オウム真理教 アーレフを学問的・宗教史的に研究するコミュニティです。教団とは無関係な方々のみ参加可能です。あくまで客観性を持って、そこにあるものとして研究を行うためのコミュニティです。サリン事件等、肯定するものではなく、また教団を是認する意図もありません。
オウム真理教
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オウム真理教(オウムしんりきょう)は、日本のカルト教団(新宗教)。教団構成員が松本サリン事件や坂本堤弁護士一家殺害事件、地下鉄サリン事件等の事件に関与したことが明らかとなっている。
起源
オウム真理教は、1984年麻原彰晃こと松本智津夫によってヨーガ道場「オウム神仙の会」を母体に東京都渋谷区で設立された。1989年8月25日に東京都に宗教法人として認証された。
オウムはインド宗教の聖音オームから取られたもので、A・U・Mはそれぞれ宇宙の「創造」「維持」「破壊」を意味し、総じて「無常」を意味するものと解釈していた。従って、オウム真理教とは「無常を土台とした真理の教え」という意味であると述べられている。
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教義
オウム真理教は、修行による苦悩からの解放を説き、欲望・煩悩を一つずつ超越する事を解脱と呼んだ。そして、自ら日本で唯一の最終解脱者と称する松本の教説は、「無常」と「煩悩破壊」を根本とする。
「人は死ぬ、必ず死ぬ、絶対死ぬ、死は避けられない」という松本の言葉に象徴されるとおり、この世の中のすべてのものは無常である。したがって、すべての喜びはいつか終わりが訪れるため、煩悩的な喜びにとらわれることは必ず苦しみを生み出す。逆に、自己の煩悩を超越し、無常を越えた状態が、絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜のニルヴァーナ(煩悩破壊)である。また、そこに留まる事なく、更に全ての魂を絶対自由・絶対幸福・絶対歓喜の状態に導くことによってマハーニルヴァーナ(大完全煩悩破壊)、あるいはマハーボーディニルヴァーナ(大到達真智完全煩悩破壊)へと至る。
ポア(ポワ)とは「意識を高い世界へと移し替えること」と定義されていた。これは生・死とは関わりなく意識の中の煩悩的要素を弱めることと解釈できる。このポワの中で最も重要なものは死の直後、中間状態にある意識の移し替えで、これは次の生における転生先を決定することになる。したがって、死の際の意識の移し替えが狭義の「ポワ」となる。これが転じて、「死をもたらすこと」も「ポア」と呼ばれていた。これが「『ポア』なる言葉の下に殺戮を正当化する」と検察側が主張する根拠となっている。
オウム真理教の主宰神はシヴァ大神である。オウム真理教に於けるシヴァ大神は「最高の意識」を意味し、マハーニルヴァーナと同義として扱われる。ヒンドゥー教(インド神話)にも同名のシヴァ神があるが、これはシヴァ大神の化身に過ぎないとされる。また、麻原彰晃はこのシヴァ大神の変化身と見做された。
オウム真理教の教義は、原始ヨーガ、原始仏教を土台とし、パーリ仏典を土台に、チベット密教の技法を取り入れている。そして、「宗教は一つの道」として、全ての宗教はヨーガ・仏教的宇宙観の一部に含まれる、と説く。その結果、キリスト教の創造主としての神は梵天(オウム真理教では神聖天と訳す)の事である、等と説かれる。従って、オウム真理教に於いては儒教・道教・キリスト教・ゾロアスター教等ありとあらゆる宗教・神秘思想を包含する「真理」を追求するという方針がとられた。結果として、キリスト教の終末論も、仏教的な「創造・維持・破壊」の繰り返しの中の一つの時代の破滅に過ぎない、として取り込まれた。 具体的な修行法としては、出家修行者向けには南伝仏教の七科三十七道品、在家修行者向けには大乗仏教の六波羅蜜、またヨーガや密教その他の技法が用いられた。
オウム真理教の「五つの柱」として、1:最終地点まで導くグル(霊的指導者)の存在、2:無常に基づく正しい教義、3:その教義を実体験できる修行法、4:その教義を実際に実践して修行を進めている先達の修行者の存在、5:修行を進めるためのイニシエーションの存在、が挙げられており、「実践宗教」であることが強調されている。
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事件と関連するとされる教義
オウム真理教では修行の内容を3種類または4種類に分けて説く。小乗(ヒナヤーナ)、大乗(マハーヤーナ)、真言秘密金剛乗(タントラ・ヴァジラヤーナ)で、厳密に説かれるときはタントラヤーナとヴァジラヤーナを分ける。ここでは4つの修行体系に分けて述べる。また、以下は教団における定義であって、通常の仏教語の定義とは違う。 ヒナヤーナは外界とは離れて自己の浄化・完成を目指す道である。ヒナヤーナはすべての土台である。 マハーヤーナは多くの人たちが同時に高い世界を目指す道である。教団全体はマハーヤーナと規定される。ただし、ヒナヤーナ的な自己の浄化がなければマハーヤーナは成立しないともいう。 タントラヤーナはマントラを唱える等の密教的な修行を指す。ただし、左道タントラなど、現代日本では非倫理的・非道徳的とされる部分については教団の公式見解において否定されていた。 ヴァジラヤーナはグルと弟子との1対1の関係においてのみ成り立つ道である。グルが弟子に内在する煩悩を突きつけ、それを理解できる状況を作り出し、その煩悩を越えさせるマハームドラーなどの激しい方法が含まれる。
ヴァジラヤーナの教義の中には「五仏の法則」と呼ばれるものがあり、「天界の法則であって人間界においてはなしえない」という注釈のもとで説かれたことがあった。これは、一般的な戒律に反する行為・言動が、完全に煩悩なく、完全に心において利他心のみであるときには認められるとするもの。真言宗の金剛経などにも見られる教えである。 具体的には、悪業を積み続ける魂を救済するために殺害すること、貪り多き魂を救済するためにその財産を奪うこと、嘘を使って真理に導き入れることなどが、天界の菩薩の修行として説かれている、という解説であった。 この教義が殺人を正当化するものと解釈されたが、現在の教団においては、この五仏の法則は封印されている。
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活動
1989年に東京都から宗教法人として認可されてから後に、静岡県富士宮市に総本部を置き、日本全国各地に支部や道場を設置。ロシアやスリランカ等海外にも支部を置いていた。信者は日本国内だけでも11,000人程度存在していたという。
教団の信者は在家信徒と出家修行者(サマナ)に分けられる。 在家信者は通常の生活を行ないながら、支部道場に赴いて修行したり説法会に参加する。また、休暇期には集中セミナー等も開かれる。 出家修行者は出家時に全財産を教団に布施するが、その後の生活や修行の全てを教団からまかなわれた。1995年当時、出家修行者は1700人程度であったという。
修行の達成度、精神性の度合いを示すものとして「ステージ」制度があり、時期にもよるが、1995年時点の出家者には、サマナ見習い、サマナ、サマナ長、師補、師(小師、愛師、愛師長補、愛師長、菩師、菩師長補、菩師長)、正悟師(正悟師、正悟師長補、正悟師長)、正大師の各ステージが存在した。師は「クンダリニー・ヨーガ」の成就者、正悟師は「マハームドラー」の成就者で仏教の阿羅漢相当、正大師は「大乗のヨーガ」の成就者と規定され、これらのステージに従って教団内での地位、役職等が定められた。日本最年少で司法試験に合格した青山吉伸に代表されるように、オウム真理教幹部の学歴は一般に高く、偏差値の高い大学の卒業者も多かった。
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事件へ
教団は奇抜な選挙活動等、一部で注目を浴びていた。1989年11月に起きた坂本堤弁護士一家失踪事件や1994年6月に起きた松本サリン事件、1995年2月28日に起きた目黒公証人役場の仮谷清志さん拉致監禁事件等では容疑団体と目され、それ以降警察から監視されていた。
検察側の主張によれば、1995年3月に、警察の全国教団施設の一斉捜査の内部情報を入手した松本(麻原)は、警察の目を逸らす為に東京で大事件を起こす事を思い付き、地下鉄サリン事件を起こしたとされている。よって、この事件そのものはクーデターではなかったとも考えられるが、クーデターの時間稼ぎと考える事も出来る。反って教団の事件関与の確信を深めた警視庁は1995年3月22日に上九一色村の教団本部施設への強制捜査を行った。施設からはサリン等化学兵器製造設備、細菌兵器設備、散布の為の軍用ヘリ等が見付かり、オウム真理教の特異な実態が明らかになった。事件との関与が指摘された教団の幹部クラスの信者が続々と逮捕された。東京地検は松本智津夫を17件の容疑で起訴したが、その内LSD・メスカリン・覚醒剤・麻酔薬等薬物密造に関わる4件に付いては裁判の迅速化を図る為2000年10月5日起訴を取り下げている。
1995年5月16日には、教団代表であった松本智津夫(麻原彰晃)が山梨県上九一色村で逮捕される。その後村岡達子が代表代行となったが1995年10月30日東京高裁により解散命令を受け、抗告が棄却された為宗教法人としては解散する。
1996年3月28日東京地裁が破産法に基き教団に破産宣告を行い、同年5月に確定する。1996年7月11日公共の利益を害する組織犯罪を行った危険団体として破壊活動防止法の適用を求める処分請求が公安調査庁より行われたが、同法及びその適用は憲法違反であるとする憲法学者の主張があり、また団体の活動の低下や違法な資金源の減少が確認された事等もあって、処分請求は1997年1月31日公安審査委員会により棄却されている。
2000年2月4日オウム真理教を母体として、前年に出所した上祐史浩を代表とする「宗教団体・アレフ」が設立される。アレフは更に2003年2月に「宗教団体アーレフ」と改称した。
近年では元信者または現アーレフ信者に対する転入届の受付け拒否や退去勧告・就入学拒否等が地方自治体による違法行為として社会問題になっている。住民票不受理裁判は全て自治体側の敗訴となっている。
オウム事件では、村井秀夫刺殺事件の真相の究明に至っていない。実行犯は特定の者の指示により決行したとして有罪確定、指示したとして起訴された者は無罪である。二つの内容対立する判決がそのままになっている。国松警察庁長官銃撃事件に至っては、自白したとされる元オウム信者の警察官が、最終的には不起訴処分となったという異例の事態となっている。
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関連年譜
1980年代に麻原彰晃こと松本智津夫により創設される。当初はヨガのサークルであった。
1989年に宗教法人化。
1989年2月、男性信徒を殺害(殺人)。
1989年11月4日、坂本堤弁護士一家殺害事件で一家3人を殺害(殺人)。
1990年2月、衆議院議員選挙に集団立候補するも全員落選。社会敵視傾向に拍車がかかる。
1991年9月、「朝まで生テレビ!」に出演。
1991年12月、「ビートたけしのTVタックル」に出演。
1991年 このころ、テレビ朝日の番組以外に出演していた。
1993年11月〜1994年12月にサリンプラントを建設(殺人予備)。
1994年5月、滝本太郎弁護士をサリンで襲撃(殺人未遂)。
1994年6月〜1995年3月、自動小銃を密造(武器等製造法違反)。
1994年6月27日 松本サリン事件。長野県松本市でサリンを噴霧し、7人を殺害(殺人・殺人未遂)。
1994年7月、元信徒の男性を殺害(殺人・死体損壊)。
1994年12月、駐車場経営者を化学剤VXで襲撃(殺人未遂)。
1994年12月、会社員をVXガスで殺害(殺人)。
1995年1月、「オウム真理教被害者の会」会長永岡弘行さんをVXガスで襲撃(殺人未遂)。
1995年2月、目黒公証人役場事務長の仮谷清志さんを拉致・監禁し、薬物で死なせる(逮捕監禁致死・死体損壊)。
1995年3月20日、地下鉄サリン事件。東京の営団地下鉄(現・東京地下鉄)でサリンを撒き、12人を殺害(殺人・殺人未遂で起訴)。
1995年5月16日、麻原彰晃こと松本智津夫を山梨県上九一色村の教団施設で逮捕。
1995年 宗教法人解散命令。国会で宗教法人法改正法が成立。
1997年1月31日、公安審査委員会、オウム真理教への破壊活動防止法の適用を棄却。
1999年 団体規制法 破産特別法が成立。
2000年、信徒数は1115人(教団が公安調査庁に報告した数)。
2000年2月4日、「宗教団体・アレフ」として再編。
2002年1月に上祐史浩が教団代表に就任。
2003年2月、「宗教団体・アーレフ」と改称した。
2003年2月現在、信徒数は1251人(教団が公安調査庁に報告した数)。
2004年2月16日、2月27日の松本被告の一審判決を前に公安調査庁が全国の教団施設11カ所を一斉に立ち入り検査。検査動員数約200人。
2004年2月27日、麻原彰晃こと松本智津夫に死刑判決下る。
2004年3月16日、和光大学が、既に合格した松本の3女を入学拒否したと発表。
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事件が与えた影響とその後
組織犯罪には厳しい姿勢で臨むべきという社会的同意が完成し、厳罰化等以後の刑事政策に影響を与えた。
事件以後、問題がある新宗教団体に対する世間の目は、一層に厳しくなった。特に巨額の献金を要求したり、信者の離脱を許さなかったりなど、信者を抑圧しているとされる団体に対しては、情報の公開を求める動きが広がった。白装束で話題になったパナウェーブ問題への対応などにも影響を与えている。
「オウム特番」等連日連夜繰り広げられたオウム報道によって報道のワイドショー化が一層進んだ。
「オウム真理教を扱った番組は簡単に視聴率が取れる」という『オウムの法則』なる用語まで登場した。それほど世間の注目度は尋常ではなかった。
事件以来、「オウムを潰す為には何をやっても許される」という画一的な運動が報道機関によって続けられているとの見方をする者達も一部にいる。彼らは、事件後に成立した「組織犯罪対策法」等の中に、社会の治安維持上の必要がある場合に、個人の私権を制限したり、プライバシーを侵害する事を認めるような条項がある事を、報道機関の運動に乗せられた行き過ぎではないかと主張する。一方で、こうした法改正は決して行き過ぎではなく、治安維持の為に必要な事であるとする者達もいる。この点に関する見解の相違は、現在の国家体制や政府のありように対する信頼度の差と、オウム事件と同様の組織犯罪に対する危機感の多寡に起因すると考えられる。
1995年以降、警察の捜査から逃れるため、多くの信者・関係者がタイ、ラオス、カンボジア等の東南アジアに逃亡した。その中のある信者グループは、タイ王国チェンライのゲストハウス「Lek House」の親日家オーナーに接近。身分を偽ってこのゲストハウスを「アジト」として長期潜伏していたとされる。この事実をめぐり、複数のジャーナリストが取材を行っている。
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オウム真理教のOVA
オウム真理教は過去に、OVAも制作しており、麻原彰晃が美化されて登場した。青山吉伸弁護士・上祐史浩・石井久子・サクラー正悟師も登場する。麻原の声を演じているのは麻原自身である。また、麻原彰晃がナレーターを務める事もあった。作品としての完成度は同人作品並みであるが、その存在意義から現在でも好事家の間では非常に価値がある。
超越世界[1]
超越神力
天耳通[2]
宿命通[3]
エジプト編
天界編
他心通[4]
創世期[5]
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関連項目
真理党
マハーポーシャ
尊師マーチ
横山昭二
オウム真理教放送
サティアン
二木啓孝
阿含宗
うまかろう安かろう亭
公安調査庁
内乱罪
破防法
東京地下鉄
法の華三法行
福永法源
ライフスペース
高橋弘二
パナウェーブ研究所