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開催終了第25回北京日本人学術交流会

詳細

2010年06月05日 15:16 更新

みなさん

 いつもお世話になっています。
 日ごろのみなさんのご理解とご支援に感謝します。
 山口直樹@北京日本人学術交流会です。
 20世紀が、「戦争と革命の世紀」だったとはよく言われることですが、今回
は、「20世紀の社会主義とはなんであったのか」という根源的な問いに答えよう
と試みる報告です。
 中国人民大学で博士号を取得され、北京科技大学で日本語講師をされている吉
田陽介氏に日中の共産党に焦点をあてた「国際共産主義運動大論争期における日
中共産党関係」という報告をしていただきます。
 力のこもった報告になることが予想されます。ご関心とお時間がある方は、ご
参加いただければ、幸いです。資料などの用意の関係で6月9日の深夜までに連絡
係の坂本まで(green.forest1023 @gmail.com(@マークを左につめてください。迷
惑メール防止のため) )参加希望のメールをお願いいたします。
 それではよろしくお願いいたします。

日時;2010年6月12日(土)午後4時から質疑応答を含め約二時間、その後、報告者
を囲む懇親会あり。
場所:北京大学付近の料理店で開催予定
題目;国際共産主義運動大論争期における日中共産党関係
報告者:吉田陽介(北京科技大学日本語講師)
言語:日本語
参加費:10元(資料代と運営費含む)
報告要旨
 社会主義は何だったか?ソ連崩壊後、さまざまな角度から20世紀に登場した社
会主義の問題に関する分析がなされてきた。20世紀社会主義にはいくつかのター
ニングポイントがあったと考えられる。本報告で取り上げる1956〜66年に展開さ
れた国際共産主義運動の大論争も、社会主義世界の団結が崩れ、社会主義モデル
の多様性を模索し始めたという点で、ターニングポイントのひとつであるといえる。
 世界各国の共産党が大論争を展開していた時期、中国共産党および日本共産党
は「自主独立」の原則を堅持して他国の社会主義モデルの引き写しには消極的な
態度をとっていた。特に、日本共産党は論争不介入の立場をとり、他国の党の干
渉を嫌っていた。公式の党史によると、この時期、日中両国共産党は「自主独
立」を堅持する党として比較的よい関係を保っていたという。しかし、両国共産
党は理論面でいくつかの違いがあり、後にそれが顕在化してくる。さらに、中国
共産党の干渉が始まるのである。本報告は、日中両国共産党の理論面の違いを概
観し、日本共産党の自主独立、中国共産党のそれを検討し、論争期の経験が日中
両国共産党の路線にいかに受け継がれているかを検討する
  
(1)日中両国共産党の理論的差異
日中両国共産党は理論面で以下の違いがあった。
  第一に、帝国主義に関する認識に若干のずれがあった。周知のように、日本
共産党は、綱領で「アメリカ帝国主義に対する闘争」を呼びかけている。中国共
産党とソ連共産党が論争を展開しているとき、アメリカの対外政策の性質を分析
し、その侵略性を暴露、ソ連共産党のアメリカ帝国主義論に反対した。その点
は、日中両国共産党の見解は一致しているが、中国共産党はアメリカ帝国主義の
侵略性のみを強調し、それが時代によって変わるという認識が欠如していた。
  第二に、修正主義について、認識の違いがあった。日中両国共産党関係が分
裂してから、中国共産党は日本共産党を「日共修正主義」として、日中関係を阻
害する敵のひとつとした。日本共産党の修正主義に関する認識は「アメリカ帝国
主義に追随する者」である。それに対し、中国共産党のそれは国際論争が進むに
つれて、修正主義者かどうかの基準は毛沢東思想に反するものを修正主義という
認識になった。これは、大きな対立点となった。
  第三に、戦争と平和の問題で、対立があった。中国共産党はソ連共産党との
論争においても世界戦争不可避論を唱えており、革命戦争を起こしてもよいとい
う考えであった。しかし、日本共産党は、ソ連共産党路線を批判しつつも、中国
共産党の路線には抵抗を感じていたようで、全面的に世界戦争不可避論を唱えて
はいない。
  第四に、革命に関する考えに大きな違いがあった。日中両国共産党は、非平
和的手段による革命を模索していた時期があったが、日本の国情では暴力革命の
展開には不利な状況であったため、日本共産党は次第に平和的手段による革命路
線を模索していく。その一方で、中国共産党は、論争が進む中で、武装闘争によ
る革命を模索していき、世界革命を推進してく。
  第五に、世界共産党関係について意見の相違が見られた。日本共産党は国際
共産主義運動の中で『モスクワ宣言』、『モスクワ声明』を堅持し、世界各国共
産党の団結を強く呼びかけた。また、日本共産党は、国際共産主義運動における
「指導党」の考えに反対し、完全平等原則にもとづいた党間関係の確立を訴え
た。一方、中国共産党は国際共産主義運動について、分裂は不可避という立場に
立ち、国際連帯を強調する日本共産党とは一線を画していた。また、中国共産党
は「ソ連を頭とする」という考えを提起しており、基本的に指導党の考えには賛
成であった。
 以上5つの不一致点のうち、当時のソ連に対する評価は最も日中両党間の大き
な対立点といえる。1966年2〜3月に開かれた日中両党会談の席上、国際反帝統
一戦線問題を話し合った際に顕著にあらわれた。日中両党関係が分裂してから
は、日本共産党は現代修正主義のレッテルをはられ、対立状態に突入するのである。

 (2)日中両国共産党の自主独立
  「自主独立」は世界共産党関係の原則の中で、最も重要な原則である。20世
紀の社会主義運動を回顧すると、この原則に沿ったものとは言いがたい。��小平
が後に指摘するように各国の共産党は自国の国情に応じて社会主義運動を展開せ
ねばならない。
 国際共産主義運動の大論争期の日中両国共産党も「自主独立」の原則を堅持し
ていた。しかし、それらは似て非なるものといってよい。
 日中両国共産党の自主独立は「愛国主義と国際主義の結合」である。これは自
国の国情に合わせて理論を構築し、国際問題では他の国の党と連帯するというも
のである。中国共産党はコミンテルンに依拠せず、自国の革命路線を確立して
いった。しかし、国際論争が進むにつれ、中国共産党の国際主義は自国のモデル
をおしつけるものへと変貌していき、中国が世界革命の盟主になろうとした。し
たがって、大論争期の中国の自主独立路線は、対ソ連共産党自主路線といえる。
 日本共産党の自主独立は、時とともに発展してきた。日本共産党の理論をみる
と、独自なものが少ない。ソ連共産党、中国共産党の理論を取り入れ、自国の事
情にあった形で発展させている。例えば、反帝国主義闘争面では、中国共産党の
理論、議会闘争を中心とした革命闘争では、ソ連共産党の理論が取り入れられて
いる。したがって、ソ連共産党と論争を繰り広げていたときは、中国共産党の理
論に依拠し、中国共産党と理論的衝突があったときはソ連共産党の理論に傾いた。
 
(3)国際共産主義大論争期日中両国共産党関係の教訓
 当時の日中両国共産党関係は理論的対立があり、不正常なものとなった。当時
の両党関係の教訓はどのようなものか。それは以下の点である。
 第一に、「わが党が正しい」という言い方は世界共産党関係の分裂を招きやす
い。国際共産主義運動の論争に関する文章をみると、「わが党の正しさが証明さ
れた」というような文言がある。マルクス主義の解釈は各国の共産党によって違
う。共産党の数だけ「真理」が存在するといえる。当時の「わが党が正しい」と
いうような姿勢は、世界の共産党の団結に不利である。
 第二に、世界共産党関係においては、「闘争の精神」ではなく、「和の精神」
が必要である。当時中国共産党を指導していた毛沢東の根本的思想は「闘争の哲
学」である。毛沢東は国際共産主義運動においても、常に闘争を呼びかけてい
た。一方、日本共産党は、双方に一致点があれば、その範囲内で団結するという
立場にあった。国際的な闘争を展開しているときは「闘争の哲学」は有効だが、
平和な時代にあっては、「和の精神」でもって他党と連帯することが必要であろう。
 第三に、社会主義理論は常に進歩していること認識することが必要である。20
世紀社会主義の根本的問題は「教条主義」に陥り、時代に合わせて理論を発展さ
せないことにあった。これは、日中両国関係にもみられた。例えば、革命問題で
日中両党は大きく対立した。ある一定の時期においては、暴力革命は有効だった
かも知れない。しかし、時代が変わり、平和的闘争が可能になった。その状況下
で、暴力革命を実行するならば、多くの国民の支持を得られなくなるだろう。社
会主義は科学である。時とともに発展させることは大切である。
第四に、「自主独立、完全平等、相互尊重、相互不干渉」の原則を堅持しなけれ
ばならない。この四つの党間関係の原則は現在中国共産党が掲げている原則だ
が、これは国際共産主義大論争期には守られたとは言いがたかった。現在は当時
の教訓を汲み、党間関係を処理する基本原則となっている。特に「相互不干渉」
の原則は社会主義モデルの多様性を認めるためにも、守らねばならないものである。

おわりに
 ソ連崩壊後、世界の共産主義運動は停滞期を迎え、かつてのように世界の共産
党が団結して国際的闘争を行うということはなくなった。しかし、世界には少な
いながらも共産党は存在している。今後日本、中国をふくめた共産党はいかなる
方向に向かうのだろうか。
 かつて、世界の共産党はイデオロギーの違いが原因で大論争を展開し、共産党
関係を損ねた。これは、日本共産党も中国共産党も同じである。今後、各国の共
産党はイデオロギーの差異を認め合い、共産党以外との党と一定の目標の範囲内
で友好関係を深め、国際調和社会を打ち立てねばならない。現在、日本共産党も
中国共産党もその方向に向かっている。また、理論面では自主独立の原則を堅持
する一方、各国党との理論交流を進め、21世紀型社会主義とは何かという課題に
取り組むことも重要である。

北京日本人学術交流会代表:山口直樹(ngodzilla21@yahoo.co.jp)
http://j.peopledaily.com.cn/96507/97399/6683162.html

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