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2014年06月04日01:06

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魔法少女の系譜、その23

 この日記は、断続的に書いている『魔法少女の系譜』シリーズの一つです。前回までのシリーズの日記を読んでいないと、話が通じません。

 前回までのシリーズを読んでいない方、読んだけれど忘れてしまった方は、以下のシリーズ目録より、先にお読み下さい。

魔法少女の系譜、シリーズ目録(2014年01月22日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=25849368&id=1920320548

 今回も、前回からの続きで、『ふしぎなメルモ』を取り上げます。
 六つの視点、改め、七つの視点で、『ふしぎなメルモ』を分析してみます。

[1]魔法少女の魔力は、何に由来しているか?
[2]大人になった魔法少女は、どうなるのか?
[3]魔法少女は、いつから、なぜ、どのように、「変身」を始めたのか?
[4]魔法少女は、「魔法の道具」を持っているか? 持っているなら、それは、どのような物か?
[5]魔法少女は、マスコットを連れているか? 連れているなら、それは、どのような生き物か?
[6]魔法少女は、呪文を唱えるか? 唱えるなら、どんな時に唱えるか?
[7]魔法少女の魔法は、秘密にされているか否か? それに伴い、視点が内在的か、外在的か?

の、七つの視点です。

[1]魔法少女の魔力は、何に由来しているか?

 メルモちゃんの魔力は、ミラクルキャンディーにあります。ミラクルキャンディーがなければ、彼女は、普通の女の子―異様にしっかりしていますが―です。
 魔法道具型の魔法少女ですね。

[2]大人になった魔法少女は、どうなるのか?

 これは、作品中で、はっきり描かれています。メルモちゃんは、普通の大人の女性になり、母親になります。
 魔法少女ものの中で、将来がはっきりと描かれた、初めての例でしょう。

[3]魔法少女は、いつから、なぜ、どのように、「変身」を始めたのか?

 『ふしぎなメルモ』でも、「変身」は、重要な要素になっています。
 けれども、それは、「魔法少女としての姿に変身する」のではありません。メルモちゃんは、大人になったり、子供になったり、ヒト以外の動物に変身したりします。

 『ふしぎなメルモ』の段階では、まだ、「魔法少女としての姿に変身する」考えは、なかったのでしょう。

[4]魔法少女は、「魔法の道具」を持っているか? 持っているなら、それは、どのような物か?

 先に書いたとおり、ミラクルキャンディーが魔法の道具です。これを食べることによって、年齢を進めたり、戻したり、他の動物に変身したりできます。

[5]魔法少女は、マスコットを連れているか? 連れているなら、それは、どのような生き物か?

 『ふしぎなメルモ』では、メルモちゃんの弟のトトオとタッチが、マスコット的な役割を果たしています。
 特に、上の弟のトトオがそうですね。

 トトオは、一時期、ミラクルキャンディーの力で、カエルに変身したまま、ヒトに戻れなくなります。カエルの姿なのですが、知能や記憶はヒトの時と同じなので、「スーパーカエル」状態です。
 この間のトトオは、特に、マスコットっぽいです。とはいえ、メルモちゃんの手助けをするよりは、トラブルを起こすことのほうが多いです(笑)

[6]魔法少女は、呪文を唱えるか? 唱えるなら、どんな時に唱えるか?

 メルモちゃんは、呪文の類は、一切、使いません。

[7]魔法少女の魔法は、秘密にされているか否か? それに伴い、視点が内在的か、外在的か?

 メルモちゃんの場合は、魔法=ミラクルキャンディーの存在ですね。その存在は、秘密にされています。
 知っているのは、メルモちゃんの弟のトトオ―タッチは、幼すぎて、知るも知らないもありません―と、メルモちゃんをいろいろと助けてくれる科学者のワレガラス―変わった名前ですが、彼は、日本人ではないという設定です―だけです。

 したがって、視点は、内在的です。小学生でありながら、弟たちの面倒を見て、母親代わりに家事をこなすメルモちゃんの姿が描かれます。


 こうして見ると、『ふしぎなメルモ』は、「母性」が大きなテーマになっていることが、わかりますね。それは、自然に、性と生殖の話につながります。この作品が、「性教育アニメ」になったのは、当然という気がします。

 魔法少女の中で、母性をテーマにしたものは、他にないのではないでしょうか。
 『ふしぎなメルモ』は、その点で、とても独創的な作品となりました(^^)

 それでいながら、子供たちの夢をかなえる「変身」の要素も、しっかり入っています。ただの性教育アニメではありません。
 魔法道具型の魔法少女の傑作として、名を刻む価値がありますね(^^)

 母性がテーマの作品だからこそ、「ヒロインが成長して、母になる」ことまで、描かれたのでしょう。
 魔法少女のその後が、明確に描かれた初めての作品としても、名を刻むことになりました。

 『ふしぎなメルモ』については、ここまでとします。

 以前の日記で書いたとおり、『ふしぎなメルモ』と同時期に、『さるとびエッちゃん』、『好き!すき!!魔女先生』が放送されていました。
 魔法少女史上でも珍しい、三作同時放送です。

 これらの作品の放映は、昭和四十七年(一九七二年)の三月に、一斉に終わりました。
 その後は、また、魔法少女ものは、「同時期に一作」に戻ります。

 次に取り上げる作品は、『ふしぎなメルモ』が終わった後、昭和四十七年(一九七二年)四月から、同年の十二月まで放映されたものです。
 その作品とは、『魔法使いチャッピー』です。

 この作品は、昭和四十年代の魔法少女の、平均的な姿を表わしていると思います。
 「昭和四十年代の魔法少女って、だいたい、こうだよね」という感じです。当時は、まだ、「魔法少女」という言葉は、ありませんが。

 なぜ、そうなのかは、次回以降を、お楽しみに。

2014年06月11日追記:
 この日記の続きを書きました。
 よろしければ、以下の日記もお読み下さい。

2.24)魔法少女の系譜、その24(2014年06月11日)
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=25849368&id=1927876065


 今回のレビューは、生命の尊さを教えてくれた『ふしぎなメルモ』にちなんで、「生命の驚異」を紹介した本を選びました。
 『このすばらしき生きものたち』です。

 二〇一四年現在からは、二十年も前に出た本です。したがって、載っている情報には、古い部分もあります。
 それでも、本書は、充分に、生命の不思議さや尊さを、伝えています(^^)

 よろしければ、以下のレビューもお読み下さい。

このすばらしき生きものたち―カンブリア大爆発から人工生命の世紀へ
http://mixi.jp/view_item.pl?reviewer_id=25849368&id=260765

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