mixiユーザー(id:3700229)

2015年06月30日13:56

321 view

「きみはいい子」

「そこのみにて光輝く」に感激して、
慌てて「オカンの嫁入り」「酒井家の幸福」を見た。
今や邦画で最も好きな監督、呉美保の新作だ。

やっぱりこの人の抑制の効いた演出は天下一品。
遠くからほんの少しずつ近寄って
それ以上はけっして近づかないカメラの距離感や、
あくまで控えめに心の震えを奏でるような音楽の使い方が好きだ。
役者の使い方も抜群。
また池脇千鶴に泣かされてしまった〜!

前半は、学級崩壊、児童虐待、独居老人と
現代日本の重苦しい現実にアップアップ。
そこに、突然、ひと筋の光が差し始める。
モンスターペアレントや学級崩壊の現実に
心が折れそうな新米教師が、
幼い甥に「がんばって」とハグされた瞬間だ。
ハグの予想外の効果に驚く新米教師に、
シングルマザーらしき姉が自慢する。
「この子、私がやるとおりに真似するの。
お母さんの愛情に満ちたハグは、
世界を幸せにするのよ」

こういう台詞を冗談交じりで言わせるところが
節度ある呉美保ワールドだ。
説教臭くない。
嘘くさくない。
冒頭ではらりと落ちた1枚の花びらが、
終盤で紙吹雪となって世界に降り注ぐ多幸感に
胸がいっぱいになる。
ドキュメンタリー映画「みんなの学校」と並べたくなる幸せな映画。

「みんなの学校」
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=3700229&id=1939911456
5 10

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する