供じゃないのだからニュースだって見てる。
    最近は”強とう”とか”殺人”とかが、おこってるんだ。

    ”オレオレサギ”だって知ってるし、もっとスゴい事件だっておこってる。

    ちょっとだけ、意味がわかんないから、お父さんに聞くと、

    「人のフリをして犯罪をする悪い人の事だよ」

    って言ってた。
    人のフリをするような悪人が今はタクサンいるんだ。

    ボクはニュースやお父さんの話からスイリできる。
    魔法が使えるだけの人が、マネして家に来たら、とってもブッソウだと。

    ボクだってプレゼントは欲しいけど、もう子供じゃないのだから、ガマンだってできる。
    もし悪い魔法使いが、家に入ってきてしまったらどうなるかわかってるんだ。

    ”強とう”とか”殺人”されてしまう。
    プレゼントなんかより、お父さんやお母さん、ボクの妹になった、ゆうちゃんのほうが、とっても大事だ。

    もしもホンモノだったら、プレゼントはもらえないんだけれど……

    野球をやってる友達からバットを借りてきた。

    ボクはもう子供じゃないのだから。

    ― End ―
  • [7] mixiユーザー

    2006年12月24日 16:38

     「ジェリクル・デイズ」

    「ジェリクルキャッツを知っているか?
    生まれたのか? 闇の中に
    恐れないか? 何者をも
    黙ったまま、耐えて強く
    生き抜けるか? その孤独を
    そう、ジェリクル、我らジェリクルキャッツ
    ジェリクル、いつも望む。誇り高く、やり抜くのさ
    嵐が来るその気配を、見逃さずに感じられるか?
    傷ついても、迷わないで、行き着けるか? 天上へも」
     

     平成になって16年も過ぎると、人との出会いだって前衛的に、アーティスティックに、意味不明に、人に説明するのが難しくなってくる。
     だからというわけでもないけど、僕が友人であるところの三道克に出会ったときのことをわかりやすく人に説明するのはとても難しい。
     つまり、僕とその三道克の出会いは衝撃的ではあったものの、その衝撃度合いを人に理解してもらうのはきっと無理なんだろうなあ、と。僕は思わずには居られない。
     前衛的で、アーティスティックで、意味不明だからだ。
     ただ、こういうとき、例えば今ひとつ踏ん切りがつかなくて、にっちもさっちもいかないとき。
     例えば自分に自信がなくなってしまって、誰かに背中を押してもらいたいとき。
     僕は克の事を思い出しては、彼との思い出に不思議なパワーをもらっている。
     だから今、僕は克の事を話したくて仕方ないんだ。
     最初に声をかけてきた克の言葉は、それはもうはっきりと覚えているのだけれど、未だにその意味だけは正確にはつかめていない。
     それでも、聞いてもらえるかな?
     ありがとう。
     克と出会ったあの日は、高校はじめの始業式の日の事だった。

    「くだらないなあ」
     思わず口に出してつぶやいてしまってから、はっと辺りを見回す。幸い、誰にも聞かれていないようだったので胸をなでおろすと、担任の先生が「じゃあ次の人、自己紹介をお願いします」と教室の一角を差すのが見えた。
     クラスが決まって最初の行事と言えば、何はともあれ自己紹介だ。
     このときだけは妙にうれしそうな顔で(それから一度だってこんな顔は拝んだ事がない)先生が生徒を指し示していく。
     廊下側の端の席から、渋々と、あるいは好き好んで立ち上がって、自分のパーソナリティを発表していく。
     僕はこの自己紹介というやつがことのほか大嫌いだ。
     理解できないけど妙に場慣れしたやつだって名前と出身中学、そのとき所属していた部活、それから気の利いたことをせいぜい一言二言言っておしまい。僕にいたっては名前と出身中学だけ。いったいそれだけでその人の何が判るって言うんだ?
     ドキドキと音を立てる心臓にすらわずらわしさを感じて、舌打ちをしそうになる。でも、舌打ちは好きじゃないからと我慢して、その代わりに周りに聞こえない限界の範囲でため息をひとつ。
     そうやって、いずれ来る自分の番に向けて、諦めにも似た覚悟を決めていく。
    「ジェリクルじゃねぇなー」
     不意に声をかけられて前の席を見ると、いかにもこれから楽しい高校生活を送りますとでも宣言しそうな、軽薄な笑顔の男子が、振り返って僕を見ていた。
     仲良くなれそうに無いタイプだなあってのが最初の印象。
     それでも、初対面の人間にさっぱり意味のわからない単語を投げかけてくる同級生に少しだけ興味を持って、小声で聞き返してやる。
    「ジェリクルってなんだよ?」
     そいつは、ごく当たり前の質問にとぼけたような声を返した。
    「あー、いや、俺にもよくわかんね」
    「は?」
    「ただ、なんとなく」
    「なんとなく?」
    「ジェリクルじゃねーなあって」
     ……だからそのジェリクルって何だよ?
    「お前の中学ではそういうの流行ってたのか?」
     思いつく事といったらそれくらい。
     中学生のときだったら、そういう曖昧な言葉がが流行っていたってしょうがない。高校にあがるときまでには卒業しておけよって思わなくも無いけど。
     でも、そんな僕の予想に反してそいつは言った。
    「いや、ぜんぜん。そういうのって何だよ?」
     あまりに素の表情でそんな質問を返してくるから、僕はさっぱりわからなくなってしまった。
     「あのなあ、お前もわからない、僕もわからない、誰もわからないそのジェリクルってのじゃ無かったとして、それがいったい何なんだ?」
     それでも、何とかそいつの言ってる事を理解しようと質問すると、僕の言葉にそいつは、深くうなずいた。
     したり顔で。
    「ジェリクルじゃないとまずいだろ?」
    「わからねーよ!」
     小声で怒鳴るなんて器用なことをさせられた。
     くだらない。単にこいつは僕をからかっているだけなんじゃないのか?
     そんな僕の考えを見越したのか、そいつは僕を見つめる。
    「お前さ、さっきくだらないって言ったろ?」
     聞かれてたのか、とため息をつく。
    「言ったよ。くだらないだろ? 自己紹介なんて」
    「まあ、くだらないけどな」
    「だろ?」
    「ああ、でもそれじゃ、ジェリクルとはいえない」
     また出た、ジェリクルだ。
    「じゃあさ、お前の言うそのジェリクルって何なんだよ?」
     話していたら、ちょうどクラスの一人が自己紹介を終えたところだった。先生はさっきから後ろを向いて僕と話し込んでいるそいつが気になったのか「じゃあ、三道、お前自己紹介しろ」と順番をすっ飛ばしてそいつを指名した。
     まさか次僕じゃないだろうな? と不安に思ったものの、妙に自信満々にそいつが立ち上がったのを見て、少し期待してしまう。
     ましてそいつが「ジェリクルってのがどういうのか教えてやるよ」なんて言うから、僕はそいつの自己紹介を一言一句聞き漏らさないように、今までの人生で一番集中してそいつの自己紹介を聞いた。
    「三道克です。出身中学は大津ヶ谷中学校で、趣味は演劇です。よろしくお願いします」
     …………うん、それで?
    「以上です」
    「って普通じゃん! ジェリクルはどうした!?」
     ……あ。
     思わず立ち上がって本当に怒鳴ってしまってから周りを見渡すと、呆気にとられたクラスメイトが僕を呆然と眺めていた。
     それからの高校での三年間、僕のあだ名はジェリクルだった。
     ……痛い。

     今にして思うと、確かにその出会いはジェリクルだったと思う。ミラクルだったって言い換えてもいい。
     あの自己紹介も、もしかしたらジェリクルなのかもしれない。もっとも、未だにそのジェリクルの意味はよくわかっては無いのだけれど。
     ある日、克が教えてくれた。
     劇団四季のミュージカル「キャッツ」にジェリクルキャッツと呼ばれる猫たちが出ているそうだ。
     その猫たちは、とても魅力的で、迫力のある笑顔をしていて、良い事も、悪い事も、何でも楽しそうにやり抜いてみせるのだと言う。
     そしてあっさりと、飛び越えてみせる。
     何を? と僕が聞くと彼は「いろいろ」とお茶をにごすのだ。
     まあでも、確かに色々としか言いようが無いのかもしれない。
     僕はその色々なんて曖昧なものに、こうも勇気付けられてるわけだし。
     そう、確かあれは学校の帰り道、コンビニでお弁当を買っているときの事だったと思う。

     
    「だからさ、ジェリクルキャッツってのは格好良いんだよ。そして強いんだ」
    「僕はジェリクルなんてあだ名つけられてもちっともうれしくない」
    「そりゃ、お前ジェリクルキャッツを知らないだろ?」
     選ぶでも無くお弁当を眺めながら、克は言う。
     他人事だとおもいやがって。
    「じゃあ、ジェリクルのあだ名を克にやるよ」
    「ばーか、ほんとにジェリクルじゃねーなあ、翔太は」
    「最近なぜか本名で呼ばれるとほっとするんだよ、僕は」
     くだらない言い合いをしながら、お弁当を手にとってレジに持っていく。
     暖めてくださいと伝えて、店員のお兄さんがお弁当をレンジに入れるのを見て、克に声をかける。
    「克、弁当買わねーの?」
    「ん、ああ……今、金無くてさ」
    「そか」
     最近、克はお金を節約するようになった。彼女にプレゼントを贈りたいんだそうだ。
     僕にはそういう相手がいないからわからないけれど、一般論としてならそういう気持ちもわからなくも無いから、僕は何も言わずに財布を開いた。
     そのとき、ポン! と破裂音がした。
     どうしたのかな? と思っていると、店員のお兄さんがあわてて僕に頭を下げた。
    「すいません、お客様申し訳ありません」
     恐縮して、何度も頭を下げる店員に辟易してレンジのほうを見ると、しょうゆまみれになったお弁当がレンジの横においてあるのがわかった。
     あーあ、やっちゃったのか。
     今新しいのをお持ちしますから、と店員さんが新しいお弁当をレンジに入れる。
     一瞬止めようと思ったのだけれど、間に合わずにレンジのスイッチを入れてしまった店員さんを見て、あきらめた。
    「克、これはジェリクル?」
    「これをジェリクルとするかどうかは人によるんじゃねえ?」
    「まあ、くだらない出来事はではあるなあ」
    「お前のそのくだらないってやつ、よくわからねえよ」
    「お互い様だろ」
     言ってるうちにお弁当が温まり、会計を済ませてコンビニを出る。
     自動ドア越しに振り返ると、レンジの横にしょうゆまみれになったお弁当が置いてあるのが見えた。
     あれ、やっぱり廃棄になっちゃんだろうなあ。
    「あ、わるい、ちょっと公園で待ってて」
    「あいよ」
     気になってしまうとそのまま帰るのも後味が悪い。
     引き返してコンビニのお兄さんに声をかける事にした。
    「やっぱり、さっきのお弁当も売ってください。廃棄になったらもったいないですし」
     しきりに恐縮して店員さんは断ったのだけれど、僕が本当に買う気でいるのがわかったのか、店員さんは売ってくれた。
     コンビニを出て、隣の公園で待っていた克のもとに行くと、僕はさっき買ったしょうゆまみれのお弁当を差し出した。
    「ほら、これ、僕のおごり」
     自分でも、嫌がらせなんだか好意なんだかわからないそのお弁当を見て、克は何故だか本当に楽しそうに笑った。
    「何だよ翔太、お前ジェリクルじゃんか」
     相変わらず、わからない。
     そういうことなら、と克は缶コーラを買ってきて僕に差し出す。
    「ほら、翔太、俺のおごり」
     その時、僕にはわかってしまった。
     ジェリクルの意味は相変わらずわからないのだけれど、ジェリクルな克ならどうするか。
    「どうせこれ、振ってあるんだろ?」
    「そりゃそうだ、これのお返しなんだから」
     言って克はしょうゆまみれのお弁当を指差す。
    「だよな」
     僕は笑った。多分、心のそこから。
    「小学生のころさ、缶コーラを思いっきり振ってそこに名札を留めるピンで穴空けてさ」
    「あああ! あったあった! 翔太もやってたんだ、水鉄砲みたいに勢いよく噴出すコーラを飲むんだよな」
     勢いよくプルタブを空けると、盛大にコーラが噴出す。
     くだらない事だけど、これもジェリクルなんだろうなあと僕は思った。
    「あれはくだらないよなあ」
    「ジェリクルだよなあ」

     
     僕たちはそうやって、ジェリクルでくだらない高校の三年間を過ごした。
     高校をでて、克が東京で一人暮らしをするようになってからはあまり克と会う事はなくなってしまったけれど、未だに克のことを思い出すと、まだジェリクルとか言ってるんだろうなと懐かしい気持ちになる。
     そうそう、実は僕はクリスマスイブの今日、ある人に告白しようと思う。
     何かを決断したときには必ず、自信が無いような、やり遂げたいような、不安定な自分を自覚する。きっとみんなそうなんだと思う。
     そんなときは克の言葉を思い出すと良い。
    「なんだ、お前ジェリクルじゃんか」
     くだらないと僕は思うけど、克は言う。ジェリクルだから、きっとうまく行くさ。
     まあさ、これだけのことを言うだけなのに、こんなに長々と時間を取らせてしまったのは申し訳ないと思う。
     でも、ジェリクルという言葉の、意味がわからなくてくだらないこの言葉を頭に浮かべたとき、僕は不思議な温かさを覚えるんだ。
     ジェリクルの意味なんて未だにわからないけれど、ね。

     
    「ジェリクルキャッツ集まる
    ジェリクルキャッツ、出て来る
    ジェリクルムーン輝く
    ジェリクル、今夜舞踏会
    ジェリクルキャッツは黒と白
    ジェリクルキャッツは小柄
    ジェリクルキャッツは陽気だ
    鳴き声さえも 楽しい 」
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  • 2006年12月31日 (日)
  • 都道府県未定
  • 2006年12月31日 (日) 締切
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