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2018年03月29日04:02

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早く治療すれば良いのに…後から治療したら治らんくなるで

どうも


しがない内科医です。




まぁ、この方みたく自身の生き方を重要視される方もいらっしゃいます。


凄く立派だとは思いますが、一般の方はこういう方の生き方を参考にされる方も多く勘違いする方もいるので説明したいと思います。




僕の日記を以前から読んでる人は知ってると思いますが





がんは進行します。



まぁ当たり前ですが…




進行した後よりも


進行する前の方が



絶対的に治療成功率は高いし長期生存が望めます。




しかしながら
今回の病気は…


がんだけど

がんじゃない?


そんな病気です。




では

骨髄異形成症候群(MDS)についてお勉強しましょう。





多分一般内科医とかでもこの病気は血液の病気だー




とは知ってると思いますが





僕ら専門家はさらにこいつを以下の様に分類します。



フォト







よく分からないと思うので
まず病態からいきましょうか。








そもそも以前お話したと思いますが


血液のがん(白血病、リンパ腫など) と


それ以外のがんを
固形がん(胃がん、大腸がんとか)と呼びます。




今回は血液腫瘍についてです。




がんは遺伝子に傷(遺伝子変異)が入っていく事によって生じます。



しかしながら
発がんに必要な遺伝子変異の数は少なくとも30個以上は必要とされています。





そのため、寿命が2-3日と短い白血球にそれだけの遺伝子変異が一気に蓄積する事は不可能です。




また、同じ遺伝子変異であっても



A→B→Cで発がんしても


C→B→Aでは発がんしません。




遺伝子変異の順番も大事という事になります。



一個の遺伝子変異の頻度が数千万〜数億分の1とかなので



人間の細胞がいかに60兆個あってもがんになりにくいのです。




まぁそこら辺の研究してない医者はまず知らない話になります。(何で研究しないか理解に苦しむんだけど(´・c_・`))

専門家でもない、一般の方が知ってたら凄いですね。






なので、血液腫瘍においては



どこかに私達と同じく年齢とともに遺伝子変異を重ねている細胞が、がん化している。





ということになります。





これは

血液を作る細胞




造血幹細胞そのものの発がんが原因と考えられています。




固形がんは可塑性とかあって
もっと複雑なので今回はスルーしますね(´・c_・`)




血液を作っている細胞はどこでしょうか?



そう骨髄ですね。



言葉の通り


実は骨の中で血液を作っています。



赤ちゃんの時は全身の骨で作っていますが



大人になると骨盤骨や背骨といった体幹骨でのみ造血が行われます。


まぁ
交通事故で骨盤骨折おこすと出血が止まらなくなるのはこういう事です(;´_ゝ`)
見た目元気でも後で死にかけて重症になるので救急見る時は骨盤骨折も必ず頭にいれとかんといかんよね。






そんなこんなで


前段階は終わり




本題に入りましょうか。




MDSって難しくて、よく学生や研修医に質問されます。




がんになるためには複数の遺伝子変異が順番に入る事が大切でしたよね。



つまり



白血病は
A→B→Cの遺伝子変異で発がんの状態


骨髄異形成症候群は
A→Bの遺伝子変異で白血病になる前がん病変の状態です。



つまり
MDS患者は遠くない未来にCやDといったあと少しの遺伝子変異で確実にがん化します。




そんな病気な訳です。



つまり


がんだけど

がんじゃない病気

ということになります。(´・c_・`)





さっきみたMDSの分類はこのがん化のリスクを評価しています。




あと学生や患者を悩ます病態があります。




無効造血です。




MDSの死因のほとんどは輸血依存か白血化です。






フォト



赤ちゃんの細胞である造血幹細胞は

ちゃんと機能を果たす大人になる訳ですが



遺伝子変異があるとちゃんとした大人になれず

本来の使命を果たせなくなります。





そのため
遺伝子変異の種類、過程で


貧血、白血球低下(免疫力低下)、血小板低下(出血傾向)を来します。




また人間の体は上手く出来ていて


赤ちゃんの細胞が外に出ていこうとすると出ていかない様に破壊します。




ん?


すると採血で赤ちゃんの細胞が見つかったらやばくね?



正解です。
それが白血病ということになります。





骨髄中の芽球(赤ちゃん)の割合などで最初の表が作られてます。

まぁRAEBは芽球が増えてるということなので、僕ならそもそも白血病として扱います。(確実に白血病になるので)



白血病は骨髄移植で治る可能性があります。





簡単に言えば

骨髄の中にいるがん細胞、造血幹細胞を抗がん剤と放射線で全滅させて他人の骨髄の中にある造血幹細胞を移植することになります。



白血球の血液型を合わせないと

新しく貰った造血幹細胞から生まれた白血球が


新しい宿主である患者の臓器を敵とみなし全身を攻撃します。


これがGVHDとなります。


治療に伴う致死率は

移植前の抗がん剤など前処置で5%

移植後の急性期GVHDで10%

晩期GVHDで5%位です。





命がけになりますが
何もしなかったら致死率100%です。






この移植の時のポイントはいかにがん細胞をゼロに近づけて移植するか?




になるので



とっとと移植したが良いです。まじで(´・c_・`)






あと、血液型変わるよ。
ドナーの血液型に。


ドナーがA型ならA型に
ドナーがB型ならB型に


(´・c_・`)血液占い当てになんねぇ(笑)





おいといて





僕なら、まず若いので妊娠したいか確認して

卵子保存、受精卵保存を検討してから

すぐ治療始めますね。




治せるから。





ただ、移植には年齢制限があります。
年寄りはできません。耐えられないので



そんな人には白血病化する最後の遺伝子変異が入らない様にする薬を使います。







遺伝子は父由来、母由来の2本ありますが


本来読む事ができるのは1本です。







すなわち片方はサイレンシングがかかっている訳です。




例えば片方が遺伝子おかしくても、対側の遺伝子が健全なら問題ないのですがDNAのメチル化といって


健全な方を読めなくなる事が起こります。






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すると、関係ない遺伝子変異なら良いのですが



がん抑制遺伝子の機能を抑える事が多く




CやらDといった最後の発がん遺伝子変異にHitさせる可能性があるのです。








つまりこれを防ぐ薬


DNAメチル化阻害薬(ビダーザ)が承認されています。






これを使うと大分、白血化までの時間が稼げます。





しかし、お分かりの通り根本的な治療ではないので





絶対悪くなります。






僕は患者に治る可能性も説明して

しっかり背中を押すので






この患者さんの命の燃やし方は治してからでも良いと思います。
(くだらん煽りとかじゃなく客観的に学問的に批判したいスタンスなので)




そんなこんなで




可能な限りがんは地域ではなく都会の本職にみて貰う様にしましょう。



再来年度からゲノム化医療始まるし、レベルが違います。(その事すら知らない医者はヤバイね。)




田舎でがん医療とか
研究したことないのに開業で軽くがん医療





とか言う医者は頭悪いんで正直僕は診てほしくないですね。


出会う医者が大事やね。
気を付けましょう。





でわ。


※転載画像に関しましてgoogle画像よりガイドライン、海外文献、サイト画像引用しましたがご指摘ありましたら削除します。



■「ヘルプマーク」普及活動に命を燃やす、余命宣告を受けた女性の生きざま
(週刊女性PRIME - 03月28日 11:30)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=235&from=diary&id=5045900
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