硝酸塩、硝酸態窒素についての、さらに詳しい追加情報です。
肥料の三大要素といえば、窒素とリン、カリウムです。有機農業では、基本的にこれらすべての要素を有機質肥料で補います。これに対し一般の農業では、堆肥なども使用しますが、化学肥料によって主にこれらを補います。
三大要素の中でもっとも多く必要なのが窒素です。人間でいえばタンパク質のようなもの。これが不足すると体を大きく成長させることができません。
しかし、多すぎても問題を引き起こすことになるのです。
窒素分は、堆肥や化学肥料といった「肥料」の形で畑に入れられます。どちらを使うにせよ、植物に吸収されるとき時には窒素単体ではなく、「硝酸態窒素(NO3-)」という形で吸収されるのです。硝酸態窒素は、根から吸収された後、その植物の体を作るのに使われます。
しかし、もし窒素がその植物が必要とする量より過剰に存在すると、硝酸態窒素のまま植物の体の中に残留してしまうのです。
どんな育て方をした野菜でも、多少の硝酸態窒素は残留しているものですが、過剰な肥料で育てられた野菜にはこれが高濃度で残留しています。そして、こうした多量の硝酸態窒素を含む野菜を食べることは、人体にとって危険となりえるのです。
野菜に含まれる硝酸態窒素は、唾液の働きにより「ニトロソアミン」という強力な発ガン物質に変わります。
・酸欠症状を起こす、硝酸態窒素
硝酸態窒素の問題点は、ニトロソアミンを生成することだけではありません。これが体内に取り込まれると、一部が「亜硝酸ナトリウム」に変わります。血中のヘモグロビンがこれと化合すると、メトヘモグロビンという酸素を運ばない物質になってしまうのです。
牧草による牛の窒息死
10年ほど前の夏には、北海道の牛たちがばたばたと死亡する事件がありました。
植物は硝酸態窒素が過剰に土中にあると必要量以上に蓄積してしまいますが、その硝酸集積は植物によって異なり、乾燥時期に刈り取った牧草類は高レベルの硝酸態を含有します。その夏は干ばつで、雨が降らなかったために窒素肥料が地表近くに濃縮されていました。
この濃縮された硝酸態窒素が地表にたまってきたところに雨がふり、牧草は一気に水を吸収するとともにその水に溶けた硝酸態窒素も吸収しました。この、多量に硝酸態窒素を含んだ牧草を食べた牛が、体内で極度の酸欠状態を起こし、窒息死していったのです。
・過剰肥料野菜の見分け方
「アブラムシがついて困る」という生産者の野菜は要チェックです。アブラムシは硝酸態窒素の臭いがする野菜を好むようです。
が、消費者はどうやったら・・・?
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