◆ 【森友学園】 籠池泰典氏の証人喚問・冒頭陳述(全文) 「トカゲのしっぽ切りではなく」
【ハフィントン】 03/23 12:04
執筆者:ハフィントンポスト編集部
学校法人「森友学園」が開校を目指した小学校をめぐり、籠池泰典理事長への証人喚問が3月23日、参院予算委で始まった。
以下に、参院予算委で籠池氏が述べた冒頭陳述の全文を紹介する。
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まずこのたび、国会で陳述の機会を与えてくださいましたことを深く感謝申し上げます。
私は真に日本国のためになる子供を育てたいという教育者としての思いから、今年の4月に瑞穂の国記念小学校を開校できるよう、これまで頑張って参りました。
教育者としての私の思いにつきまして、安倍首相や昭恵夫人、大阪府議会の先生方を始め、多くの関係者の皆さんにご理解をいただきましたことは、今でも本当に感謝しております。
その一方、多くの皆様のご期待を受けて舞い上がっていたところも私の中にございました。
結果として手続き上の便宜から設計士の助言に従って工事請負契約書が3種類作成されたことや、幼児教育の現場において指導の行きすぎなど、諸々の不行き届きが生じてまいりました。
それらの不行き届きにつきましては、自分の至らなさを認めますとともに反省すべき点について反省し、謝りたいと思います。
今後は行政のご指導をいただきながら適切に改善を行ってまいります。
しかし現在この新しい小学校を開設する手続きについては、各方面から疑問が呈される中で、弁護士からの指示で申請を取り下げました。
これまで応援してくれていたと思っていた方々が手のひらを返すように離れていくのを目の当たりにして、自分自身どうしてこうなってしまったんだろうという思いもあります。
本日はこの問題について私の承知しておりますことを率直に先生方にお話しいたします。
真に日本国を支える人材を育てる小学校をつくることは今でも私の夢であります。
その名前については明治維新を担った多くの人材を輩出した松下村塾のことが念頭にありました。
同じく長州出身で、以前から私の教育理念に共感して頂いている安倍首相に敬意を表したいと思いまして、当初は安倍晋三記念小学校とするつもりで昭恵夫人にもご相談申し上げ、同意を頂いたものと思っておりました。
ところが後日、安倍夫人から「首相の名前を使うことを遠慮してほしい」という旨のお申し出がありましたので、小学校の名称は「瑞穂の国記念小学院」に変更いたしました。
昭恵夫人にも私どもの教育にも深くご理解頂いていると思っております。
昭恵夫人には3度にわたって幼稚園にお越し頂きましてご視察いただきました。
昭恵夫人に瑞穂の国記念小学院の名誉校長に就任して頂いたのはH27/9/5にご講演をたまわったときのことです。
そしてその9月5日、昭恵夫人は講演の控室として利用していただいた園長室で、私と対面していただいたとき、同行していたおつきの方に席を外すようおっしゃったのち、私とふたりきりの状態で「一人にさせてすみません。どうぞ安倍晋三からです」とおっしゃって、寄付金として封筒に入った100万円を下さいました。
昭恵夫人は「全く覚えていない」とおっしゃっているようですが、私たちには大変名誉な話なので鮮明に覚えております。
また小学校の設立に関する大阪府への申請では、先にお亡くなりになられましたが、大阪府議長を務められた畠成章先生から頂戴したご恩も忘れません。
畠先生には森友学園の幹事も務めていただくなどして、いろいろご指導頂いておりました。
畠先生は松井知事のお父様とも親しいお付き合いがあり、松井知事が維新会派をつくるときにも陰ながら助力されたということで、大阪府の松井知事が府にお力添え頂けるよう、畠先生にお願いしてまいりました。
そのおかげで、大阪府の当時の総務部長などにも説明させていただき、小学校設置の認可申請では特別な取り計らいを頂いたものだと感謝しております。
ただその後、大阪府の中でどのようなやりとりがなされたのかはうかがい知ることはできません。
松井大阪府知事関係者の方からお話しを聞いて、国会や府議会で真相究明していただきたいと思います。
次に土地の取引について申し上げます。
小学校の建設用地であるあの豊中の国有地の存在については、不動産屋さんから平成25年に紹介を受けました。
平成27年5月29日に定期借地契約を締結いたしました。
その土地の買い上げの条件として、10年たったのをもっと長い期間へと変更できないかとの思いから、私たちの教育理念に賛同している昭恵夫人に助けを頂こうと考えまして、昭恵夫人の携帯に電話をいたしました。
平成27年10月のことです。
留守電でしたのでメッセージを残しました。
すると、後日内閣総理大臣夫人付きの谷さえこさんという方からご連絡いただき、「なかなか難しい」とのお返事を頂きました。
平成27年11月17日に総理夫人付き谷さえこさんから頂いたFAXでは
「大変恐縮ながら現状では希望に添うことはできない。 なお、本件は昭恵夫人にもう既に報告させていただいております」
というお言葉を頂きましたが、お骨折りに感謝しておったところでございます。
しかしながら私は財務省の中でこの間、どのようなことが起きていたのか詳しく存じ上げません。
昭恵夫人、谷さん、財務省の関係者に詳しくその経緯を聞いて頂きたいと思います。
また、あの土地にヒ素や鉛などの有害物質があるということは契約上も明らかだったのですが、平成28年3月に入って工事が始まってから新たに生活ゴミが出てきました。
その後、工事を施工していました中道組に北浜法律事務所の酒井康生弁護士を紹介して頂きまして、土地取引に関する一切の交渉をお願いしましたところ、最終的に土地価格は8億円余りも値引きされた1億3400万円になったとお聞きして、想定外の大幅な値下げに、その当時はちょっとびっくりいたしましたが売買契約を結びました。
私は交渉の経緯については詳しく承知していないので、値引きの根拠などについては近畿財務局、当時の迫田理財局長、酒井弁護士にお聞き頂きたいと思います。
なお、先日私は大阪府への小学校設置認可申請を取り下げました。
これは顧問弁護士だった酒井弁護士のご指示によるもので、私は断腸の思いで申請を取り下げました。
しかし、その後、何ら事態は改善することなく、むしろこの問題で、私だけを悪者にするような、政府の要人や大阪府知事の対応を見て、何かおかしいと気付き始めました。
財務省の佐川理財局長の命で部下の島田さんが「10日間隠れていて」と顧問弁護士の堺先生から申し上げましたことも、そのときは何でだろうと不思議に思っておりました。
平成29年3月15日になって、もうこれ以上関わることはできないと突然、顧問弁護士辞任の申し出をいただきましたが、私には何があったのか理解できません。
酒井先生が財務省近畿財務局や大阪府とどのような関係があったのか、是非国会でも聞いていただきたいと思います。
この問題が国会で議論されるようになってから、私の妻のところに昭恵夫人から「ご夫妻が今、大変なことは想像つきますが、主人にとっても大変なことに巻き込まれたということもご理解いただきたいと思います」とか「私が関わったということは、裏で何かあるのでは」と、疑われないというより口止めとも取れるメールが届きました。
あんなに私たちの学校の開校を楽しみにしてくれていて「考え方に非常に共鳴いているのです」とか「森友学園の先生の教育に対する熱意がすばらしい」という話を聞いていると総理もおっしゃっていただいていたのに、どうしてなのか割り切れない思いです。
私は純粋に自分の理想とする教育を実現するために小学校設立に夢中になって走り続けて参りました。
その途中で多少も利用していってしまったことがあるかもしれません。
でも私が昭恵夫人や畠先生にお願いした先で、どのような対応がなされたかというのは本当に分かりません。
国有地の大幅な値引きなど一連の経緯の真相を明らかにするためにも、私だけにトカゲのしっぽ切りで罪をかぶせようとするのではなく、まず私がこうして国会の場で正直にお話さえていただきますので、どうぞ是非その他の関係の方を国会に呼んで、事実関係をお聞きいただき真相究明を進めていただきますよう心からお願い申し上げます。
以上でございます。
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◆ 籠池氏問題に見る"あまりに拙劣な危機対応"
【ハフィントンポスト】 03/23 11:05
郷原信郎
報道によると、昨日の夜、自民党が、23日の衆参両院予算委員会での籠池氏証人喚問の質問順を、野党を先にすることを提案し、野党側の反対で、結局、自民党が最初に質問をすることになったようだ。
自民党側には、籠池証言を崩す自信がないのだろうか。
籠池氏の100万円寄付発言を「首相への侮辱」「問い質したい」と言って証人喚問を求めたのは自民党側だ。
籠池証言を崩す自信がないのなら、やめておけば良かった。
明日の籠池氏の証人喚問がどのような展開になり、どのような結果で終わるかはわからないが、少なくとも、籠池発言が出た段階で、その挑発に乗る形で自民党側から「証人喚問」に打って出たのは、「危機対応」としては全くの誤りだった。
野党側の対応も決して褒められたものではない。
4党の議員が雁首そろえて籠池氏の話を聞きに行ったのは、明らかに「前のめり」だった。
籠池氏から、「政治家に現金を渡した」という話が出ると期待して行ったのだろうが、逆に「安倍首相から100万円寄付受領」などという話を持ち出されてしまった。
この時点で、野党側は、その話をどうするつもりだったのだろうか。
これに対して、自民党側としては、どっしり構えて、安倍首相が完全否定コメントを出し、野党側に「参考人で出すのなら出してみろ」と毅然たる態度で臨めばよかった。
野党が籠池参考人招致を求めてくれば、自民党側から、「喚問の目的に100万円寄付の件は含まれるのか」と聞けばよい。
籠池証言の信用性に確証が持てない野党側としては、対応が難しかったはずだ。
特に、「永田メール問題」のトラウマがある民進党は、共産党との共同歩調をとることもできなかった可能性がある。
ところが、何と、その直後に、事もあろうに自民党側から「証人喚問」を求めたので、野党側は救われた。
自民党側は、「籠池氏に問い質す」と言って証人喚問に持ち込んだ以上、当然、「籠池氏の話を聞くこと」が主眼となる。
証人から話を聞き、その証言の真偽を判断することが目的なのだから、【籠池氏証人喚問、高度の尋問技術が求められる自民党質問者】でも述べたように、それ自体で独立した「物証」と評価されるものではなく、森友学園側が作成した郵便払込受領証であっても、事後的に作出されたものでなければ、籠池供述を補強する証拠にはなり得る。
「籠池氏側が物証を出して来るかどうかが問題」と言う声があるが、「物証」だけが問題なのであれば、最初から「証人喚問」などやる必要はない。
100万円寄付発言には取り合わず、籠池氏側に、「あなたのいい加減な話を聞くつもりはない。物証があるなら出せ」と要求すればよかったのである。
証人喚問を行う以上、それではすまない。
もちろん、私にも、籠池氏の「100万円寄付受領発言」の真偽はわからない。
安倍首相が断言するように、「全くそのような事実はない」というのが真実で、籠池氏の「作り話」なのかもしれない。
しかし、もし、そうだったとすれば、国会に引っ張り出して「作り話」をさせた上、その話を崩すことも、信用性を否定することもできなかった、では済まされない。
問題は、自民党内で、このような「拙劣な危機対応」を決断したのは誰なのかという点だ。
竹下亘国対委員長が独断で決めたとは思えない。
安倍首相自身に関する問題なので、安倍首相が決断したか、少なくとも了承したからこそ、短時間で方針が決まったのではなかろうか。
そうであるとすれば、国のリーダーとして、「危機対応」の判断力には、一抹の不安を感じざるを得ない。
(2017年3月22日「郷原信郎が斬る」より転載)
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こういう切り込み方もあるんだなあ。
確かに、安部氏をはじめとして、稲田防衛大臣たち、下手な隠し方をしていて、かえって事態を悪くしてるよなあ。
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郷原信郎
1955年、島根県生まれ。
東京大学卒業後、検事に。
東京地検検事、広島地検特別刑事部長などを経て退官。
2008年、郷原総合法律事務所を開設し、組織のコンプライアンス問題に力を入れる。
主な著書に「検察崩壊 失われた正義」(毎日新聞社)など。
ブログ名:「郷原信郎が斬る」
http://nobuogohara.wordpress.com/
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http://www.twitter.com/nobuogohara
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