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2017年10月09日20:00

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Sinfonia Dramatique第2回演奏会

ギネス級、超【遅】演奏会。

☆Sinfonia Dramatique第2回演奏会
■2017年9月24日(日)【開場】13時00分 【開演】13時30分
■タワーホール船堀大ホール
■曲目
♪P.I.チャイコフスキー:スラヴ行進曲op.32
♪P.I.チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」op.32
♪P.I.チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調op.36
■指揮 佐藤 雄一

早くも第2回演奏会である。4月9日が第1回演奏会だった。
私が一番敬愛して止まない指揮者、佐藤雄一氏が音楽監督を務める期待のオーケストラだ。
フォト
煙突のような展望台のあるタワーホール船堀。

第1回演奏会は、「白鳥の湖」全曲といういきなり気合の入ったプログラム!
しかし、集客までは手が回らず、客席は寂しかった。
今回は、会場前からホール入り口に長い列ができた。
団員の努力の成果に頭が下がった。

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♪P.I.チャイコフスキー:スラヴ行進曲op.32
通常の1.5倍は遅いテンポで演奏時間は15分もかかった。
葬送行進曲として演奏するというコンセプトだったが、ホールの音響特性もあってニュアンスが伝わりにくかった。

♪P.I.チャイコフスキー:幻想曲「フランチェスカ・ダ・リミニ」op.32
この曲は慶応医管が2013年の第37回演奏会で取り上げており、それは佐藤氏の演奏史上でも特に強い印象を残した名演だった。

今回は随分と表現が変わっていた。
まず、テンポが前回よりも遅くなり、ずっと遅いテンポで押し通した。
その分、医管の演奏よりもアンサンブルが難しい細部までしっかり仕上げていたようだ。
しかし、前回の演奏のように目の前に情景が広がるような、聴き手のイマジネーションを喚起する要素が不足していた。
回想場面の最初に登場するクラリネットのソロが抜群に素晴らしかったのが全曲中の白眉だった。

♪P.I.チャイコフスキー:交響曲第4番へ短調op.36
これもまた、全曲の演奏に65分もかかるというギネス級の遅いテンポによる演奏だった。
終始遅いテンポを、緊張を切らさずに弾き通した奏者の力は賞賛に値するだろう。
しかし、調布フィルや横浜シティ・フィルによる過去の秀演を凌ぐほどの感銘はなかった。

第4楽章の後半の展開など、圧巻の聞き物ではあった。
しかし、見事なコーダも【否定の表現】としての偽りの大団円だった。
そういう狙いの演奏だったのだ。
そのことを考えず、ブラボーを叫んでいる人がいたのを皮肉な思いで聴いていた。

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かくして、今、もっとも期待しているオーケストラの第2回演奏会は、私的には微妙な印象となった。

私が佐藤雄一氏の演奏が好きなのは、感情の豊かさと音楽形式の知的で高度な一致が聴かれ、具体的な想像力に支えられた繊細なニュアンスを通して、音楽の美と深い意味がありありと感じられるからである。
テンポが個性的だからではないのだ。

今回一番不足していたのは想像力を刺激する繊細なニュアンスであった。
次のような理由を憶測している。

☆自らが音楽監督を務める楽団なので、他の楽団ではできなかった思い切ったテンポで、強い個性を打ち出した。
☆遅いテンポで音楽を持続させるには、高い演奏力が必要だ。自らの理想の楽団に育てる意味で、あえて難易度の高い終始遅い演奏とした。
☆その際、全プログラムを通してアンサンブル力の向上に重点を置いた指導をしたため、微妙なニュアンスは二の次となった。

あくまでシロウトの憶測だから、佐藤氏が知ったら「全然違う」と仰るかもしれない。
だが、私はより深刻な危惧を感じていたのである。
それは氏の命である音楽的なファンタジー自体が乏しくなってきているのではないかということだった。

幸いにして、10月8日に行われた慶応医管の第41回定期では、非常に想像力に溢れた繊細なブラームスの2番が聴けたので、やっと安心して日記も書けたような次第だった。

そんな訳で、佐藤氏らしい個性を強く打ち出した「劇響」の第2回演奏会は、私にとっては稀に見る佐藤氏らしくない演奏会だった。

フォト

もっとも、ホールとの相性も無視できない。
タワーホール船堀の大ホールは、稀に見る音響の癖の強いホールである。
ステージ奥の管楽器と打楽器は鳴り過ぎる傾向があり、ステージ手前の弦楽器群は鳴らない。
デッドな傾向のホールで、とにかく響きの繊細さに乏しい。
土浦市民会館に次いで私にとっては苦手なホールだ。

第3回演奏会は、「眠りの森の美女」全曲だが、大田区民ホールアプリコが会場ということで、安心している。
タワーホールの関係者から強く誘われても、もうタワーホールは使わない方が望ましい。
弦楽器の人数が今の倍になり、管打楽器のクォリティが今の倍上手くなったら、タワーホールでもいいと思われる。
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