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2009年12月20日20:34
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桜色の時代（６） １９９９−「未来からのエアメール」の頃
声優・丹下桜さんのひとまずの最後の年です。
○【ゲーム】「ときめきメモリアル ドラマシリーズＶｏｌ．３ 旅立ちの詩」（９９年４月１日発売）
９４年のＰＣエンジン版から始まり、一大ムーブメントを巻き起こした
「ときめきメモリアル（１）」関連プロジェクトの最終作品であり、
「もっと！ときめきメモリアル」から続いてきた桜さんと「ときメモ」の関係も
これで、ひとまず一区切り。
「ドラマシリーズ」最終作は本編のメインヒロイン・藤崎詩織をヒロインにした
卒業式直前の１７日間の物語。
「虹色の青春」でデビューした秋穂みのりちゃんは、
結果として３部作全てに重要なポジションで出演しました。
「虹色の青春」の頃は
ひたすら「虹野先輩大好き！！」だったみのりちゃんですが、
本作では、いろいろな経験を経て落ち着いた雰囲気で登場し、
「ときめきメモリアル ドラマシリーズ」は
みのりちゃんの成長物語、とも言える作品になりました。
○【ＴＶアニメ】「天使になるもんっ！」（９９年４月７日〜９月２９日放送）
桜さんは後半から登場する敵側の女の子・ミューズ役で出演。
基本的におバカなキャラでしたが
同じく、後半から登場する敵側の男の子・エロスに
片思いと知りつつ恋するせつない役どころで最終的には悲しい結末を迎えてしまい、
退場編となる第２４話の切なく激しい演技は今も強く印象に残っています。
『ミューズはエロスさまのことを、エロスはシルキーさまのことを慕っていて、
それぞれに報われない思いを抱き続けたままの幕切れは
切なくて哀しかったです。』
（ＨＰ「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」１０月１２日更新分より）
「天使になるもんっ！」第２４話
ミューズの出番は２：０９から。
悲しい結末だけど、胸に迫る演技です、、、。
○当時、桜さんの公式ＨＰ（？）だった「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」に
不定期で直筆メッセージがＵＰされていたのですが
この頃、とても意味深なメッセージが掲載されました。
詳しいことは分かりませんが、
この時に桜さんは
声優活動休止とその後の活動の方向を決意されたのでしょうか、、、！？
「皆さん こんにちは！ お元気ですか？
今日は最近起こった個人的な出来事についてお話ししたいと思っています。
お付き合いくださいね！
あのね、先月、７月、ななのつきに私のところへアルマゲドンが来ました。
・・・・えーっと（笑）ネタってわけじゃなく、あっ かと
いって、生死にかかわるとかそんなんじゃなくって、
強いて言えば、気持ちにかかわること、かな。
気持ちって「バイオリズム」があるから
調子いい時もあれば、悪いなぁって時もあるけど
その悪いなぁっていう方が去年後半からちょっと長びいちゃったのね。
だから今までだったらこう→↑浮上していた所で→↓キュウーと
ヘコんでいたので、フタをしたような場所まで落っこちてしまったんですよ。
でも、ある時
「あっ 今までの私、死んじゃったんだ」
でも、と同時に
「あっ 今生まれ変わったんだわ」
と思った瞬間があって・・・・
アルマゲドンの最後の審判とか、破壊と再生じゃないんだけど、
手離さないと新しいものは入ってこないっていう、
めちゃめちゃストレートな理屈どおりのことを体感しました。
病気と一緒でよくないんだっていう現実を素直に認めて受け入れた結果、
“じゃあ後は治療してよくなりましょう“といったカンジ。
しかもね、そう！実は確か７／３１のホント最後の最後の７の月だったの！！
だから・誰が何と言おうと！！！
・・・・桜個人レベルで「アルマゲドンが我が家にきた」と思ってるのです。
そうね、何かに例えるとしたら、台風みたいだったよ。
ぐっちゃんぐっちゃんになぎ倒されて、あ〜れ〜ぐるぐるぐるみたいに。
みんな！生きてると（「ＣＣさくら」のパートナーケロちゃんのうけうりですが）
人生いろいろやぁ！うっしゃっしゃぁ〜！！（１コ多いのはなぜ）
ですよ。ホント。
（中略）
台風の通り去った後ですから、まだ被害が大っきいですが、
また０からお花を植えて緑を植えて、お水をやって、
がんばってココロ育てるぞぉっ！！」
（１９９９年８月２３日）
「皆さんこんにちは！
という訳で前回の続き、後半です。
そんな私一個人の状況とは裏腹に、
その時期私に『救いの手』を求めてくる人が特に多かったんですが、
みんな気持ちはだいじょうぶ？
ラジオとかで人の悩みに触れることをしていると、
普通に生活してる時には想像もつかない程の
たくさんの人からのアクセスがあって、
―悩みから告白まで深刻なもの、純粋なもの、
中には自分を見失っているもの、人を傷つけるだけのものなど、
私が応えきれないものもあります。
だから、作品やこーゆー場を通して、
私なりに、私だからこそできることで
結果的に何かのきっかけに役立ってもらえれば
一番嬉しいし、幸せです！
私は「さくら」のような作品を通して、このＡｌｉｃｅや歌を通して、
何か優しくてあったかい、誰かを、何かを大切に想う気持ちを残したかった。
特にＡｌｉｃｅや歌のアルバムのように、
数少ない、自分で内容から企画して作れるものに関しては、
自分が足りないものを補うように、
私が欲しいと思ってるものや、求めているものを
作ろうとしていました。
近い将来、私の活動はきっと、
さらにそのウエイトが大きくなってゆくと思います。
それは、今ここに書いたとうり。
私のありのままの気持ちが原因で。自然ななりゆきで。
私の声や適性をフルに活かして自分を発揮できる場所で、
好きな感情・思考・時間・空間・アイテムがぎゅっと詰まったこと。
ステキなこと！
いろいろとね、実現していきたいです。」
（１９９９年９月３日）
○【９ｔｈシングル】「Ｂｒｉｇｈｔ ｓｈｉｎｅ ｏｎ Ｔｉｍｅ」（９９年７月２３日発売）
この曲と、次の１０ｔｈシングル「ＴＯ ＬＯＶＥ」は、
作詩・作曲家・岡田実音さんをサウンドプロデューサーに迎えて
新たな桜さんの一面を引き出す、というようなコンセプトで収録されたそうです。
『岡田先生の詩って私がそれまで気づかなかった視点で物事を捉え、書いてるから、
とっても刺激を受けました。』
（「声優グランプリＶｏｌ．２６」より。）
○【アルバム】「丹下桜 インストゥルメンタルトラックス」（９９年８月２７日発売）
桜さんがリリースしてきた楽曲をインストアレンジしたアルバム。
桜さんの声は収録されていなのですが、ＢＧＭとしてよく流していました。
当時流行していた「癒し系」のアルバムを思わせる雰囲気で
桜さんの曲のメロディの美しさを再認識しました。
○【１０ｔｈシングル】「ＴＯ ＬＯＶＥ」（９９年９月２２日発売）
『とても存在感のある楽曲です。
恋愛よりも人類愛。それこそ大きな意味での“愛”として捉え、歌ってます。』
（「声優グランプリＶｏｌ．２６」より。）
○【ＴＶアニメ】「トラブルチョコレート」（９９年１０月４日〜００年３月２４日放送）
氷上恭子さんとのラジオ番組から派生したアニメ。
ラジオドラマ版から引き続き、桜さんは、主人公の木の妖精・ヒナノ役で出演。
全体として何も考えずに観れる楽しいアニメで、当時実生活に疲れていた私は
結構このアニメに癒されていました。
末期の代表作だと思います。
桜さんと氷上恭子さんとのデュエットによる
「トラブルチョコレート」ＯＰ「Ｃ．Ｈ．Ｏ．Ｃ．Ｏ」（ＴＶサイズ）の映像
同じく、氷上さんとのデュエットによる２代目ＥＤ
「あなたに逢いたくて 〜Missing You〜 」（ＴＶサイズ）の映像
松田聖子さんの曲のカバー。
原曲とは別物だけど、耳に残るユーロビートアレンジでした。
○【ＴＶアニメ】「無限のリヴァイアス」（９９年１０月６日〜００年３月２９日放送）
桜さんは、和泉こずえ役で出演。
このアニメは観てないけど、かなりヘビーな展開みたいです。
『「普通の女の子を演るのはけっこう珍しくって、
魔法も使えないし（笑）、ネコミミもシッポもなくて、木でできているわけでもないっていうのは
かえって新鮮な気持ちです。』
（「声優グランプリＶｏｌ．２７」より）
「最後の言葉『ありがとう。』が、もともと『ごめんなさい。』だったのを
桜さんが監督に頼んで変えてもらった。」
というエピソードが残っています。
○【４ｔｈアルバム】「Ｎｅｏ Ｇｅｎｅｒａｔｉｏｎ」（９９年１０月２２日発売）
桜さんの「心の中の小宇宙」をテーマにした、
なんとも意味深で不思議な空気感のあるアルバムです。
「この業界でお仕事することって、宇宙船に乗って旅してる状態のような気がしてるんです。
宇宙基地（養成所）から、自分の宇宙船に乗って発進。
大気圏を突き破るまでは、とにかくエネルギーを発散しながら
ガムシャラに先へ先へと向かってく。
それが１枚目（のアルバム）の私だとすれば、
大気圏を抜けた後は、そんなにガムシャラになってたら逆に自分がボロボロになるから、
自分のペースを作らなきゃということに気づく。
それが２〜３枚目のころ。
４枚目の今は、最終的な未来の目的地を象徴する星へ向かってるって感じなんです。
このアルバムで宇宙船をキーワードにしたのも、なんか象徴的ですね。」
（「声優グランプリＶｏｌ．２６」より）
○【その他】「丹下桜トレーディングカード」（９９年１２月２５日発売）
当時、声優さんのトレーディングカードがいくつか発売されていて、
桜さんもラインナップに登場しました。
私は手を出しませんでした。
○当時の桜さんのコメントより。
これまでの活動を総括するようなコメントが多く見られます。
（アニメのアフレコについて）
『セリフってね、不思議。
特にレギュラーでずっといっしょにいるキャラクターのセリフってね、
自分に心の内をそっと打ち明けてくれるようで、
ひたむきな気持ちをそっと託してゆくようで、
台本を読んでいると、彼女たちの伝えたい想いがあふれてきて、
ドキドキしたり胸が苦しくなったりします。
「さくらちゃん」が雪兎さんといっしょだと、はにゃ〜んとなる時とか
「ＭＡＩＣＯ」がマツオさんやマスダマスさんに支えられて
がんばってがんばってがんばっている時の姿や
「ミルちゃん」がオネニーサマにラブラブですぅ うきゅっな時も
彼女たちが大切な人は私も大切で、
その人を想って涙したり、心がふんわりしたりの乙女モード全開になります。
くすぐったいほろのセリフもなんのその！
（でもね、素に戻るとめちゃくちゃ恥ずかしいんだよねぇ／／／／）
私はお芝居を分析して語ることはできませんが、
その時とても貴重でかけがえのない体験をしているんだなぁってことだけは実感します。
それもこれも、とびきり魅力的で素敵な女の子たちにめぐり逢えているおかげだと思います。
だから、私はお芝居の神様にはモチロン、出逢いの神様に感謝を捧げて、
アフレコではいつも、彼女たちの想いや願いを遂げるために、
私にできることを一生懸命やろうと思っています。
今日は私の演者としての根っこの部分をお話ししちゃいました。
５年やってきて、成長したことも、失敗したことも、反省したことも
いろいろある中、“これだけは”という信念みたいなこと。
（中略）
自分以外の人（たまに物とか小動物とか・・・・）の人生（物生？）に入りこむ
演者のお仕事というのは、改めて奥が深いです。
これからも参加する作品に心を動かされる部分を見つけながら、
キャラクターを愛して、自分を信じて、掛け合いの呼吸は合わせつつも、
自分のペースでやっていこうと思います。
今まで出逢えた女の子達、キャラクター達、
ほんとうにほんとうに愛してる。
視聴者の方々にもいっぱいいっぱい愛されるように
未婚のお母さん（？）が心を込めて送りだしてあげるからねっ。』
（「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」９９年１０月１２日更新のメッセージより）
（ラジオについて）
『「ピクチャーランドＣＬＵＢ・�供廚噺世θ崛箸如�
金丸淳一さんのアシスタントで出させていただいたのがいちばん最初でした。
その番組自体が続いていたら比べやすいのでしょうけど、
番組によってカラーが違ったり、アシスタントのときはアシスタントとしてのポジション、
ソロ番組ならソロとして、ペアならペアのポジションがあるわけなので、
昔と比べて自分のここが変わったというのは比べにくいです。
でも一貫して大事にしている部分のほうがどちらかというとあります。
その時々の時間を大事にしたい。
生でも短い時間の番組でも、その時間内でできることは全部やろうと思ってやってきました。
これは変わらないです。
ラジオの進行って、パーソナリティ、ＤＪ・・・・・・いろいろな言い方がありますけど、
私はパーソナリティという言葉がいちばん好きです。
そのまま人間性という意味ですよね。
その人が出る。
電波に乗ってる乗っていないに限らず
素直な気持ちをしゃべっていられればいいなと思います。
ラジオはパーソナルなメディアだと思うんです。
生の声が聴こえる。
しかもパーソナリティの素の部分が見えるものなので、
そういう部分は変らないでいてほしいと思います。』
（「アニラジグランプリ第２０号」より）
そして、この頃「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」に
「９９年１２月いっぱいをもって青二プロダクションを退社してフリーになりました。
アーティスト活動は３月末をもって終了します。」
という旨のメッセージが突然ＵＰされました。
明確な「休業」宣言ではなかったので、状況がよく理解できない、といった感じでした。
「声優グランプリＶｏｌ．２２」より。
「カードキャプターさくら」をはじめ、
色々な作品で共演の多かった緒方恵美さんとのツーショットグラビア。
「声優グランプリＶｏｌ．２３」より。
こちらはラジオや「トラブルチョコレート」ですっかり名コンビが定着した
氷上恭子さんとのツーショットグラビア。
「声優グランプリＶｏｌ．２４」
桜さん、３度目の表紙
「声優グランプリＶｏｌ．２８」より。
これが「声優グランプリ」における最後の桜さん記事。
「電撃アニメーションマガジン ９９年１２月号」の
読者アンケートによる「注目している声優」ランキング。
２位以下に２倍以上のポイント差をつけての堂々１位。
当時の桜さんの人気の凄さがわかります。
、、、、、、って、このランキング、本当！？
○【１１ｔｈシングル】「未来からのエアメール」（００年２月４日発売）
これがラストシングルになりました。
そしてその歌詞は明らかに「旅立ち」を連想させるものでした。
『“春の訪れを本当に楽しみに待ちわびてる”そんな希望を抱ける歌にしたかったんです。
春に向けて歌える歌って、詞を書いている私自身、ウキウキとした感情で臨めるだけに、
本当にうれしかったんです。』
（「声優グランプリＮｏｌ．２８」より）
○【ベストアルバム】「ＳＡＫＵＲＡ」（００年３月１６日発売）
これまでの全シングル、アルバムタイトル曲＋「ハッピーアプローチ」を収録した
新録バージョンも含むベストアルバム。
休業直前に発売された、
アーティスト「丹下桜」さんの歩んできた軌跡をまとめた１枚といえます。
桜さんの休業後、
サマーベスト「ＭＡＲＩＮＥ」、ウィンターベスト「ＳＰＵＲ」の２枚が発売されましたが
この２枚には、桜さんは直接関わっていません。
○【２ｎｄライブ】「丹下桜 ミレニアムツアー“未来からのエアメール”」（００年３月１７日 大阪・厚生年金会館、３月２５日 東京・中野サンプラザホール、４月１８日 東京・渋谷公会堂（追加公演））
２ｎｄライブ＝ラストライブとなりました。
チケット発売当時は、まだ明確な休業宣言があったわけではないのですが、
大阪・東京、ともに即日ＳＯＬＤ ＯＵＴだったそうです。
私は大阪公演に参加しました。
大事なイベントのはずなのに、
このライブのことは、不思議とあまり印象に残っていないのです。
理由はいくつかありますが、
大きいのは、ファンのマナーです。
コールがうるさすぎて、桜さんの歌声がかきけされ、ほとんど聴こえない。
静かな曲になっても座らない空気を読まないお客さんが多く、桜さんの姿が見えない。
いったいこれは誰のためのライブなのか、と思いました。
３年半前の「ときメモ」全国キャラバンでは、
「あしたいろのベンチ」独唱やトークを、会場全体で静かに座って聴き入っていた
桜さんのファンたち。
「カードキャプターさくら」以降のブレイクは、
桜さんのファン層を明らかに変化させてしまったようです。
昔は、桜さんのイベントは
「本当に桜さんを必要としている」「桜さんを大切にしている」人達が集まる
あたたかい空間だったのに。
このライブのラストで、正式に桜さんの休業宣言が行われました。
ツアー終了後、充電期間をいただくということ。
これからの活動はプライベートなものになり、癒し系・医療系のものになるということ。
『これからは今までのように公の場でファンの方々に会えるような機会が
少なくなってしまいます。
でも今は、インターネットとかで世界中が繋がってて、
お互いが会おうと思えばいつでも会うことができるんだよ・・・』
ラストの曲「未来からのエアメール」を歌いながら、
天使の羽をつけて天へ続く階段を登っていく桜さん。
それが私が最後に見た、生の桜さんの姿でした。
○【アーティストブック】「ＳＡＫＵＲＡ」（００年３月３０日発売）
『私が今まで書き溜めてきた、歌詞にならなかった想いたち、短編やポエムだったりと、
いろんな形で記した作品たちが入っていたり。
今の私の心境や、過去や未来の私の姿というのも、
いろんな形でアチコチに散りばめてあるし。
そんな、今の丹下桜の素直な姿が投影された本なので、
ぜひ現在の私自身をみなさんに感じていただけたらうれしいです。』
（「声優グランプリＮｏｌ．２８」より）
桜さんがインタビューで言われているように、
この本には、中にはあまりにも超個人的すぎる事まで、
当時の桜さんの「真心」が断片的・詩的な言葉で散りばめられていました。
そして、この本は、次のような「あとがき」で締めくくられています。
『私はもともと「声」や「声の持つ力」にとても興味があって、
それを活かして、誰かの夢や希望を支える手助けになったり、
ほっと和むような「空間」が作りたいなぁと思っていました。
そんなイメージだけあって、具体的にどうしたらいいんだろう？と思った時、
「よし、勉強して、経験を積もう！そしたら見えてくるかも」と、
とにかく実行することを選んで、
声のプロフェッショナルとして思い当たった声優へのステップを歩き始めました。
以来、お芝居や表現をベースにしながらも、
自分なりに和み系の要素を取り入れた活動を頑張ってきましたが、
おととしからの環境の変化をきっかけに、いろいろな事が重なって、
一番集中したい作品本編の制作に専念しづらい状況が続いたため、
気持ちと体調のペースをすっかり崩してしまい、
真剣に自分の状況を見直す必要に迫られました。
そして今年に入り、独立してフリーになる時も、
活動をいったん白紙に戻した上での今後を歩むことになっていたので、
これを機に、現在進行中の出演作品の終了や区切りを迎え次第、
しばらく充電期間をいただいて、今後は集中して大切に育んでゆけるペースで、
インターネット上の活動や、イメージしていた「声」の活動を中心に
実現してゆきたいと思っています。
今までに起こった出来事の全てが、一つの流れとなって現在に至るので、
皆さんにもどうかご理解いただければと願っています。
お世話になりましたアニメ・音楽・ラジオ・ゲーム等製作スタッフの皆様。
大好きな共演者の皆様。
私の出演作品を応援し、愛して下さったファンの皆様。
私を育んでくれた家族・故郷・友人。
全ての想いを感謝に代えて
ありがとうございました。
丹下桜』
○【劇場アニメ】「カードキャプターさくら 封印されたカード」（００年７月公開）
テレビシリーズ終了から３ヶ月後に公開された、
「カードキャプターさくら」の完結編であり、
声優・丹下桜さんの正真正銘最後の出演作品。
この映画、実は観た事がないんです。
これを観てしまったら、
本当に自分の中で桜さんが終わってしまうような気がして、
もったいなくて、長く観れませんでした。
でも、桜さんが声優業復帰を果たし、元気な姿を見せてくださった今なら
この映画の封印を解いてもいいような気がします。
奇しくもこの映画、あさって１２月２２日に１９９５円という
大変お求めやすい価格でＤＶＤ発売が予定されています。
桜さんが声優業に復帰されたタイミングで引退作がＤＶＤ化。
なんとも運命的なものを感じます。
こうして、桜さんは声優の世界を去り、
夢の実現に向けて、新たなフィールドへ旅立って行きました。
寂しさは、あまりありませんでした。
もう、桜さんからは充分すぎるくらい多くのものをいただいてきたから。
そして、桜さんに救われ、自分なりにもがいて苦しんで少しは大人になり、
もう１人でも歩いていける、と思えたから。
桜さんの夢。
その方向性は、必ずしも私が求めているものとは一致しませんでした。
だから、私は桜さんの新しい活動を無理に追いかけることはせず、
遠い世界で活躍する大切な人・桜さんの活動を応援する、
という道を選びました。
桜さんが休業されてから、
私の知らない遠いところで、
自分のペースで自分の夢をかなえている桜さんのお話を
時々、風の噂に聞いては、嬉しく思っていました。
もう、すっかり歴史上の声優になってしまった、
でも、かつて声優の世界に確実に存在していた伝説の人。
桜さんと同じ時代を歩めたことに感謝を感じながら、
気がつけば１０年の月日が流れていました。
○【ゲーム】「ときめきメモリアル ドラマシリーズＶｏｌ．３ 旅立ちの詩」（９９年４月１日発売）
９４年のＰＣエンジン版から始まり、一大ムーブメントを巻き起こした
「ときめきメモリアル（１）」関連プロジェクトの最終作品であり、
「もっと！ときめきメモリアル」から続いてきた桜さんと「ときメモ」の関係も
これで、ひとまず一区切り。
「ドラマシリーズ」最終作は本編のメインヒロイン・藤崎詩織をヒロインにした
卒業式直前の１７日間の物語。
「虹色の青春」でデビューした秋穂みのりちゃんは、
結果として３部作全てに重要なポジションで出演しました。
「虹色の青春」の頃は
ひたすら「虹野先輩大好き！！」だったみのりちゃんですが、
本作では、いろいろな経験を経て落ち着いた雰囲気で登場し、
「ときめきメモリアル ドラマシリーズ」は
みのりちゃんの成長物語、とも言える作品になりました。
○【ＴＶアニメ】「天使になるもんっ！」（９９年４月７日〜９月２９日放送）
桜さんは後半から登場する敵側の女の子・ミューズ役で出演。
基本的におバカなキャラでしたが
同じく、後半から登場する敵側の男の子・エロスに
片思いと知りつつ恋するせつない役どころで最終的には悲しい結末を迎えてしまい、
退場編となる第２４話の切なく激しい演技は今も強く印象に残っています。
『ミューズはエロスさまのことを、エロスはシルキーさまのことを慕っていて、
それぞれに報われない思いを抱き続けたままの幕切れは
切なくて哀しかったです。』
（ＨＰ「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」１０月１２日更新分より）
「天使になるもんっ！」第２４話
ミューズの出番は２：０９から。
悲しい結末だけど、胸に迫る演技です、、、。
○当時、桜さんの公式ＨＰ（？）だった「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」に
不定期で直筆メッセージがＵＰされていたのですが
この頃、とても意味深なメッセージが掲載されました。
詳しいことは分かりませんが、
この時に桜さんは
声優活動休止とその後の活動の方向を決意されたのでしょうか、、、！？
「皆さん こんにちは！ お元気ですか？
今日は最近起こった個人的な出来事についてお話ししたいと思っています。
お付き合いくださいね！
あのね、先月、７月、ななのつきに私のところへアルマゲドンが来ました。
・・・・えーっと（笑）ネタってわけじゃなく、あっ かと
いって、生死にかかわるとかそんなんじゃなくって、
強いて言えば、気持ちにかかわること、かな。
気持ちって「バイオリズム」があるから
調子いい時もあれば、悪いなぁって時もあるけど
その悪いなぁっていう方が去年後半からちょっと長びいちゃったのね。
だから今までだったらこう→↑浮上していた所で→↓キュウーと
ヘコんでいたので、フタをしたような場所まで落っこちてしまったんですよ。
でも、ある時
「あっ 今までの私、死んじゃったんだ」
でも、と同時に
「あっ 今生まれ変わったんだわ」
と思った瞬間があって・・・・
アルマゲドンの最後の審判とか、破壊と再生じゃないんだけど、
手離さないと新しいものは入ってこないっていう、
めちゃめちゃストレートな理屈どおりのことを体感しました。
病気と一緒でよくないんだっていう現実を素直に認めて受け入れた結果、
“じゃあ後は治療してよくなりましょう“といったカンジ。
しかもね、そう！実は確か７／３１のホント最後の最後の７の月だったの！！
だから・誰が何と言おうと！！！
・・・・桜個人レベルで「アルマゲドンが我が家にきた」と思ってるのです。
そうね、何かに例えるとしたら、台風みたいだったよ。
ぐっちゃんぐっちゃんになぎ倒されて、あ〜れ〜ぐるぐるぐるみたいに。
みんな！生きてると（「ＣＣさくら」のパートナーケロちゃんのうけうりですが）
人生いろいろやぁ！うっしゃっしゃぁ〜！！（１コ多いのはなぜ）
ですよ。ホント。
（中略）
台風の通り去った後ですから、まだ被害が大っきいですが、
また０からお花を植えて緑を植えて、お水をやって、
がんばってココロ育てるぞぉっ！！」
（１９９９年８月２３日）
「皆さんこんにちは！
という訳で前回の続き、後半です。
そんな私一個人の状況とは裏腹に、
その時期私に『救いの手』を求めてくる人が特に多かったんですが、
みんな気持ちはだいじょうぶ？
ラジオとかで人の悩みに触れることをしていると、
普通に生活してる時には想像もつかない程の
たくさんの人からのアクセスがあって、
―悩みから告白まで深刻なもの、純粋なもの、
中には自分を見失っているもの、人を傷つけるだけのものなど、
私が応えきれないものもあります。
だから、作品やこーゆー場を通して、
私なりに、私だからこそできることで
結果的に何かのきっかけに役立ってもらえれば
一番嬉しいし、幸せです！
私は「さくら」のような作品を通して、このＡｌｉｃｅや歌を通して、
何か優しくてあったかい、誰かを、何かを大切に想う気持ちを残したかった。
特にＡｌｉｃｅや歌のアルバムのように、
数少ない、自分で内容から企画して作れるものに関しては、
自分が足りないものを補うように、
私が欲しいと思ってるものや、求めているものを
作ろうとしていました。
近い将来、私の活動はきっと、
さらにそのウエイトが大きくなってゆくと思います。
それは、今ここに書いたとうり。
私のありのままの気持ちが原因で。自然ななりゆきで。
私の声や適性をフルに活かして自分を発揮できる場所で、
好きな感情・思考・時間・空間・アイテムがぎゅっと詰まったこと。
ステキなこと！
いろいろとね、実現していきたいです。」
（１９９９年９月３日）
○【９ｔｈシングル】「Ｂｒｉｇｈｔ ｓｈｉｎｅ ｏｎ Ｔｉｍｅ」（９９年７月２３日発売）
この曲と、次の１０ｔｈシングル「ＴＯ ＬＯＶＥ」は、
作詩・作曲家・岡田実音さんをサウンドプロデューサーに迎えて
新たな桜さんの一面を引き出す、というようなコンセプトで収録されたそうです。
『岡田先生の詩って私がそれまで気づかなかった視点で物事を捉え、書いてるから、
とっても刺激を受けました。』
（「声優グランプリＶｏｌ．２６」より。）
○【アルバム】「丹下桜 インストゥルメンタルトラックス」（９９年８月２７日発売）
桜さんがリリースしてきた楽曲をインストアレンジしたアルバム。
桜さんの声は収録されていなのですが、ＢＧＭとしてよく流していました。
当時流行していた「癒し系」のアルバムを思わせる雰囲気で
桜さんの曲のメロディの美しさを再認識しました。
○【１０ｔｈシングル】「ＴＯ ＬＯＶＥ」（９９年９月２２日発売）
『とても存在感のある楽曲です。
恋愛よりも人類愛。それこそ大きな意味での“愛”として捉え、歌ってます。』
（「声優グランプリＶｏｌ．２６」より。）
○【ＴＶアニメ】「トラブルチョコレート」（９９年１０月４日〜００年３月２４日放送）
氷上恭子さんとのラジオ番組から派生したアニメ。
ラジオドラマ版から引き続き、桜さんは、主人公の木の妖精・ヒナノ役で出演。
全体として何も考えずに観れる楽しいアニメで、当時実生活に疲れていた私は
結構このアニメに癒されていました。
末期の代表作だと思います。
桜さんと氷上恭子さんとのデュエットによる
「トラブルチョコレート」ＯＰ「Ｃ．Ｈ．Ｏ．Ｃ．Ｏ」（ＴＶサイズ）の映像
同じく、氷上さんとのデュエットによる２代目ＥＤ
「あなたに逢いたくて 〜Missing You〜 」（ＴＶサイズ）の映像
松田聖子さんの曲のカバー。
原曲とは別物だけど、耳に残るユーロビートアレンジでした。
○【ＴＶアニメ】「無限のリヴァイアス」（９９年１０月６日〜００年３月２９日放送）
桜さんは、和泉こずえ役で出演。
このアニメは観てないけど、かなりヘビーな展開みたいです。
『「普通の女の子を演るのはけっこう珍しくって、
魔法も使えないし（笑）、ネコミミもシッポもなくて、木でできているわけでもないっていうのは
かえって新鮮な気持ちです。』
（「声優グランプリＶｏｌ．２７」より）
「最後の言葉『ありがとう。』が、もともと『ごめんなさい。』だったのを
桜さんが監督に頼んで変えてもらった。」
というエピソードが残っています。
○【４ｔｈアルバム】「Ｎｅｏ Ｇｅｎｅｒａｔｉｏｎ」（９９年１０月２２日発売）
桜さんの「心の中の小宇宙」をテーマにした、
なんとも意味深で不思議な空気感のあるアルバムです。
「この業界でお仕事することって、宇宙船に乗って旅してる状態のような気がしてるんです。
宇宙基地（養成所）から、自分の宇宙船に乗って発進。
大気圏を突き破るまでは、とにかくエネルギーを発散しながら
ガムシャラに先へ先へと向かってく。
それが１枚目（のアルバム）の私だとすれば、
大気圏を抜けた後は、そんなにガムシャラになってたら逆に自分がボロボロになるから、
自分のペースを作らなきゃということに気づく。
それが２〜３枚目のころ。
４枚目の今は、最終的な未来の目的地を象徴する星へ向かってるって感じなんです。
このアルバムで宇宙船をキーワードにしたのも、なんか象徴的ですね。」
（「声優グランプリＶｏｌ．２６」より）
○【その他】「丹下桜トレーディングカード」（９９年１２月２５日発売）
当時、声優さんのトレーディングカードがいくつか発売されていて、
桜さんもラインナップに登場しました。
私は手を出しませんでした。
○当時の桜さんのコメントより。
これまでの活動を総括するようなコメントが多く見られます。
（アニメのアフレコについて）
『セリフってね、不思議。
特にレギュラーでずっといっしょにいるキャラクターのセリフってね、
自分に心の内をそっと打ち明けてくれるようで、
ひたむきな気持ちをそっと託してゆくようで、
台本を読んでいると、彼女たちの伝えたい想いがあふれてきて、
ドキドキしたり胸が苦しくなったりします。
「さくらちゃん」が雪兎さんといっしょだと、はにゃ〜んとなる時とか
「ＭＡＩＣＯ」がマツオさんやマスダマスさんに支えられて
がんばってがんばってがんばっている時の姿や
「ミルちゃん」がオネニーサマにラブラブですぅ うきゅっな時も
彼女たちが大切な人は私も大切で、
その人を想って涙したり、心がふんわりしたりの乙女モード全開になります。
くすぐったいほろのセリフもなんのその！
（でもね、素に戻るとめちゃくちゃ恥ずかしいんだよねぇ／／／／）
私はお芝居を分析して語ることはできませんが、
その時とても貴重でかけがえのない体験をしているんだなぁってことだけは実感します。
それもこれも、とびきり魅力的で素敵な女の子たちにめぐり逢えているおかげだと思います。
だから、私はお芝居の神様にはモチロン、出逢いの神様に感謝を捧げて、
アフレコではいつも、彼女たちの想いや願いを遂げるために、
私にできることを一生懸命やろうと思っています。
今日は私の演者としての根っこの部分をお話ししちゃいました。
５年やってきて、成長したことも、失敗したことも、反省したことも
いろいろある中、“これだけは”という信念みたいなこと。
（中略）
自分以外の人（たまに物とか小動物とか・・・・）の人生（物生？）に入りこむ
演者のお仕事というのは、改めて奥が深いです。
これからも参加する作品に心を動かされる部分を見つけながら、
キャラクターを愛して、自分を信じて、掛け合いの呼吸は合わせつつも、
自分のペースでやっていこうと思います。
今まで出逢えた女の子達、キャラクター達、
ほんとうにほんとうに愛してる。
視聴者の方々にもいっぱいいっぱい愛されるように
未婚のお母さん（？）が心を込めて送りだしてあげるからねっ。』
（「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」９９年１０月１２日更新のメッセージより）
（ラジオについて）
『「ピクチャーランドＣＬＵＢ・�供廚噺世θ崛箸如�
金丸淳一さんのアシスタントで出させていただいたのがいちばん最初でした。
その番組自体が続いていたら比べやすいのでしょうけど、
番組によってカラーが違ったり、アシスタントのときはアシスタントとしてのポジション、
ソロ番組ならソロとして、ペアならペアのポジションがあるわけなので、
昔と比べて自分のここが変わったというのは比べにくいです。
でも一貫して大事にしている部分のほうがどちらかというとあります。
その時々の時間を大事にしたい。
生でも短い時間の番組でも、その時間内でできることは全部やろうと思ってやってきました。
これは変わらないです。
ラジオの進行って、パーソナリティ、ＤＪ・・・・・・いろいろな言い方がありますけど、
私はパーソナリティという言葉がいちばん好きです。
そのまま人間性という意味ですよね。
その人が出る。
電波に乗ってる乗っていないに限らず
素直な気持ちをしゃべっていられればいいなと思います。
ラジオはパーソナルなメディアだと思うんです。
生の声が聴こえる。
しかもパーソナリティの素の部分が見えるものなので、
そういう部分は変らないでいてほしいと思います。』
（「アニラジグランプリ第２０号」より）
そして、この頃「Ａｌｉｃｅ−ＯＮ ＷＯＮＤＥＲ ＮＥＴ」に
「９９年１２月いっぱいをもって青二プロダクションを退社してフリーになりました。
アーティスト活動は３月末をもって終了します。」
という旨のメッセージが突然ＵＰされました。
明確な「休業」宣言ではなかったので、状況がよく理解できない、といった感じでした。
「声優グランプリＶｏｌ．２２」より。
「カードキャプターさくら」をはじめ、
色々な作品で共演の多かった緒方恵美さんとのツーショットグラビア。
「声優グランプリＶｏｌ．２３」より。
こちらはラジオや「トラブルチョコレート」ですっかり名コンビが定着した
氷上恭子さんとのツーショットグラビア。
「声優グランプリＶｏｌ．２４」
桜さん、３度目の表紙
「声優グランプリＶｏｌ．２８」より。
これが「声優グランプリ」における最後の桜さん記事。
「電撃アニメーションマガジン ９９年１２月号」の
読者アンケートによる「注目している声優」ランキング。
２位以下に２倍以上のポイント差をつけての堂々１位。
当時の桜さんの人気の凄さがわかります。
、、、、、、って、このランキング、本当！？
○【１１ｔｈシングル】「未来からのエアメール」（００年２月４日発売）
これがラストシングルになりました。
そしてその歌詞は明らかに「旅立ち」を連想させるものでした。
『“春の訪れを本当に楽しみに待ちわびてる”そんな希望を抱ける歌にしたかったんです。
春に向けて歌える歌って、詞を書いている私自身、ウキウキとした感情で臨めるだけに、
本当にうれしかったんです。』
（「声優グランプリＮｏｌ．２８」より）
○【ベストアルバム】「ＳＡＫＵＲＡ」（００年３月１６日発売）
これまでの全シングル、アルバムタイトル曲＋「ハッピーアプローチ」を収録した
新録バージョンも含むベストアルバム。
休業直前に発売された、
アーティスト「丹下桜」さんの歩んできた軌跡をまとめた１枚といえます。
桜さんの休業後、
サマーベスト「ＭＡＲＩＮＥ」、ウィンターベスト「ＳＰＵＲ」の２枚が発売されましたが
この２枚には、桜さんは直接関わっていません。
○【２ｎｄライブ】「丹下桜 ミレニアムツアー“未来からのエアメール”」（００年３月１７日 大阪・厚生年金会館、３月２５日 東京・中野サンプラザホール、４月１８日 東京・渋谷公会堂（追加公演））
２ｎｄライブ＝ラストライブとなりました。
チケット発売当時は、まだ明確な休業宣言があったわけではないのですが、
大阪・東京、ともに即日ＳＯＬＤ ＯＵＴだったそうです。
私は大阪公演に参加しました。
大事なイベントのはずなのに、
このライブのことは、不思議とあまり印象に残っていないのです。
理由はいくつかありますが、
大きいのは、ファンのマナーです。
コールがうるさすぎて、桜さんの歌声がかきけされ、ほとんど聴こえない。
静かな曲になっても座らない空気を読まないお客さんが多く、桜さんの姿が見えない。
いったいこれは誰のためのライブなのか、と思いました。
３年半前の「ときメモ」全国キャラバンでは、
「あしたいろのベンチ」独唱やトークを、会場全体で静かに座って聴き入っていた
桜さんのファンたち。
「カードキャプターさくら」以降のブレイクは、
桜さんのファン層を明らかに変化させてしまったようです。
昔は、桜さんのイベントは
「本当に桜さんを必要としている」「桜さんを大切にしている」人達が集まる
あたたかい空間だったのに。
このライブのラストで、正式に桜さんの休業宣言が行われました。
ツアー終了後、充電期間をいただくということ。
これからの活動はプライベートなものになり、癒し系・医療系のものになるということ。
『これからは今までのように公の場でファンの方々に会えるような機会が
少なくなってしまいます。
でも今は、インターネットとかで世界中が繋がってて、
お互いが会おうと思えばいつでも会うことができるんだよ・・・』
ラストの曲「未来からのエアメール」を歌いながら、
天使の羽をつけて天へ続く階段を登っていく桜さん。
それが私が最後に見た、生の桜さんの姿でした。
○【アーティストブック】「ＳＡＫＵＲＡ」（００年３月３０日発売）
『私が今まで書き溜めてきた、歌詞にならなかった想いたち、短編やポエムだったりと、
いろんな形で記した作品たちが入っていたり。
今の私の心境や、過去や未来の私の姿というのも、
いろんな形でアチコチに散りばめてあるし。
そんな、今の丹下桜の素直な姿が投影された本なので、
ぜひ現在の私自身をみなさんに感じていただけたらうれしいです。』
（「声優グランプリＮｏｌ．２８」より）
桜さんがインタビューで言われているように、
この本には、中にはあまりにも超個人的すぎる事まで、
当時の桜さんの「真心」が断片的・詩的な言葉で散りばめられていました。
そして、この本は、次のような「あとがき」で締めくくられています。
『私はもともと「声」や「声の持つ力」にとても興味があって、
それを活かして、誰かの夢や希望を支える手助けになったり、
ほっと和むような「空間」が作りたいなぁと思っていました。
そんなイメージだけあって、具体的にどうしたらいいんだろう？と思った時、
「よし、勉強して、経験を積もう！そしたら見えてくるかも」と、
とにかく実行することを選んで、
声のプロフェッショナルとして思い当たった声優へのステップを歩き始めました。
以来、お芝居や表現をベースにしながらも、
自分なりに和み系の要素を取り入れた活動を頑張ってきましたが、
おととしからの環境の変化をきっかけに、いろいろな事が重なって、
一番集中したい作品本編の制作に専念しづらい状況が続いたため、
気持ちと体調のペースをすっかり崩してしまい、
真剣に自分の状況を見直す必要に迫られました。
そして今年に入り、独立してフリーになる時も、
活動をいったん白紙に戻した上での今後を歩むことになっていたので、
これを機に、現在進行中の出演作品の終了や区切りを迎え次第、
しばらく充電期間をいただいて、今後は集中して大切に育んでゆけるペースで、
インターネット上の活動や、イメージしていた「声」の活動を中心に
実現してゆきたいと思っています。
今までに起こった出来事の全てが、一つの流れとなって現在に至るので、
皆さんにもどうかご理解いただければと願っています。
お世話になりましたアニメ・音楽・ラジオ・ゲーム等製作スタッフの皆様。
大好きな共演者の皆様。
私の出演作品を応援し、愛して下さったファンの皆様。
私を育んでくれた家族・故郷・友人。
全ての想いを感謝に代えて
ありがとうございました。
丹下桜』
○【劇場アニメ】「カードキャプターさくら 封印されたカード」（００年７月公開）
テレビシリーズ終了から３ヶ月後に公開された、
「カードキャプターさくら」の完結編であり、
声優・丹下桜さんの正真正銘最後の出演作品。
この映画、実は観た事がないんです。
これを観てしまったら、
本当に自分の中で桜さんが終わってしまうような気がして、
もったいなくて、長く観れませんでした。
でも、桜さんが声優業復帰を果たし、元気な姿を見せてくださった今なら
この映画の封印を解いてもいいような気がします。
奇しくもこの映画、あさって１２月２２日に１９９５円という
大変お求めやすい価格でＤＶＤ発売が予定されています。
桜さんが声優業に復帰されたタイミングで引退作がＤＶＤ化。
なんとも運命的なものを感じます。
こうして、桜さんは声優の世界を去り、
夢の実現に向けて、新たなフィールドへ旅立って行きました。
寂しさは、あまりありませんでした。
もう、桜さんからは充分すぎるくらい多くのものをいただいてきたから。
そして、桜さんに救われ、自分なりにもがいて苦しんで少しは大人になり、
もう１人でも歩いていける、と思えたから。
桜さんの夢。
その方向性は、必ずしも私が求めているものとは一致しませんでした。
だから、私は桜さんの新しい活動を無理に追いかけることはせず、
遠い世界で活躍する大切な人・桜さんの活動を応援する、
という道を選びました。
桜さんが休業されてから、
私の知らない遠いところで、
自分のペースで自分の夢をかなえている桜さんのお話を
時々、風の噂に聞いては、嬉しく思っていました。
もう、すっかり歴史上の声優になってしまった、
でも、かつて声優の世界に確実に存在していた伝説の人。
桜さんと同じ時代を歩めたことに感謝を感じながら、
気がつけば１０年の月日が流れていました。
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