ロシアの世界最高の天才大ピアニスト。言わずと知れた、と付けたい所ですが、ずば抜けた才能の持ち主にもかかわらず、知名度はいまいちです。
残されたいずれの曲の録音も、その曲の最高の解釈、演奏と言えるものばかりですが、特にスクリャービンを得意としています。古典から近現代までレパートリーは広いですが、中でもロマン派を得意としており、スクリャービンを除いては、特にショパンの演奏で定評があります。
近現代の難解な作品も彼の手にかかれば意味を成し、また小さなピアノからでもフルコンのピアノ並みの素晴らしい響きを引き出します。まさにマジックですね。
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ロシア語で綴るとВладимир Софроницкий
ソフロニツキーと表記されることが多いですが、ソフロニッキーと発音するほうが本来のロシア語の発音に近いようです。
ミドルネームまで入れると、Vladimir Vladimirovich Sofronitskyとなり、お父さんの名前もまたVladimirであったことがわかります。
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ソフロニツキーの伝説には枚挙にいとまがありません。その一部が以下。
ホロヴィッツが弾いたスクリャービンのソナタ9番(黒ミサ)を聴いて「あなたは(この曲を)理解してない」と言った(ホロヴィツ談)。ルービンシュタインにさえ洟もひっかけなかったホロヴィッツにこんなこと言える人って、他にいなかったのではないでしょうか。
また、
ソフロニツキー:リヒテルさん、あなたは天才だ。
と、すかさず、
リヒテル:あなたは神だ。
学友のマリア・ユーディナとお世話になってる学者さんのおうちに呼ばれた時のこと。アンティークできれいに飾られた部屋であった一つの出来事。ユーディナはソフロニツキーに読んでもらいたい詩があって、詩集を彼に渡したところ、適当なところを開いて読んだ。そして訳が判らないと見るや引き裂いて部屋の中に放り投げた。で、危うく年代ものの高価な紅茶セットを壊しかけた・・・なんてこともあったそうです。むら気だったんですね。加えてユーディナは「これが典型的なソフロニツキーだった」と手記に残しています。これが典型的???うぬ〜。
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20歳代後半に一度だけ西側で演奏旅行を行い(パリでは大好評を博したそうです)、後は1945年にポツダム会議でスターリンに弾かされただけで、それ以外は、ず〜〜〜っと鉄のカーテン内にいたソフロニツキー。
その演奏の録音が、続々発売されてきているのは、ソフロニツキーファンにとって喜びに堪えないですね。
録音の音質はピンキリですが、リパッティーの録音より悪いものはあまりないです。いままでいろいろ聞いた中で、どうしようもないのは1958年のスクリャービンライブくらいでしょうか。始終ビリついて、何を弾いてのだかよくわからない。(^^;)特に、そこに収録されている作品番号42-5においては、状態があまりに酷いので1960年2月2日の演奏でメンディングしてあるとのこと。
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彼の娘ヴィヴィアナは、モスクワ音楽院ピアノ科を卒業後オランダの王立ハーグ音楽院でチェンバロと時代ピアノを学び、CDも出している模様。
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彼の動画・・・ないよなぁ。