この物語は以下の設定のもとに書かれています。
オリジナル設定が苦手な人はご容赦ください。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1933906471&owner_id=6086567
【seen1】
「てぇへんだてぇへんだあ!」
大阪湾鎮守府の廊下に声が響き渡る。
江戸っ子のような口調に反し、海のように澄んだ青のポニーテールをぴょこぴょこと左右に揺らしながら駆け抜ける。
そしてたどり着いた執務室の扉を、ノックすることもなく勢いよく開け放つ。
「てぇへんだ、提督!」
「ちょっと騒々しいわよ、涼風」
執務室の正面にあるデスク、そこで窓の外を見ていた少女が振り返りながらたしなめる。
「だっててぇへんなんだよ提督ぅ・・・・・・って雷?」
そこに立っていたのは彼女たちの上官である提督ではなく、涼風と同じ駆逐艦の艦娘である雷だった。
「なんで雷が提督の席にいるんだよ」
「それはですね、司令官と秘書艦の時雨ちゃんが、二人で夏季休暇をとって旅行に行ってるからなのです」
「その間、私が司令官の代理を務めることになったのよ」
傍らにたたずんでいた電が説明すると、雷はえへんと胸を張る。
「え?何で雷?もっと他に適任がいるんじゃ・・・」
「何言ってるのよ、私ほど責任感があって頼れる艦娘なんて早々いるもんじゃないわよ?」
すかさずツッコミを入れる涼風に対して、心外だと言わんばかりに雷がぷんすかと反論する。
「本当は長門さんが代理になるところを、雷ちゃんが駄々をこねてなったのです」
「ちょっと電、バラさないでよ・・・・・・って駄々なんかこねてないもん」
信頼していた秘書艦代理の電にバラされて、バツが悪そうに口を尖らせている。
第六駆逐隊はいつも仲がいい、その掛け合いは見ていてほほえましいものがある。
「そういえば今日は二人だけなのか?暁と響は?」
第六駆逐隊といえば長女の暁をはじめ、雷、電、響の四人で編成されている。
普段は四人で一緒に行動することが多いだけに、執務室には二人しかいないことに違和感を感じる。
「響なら先日ネットで配信された仮面ライダー響鬼に触発されて、『夏の深海棲艦に備えて山篭りで修行してくる』って出て行ったわ」
「で、響ちゃんだけだと心配だって暁ちゃんも付き添いで行っちゃったのです」
「艦娘が山篭りって・・・・・・」
どこまで自由なんだよ、と涼風は脱力しながらため息をつく。
「ところで涼風、大変って言ってたけどなにかあったの?」
「あっ!忘れるとこだった!」
そう言って懐から封筒を取り出す。
「さっき鎮守府の入り口に大本営の郵便部の人が来てて預かったんだけどさ」
その封筒は蝋で閉じられ、合わせ目に『緊急』と印が押されている。
これは文字通り大本営からの指令所であり、提督にしか開封が許されていない。
しかし先ほどの雷の話が本当なら、今はこの鎮守府に提督は不在である。
「困ったのです」
「開けちゃおっか?」
「さすがにそれはマズイだろ」
三人は頭を抱えてうんうんと唸る。
緊急と書かれている以上、急ぎの指令が書かれているに違いない。
しかし提督は不在、勝手に開封してそれがバレると怒られてしまうかもしれない。
「長門さんに相談するってのはどうだ?」
「ちょっと待って、今は私が司令官代理よ」
「でもアタイたちじゃ判断できねぇだろ?」
長門から提督代理の座を強引に奪った手前、雷は素直に相談する気になれなかった。
堂々巡りの会話に次第にヒートアップしていく雷と涼風。
「はわわ、二人とも喧嘩はやめるのです」
二人の言い争いにわたわたする電。
これでは話がまったくまとまらない。
「おう駆逐ども、こんなところで何騒いでんだ?」
振り返るとそこには一人の軽巡が立っていた。
「天龍隊長!?」
たまたま通りかかった天龍が、執務室の喧騒を気にして様子を見に来たのである。
この天龍、言葉使いは荒っぽいが面倒見がよく、駆逐艦に慕われている。
いや、懐かれていると言ったほうがしっくりくるかもしれない。
「実は・・・・・・」
そんな頼れる姐御肌の天龍の登場に、三人は相談する。
「なんだ、そんな簡単なことで悩んでたのか?お前らはまだまだだなぁ」
仕方ないな、と言わんばかりに顎に手をあてドヤ顔の天龍。
「こんな時は長門に相談だ!!」
「この軽巡役に立たねーーー!!」
【seen2】
「開封するぞ」
真剣な面持ちで長門は封筒を開封する。
あの後、天龍が駆逐艦の意見を聞かずに連れてきたのだ。
提督が不在とはいえ、大本営からの指令書を無視するわけにもいかない。
放置して、提督が責任を問われ解任されでもしたら大問題である。
「何て書いてあるの?」
指示書を読み進む長門に、待ちきれないとばかりに雷がたずねる。
「SN海域に深海棲艦の群れが集結しているらしい、それで我が鎮守府への大規模掃討作戦の参加指示だ」
大規模作戦。
他の鎮守府の艦隊と連携をとって戦う作戦である。
当然、指揮をとる大本営や他の鎮守府との連絡を取りながら作戦を決行する。
そんな重要な作戦を前に提督の不在。
「よっしゃーー!!これならオレも大暴れできるぜ!」
一人だけ現状を把握できていない軽巡を一瞥しつつ考えを巡らせる長門。
「雷、提督の旅行先を聞いているか?」
「ケッコンした二人の旅行先を聞くような無粋な真似はしてないわ」
「長門さんこそ司令官から聞いてないのですか?」
「お前たちが聞いているものとばかり思っていたので確認していない」
真夏の執務室に北極のブリザードのような空気が張り詰める。
誰か提督の旅行先を知らないだろうか。
「そうだ、提督が経営されている傭兵会社の社員なら誰か行き先を知っているんじゃないか?」
この鎮守府の提督は、外海だけでなく魔塔管理も任されており、行方不明となった建姫の情報を集めるために傭兵会社を設立し、各地の情報を集めている。
同じ会社の人間なら、提督もとい社長の行き先を聞いているかもしれない。
「いや、かんぱには全員お盆休みに入っていて、今は誰もいないよ」
意外にも傭兵たちと仲のいい涼風が答える。
これでは八方塞だ。
なんとしても提督を連れ戻して、指揮をとってもらわねばならないというのに。
「なら魔塔の方には提督の行方を知っているものはいないか?」
「建姫さんたちはみんなで近所の海に出かけてるのです」
ことごとく当てがはずれ、焦る長門。
しかしどんな時でも冷静であれ、そう提督に教えられたことを思い出す。
今、自分が取り乱しては他の艦娘たちの指揮に関わる。
心を落ち着かせ頭の中で現状で可能なこと、不可能なことを仕分けていく。
「有事によりこれより私が提督代理として指揮をとる!電は近所の海に出向き、建姫たちに艤装の整備や修理で協力してもらうように要請してくること、雷は全艦娘を司令室に集めてくれ、涼風は町に残ったかんぱにの社員に呼びかけ提督の行方の調査を依頼してきてくれ」
「了解!」
指示を受けた駆逐艦たちはそれぞれの持ち場へ一目散に駆け出す。
「で、大本営や他の鎮守府との連絡はどうするんだ?」
「提督が帰還されるまでは・・・・・・わ、私が変装して誤魔化す!」
「わかった!ならメイクは龍田に頼んでやるよ!」
そう言って勢いよく執務室を飛び出す天龍。
賽は投げられた、大本営にバレることなくやり遂げるしかない。
艦娘たちの迷走が今、始まった。
2話へつづく。
【攻略について】
艦隊発表から戦闘まで、全部小説風に書くとかなり長くなりそうなので、ここからは簡略化します。
ついに始まった夏イベ、みなさん楽しんでいるでしょうか?
私の方はつぶやきにも書いたとおり、E-6まで攻略完了しましたが、資材が底を尽きそうなので備蓄中です。
E-1甲
今回は珍しくイベント初日から挑んだので、まだ情報が出揃っていない状態での開始です。
最初に組んだ艦隊がこちら。
ええ、軽巡と駆逐艦だけだと意外に苦戦します。
菊月を入れたらルート固定できるらしいですが、この段階ではそんな情報もなく、ゲーム画面に書かれている編成で突撃したらこの有様です。
三回に一回は下ルートにそれて、戦艦三隻にボコられる始末。
同時進行で攻略していたマイミクさんからの情報提供で、重巡と空母を入れると上ルート三戦になるが、制空が取れて安定すると知ったので編成を変更。
たまに事故ることもありましたが、安定してボスにたどり着けるようになりました。
久しぶりのワルサメこと駆逐棲姫ちゃん。
やっぱり可愛い!
どうにかしてこの子貰えませんかね?
編成を変更してからはサクサクとゲージも削れて、特にストレスを感じることもなく撃破!
たしか古鷹さんのカットインで決めたはず!
早く改二にしてあげたいです。
E-1の攻略はこんな感じ。
続きは2話以降で。
ええ、順調に攻略が進めば、この茶番は7話まで続く予定ですww
今回、いつもの攻略日記とは違い、個人的な妄想小説風な何かを織り交ぜてみたのですが、いかがでしたでしょうか?
私としては反応が結構怖かったりします。
とはいえ、マイミクさんにはこういったショートストーリーを書かれている方もいらっしゃって、毎回楽しく読ませていただいてるので、一度自分もチャレンジしてみたいなと思い、今回やってみました。
やるならちゃんと戦闘も含めて書け、と言われそうですが、もしご要望なら書いてみようかな。
その場合は前後編にわかれるかもです。
特に要望なかったらこのままで。
書いてみたら思ってた以上に長くなって、自分の文才もまだまだだなぁと実感しました。
わかりにくい点もあるとは思いますが、生暖かく見守ってくれれば幸いです。
オマケ
その頃の提督と時雨。
や〜め〜ろ〜よ〜、アハハハハハ〜♪
次回
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=6086567&id=1945331554
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