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2009年02月19日16:19

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『善き人のためのソナタ』

映画『善き人のためのソナタ』を観た。

(2006年 独 監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ マルティナ・ゲデック セバスチャン・コッホ
ウルリッヒ・トゥクール トマス・ティーマ ハンス=ウーヴェ・バウアー)

ベルリンの壁崩壊直前の東ドイツのお話。

恥ずかしながら当時東ドイツにおいて、シュタージ(国家保安省)という組織が存在するという
事実を私は知らなかった。
シュタージとは「国内反体制分子」を監視・弾圧するための軍隊式の階級を持った組織のこと。
その数は東ドイツ全人口の10%にも及び、壁崩壊後に自分の近しい人がシュタージで
あったという事実を知った人々が続出、人間不信に陥る人も少なくなかったとか…。

この作品は、長い間タブーとされてきたシュタージの詳細を描いた、画期的なものなのだそうだ。

【シュタージの一員であるヴィースラー(ウルリッヒ・ミューエ)は、劇作家のドライマン
(セバスチャン・コッホ)が反体制分子であると睨み、その証拠をつかむためにドライマンの
部屋の盗聴を開始する。ドライマンは恋人で女優のクリスタ(マルティナ・ゲデック)と
同棲生活をおくっていた。二人の愛に溢れ自由を模索する姿は、やがて国家体制に
忠実だったヴィースラーの心にある変化をもたらしてゆく…】

これは、いい作品だなー。
最初、暗い感じで、サスペンスなのかなんなのか分からなかった。
ヒューマン・ドラマだったのねえ…。

慣れるまでは、主人公がケビン・スペイシーとだぶって仕方がなかった(笑)
でも、ほどなく映画の世界に引き込まれる…。

国家に魂を売っているように見えたヴィースラー。
ある日、ドライマンが友の死を悼み、哀しみの中で奏でた「情熱ソナタ」。
友がくれた「善き人のためのソナタ」の楽譜には
「この曲を聴いた者は悪人になれない」と書かれていた。
その一言をきっかけに、ヴィースラーは変化してゆく。

東の状況を西側に伝えたいと活動をしていたドライマン。
壁が崩壊するまでは、東側には言論の自由はなかったのね…。
現在の日本の状況からは考えられない。

ヴィースラーの心が動いていくにつれて、私のハラハラ度が増していく感じだった。
実際、彼の心中はどうだったのか…。

この作品の素晴らしさは、ラストシーンにもある。
彼が最後のシーンで発した一言と、その表情で、とても温かな気持ちに浸れるのだ。

久々にオススメ度の高い映画を観たかも…。とても善き作品、かな(笑)



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