前の日記にも書いたのだけれどアメリカ在住のフランクさんがこのたび日本のビザールギターの研究成果の本を出版するため来日して楽器メーカーの関係者などの取材を行うことになり、日本のビザールギター研究家である「牛込パン」さんと当時のカタログをホームページにアップしている私にも会いたいと言ってきた。
セッションをしたいとのことでスタジオで待っていると「オー!グリーンセトー!」と言いながら笑顔のフランクさんが現れた時は感激してしまった。
私のホームページを見て海外から会いに来てくれた人なんて初めてだったから。
ちなみに見てくれたサイトはこれ。
マイミク、ラニスターズ@中村さんがずいぶん昔にアップしてくれたものだ。
http://yrc.fc2web.com/seto-gallery.html
フランクさん、室内を見渡し「オーナインティーン××、19××」とか「レッドノブ」とか一つ一つのアンプに対してコメントを述べる。
当日牛込パンさんから当時のグヤトーンのギターを持ってきませんかと言われていたんだけれど、全然手入れしていないし、私にとっては所有する喜びだけのギター。
それに朝の満員電車で運ぶのも大変ということで職場に置きっぱなしにしていたFENDER JAPANのジャガーを持って行った。
そしたらフランクさん「フジゲン?」て言う。
え?なんのことかと思ったら「USA?」っていうのでJAPANと答えた。
あとでわかったのだがフランクさんはどの会社が製造したのかが知りたいのだった。
この日牛込パンさんが電車に乗り持ち込んだギターはなんと4本!
みんなレアなビザールギター。
通訳を兼ねるパトリックさんと4人のセッションが始まった。
パトリックさん、さっそくテスコTRG-1を抱えて弾き出した。
このギター、ビザールギターとはいいながらジャクソン・ブラウンがライブで使っていたりするのだ。
http://www.youtube.com/watch?v=d4_JlWAv0e0
「ファズボックスない?」みたいなことをいうので私のBOSS ME-25を貸してあげようかと思ったらビンテージエフェクターしか使わないという。
でもチューナーは使ってた。(笑)
テスコ TB-64を弾く牛込パンさん。
ちなみに「牛込パンのHOME」はこちら。
どこをとってもすごく手が込んでいる。
ギターの改造も驚き。
写真の技術も素晴らしい。
http://teiscotone.web.fc2.com/
ドラムは通訳を兼ねるパトリックさん。
先日渋谷でお会いした方だ。
こちらはTRG-1を弾くパトリックさん。
彼は自分のバンドではギターを担当しているそうだ。
グヤトーン・マロリーを弾く牛込パンさん。
テスコ TRG-1
60年代発売のアンプ内蔵ギター。
つまりZO-3の元祖である。
牛込パンさんはどのギターもちゃんとメンテナンスして使えるコンディションになっていて、このギターはフレットを牛込パンさん自身が打ちかえてあり、かなり硬くシャープな音が出ていた。
私はビザールギターを弾くことに興味がないので全く弾かせてもらわなかったが少しは触らせてもらえば良かった。
ヘッドのロゴは「SILVERTONE」輸出ブランドになっている。
これはYAMAHA SG2C。
http://www.yamaha.co.jp/product/guitar/archive/sg2c/index.html
ヤマハでは当時数少ない廉価版のギターでビザール度は高い。
同じ形で3ピックアップの物やベースもあった。
1968-1971年販売。
グヤトーンマロリー。
ギタリストのロリー・ギャラガーが昔使っていた「ガイヤトーン」(グヤトーンの勘違い)を再現しつつ現代的な使えるギターのいしたのがこれ。
これは弾かせてもらったけれど、良い音だった!
第一印象は「クリームのクラプトンの音が出る!」。
ちょっとびっくりした。
牛込パンさんによってしっかり調整されていて弦高は低くブリッジも、より良い音が出るよう交換されていた。
テスコの6弦ベース TB-64。
元々はフェンダーのベース6のパクリだけれどもボディに穴があいていたりしてオリジナリティにあふれている。
弾かせてもらったけれど6弦ベースは慣れないと弾きにくい。(笑)
なんだか共通のレパートリーがちっともなくてまともな演奏にはならなかったけれど、ジョニーBグッド、パイプライン、エメラルドの伝説などを一緒に演奏した。
そしてセッションが終わり打ち上げ。
フランクさんはスタジオにいる時からさっそく覚えた日本語「ビール」を連発していたのでうまそうに飲んでいた。
パトリックさんと私、老眼なもんでこの時はメガネをとってる。
フランクさん。
持ってきたビザールギターの本と一緒に。
牛込パンさん、なんとかフランクさんにタコを食べさせようとたくらんでタコだと言わずに食べさせて、あとで「オクトパス!」って言ってた。(笑)
フランクさん、ギターに関する質問をすると一転真顔になって熱く語ってくれた。
今回の来日では有名GSに楽器を提供したので知られるメーカーの創設者の家までいたり60年代に全盛を誇ったメーカーの創設者の息子さんと会ったり、長野の楽器メーカーでは40年ぶりに当時の従業員の方たちが集まってくれてお話を伺ったりと大変取材は充実していたようだ。
来年発売されるという本が楽しみだ。
ギター好き同志、世間の人が全然わからないようなマニアックな話題を語り合うのは楽しいものだ。(笑)
帰りがけに記念写真。
もっともっと話を聞きたかったのだけれど都立大で11時30分はギリギリの線。
後ろ髪引かれる思いで「漁民」をあとに。
電車に乗り気が付いたら終点の駅でギターを抱えたまま熟睡していた。
そのままふたつ前の馬車道駅まで戻り家に着いたら1時5分前。
疲れたけれど楽しい夜だった。
できたら来年、本が完成してからフランクさんたちに会いたいと思う。
会えてよかった。
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