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2009年01月30日22:19

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必殺シリーズの基礎知識 各論編2 (非・中村主水シリーズ編)

「非・中村主水シリーズ」
(基本的に)中村主水は登場しない、1作完結の作品。


○シリーズ第1弾 必殺仕掛人
池波正太郎の小説「仕掛人・藤枝梅安」を原作にしつつも
設定・ストーリーをほとんど別物と言っていいほどアレンジし、
1作目にして、「必殺」シリーズの基本フォーマット築き上げた作品。
許せぬ悪の殺しを金で請け負う「仕掛人」の元締、音羽屋半右衛門(山村聰)配下の
鍼医者・藤枝梅安(緒形拳)と浪人・西村左内(林与一)らのプロフェッショナルな殺しを描く。


○シリーズ第3弾 助け人走る
「ドブ洗いから殺しまで」、金で何でも請け負う
中山文十郎(田村高廣)、辻平内(中谷一郎)、島帰りの龍(宮内洋)たち「助け人」。
彼らの目的は、あくまで「人助け」であり、「殺し」は基本的にその経緯の中で行われる。
開始当初は、このような比較的明るい作風の中で、助け人たちの痛快な活躍が描かれたが、
シリーズ中盤で、「助け人」の裏の顔が奉行所にバレ、
密偵の為吉(住吉正博)が捕らえられ拷問死する。
(これが、シリーズ初の殉職者。)
その後は、「助け人」達は、常に奉行所に狙われる立場になり、
彼らは、「人助け」を放棄し、純粋な「殺し屋」として、生きていく決意をする。
その後の展開は、前半と打って変わり、
悲惨で救いの無いエピソードが中心となっていく、、、。


○シリーズ第5弾 必殺必中仕事屋稼業
博打好きなそば屋の亭主、知らぬ顔の半兵衛(緒形拳)と、
やくざ者の侍くずれの政吉(林隆三)。
2人は、裏稼業の元締め、嶋屋のおせい(草笛光子)にその度胸を買われ、
殺し屋としてスカウトされる。
当初は、殺しに行く前に怯えたり、
博打に熱中している間に依頼人が殺されてしまったりと
ズブの素人殺し屋だった2人だが、仕事を続けるうちに、
殺し屋として成長してゆき、
そして、、、。

敢えて、見た目に派手な要素を排除して、逃げ道を断ったことにより
他シリーズより、数段練りこまれ、二転三転する、先の読めない物語。
そして、全26話を通した連続ドラマのたどり着いた終着点は
必殺シリーズの1つの頂点だと思います。


○シリーズ第8弾 必殺からくり人
第1弾「仕掛人」から第15弾「仕事人」まで、
第4弾「仕留人」を除く、全ての作品の
オープニングナレーションを手がけた巨匠脚本家・早坂暁が
各話脚本を担当した、一風代わった、作家性・実験性の強い作品。

天保時代を舞台に、当時の史実や風俗を取り入れながら
突然、現代の映像が挿入されたり、殺しを行わない話があったりと
これまでのシリーズのパターン壊しが意図的に行われている。

花乃屋仇吉(山田五十鈴)、夢屋時次郎(緒形拳)、
仕掛の天平(森田健作)、八尺の藤兵ヱ(芦屋雁之助)たち「からくり人」は
「涙としか手を結ばない」殺し屋集団。
彼らと権力と手を結んだ殺し屋グループ「曇り」一家との対決を軸に物語は進む。

ひたすら依頼人の涙を背負ってきた「からくり人」たちが、
シリーズ終盤で、
実は、依頼人達と同じくらい悲しい過去を背負ってきたことが明かされ、
最終回、「からくり人」と「曇り」の最終決戦の幕が上がる!!


○シリーズ第9弾 必殺からくり人 血風編
「からくり人」というタイトルだけど、前作とは全く関係性はなし。
慶應4年(1868年)の戊辰戦争という、
現代に最も近い時代を舞台にした「最後の裏稼業」の物語。

ある日、新政府軍と旧幕府軍の闘いの最前線、品川宿で、
殺し屋稼業を営む白濱屋おりく(草笛光子)、直次郎(浜畑賢吉)、
新之介(ピーター)ら「からくり人」は
殺しの現場で、葦辺に漂着していた謎の男、土左ヱ門(山崎努)と遭遇する。
彼の正体は、新政府軍の密偵で、隠れ蓑として「からくり人」に加入するが、
新政府軍の腐敗した本性を知るうちに、
やがて、本物の「からくり人」になっていく、、、。

戦乱の時代を舞台にしているだけに、「死」は日常茶飯事なのか
主人公たちは、知人の死体が転がってても、あまり驚かなかったり。
そんな乱世に、「からくり人」たちの悪に対するパワフルな怒りが炸裂する!!


○シリーズ第11弾 新必殺からくり人
例によって「からくり人」「同・血風編」とのつながりは無い。
ただ、本作の主要メンバーの何人かは第8弾「からくり人」と同キャストで
役名は違うが同一人物を連想させる役どころとなっており
第8弾「からくり人」のパラレルワールドとも考えられる。

これまでの作品では江戸を舞台にしてきた「必殺」だけど、
本作は江戸から京都まで、各地を旅しながら殺しを行っていくという
いわゆる「旅モノ」の第1作目となる。

旅芸人・天保一座の女座長、泣き節お艶(山田五十鈴)は、
絵師・安藤広重(緒形拳)から殺しの依頼を受ける。
彼が描いた名画「東海道五十三次」には
実は、殺しの依頼人から殺して欲しいと頼まれた人間を密かに書き記してあり
絵をあぶり出しすることにより、
その人物に関連するヒントが浮かび上がる仕掛けになっている。

お艶、火吹きのブラ平(芦屋雁之助)、噺し家塩八(古今亭志ん朝)、小駒(ジュディ・オング)の天保一座に
謎の男・蘭兵衛(近藤正臣。正体は逃亡中の蘭学者・高野長英)
を加えた「からくり人」たちは
京都へ向かい、「東海道五十三次殺し旅」に出発する。


○シリーズ第13弾 必殺からくり人 富嶽百景殺し旅
第11弾「新からくり人」のマイナーチェンジ版ともいうべき作品で
「新からくり人」の続編らしいが、メンバーは一新されている。

旅芸人・出雲太夫一座の座長、出雲のお艶(山田五十鈴)は
版元・西村永寿堂(岡田英次)から、
葛飾北斎(小沢栄太郎)の描いた「富嶽三十六景」を手がかりにした殺しの依頼を受ける。
お艶、宇蔵(芦屋雁之助)ら出雲太夫一座に
永寿堂配下の助っ人、唐十郎(沖雅也)を加えた一行は殺し旅に出発。


○シリーズ第14弾 翔べ!必殺うらごろし
シリーズ最大の異端作。
コンセプトは「オカルト時代劇」。
ポルターガイスト、幽体離脱、ドッペルゲンガーといった
超常現象にまつわる悪事を
旅の修験者、先生(中村敦夫)が超能力で暴き、死者の魂と合体!!
無敵の力を得て悪人を白昼堂々惨殺していく。
先生と旅を共にする一行は、記憶喪失の行商人・おばさん(市原悦子)、
誰からも女性扱いされず、世を捨てた怪力女・若(和田アキ子)と
癖のありすぎる面々。

あまりの異端さ故に、一部にカルト的な支持者を持つ反面、
一般層には視聴率が悪かったらしく、その後も滅多に再放送はなく、視聴は困難。
そういう意味でも、幻の作品と言えるかもしれない。


○シリーズ第16弾 必殺仕舞人
「新からくり人」「からくり人富嶽百景」「うらごろし」と続いてきた「旅モノ」の集大成的な作品。
諸国民謡踊り一座の坂東京山(京マチ子)、晋松(高橋悦史)、直次郎(本田博太郎)らは
全国の駆け込み寺に寄せられた「女の恨み」を晴らすべく、
北は蝦夷地、南は琉球まで、全国各地を旅する。


○シリーズ第18弾 新必殺仕舞人
「仕舞人」の完全な続編で、前作のメンバーがそのまま継続して登場。
再び「女の恨み」を晴らすべく、全国殺し旅へ。


○シリーズ第20弾 必殺渡し人
「非・中村主水シリーズ」では久しぶりの江戸を舞台にした作品。
本作の主人公、同じ長屋に住む
鳴滝忍(高峰三枝子)、惣太(中村雅俊)、大吉(渡辺篤史)らは
殺し屋であることを除けば、かなり「いい人」で、
アットホームな日常が描かれている。
反面、本作の悪人たちは変態性の強さが目立つ。


○シリーズ第22弾 必殺仕切人
「仕事人」シリーズの三味線屋・勇次(中条きよし)を主人公にしたスピンオフ作品。
新たな仲間・お国(京マチ子)、新吉(小野寺昭)、
勘平(芦屋雁之助)、虎田龍之助(高橋悦史)らとともに
再び裏稼業に舞い戻る勇次、、、。

本作は、後期シリーズのバラエティ路線が「行くところまで行った」作品と言える。
毎回、江戸の町にピラミッドが出現したり、ターザンがやってきたり、
鳥人間コンテストが開催されたりと、
「もうなんでもあり」なパラレル江戸ワールドが繰り広げられる。
「もはや必殺ではない」と言う人と
「ここまでやれば、逆に面白い」という人で
評価が分かれる作品。


○シリーズ第24弾 必殺橋掛人
初期シリーズで個性的な悪役を多々演じ、ファンの間で人気だった津川雅彦が
主人公としてレギュラー入り。
殺された殺し屋の本締が残した
13件の仕事の依頼のヒントを記した地図をヒントに
柳次(津川雅彦)、おくら(萬田久子)、新吉(宅麻伸)らは、
地図の謎解きをし、殺しを遂行する。

「仕切人」とは正反対に、地味ながらも手堅い作風で、
ファンからは温かく迎えられた。


○シリーズ第26弾 必殺まっしぐら!
「仕事人」シリーズのかんざし職人・秀(三田村邦彦)を主人公にしたスピンオフ作品。
新たな仲間・香車の東吉(西郷輝彦)、桂馬のお銀(秋野暢子)、
高天原綾麻呂(笑福亭鶴瓶)らとともに
再び裏稼業に舞い戻る、、、。

本作のコンセプトは、当時大ヒットした「スーパーマリオブラザーズ」をモチーフにした
「ファミコン必殺」。
秀はピーチ姫こと、吉原の遊女・若紫(菅原昌子)を身請けする金を稼ぐため
大魔王クッパこと闇の本締・向島仁十郎(藤岡重慶)配下の
外道仕事人の攻撃をかいくぐって
仕事を遂行する。


○シリーズ第29弾 必殺剣劇人
チャンバラのない時代劇「必殺」が、
最後の最後で大チャンバラ活劇と化した異色作。
御金蔵破りに成功し、大金を手にした元盗人の
カルタの綾太郎(近藤正臣)、すたすたの松坊主(あおい輝彦)、
早縄の清次(田中健)の3人は
彼らの共通の恋人・お百の娘・お七(工藤夕貴)の夢をかなえるため
コスプレとも言うべき派手な衣装を身にまとい、「幻の世直し三人組」として
悪人たちをバッタバッタとなぎ倒していく。

とりあえずの最終作ということで、「仕事人」の安定路線をぶち破り
「今までにない必殺」を目指して、やりたいことをやりまくった作品。


※前回と今回の日記を書くに当たり、以下の書籍の表現を一部引用させていただきました。
・必殺シリーズ完全百科
・必殺シリーズ完全殺し屋名鑑 荒野の果てに編
・必殺シリーズ完全殺し屋名鑑 月が笑ってらぁ編
・必殺シリーズ完全闇知識 やがて愛の日が編
・必殺シリーズ完全闇知識 瞬間の愛編
・必殺仕事人 中村主水の秘密
・さらば必殺! 裏稼業の凄い奴ら
・必殺シリーズ オリジナルサウンドトラック ライナーノーツ

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