最近、『砂漠の風』というスイス映画に関わっている。どういう風に関わっているかというと、この映画の試写会を博多中洲の映画館で行おうということ。
先日書いた福岡とその近辺に住むスイス人、カナダ人、スペイン人、日本人からなるグループによるプロジェクトだ(このグループ、StreamLogic Fukuoka という。なかなか深い意味をもつ名前だ)。
ことの起こりは、この映画のDVDをスイス人のSがグループに持ち込んで皆でそれを見たこと。その内容にとても感動した。テーマは、西欧社会で生きる男たちの内面の問題にどう折り合いをつけるかということだ。できあがったばかりの試写会のリーフレットから映画のあらすじと背景を以下に転載する。
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*あらすじ
13名の見知らぬ男同士がサハラ砂漠のヘリに集まった。年齢も職業も社会的な背景も違う彼らは、スイス、カナダのケベック、ベルギー、フランスなど世界の各地から参加していた。集まった目的は一緒に15日間の砂漠の旅をすること。そして、聞こえてくる内なる声に耳を傾けること。それは、各人がそれまでの人生のなかで密かに抱いていた問題に直面することでもある。それらは、家族の関係、父としての役割、母親を始め女性との関わり方、父との関係、男らしさについてなどであり、そこには不安、怒りそして悲しみが隠されていた。砂漠という非日常の環境のなかで、これらが浮上し、彼らはお互い当惑しながらもこれらに直面し、励ましあい、学び、変わっていく。
*背景
西欧社会では、今日、フェミニズムの進展により、女性的な価値観がかなりの程度浸透するようになった。それでも、男たちの日常生活には、競争、権力、暴力という男性的な価値観があいかわらず幅を利かせている。その結果、このような価値観が命令する「こうあるべき自分」と「本当の自分」との間に乖離が続いている。男たちは自分の感情をそのまま表出できないし、お互い親密な関係をもつこともできない。これが西欧社会に住む男たちの共通の問題として浮かび上がってくる。
(↑リーフレットからの転載はここまで)
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ある意味で、西欧社会における男同士の関係は、日本でのそれよりも不毛なのかもしれない。日本では、「裸の付き合い」とか「腹を割って」とかいう表現に現れるような親密な付き合いが男同士の間で生まれることは普通のことだと思う。しかし、西欧社会では、競争や力関係などのため、そう簡単にいかないらしい。
小さい頃受けた心のトラウマ、自分の弱さ、恐れ、不安など、男たちの大半は多くの問題を心の中に抱いているが、これらをお互い見せ合い、解決を探るという具合にはならない。
女性に対しては、親密な関係のなかでそのようなものをさらけ出すことができるが、そうすること自体が、その女性との間にさまざまなトラブルを引き起こすことにもつながる。
結局、西欧社会に住む男たちは解放を必要としているのだろう。女性解放は進んだが、男性解放はまだ始まっていない。
そう言うなら、日本でも男性解放が必要ではないかと思う。
それは一言で言えば、企業戦士であることからの解放なんだろう。実際、リストラそれに「若い男性の女性化」が進展していることもあり、企業戦士の数は減ってきているようだが、そのメンタリティーは少なくとも企業内では相変わらず健在だと思う。
このように見ると、男性解放と言っても日本と西欧社会ではその内容に違いがありそうだ。この違いが表面的なものなのか、それとも本質的なものなのか、私にはまだはっきりわからない。
いずれにしても『砂漠の風』は、社会における男性というジェンダー(=社会的な性)について観る人を深い思索に誘ってくれる映画だ。男として生きることについてさまざまな問題を提起してくれる。男性はもちろん、女性にとっても得る所が大きいと思う。特に、登場人物の一人が自分を苦しめていた問題から解放されるときの姿は、涙を誘う。
福岡近辺に住む方は試写会に来ませんか?
*場所は、博多中洲の「中洲大洋映画劇場」。
*日時は、来る4月15日(日)午後3時から5時まで。
*観覧料は一人500円(飲み物とポップコーン付き)。
*経費を除いた残りはユニセフに寄付します。
*映画内の会話はフランス語ですが、英語の字幕がついています。
試写会に興味がある方は、私までメッセージをお送りください。メッセージのなかにメールアドレスを書いていただければ、リーフレットのFDPファイルをお送りします。
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