昨日、娘は塾の冬期講習。お嫁さんはパート。僕だけ暇だったので、一人で観に行った。
感想。……「微妙」。
「つまらない」……とまではいかないが、「面白い」とも言えない。敢えて言うなら「普通」……かなあ。
映画としては、「ヤマト」の方が面白かった。
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基本的には「異世界を舞台にした冒険もの」で、ストーリー自体はよくあるパターン。
「全世界が悪の大魔王に支配されようとしている。それを阻止できるという伝説の宝物を探して、主人公が仲間を増やしながら未知の世界を旅し、宝物を手に入れて、魔王を倒す」というパターン。
……なのだが……。
舞台になるのは「アナザースペース」。
我々の宇宙とは別の宇宙。我々の宇宙の外側に、我々の宇宙と同じサイズの宇宙が無数に存在し、超空間の中に泡のように浮いている……という、文字で書くと壮大なイメージなのだが、実際に映像にすると、丸い玉がたくさん浮いているだけ。その一つ一つが我々の宇宙と同じサイズとは、とても見えない。
ウルトラマンゼロは、無数の宇宙の中から、ベリアルが侵略している1つの宇宙を見つけだし、そこへ飛び込む。……のだが、その宇宙がとっても狭い(^^;)。我々の宇宙と同じ広さがあるという設定だが、描かれ方を見ると、せいぜい我々の太陽系程度の広さしか感じられない(^^;)。
これだったら、別に「アナザースペース」なんて設定にしなくても、「我々の銀河系とも、M78星雲とも違う、まだ宇宙警備隊が訪れたことのない遠い銀河」でもよかったんじゃないかなあ……。
そのアナザースペースで、ゼロは惑星アヌー、炎の海賊の潜む宙域、鏡の星、惑星エスメラルダ……などを旅するのだが、どうもスケール感がないし、パッとしない。ものすごく狭いところをうろちょろしているだけ、という感じしかしなかったし、「様々な驚異の異世界を旅していく」という感じでもなかった。イメージが貧困というか……。
特に「炎の海賊」って、なんだ、ありゃ(^^;)。
ガル、ギル、グルがリーダーで、これこれこういう活動をしている……という設定だけは説明されたが、彼らが海賊らしいことをしている映像は画面では描かれず、ガル、ギル、グルは、いつも3人並んで登場し、いつも同じ狭い場所で、いつも同じカメラアングルで、わーわー騒ぐだけ。何のドラマもない。何も面白くない。作劇上、ほとんど何の役割も果たさない。
何のために出てきたキャラなんだ、こいつら。作り手は、何のためにヤツらを「3人」と設定したんだ。お互いに会話するわけでもないのに。
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ミラーナイト、グレンファイヤー、ジャンボットも微妙。
ミラーナイトはわりとミラーマンっぽいデザインだが、グレンファイヤーはパッと見、とてもファイヤーマンには見えない。ジャンボットも。
ミラーナイト、グレンファイヤー、ジャンボットが登場する場面では、それぞれミラーマン、ファイヤーマン、ジャンボーグAのテーマ曲をアレンジしたBGMがかかる。これはちょっと嬉しかった。が、どうせなら「微妙なアレンジ」じゃなくて、それぞれのテーマ曲そのものを流してくれた方がかっこよかったと思うがなあ……。
ミラーナイフやシルバークロスも、「ミラーナイフに似た武器」とか「シルバークロスに似た武器」ではなく、「ミラーナイフそのもの」「シルバークロスそのもの」を発射してくれた方が嬉しかったなあ……。グレンファイヤーやジャンボットの武器もしかり。
だいたいこの映画、誰に向かって作っている映画なんだろう。
子供は、ミラーナイトとかグレンファイヤーとかジャンボットとかを見て、喜ぶのか? 元ネタが分かんないだろうし、元ネタが分かったとしても、子供にとって嬉しいキャラクターだろうか。
僕と同年代の大人にとっては、ミラーマンやファイヤーマンやジャンボーグAそのものが出てくるなら嬉しいと思うが、こんな「もどきキャラ」では、少なくとも僕はちっとも嬉しくない。オリジナルと、 キャラクターの性格も全然違うし。 特にグレンファイヤー。 なんだ、ありゃ(^^;)。
この物語の登場人物としては、「やんちゃな海賊であるグレンファイヤー」「冷静で物腰の丁寧な騎士であるミラーナイト」「姫に仕える忠実なロボットであるジャンボット」というキャラクター分けがされていて、それはそれで良いと思う。しかし、デザインも性格も武器もオリジナルと違うというのでは、ミラーマン・ファイヤーマン・ジャンボーグAをモチーフに使う意味がないような気がするのだが……。
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なんか、「ウルトラマンの映画」を観た、という気が、あまりしなかった。
ウルトラ兄弟は最初の方と最後の方にちょこっとしか出てこないし……。人気怪獣の大軍団が出てくるわけでもないし……。前回の映画が持っていた「デラックス感」がない。
主な舞台が宇宙空間なので、「巨大ヒーロー」というスケール感が出ず、巨大ヒーローものの映像的な面白みがないし……。これじゃあ「ドラゴンボール」を見ているのと変わんないなあ……なんて思いながら観ていた。一応、ビルを壊すシーンもあったが、CGなので全然迫力がなかった。
着ぐるみヒーローがペチャクチャしゃべり、絆がどうとか仲間がどうとかしゃべってお芝居するのって、なんか「ウルトラ」と言うより、「ケロヨン」とか「チビラくん」とか「クレクレタコラ」とか「グーチョコランタン」とか、ああいう類の劇みたいだった。あるいは「アクマイザー3」とか「仮面ライダー電王」とか。だって、ミラーナイトもグレンファイヤーも人間態が無く、変身ヒーローじゃないんだもんな。
「ウルトラ」になるようにする工夫も、作り手は色々していたけど……。
ゼロが、死にかけているランと合体することによって、初代ウルトラマンや帰ってきたウルトラマンなんかと同じタイプの変身ヒーローとして活躍するとか……。
ウルトラゼロアイを落としてしまって、変身できなくなるとか……。
最後にランと分離して去っていく場面とか……。
でも、全体的な「お話の作り」とか「画面の印象」は、全然「ウルトラ」っぽくない。
「ウルトラ」の映画って、もうこういう形でしか続けることが出来ないのかなあ……。
「アナザースペースの太陽からはウルトラ戦士に必要な太陽エネルギーは得られないため、こっちの宇宙から持ってきたウルトラゼロブレスレットに蓄えられているエネルギーを使わなければ変身できない。ゼロブレスレットは3回しか使えない」……という設定は、昔話の「3枚の御札」みたいで、面白かった。カラータイマーも、作劇上の意味を持ったし。
でもゼロって、思い切りがいいのかバカなのか、悩んだり考えたりせずバンバン変身しちゃうんだよな(^^;)。観ながら、「え、そんなことに3回のうちの1回を使っていいの?」とびっくりした。
ラスト、ジャンボットは誰にも操縦されていない状態でゼロ達と会話し、動いていた。
なんだ、ロボット形態の時も、自分で動けるんじゃないか。だったら、ナオに操縦してもらった意味がないような気が……(^^;)。
映画の最後に、来年もウルトラの映画をやることが決定したという告知が出てきて、ビックリした。
この続きをやるのか? 大丈夫なのかな。映画館、ガラガラだったけど……。
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