全盛期のサン・ラ・アーケストラのベーシストを務め、セシル・テイラー、アルバート・アイラー、ビル・ディクソン、アーチー・シェップら名だたる巨匠たちと共に時代を歩んできた前衛ジャズの生き証人アラン・シルヴァ (1939年生まれ)が来日し、1969年にフランスで創立した伝説のフリー・ジャズ・オーケストラの日本ヴァージョンを六本木スーパー・デラックスで率いる。おそらく今年、世界で一度だけ行われるCelestrial Communication Orchestraの公演、メンバーも実に《スーパーデラックス》です。お見逃しなく!
Alan Silvaとは 稀代のベーシスト、アラン・シルヴァは、「ジャズの十月革命」を端緒としたフリージャズ・ムーヴメントの真っ只中にいた主要なイノベーターのひとりだ。彼はまたオーケストラにおける集団即興演奏をもっとも早い時期から追求してきたミュージシャンの一人でもある。1969年パリに移って間もなく、錚々たるメンバーで立ち上げたCelestrial Communication Orchestra(CCO)は『Luna Surface』を録音、翌1970年にも『Seasons』という傑作を続けて出す。大規模な編成なため継続的な活動は難しかったと考えられるが、状況に合わせてメンバーを変えながらCCOの活動は断続的に続いている。近年はVision Orchestraを指揮するなどシルヴァのオーケストラでの演奏活動に対する意欲は全く衰えていない。今回、日本の精鋭を集めてCCOの東京公演が思いもかけず実現する運びとなった。集団即興演奏の方法論はひととおりではない。リーダーのコンセプトと意志、ミュージシャン各々の個性が出会った時にその地平が開かれる。CCOは伝説から今を体現するプロジェクトとして更新されていくだろう。その貴重な瞬間に立ち会えるのを今から楽しみにしている。 [横井一江]