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2018年06月26日20:19

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29 詩・短編を書いてみた (第1845回)

詩・短編を書いてみました
素人なので気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)

29「陽射しが射す部屋で」

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陽射しが
部屋の窓から部屋の床に色を付けるように射し込む
彼女はその陽射しを避けるようにイスに座り
手垢が付くくらい長い間
使っているギターを抱えながら愛用のピックで弦を震わせる
聞きなれた音階と共に彼女の持つ優しい雰囲気を乗せた声が波長のように広がり
一人で歌ってるはずなのに
まるで何重にも重なっているように僕の鼓膜を揺らす
だからなのか
いつも彼女の歌は凄いと思ってしまう
並大抵の努力なんかでは追い付く事なんて出来ない
これが「才能」というものなんだと…

そんな彼女を業界が見逃すわけなく
僕たちが小さなライブ場で演奏をしたらスカウトされた
僕たちは皆がと思って喜んだのだけど
どうやら彼女だけのスカウトらしい
同じような音楽の夢を抱いていた僕らの姿は
スカウトマンの眼中に入らなかったのだろう

正直
最初は僕も含めたバンドメンバーみんな
スカウトされた彼女に嫉妬した

「何故アイツだけなんだ」
「俺たちもいただろう」って

でも
彼女の歌を聞いたら
そんな嫉妬はすぐに吹っ飛んだ
だって
彼女には才能がある

その歌う声には力があり
誰かの心の奥にまで歌を届けるかとができる
それを自らの身体で知ってしまったら納得しない方がおかしい
だから
僕たちは彼女の背中を押すことにした
その曇っていた表情が晴れるように

高校を卒業した彼女はすぐにデビューをした
しかし
デビューして数年間は鳴かず飛ばずだったが
昔に彼女が僕らと一緒に作った歌を発表したら
それが大ヒット
今の彼女はその曲を携えてテレビの音楽番組に出ている
その姿はあの頃と全く変わっていない

「やっぱり、すげぇや…」

それから
数ヵ月後のこと
彼女からメールで連絡があり
「今度、簡易的なライブでバックバンドをしないか」と頼まれた
高校の時に組んでいた仲間と一緒と…

でも僕は悩んだ
その仕事を受けるかどうか…

演奏に関しては問題ない
僅かな希望を捨てらせずに練習をしていたから
ただ
ようやく消えかけた想いにもう一度
彼女の側に立ってまた色が付かないか不安になったのだ
現実と理想に生きるのは想像するよりもとてつもなく苦しい
でも
その不安を断ち切らしてくれたのも彼女である
メール添付されていたファイルを開くと
そこには皆で演奏をしていた頃の写真

僕は思わず笑ってしまう
悩んでた自分がバカだと思ったから

「あの頃を忘れないために練習しといて良かったよ」

僕は部屋の隅に置いてあるギターを抱えて演奏を始める

響くハッキリしない音色

まだ迷ってるのか?
これは彼女の邪魔をしないように練習しないとダメだな

私はそう思った……

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