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2014年05月31日15:49

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物語を考えてみた 1 (第1610回)

新シリーズの物語です
暇なときにでも、読んで頂けると幸いです
もし宜しかったら、「イイネ」や感想等を「コメント」して頂けると、ありがたいです

第1話
――

私には付き合って6年目の恋人がいる

私が高校2年の時に1年後輩の彼から告白され、当時、彼氏のいなかった私は『暇潰しにいいだろう』と思い、付き合うことにした

付き合い始めて3日後…
私は、彼とデートする事になった
このデートでよく覚えているのは、彼がものスゴく緊張していたということ

彼はデートの最中、ずっと私の事を気にかけてくれて、少しでも私が困った顔をすると『どうしたんですか?』と彼は聞いてくれた
最初は『鬱陶しいなぁ…』と思っていたが、彼が緊張している事を知ると、何故かそれが可愛く思えてきた

デートの終わり、私は『どうしてそこまで気にかけてくれるの?』と聞いた
すると彼は『彼女が出来たのが初めてで、どうしたらいいのか分からなかったから』と緊張しながら答えてくれた

私は、彼のそんな部分がある意味、新鮮だったから好きになっていったのかもしれない…

彼が20才を超えた時、私達は親の許可を得て、同棲を始めた
二人で暮らすことは多少の苦労はあったけど、不思議と乗り越えられた

そして、同棲し始めて数年後…
家で、彼と一緒にご飯を食べていると、彼が突然『3日後に初めてデートした場所に来て』と言われた
私は『どうして?』と聞いたが、彼は誤魔化してばかりで答えてはくれなかった
だけど、私は女の勘で彼からのサプライズだということは分かった
私はその日が来るのが楽しみでしょうがなかった

しかし、不幸は突然訪れた…

私はハッキリと覚えている…
それは、約束日の前日、2月2日の午後11時の事だった
私はいつものように、彼が仕事から帰ってくるのを、テレビを見ながら待っていると、家に電話が掛かってきた

私は何故か、嫌な予感がした

電話を取ると、それは警察からだった
警察は私ということを確認して、淡々と事実を私に伝えた

彼が交通事故に遭った、と…

私は急いで、警察から聞いた病院へ向かった
数十分かけて病院に到着し、受付の看護婦さんに彼のいる病室を聞いて、病室に入った
病室に入ると、彼が意識不明の状態でベッドの上に眠っていた

心電図の一定の音が病室に響く

私は彼に駆け寄り、彼の手を握った
彼の手はまだ暖かく、私は、彼がまだ生きていると思って、少し安心できた…

私が到着してから数分後…
病室に彼の担当医が入ってきた

『アナタは彼の奥さんですか?』
『いえ…。恋人です…』
『そうですか、わかりました。今の彼は非常に危険な状態です。もしかしたら、今日あたりが山かと…』
『そんな…。先生!?』

私は先生にしがみついた

『もう、助かる方法はないんですか!?』

先生は私と目を合わせずに答えた

『我々も全力を尽くしましたが…。これ以上は本人に任せるしかありません…』
『そんな…』

私は泣いた…

何故、私達がこんな目に遭わなくてはいけないのか
私達に明日が訪れていたら…きっと、幸せな日々をおくれていたはずなのに…

担当医は泣き崩れる私を見て、『彼氏の側にいてあげてください』とだけ言って病室から出ていった
私は頬に伝う涙を自分の手で拭いながら、彼の寝ているベッドの側に置いてあった椅子に座った
そして、何も言わずに彼を見つめ、良くなるように、神様に祈った

しかし、神様は残酷だった…

突然、心電図から警告音が鳴った
その警告音に驚いた私は、慌ててナースコールを押して、看護婦と担当医を呼んだ
担当医と看護婦がこの病室に来て、彼の状態を見るやいなや、すぐに処置に入った
しかし、状況は悪くなるばかりで…
ついには、心停止の状態になってしまった
担当医は心臓マッサージしながら、電気ショックを彼に与えた
しかし、いっこうに状況は良くならくて…
40分後…
担当医は心臓マッサージを止めた…
私は担当医に『続けてください!』と怒鳴るように言った
しかし、担当医は首を横に振って、心臓マッサージをしてはくれなかった
私は動かなくなった彼に抱きつき、大声で泣いた…

泣いて泣いて泣き続けて…
気がつけば朝になっていた

朝の9時を越えた時、彼の家族がやって来た
彼の家族は、亡くなった彼を見た瞬間に号泣して、母親は私と同じように抱きついた
父親は、私の側に来てくれて『辛い思いをさせてゴメンね』と励ましてくれた


私はその日…
彼のお父さんから『疲れただろう』と気を使ってくれて、家に帰らせてくれた

私は、彼と一緒に過ごしていた家に帰った
彼がいなくなった家は、まるで時間が止まったかのように感じた
私は、部屋に置いてある彼の私物を見るたびに泣いた…

数日後…
彼の葬儀が行われ、彼は天国に昇ってた
それからの私は、何かが抜け落ちたような毎日だった
お金が必要になって働きに出ても、仕事に集中できず、クビになるというのを繰り返していた

ある日…
そんな私を知ったからなのか、彼の家族が私を家に招待してくれた
私は一度断ったが、彼の家族が『渡したいものがある』と言ってきたので、気は進まなかったが行くことにした

彼の家族の家に着くと、彼のお母さんが出迎えてくれた
私は迎えられがままに家の中に入った
そして、居間に案内されて、私の近況について話をした
私は少し会話をしたが、なかなか本題に入らないのでシビレを切らして、言った

『あの…お母さん…。私に渡したいものがあるというのは何ですか…?』
『あ、ゴメンね…。その為に来たんだもんね…。えっと…これなんだけど…』

お母さんは、私の名前が書かれたカセットテープを出してきた

『これは?』
『うちの息子の部屋を片付けてたら、アナタの名前が書いてあったから渡しておこうって思って…』

私はそのテープを受け取った
お母さんは話を続ける

『多分、息子がアナタに何かしようとしてた物だと思うの…。見てあげてもらえる…?』

私は複雑な気持ちで『はい…』と答えた
そして、それを自宅に持って帰り、すぐにテープを再生した
テープには彼の声が入っていた

『こんにちは。僕と君と付き合って、今年で6年目になるよね?面倒くさいかもしれないけど、今から君とゲームがしたい。君が勝ったら良いものをあげるから、やってほしい。もし、やってくれるなら、僕達が初めてデートした場所に来てほしい。あの時、待ち合わせた場所に同じようなテープがおいてあるから…』

テープはそこで終わった
私は『何のために…?』と思ったが、彼がこの世に残した欠片を集めるために、初めてデートした場所に向かった

―――
続くに

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