フランク・ステラは、時代に先駆けた近年の激しい作風の変貌によって、現代のアメリカ美術において最も注目されている作家の一人だろう。1957年代末に、ニューヨークで始められた『ブラック・ぺインティング』は規則正しい黒のストライプが画面を覆うもので、そのイリュージョンを排する構成の厳格さによって注目された。
その後、黒のみの絵画から次第にストライプと色の帯による画面構成へと移行し、変形キャンバスを用いるようになる。
これは描かれたものと支持体との等価性を示すものだが、『視えるものだけが視える』とするこの画家のコンセプトをよく示したものといえる。この時期には、こうして徹底した色と形態の処理によって、ミニマル・アートを代表する作家の一人となったが、1970年代に入ると、構成主義的なレリーフから一転して激しい筆触による表現主義的な作風へと変化している。
『エキゾチック・バード』、『サーキット』といったこの時期のシリーズは、1980年代の新たな表現主義の潮流に大きな影響を与えた。