mixiユーザー(id:31691303)

2014年06月04日22:24

114 view

物語を考えてみた (第1613回)

1話完結の新しい物語です
暇なときにでも、読んで頂けると幸いです
また、もし宜しかったら、感想等をコメントして頂けると、ありがたいんだこのヤロォー!


タイトル「雨粒の想い出」
――


僕は、田舎の中学校に通う中学二年生の男子
今日もいつものように、朝8時に学校へ行き、午後4時に授業が終わる鐘が聞いて家に帰る
そんな毎日を過ごしている

ある日…
その日も僕は、終業の鐘を聞いて、帰り支度を済ませ、学校を出た

その学校の帰り道…
僕が一人で歩いていると、突然、雨が降ってきた
雨は次第に強くなり、僕は急いで、雨宿り出来る場所を探した
すると、道の先に田舎らしい屋根の付いたボロボロのバス停を見つけた
僕はそのバス停に走って入り、雨宿りを始めた

『天気予報は晴れだって言ってたのに…。ちょっと待てば止むかな…?』

しかし、いくら待っても弱まる気配がない雨に、僕はしばらく、このバス停に留まる事にした

僕が、バス停に置いてあるベンチに座りながら、雨が止むのを待っていると、バスがやって来た

『こんな田舎で、誰も使わないのにバスなんて必要ないだろう…』

僕がそう思っていると…
そのバスから綺麗な大人の女性が降りてきた

僕は、バスから人が降りてきた事と、その人がスゴく綺麗な女性だということにとても驚いた

その女性はこのバス停に置いてあるもう1つのベンチに座った
僕は、つい、その女性を見てしまった
すると、その女性はこっちを見て、笑った

『こんにちは。君は…中学生かな?』
『えっ…?あ、はい…。お姉さんは何でこんな所に来たの??』
『私?私はね…。ちょっと色々あったから、一人になりたかったの』
『一人に…。どうしてですか?』
『気になる?』

女性は何か含みを持った笑みを浮かべ、僕を見た
僕はその笑みの意味が分からず、動揺した

『いや…それは…』
『気にならないの?』
『えっと…その…』

女性は僕の戸惑う姿を見て、笑った

『な、何で笑うんですか…!?』
『ごめんごめん。つい、からかいたくなったの。そういえば、君は何してるの?』
『僕は雨宿りですよ』
『一人で?』
『見たら分かるじゃないですか…』
『彼女いないんだ?』
『…!お姉さんはこそ、どうなんですか…?』
『やっぱり、知りたいんだぁ』
『べ、別に…!』
『君、本当に可愛いね』
『……!』

この女性が大人だからだろうか…
僕は自分で分かるぐらい、顔を赤らめ、女性の変な雰囲気に惹かれていった

僕がこの女性の事をもう少し知りたいと思ったとき、バスの最終便がやって来てしまった

女性は『ごめんね』と言って、そのバスに乗った
そして、バスの窓を開けて、僕に聞いてきた

『今日はありがとうね。君、名前は?』
『僕は、藤森です』
『藤森君ね。私は松下って言うから覚えてね』
『あ、はい…!』

バスは動き出し、僕はそのバスを手を振りながら見送った

バスが見えなくなったぐらいで雨が止み始めた
僕はそのタイミングを見て、バス停から出て、家に帰った

翌朝…
僕は学校に行き、友達に昨日の出来事を話した
すると、友達は興味津々で僕の話を聞いてくれて、ちょうど思春期の僕らは、男のバカな妄想全開で、バスで出会った松下さんが、何故こんな田舎に来たのかを言いあった
もちろん、納得するような答えが出るわけでもなく、僕達は笑いあっていた

それから数ヵ月が経ち…友達も僕も、松下さんの事をすっかり忘れてしまっていた
そんな頃に、再び松下さんは僕の前に現れた

それは、前回と同じシチュエーション
突然、雨が降りだしたし、雨宿りにあのバス停を使っていた時だった

僕がバス停のベンチに座っていると、そのバスから松下さんが降りてきた
僕は、久し振りの松下さんの姿に見とれてしまった

松下さんは僕の隣に置いてある、もう1つのベンチに座った

変な緊張感が僕を襲う

前回、会話したはずだから初対面ではないけど…。大人の女性と会話するなんて、親以外にしたことないし…。でも、松下さんと会話出来ないかな…?

そう思ったとき、松下さんが話しかけてきた

『こんにちは。君は、確か…。藤森君だっけ?』
『あ、はい、そうです…!』
『また、会ったね。数ヵ月ぶりだよね。何かしてた?』
『えっと…。学校に行ってたぐらいしか…』
『そうだよね。学生だもんね』

少し間があって、僕は聞いた

『お姉さんは今まで何してたんですか?』
『私?私は、男と付き合って…別れてきたかな』
『そ、そうなんだ…。お姉さんは都会から来たんですか?』
僕は変なテンションになりながら聞いた
『そうよ。田舎に憧れる?』
『そ、そりゃ…憧れますよ。こんな田舎より、色々あるし、輝いてますもん』
『そうね…。言ったら悪いけど、ここよりかは、都会は素敵なところよ。でも、それと同時に寂しい所でもあるわ…』

松下さんは遠くの方を見つめる

『多くの人がそれぞれに夢を持って、都会にやって来るの。でも…皆、平等に夢が叶うわけじゃないの。多くの人は夢に破れて、田舎に帰るの』

松下さんは寂しそうな顔をした
僕はその顔を見て思った

『もしかして…お姉さんもその一人ですか…?』

松下さんは少し間をあげて『そうね…』と答えた
僕はお姉さんのその姿を見て、何故かカッコ良く見えてしまった

松下さんはそんな僕に少し前のめりになって質問してきた

『藤森君は、彼女はいるのかな?』
『い、いきなり何ですか!?』
『初な感じがしたからどうなんだろうなぁ〜って思っただけ。で、どうなの?』
『……いませんよ…』
『じゃあ、私が彼女になってあげようか?』
『えっ!?いや…!』

僕はスゴく戸惑った
松下さんはその姿を見て、笑った

『初だねぇ〜』

僕はからかわれて恥ずかしくなり、雨が降る中、バス停から逃げるように帰った

それから数日後…
学校が休みの日に、僕はお母さんにお使いを頼まれて、八百屋に向かっていた
その途中、どこかのお母さんが世間話をしていた

『知ってます?奥さん。最近、西宮さんの娘さんが帰ってきてるらしいわよ』
『えっ?そうなの…!確か…西宮さんの娘さんって、歌手になるって言って、家を出て行ったのよね?』
『そう。でも、帰ってきたってことは、無理だったんじゃないの?』
『芸能界は厳しいかったのね』
『そうね…。あ、そうそう…』

お母さん達の世間話は違う話題に変わった

僕は、その話を聞いて『もしかして…』と思い、今度、松下さんに会えたら確認することにした
しかし、会いたいと思えば思うほど、会えないもので…
気がつけば、僕は高校を卒業していた…

その頃になると、僕は高校を卒業をしたら、自分の夢を叶えたくて都会に行きたいと思うようになっていた
それは、前々から思っていたけど…
決心をつけられたのは、松下さんとの出会いがあったからなのからだろうと思う

僕は、親を無理に説得して、上京する許可をもらった

それからの僕は、上京するための準備に追われた
家を探して、バイト先をさがして…
ついでに松下さんも探した
だけど、松下さんだけは見つからなかった

良く晴れた出発当日…
僕は身支度を持って、家を出た
親は無理に説得したから、玄関先までしかお見送りをしてくれなかった

僕は、駅に向かうために、あのバス停でバスを待った
しばらくして、バスがやって来た

僕はそのバスを見て、驚いた
停車したバスから、松下さんが降りてきた

『あら!藤森君。久し振りだね』
『ひ、久し振りです…!?』
『あれ…?』

松下さんは僕の格好を見て、全てを理解した

『都会に行くんだね?』
『はい。松下さんは、まだ夢を追いかけてるんですか?』

松下さんは首を横に振った

『諦めた。だから、帰ってきたの』
『そうですか…』

僕は少し落ち込んだ
それを見て、松下さんは少し呆れた

『何で、君が落ち込むのよ?』
『だって…。夢を諦めるなんて、悲しくて…』

そう言うと、松下さんは僕の目を見て言った

『ずっと前に行ったかと思うんだけど…。勘違いしちゃダメだよ。都会に行っても、夢は必ず叶うわけじゃない。叶わないのが当たり前なの。だから、叶わないと思った時は、諦めるのも肝心だからね。まぁ、そう言いながら、私はかなり抵抗したけどね』
『松下さん…』
『でも、チャンスは皆にあるから、頑張ってチャンスを掴みなさいよ!』
『はい…』

その時、出発時間が来たのか、バスの運転手が『乗らないんですか?』と言ってきた

『ほら、私の代わりに夢を叶えてきなさい!』
『はい!』

僕は、松下さんと入れ替わるように、バスに乗った

バスが動き出す
少しずつ小さくなっていく、松下さんを僕はずっと見ていた

自分の決意が揺らがないように…


―――
どうも僕です


今回の作品はいかがでした?
書き始めは、こんな物語になるとは思いませんでしたが、夢を諦めた人と挑戦する人の交流を書かせて頂きました

楽しんでいただければ幸いですわーい(嬉しい顔)

ちなみに
この作品をあるマイミクの人が映像化して頂いた作品がありまして
合わせて見て頂ければ幸いです(^−^)


読んでくれた人に感謝(^−^)
6 9

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する