最大の自然保護は、地元の(せめて国内の)食べものを食べること。
ごはん一杯を食べるという人間の行為がオタマジャクシ35匹を育てます。
農と自然の研究所は、2000年5月20日に宇根豊氏により設立され、その後2001年9月7日に、福岡県から特定非営利活動法人(NPO法人)認証を受けた団体です。
【設立趣意書から】
赤トンボは人に親しまれ、詩に歌われ、群れ飛ぶ風景はよく表現されてきましたが、それが田んぼで生まれていること、まして百姓仕事によって維持されていることは、2400年間の水田稲作の歴史の中で、一度も表現されることはなかったのです。それがこの国の「自然観」だったからです。それほど自然はあたりまえに身の回りに存在し、ただ満喫していればよかったのです。ところが、「農」が人間の身近にあらねばならぬ理由が、これほど忘れ去られてしまうと、身の回りの環境はどんどん荒れていきます。しかも多くの人には、荒れてきたという自覚すらなくなっています。とうとう、赤トンボが田んぼで生まれていることを口にせねばならなくなったのです。
ところが「農」がこの国の自然をどう形成しているのか、百姓仕事が自然をどう支え、どう変化させているのかは、とても重要なことなのに、ほとんどわかっていません。たとえば畦に咲く花にどういう価値があるのでしょうか。どうして生きものは田んぼに集まってくるのでしょうか。なぜ農業体験のない都会人ですら、棚田を美しいと感じるのでしょうか。なぜ都会の子どもが「田んぼに石ころがない」ことを不思議がるのでしょうか。これを説明できるような言葉が求められています。
この研究所は「農」が生み出すカネにならないものを、百姓が胸を張って表現し、国民がその通りだと言って支援するための思想や、事実や、摂理や、農法や、情報や、感性を深めるために設立されました。赤トンボや棚田や畦花は例に過ぎません。あまりにも多くのモノが手づかずで野に吹きさらされています。この研究所は百姓仕事の中で、一つ一つそれをひろっていくのです。
この研究所には、さまざまな考えの人間が同じ思いに根ざして集います。あなたも寄ってみませんか。
公式HP
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関連キーワード
環境デ・カップリング、田んぼの生きもの調査、田んぼのめぐみ台帳、農業の多面的機能、環境稲作、カブトエビ農法、虫見板、県民と育む『農の恵み』事業、農は天地有情、ただの虫
関連書籍
『天地有情の農学』、『田の草花ガイドブック』、『ふくおか農のめぐみ100 生きもの目録作成ガイドブック』、『農の扉の開け方 自然環境は発見するもの』、『国民のための百姓学』、『農のめぐみ台帳づくり』、『水辺で生きる ふくおかの生きものガイドブック』、『生きもののポスターは語りかける ドイツの村からの新しい農業観のメッセージ』、『虫見板で豊かな田んぼへ』、『百姓仕事が自然をつくる』、『田んぼの学校 入学編』、『田の虫図鑑』、『田んぼの忘れもの』、『減農薬のイネつくり』、『除草剤を使わないイネつくり』、『「ただの虫」を無視しない農業』、『赤トンボ調査ガイドブック〈赤トンボにあなたの“まなざし”を〉
』、『全国一斉赤トンボ調査 報告書』、『MEKA−自然環境を支える百姓仕事を支える政策−〈ドイツのバーデン・ヴェルテンベルグ州の環境農業政策〉』、『環境稲作のすすめ〈コメだけが、田んぼの『生産物』ではない〉』