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2014年07月27日19:49

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●物語を考えてみた (第1643回)

《番外編》
1話完結の新しい物語です
暇なときにでも、読んで頂けると幸いです
また、もし宜しかったら、感想等をコメントして頂けると、ありがたいんだこのヤロォー!


「夏の想い出」
――

『進路どうしようかなぁ…』

卒業を数ヵ月と控えた、高校生の秋
特に夢なんてなかった僕は、先生から渡された「進路調査表」の紙を見て、何を書いたら良いか分からず悩んでいた

『(小さい頃に何か夢ってなかったけ…?)』

そう思ったとき、僕は小学生の頃に体験した、ある想い出を思い出した…


それは僕が小学6年生の時
僕は、沖縄県にあるとある島へ、お父さんとお母さんと妹を合わせた4人で、2泊3日の家族旅行に来ていた

海は透き通ったエメラルドグリーン色
空はどこまでも青いブルースカイ色
まさに、誰もが思い描くような南の島

旅行初日
僕らはホテルに荷物を置いた後、南の島と言えば「綺麗な海」ということで、すぐに海へ泳ぎに行った
砂浜に、南の島特有の強い日差しを避ける、日除けのパラソルを挿し、その下に白色のピクニックシートをひいてから、無邪気に遊んでいた

太陽が少し傾いた頃…
僕は、お父さんに『トイレに行ってくる』と言って、海辺を歩いていた

(綺麗だなぁ…)

そう思っていると…
ある綺麗な風景に、思わず目を奪われた

それは、幾重にも重なった白波と、違う惑星が空に表れたような雲と、潮風に当てられ錆びた廃船が座礁している景色だった

僕は、それらが綺麗に見える場所に座り、少しの間、その景色を眺めていた

すると、誰かが話しかけてきた

『こんにちは』
『へっ…?』

僕はビックリして、振り返った
そこには、この島の住人だろうか
僕と同じくらいの子供が立っていた

『こ、こんにちは…』
『隣、いい?』
『……どうぞ…』

少年は僕の隣に座った
そのまま少年は僕に話してきた

『ねぇ、君はどこから来たの?』
『えっ…。埼玉県からだけど…。君は誰なの?』
『僕…?僕はね。この辺りに住んでいて、散歩の途中に君を見かけたからお話したくって、声掛けちゃった!』
『そ、そうなんだ…!』

僕は戸惑いながらも、再び海を見た
それを見て、少年が言った

『この景色、良いでしょ?僕ね。暇なときに、良く見に来てるんだ』
『どうして?』
『あの遠い海の先に何があるんだろうって…。いつも思うんだ』
『ふぅ〜ん…。もしかして、この島から出たことないの?』

そう言うと、少年は頷いた

『うん。だから、いつかこの島から出て、色んな世界を見てみたいなって思ってるんだ』
『へぇ〜。スゴいね…!』
『君はやりたい事とかないの?』
『僕?特にないなぁ…』

するとその時、飛行機の飛ぶ音がした
僕達は思わず空を見た
空には、小型の飛行機が飛んでいて、それが作り出す飛行機雲が、一筋の線となって、空に描かれた惑星へと飛んでいった

少年は、飛行機が見えなくなってから言った

『飛行機のパイロットとかどう?』
『はぁ!?』

突然の言葉に僕は驚いた

『どう言うことなのさ…!』
『君がパイロットになって空を飛べたら、僕がどこへでも行けるでしょ?』
『……。つまり、お前の足になれと言うんだね?』
『まぁ、そう言うことだよね…』

少年は当たり前のように答えたので、僕は少し呆れた

『一応…僕達、初対面だよ?』
『だから?』
『そんな風に言うのはおかしいと思うけど…』
『なら、仲良くなろうよ!』
『それって、かなり強引じゃ…?』
『もしかして…友達はイヤ…?』
『いや…。嫌じゃないけど…』
『良かった』

少年は無邪気な笑顔を浮かべて喜んだ
僕はそれを見て、ある事を聞いた

『もしかしてだけど…友達いないの?』
『……!』

すると、少年はさっきの笑顔が嘘のように笑顔がなくなった
僕は慌てて声をかけた
『ど、どうしたの…!?』
『僕ね…。友達いないの…』
『どうしてだよ…!』
『この島にね…。子供がいないの…』
『えっ…?』

僕がよく回りを見渡すと、確かに自分のような子供は見えなくて、おじいちゃんやおばあちゃんしか歩いていなかった

『本当だ…子供がいない…。もしかして、僕に話しかけたのって、寂しかったから?』
『……うん…』

少年は、今にも泣きそうな顔で頷いた
僕は少年に元気を出してもらいたくて、ある事を約束した

『じゃあ、明日遊ぼうよ?』
『えっ…?いいの…?』
『うん!いいよ!』

そう言うと、少年は暗い表情から一変して、さっきの素敵な笑顔に戻って喜んだ

僕が『良かった…』と思い安心していると、右の方から僕を呼ぶ声が聞こえてきた
その声のした方を見ると、僕のお父さんが僕を呼びながら走ってきた

『あ、お父さん!』
『やっと見つけたぞ…!トイレに行くって言ったきり、帰って来ないから心配したんだぞ…。あれ、隣の子は?』

僕は少年の事をお父さんに説明した
すると、お父さんは納得したようすで言った

『そんなことがあったんだね…』
『ねぇ…お父さん!。明日、遊んでいい?』
『そうだなぁ…。君の親御さんに話しはしたの?』

お父さんは少年に聞く、少年は首を横に振った

『じゃあ、1回親御さんに話からにしよう』

少年は頷いて、僕とお父さんを家へ案内してくれた
その後、僕達と一緒にお父さんが少年のお母さんとお話をして、許可をもらった

その後、僕達は明日の朝10時ぐらいにここに集合する事を約束して、『またね!』と言いながら、その日は別れた

翌日…
僕ら、家族が海辺へ待ち合わせ時間より少し早く着くと、少年がすでに来ていた
少年は、僕らと目が会うと向こうから元気よく走ってきた

『こんにちは!』
『こんにちは。じゃあ、私とお母さんが準備するから手伝ってくれる?』

少年の元気な挨拶にお父さんが答え、砂浜で遊ぶ準備を行った
そして、数分後
『よし、二人とも泳いでおいで!』
『行くぞぉー!』『おぉー!』

準備を終えた僕と少年は、お父さんの許しをもらって、元気よく海で遊び始めた

僕達は海で泳いだり、砂浜の砂で城を作ったりして、たくさん遊んだ

日が傾き、少しだけ砂浜が夕日色になった頃

少年が僕を呼んだ

『なに?』
『今日は遊んでくれてありがとう。ちょっと、着いて来てもらえる?』
『うん。いいよ…』

少年は僕を連れて、ある高台へ向かって歩き、そこを登った
そして、左右を木々で覆われた道を歩くこと、数十分…
少年が、高台のある開けた場所で止まった

『ここだよ…。来て見て』

僕は少年の同じ場所に立った

『うわぁ…』

僕の目に映ったのは…
高台から見た、夕日色に染まる幾重にも重なった白波と、違う惑星が空に表れたような雲と、潮風に当てられて錆びきった廃船が座礁している景色だった

(本当に綺麗だなぁ…)

改めて見るその景色は、子供ながらに感動し、何時間でも見ていたいと思ってしまった

それから少しの間、その景色を見てから、お父さんがいる場所へ戻った

お父さんは、また僕達を探していたらしく、見つけるとスゴい剣幕で走ってきた

『どこに行っていたんだ!?探したんだぞ!?』
『ごめんなさい…』『すみません…』

激怒するお父さんに僕達は謝った

『まぁ、見つかったからよかったよ。じゃあ帰ろうか』
『はい』『うん』

お父さんは少年を親御さんの家に届けて、『バイバイ…』と別れを告げた後、僕はお父さん達と一緒にホテルへ戻った

翌日
最終日の今日は、早朝からもう帰るだけなので、少年に挨拶をせず、僕達は荷物を持って、小型飛行機に乗り込んだ

離陸時間になり、飛行機が動き出す

スゴいスピードで過ぎる滑走路を、僕は飛行機の窓から眺めながら、少年との別れを寂しく感じていた

『(最後に一言言いたかったなぁ…)』

そう思った時、昨日、少年と見たあの高台が見えてきた

『あそこで、アイツと……。ん!?』

僕は驚いた
少年が、あの高台に立ってこちらに向かって、手を振っていた
僕は、聞こえないと分かっていたが、『またね!必ず来るから!!』と大きな声で言った


再び、高校生の秋…
『そんなこともあったなぁ…。飛行機のパイロットか…』

僕は「進路調査表」に「パイロット」と書いて、翌日に提出した

それから数年後…
僕は大学を卒業し、飛行機の操縦士の免許を取った
免許を取るのは簡単ではなかった
何度も試験に落ちたが、諦めることなく挑戦し続けたら、取れたのだ
それが出来たのも、またアイツに会う為と思い続けていたから

免許を取って数ヵ月後
僕は小さな航空会社に就職し、初フライトの日を迎えた

行き先はもちろん…あの南の島だ

『(待ってろよ!)』

僕は小型飛行機のエンジンを掛けて、室力を上げる

数時間後…
飛行機は、あの南の島の上空を飛んでいた
僕はふと、あの高台を見た

そこには、こちらに向かって手を振る人が数人いた
どうやら家族みたいだ
その中には、あの少年の面影を持ったアイツがいた

僕は、また手を振り返した
あの時の約束を果たすように…


―――
どうも僕です(T_T)


今回は27時間テレビの個人的挑戦企画と言うことで、1日で小説を書かせて頂きくことに挑戦してみました

ちなみに今回のテーマは「いむさん」という方が「写真を見てお話を書く」ことをやっていらっしゃったので、私も同じ写真で挑戦してみました

写真は後で載せますが、良い写真ですよぉ〜


ちなみに、今日は27時間テレビを録画中にブレーカーが落ちて、大事な所で空白の数分間が生まれました
頑張ってるのに何でこうなるの?(ToT)

読んでくれた人に感謝…



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