「そこのみにて光輝く」に感激して、
慌てて「オカンの嫁入り」「酒井家の幸福」を見た。
今や邦画で最も好きな監督、呉美保の新作だ。
やっぱりこの人の抑制の効いた演出は天下一品。
遠くからほんの少しずつ近寄って
それ以上はけっして近づかないカメラの距離感や、
あくまで控えめに心の震えを奏でるような音楽の使い方が好きだ。
役者の使い方も抜群。
また池脇千鶴に泣かされてしまった〜!
前半は、学級崩壊、児童虐待、独居老人と
現代日本の重苦しい現実にアップアップ。
そこに、突然、ひと筋の光が差し始める。
モンスターペアレントや学級崩壊の現実に
心が折れそうな新米教師が、
幼い甥に「がんばって」とハグされた瞬間だ。
ハグの予想外の効果に驚く新米教師に、
シングルマザーらしき姉が自慢する。
「この子、私がやるとおりに真似するの。
お母さんの愛情に満ちたハグは、
世界を幸せにするのよ」
こういう台詞を冗談交じりで言わせるところが
節度ある呉美保ワールドだ。
説教臭くない。
嘘くさくない。
冒頭ではらりと落ちた1枚の花びらが、
終盤で紙吹雪となって世界に降り注ぐ多幸感に
胸がいっぱいになる。
ドキュメンタリー映画「みんなの学校」と並べたくなる幸せな映画。
「みんなの学校」
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=3700229&id=1939911456
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