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2015年10月27日08:33

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ぐらぁぁん。

10月26日(月)。
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気持ちのいい青々とした空。
冬になりかけの丁度いい季節。
そうか、私の生まれた日も素晴らしい青空の日だったに違いない。
その日、私は両親、そして周囲に祝福されて生まれて来たのだ。
10月26日、誕生日。

たくさんのメールやメッセージ、お祝いコメントを頂きました。
本当に有難うございます。

誕生日にwowowがイキなプレゼントをしてくれた。
長年見たくて見たくて熱望していた映画を放映したのだ。

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10月-6 恋人たちは濡れた。
1973年公開。日活ロマンポルノ。
中川梨絵 絵沢萠子 大江徹出演。
神代辰巳監督。

初めて見たのは何時だったろう、何処で見たのだろう?
それから何回見ただろう?
初めて見た時、一緒だった娘のことは覚えている。
そして、今回。
また心が震えた。涙した。
このぐらぁぁんとした雰囲気。

自転車を漕いでいるシーンから始まる。
青年はフィルム運びの仕事をしている。
それほど交通量の多いとは思えない漁師町でやたら後ろを気にしながら、青年は自転車を漕ぐ。
青年は街の人間に声をかけられる。
「克だろ」
青年は「違うよ、関係ねーよ」と答える。
青年は何人にも「克だろ」と声をかけられるが激しく否定する。

青年の勤める映画館は亭主が浮気していて、奥さんが猫を抱いて切符売り場に座っている。
奥さんを絵沢萠子が演じている。
まるで竹久夢二の絵の中の女の様だが、動くし声も出るからイメージがまるで違う。
そのギャップが可笑しい。

青年は奥さんと関係を持ち、そして浜辺でカップルと知り合う。

青年は本当は克なのか、流れ者なのか?正体を明かさぬまま物語は進む。

圧巻は神代辰巳作品の特徴の一つである無駄に思える遊び。
砂浜で男二人、女一人で延々と馬跳びを続ける。
やがて女は一枚一枚脱ぎ始める。
「寒いよ、寒いよ」風に晒された細い声が印象に残る。

女が自転車に乗っている。
青年が後ろの荷台に乗りこむ。
くるりくるり、自転車は輪を描く。
海は光で輝いている。
幸せそうだ。
青年はジャンパーのポケットから札束を見せて「人を刺して来たんだよ」と打ち明ける。
青年は克だった。
この時、何故最初のシーンで克は後ろを気にしていたのか理解する。
彼は犯罪を犯して追われていたのだ。
その瞬間背後から男が現れて克の背中を刺す。
二人の乗った自転車は、ゆらゆら揺れながら光の海に沈んで行く。
そこに終のマーク。

この呆気なさ。
この余韻のなさ。
粗筋を書いても、多分伝わらないだろう空気感。
全体に流れる春歌。
都はるみの歌。
海、砂浜、時折インサートされるカモメ。
長廻しのカメラ。

青年に逃げられた絵沢萠子が、街中を追い掛けるそのみっともなさ。
梯子をかけて、首吊り自殺を図ろうとするも失敗する可笑しさ。

無駄な遊び、台詞を積み重ねて、気づいた時にはもうどうしようもないどん詰まりまで来ている状況。
言葉では表せない、何かが哀しいのだ。

青年の台詞にこう言うのがあった。
「みっともないって嫌いじゃないよ」
そうさ、生きてるってことはみっともないことの連続だ。
無様なことの繰り返しだ。

この映画はその頃、仲良くしていた髪の長い少女と一緒に見て、酒を呑んでは繰り返し語り合った。
それからしばらくして借金で首が回らなくなり都会生活を切り上げて、海辺の街に引っ越した。












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