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開催終了ヴィジュアル・ナラティヴ研究の可能性

詳細

2009年08月18日 23:10 更新

日本心理学会 第73回大会 8月26日 12時半−14時半 立命館大学

ビジュアル・ナラティヴ研究の可能性

企画者
京都大学 やまだようこ
司会者
京都大学 やまだようこ
話題提供者
国学院大学 斉藤こずゑ
島根大学 家島明彦
京都大学  新井一寛

ヴィジュアル・ナラティヴ研究の可能性
Perspectives of Visual Narrative Researches

企画趣旨
ナラティヴ(語り・物語)研究は、心理学だけではなく社会学や人類学など他の学問分野とも学横断的に21世紀の新しい質的研究の大きな潮流をかたちづくっている。しかし、ナラティヴ研究が「はじめにことばありき」という西欧的世界観から出発しているだけに、狭義の言語中心主義を脱しきれていない懸念がある。
 本ワークショップでは、イメージ画、人類学における映像表現、漫画やアニメ、VTRによる子どもの観察記録も含めて、それらを新たにヴィジュアル・ナラティヴと位置づけることによって、研究者と研究参与者の関係性や映像や視覚メディアについて理論的・方法的な新しい可能性を提案してみたい。話題提供のテーマは、以下のようである。「ファインダーの裏側−映像データの語る観察者のナラティヴ(斉藤)」「文化的ヴィジュアル・ナラティヴとしてのマンガが持つ可能性−国内外の若者はマンガから何を学んでいるのか(家島)」「ヴィジュアル・ナラティヴの生成と『映像作品』の生成(新井)」

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斉藤こずゑ(國學院大學文学部)

ファインダーの裏側:映像データの語る観察者のナラティヴ
(The opposite side of the finder:
the observer's narrative depicted by the visualized data.)

 発達研究における映像による観察記録が可能になって久しいが、映像データは言語プロトコル化や数量化の基礎データとして利用されるだけであり、映像データ自体が研究発表の主要媒体となることはほとんどない。この手付かずのまま放置された映像データには、観察対象となる子どもの言動や子どもを取り巻く環境について、未分析の意味づけが残されている可能性がある。
 しかしさらに重大なことは、観察研究における映像データは、その言語化バージョンの研究論文においては表現されることの少ない、映像制作者としての研究者の身体性や内面が記録されている唯一のメディアであることである。カメラのファインダーのこちら側の研究者の研究行為は、研究者のナラティヴとして跡づけ的にことばで語られることはあったかもしれない。しかし映像データは、観察現場の研究者の営みを、その時間空間における映像制作の視点という形で直接的に写し取っている。このファインダーの裏側の「研究者の視点」の推移に注目することは、研究者の研究行為を映像ナラティブとして意味づけ明らかにすることである。発達研究においては国内外で多くの映像データが蓄積されてきたが、その映像データについて、研究者の映像ナラティブとしての分析は未踏である。
 さらにその分析は、ファインダーの表側の子どもの発達を、抽象的客観的な架空の研究者の視点から意味づけるのではなく、実際の研究者の身体性に基づく視点から、双方向的関係において意味づけ直すことも可能にするものと思われる。そこで、今後の発達研究における、新たな、映像による発達研究方法となるはずである。

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家島明彦(島根大学 教育開発センター)

文化的ヴィジュアル・ナラティヴとしてのマンガが持つ可能性:〜国内外の若者はマンガから何を学んでいるのか〜」

 日本のマンガに関する研究は主として表現形式に関する研究が多かった。しかし、マンガを文化的で視覚的なナラティヴとして捉え直してみると、パーソナル・ナラティヴやナラティヴ・アイデンティティといった概念との関連が考えられ、文化と個人の間で生じているナラティヴの次元での相互作用という問いが生じてくる。当日は日本のストーリーマンガの発展の歴史、国際的な展開、そしてマンガが持つ国内外における若者への影響力についての概要を発表する予定である。

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新井一寛(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科)

「ヴィジュアル・ナラティヴの生成と『映像作品』の生成
(The Generation of Visual Narratives and the “Film Work”)」
まず、映像人類学における、客観・主観論争と映像作品の関係から最近の理論動向について述べる。その後、第二回「映像ナラティヴワークショップ」(2008年、企画:やまだようこ)での『同居とカメラ』(新井)の上映を踏まえて、また本WS企画者であるやまだのナラティヴ研究の理論モデルを参考にして、ナラティヴ撮影者・被撮影者・視聴者の関係性が、常にずれを生み出す可能性をもちながらも相互反照的・侵食的に「ひとつ」の「テクスト」に加工されていく過程そのものを『映像作品』とする手法が、ヴィジュアル・ナラティヴ研究に有効な理論的・方法論的な視座を与えるかどうかについて話題を提供したい。

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  • 2009年08月26日 (水)
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